金と頭は使いよう
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昨日の続きになりますが、資金は手元現金を除き、金融機関に預ける事が一般的です。ところが銀行に預けられた資金に色は付けられません。金融機関にとって個人か企業かは関係ないのです。単に負債(預金)として扱われるだけです。
いずれにしても、原則的に個人金融資産が減っても国の総預金量に変化はありません。海外へ向かわない限り、消えると言う表現には無理があるのです。さらに政府が国債を発行するという事は、それまで、どこにも存在しない資金を創造する事になります。
国民から借りるだけ(資金の移動)じゃないかと言われるかも知れませんが、借りた資金は当該年度中に予算という形で国民側(不特定多数)に還元されます。と言う事は、償還時には新たな資金が、それまでの総資金量にプラスされる事になるのです。つまり国債購入資金は、国内で消化される限り、発行額と同額だけ増え続けるメカニズムがあるという訳なのです。
何年も前から破綻するすると言われながら、金利はむしろ下がるし、安定的消化に翳りが見えない理由がそこにあります。玉川さんには、そこんとこを理解してもらわなければいけません。(笑)
さて、これも昨日の、100円の資金を10人で回す話の続きですが、すぐに消費に向かえる資金の量(マネーサプライ/マネーストックとも言う)が少なくても、速い回転があれば、あるいは滞る事なく有効に使われれば、GDP は資金量の何倍にもなります。
反対に、どこかに滞っていたり、使うスピードが遅ければ莫大なマネーザプライ(現金プラス預金)があっても経済は停滞するのです。ただ、経済のスタイル、産業の仕組みが違う場合があるので、GDP に対し、どれくらいの資金量があれば適当であるかは一概には言えません。
このGDP に対する資金量の事をマーシャルのK (GDP÷マネーサプライ)と言います。国によってマネーサプライの定義が違ったりするので、ややこしいのですが、マーシャルのKは大きければ良い訳でもなく、小さければ貧乏という事にもなりません。
例えばクレジット社会のアメリカなどはGDP の半分くらいしかマネーサプライがないのです。一方日本は巨大なマネーサプライを持ちます。マーシャルのKは1を大きく超すのです。
この場合のマネーサプライはM2 + CD(M1 + 準通貨 + CD)ですが、これに郵便貯金 + 農協、漁協、信組、労金の預貯金 + 金銭信託・貸付信託を加えたM3 + CD は昨日述べたように総金融資産の四分の一(1300兆円以上)にもなります。
国によって、随分違うのがお分かりになると思いますが、日中韓は経済構造、金融システムが似ているのかも知れません。尤も、日本の場合は銀行の貸し渋りがあったり、バブル崩壊時に勝ち逃げした資金や企業の内部留保(200兆円)が莫大である事もマーシャルのK を大きくする要因と言えます。
もちろん、日本の場合は産業構造でも米などと違って、巨大企業のままだと小回りの利き難い終身雇用制を前提としていますから、分社化や子会社化が起こり、裾野の大きいプラミッドを構成する点を考慮しない訳には行きません。必然的に中間投入(途中決済)への資金需要が莫大になるのです。
そこを理解しない財務省や日銀は、マネーサプライの巨大化を嫌い量的金融緩和に後ろ向きであった事は否めないのではないでしょうか。
いずれにしても、日本にはデフレで巨大なデフレギャップが存在する事は事実です。財政出動とセットになった量的緩和に後ろ向きならば、今ある資金を有効活用するしかありません。税制の改革や有効需要を喚起する政策を矢継ぎ早に打つしかないのです。
環境対応車への助成金なども少額ではありますが、結構有効と見えて、今クルマが凄い勢いで売れています。家電のエコポイント制とか、麻生内閣の時に打った手は悪くなかったのですが、民主党が全てご破算にしてしまいました。そんな事をしていると本当に国がご破算になります。(笑)頭は生きている内に使って下さい。
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コメント
≫ 今クルマが凄い勢いで売れています。家電のエコポイント制とか、麻生内閣の時に打った手は悪くなかったのですが、民主党が全てご破算にしてしまいました。そんな事をしていると本当に国がご破算になります。(笑)頭は生きている内に使って下さい。
・・・おーい、野田くーん・安住くーん・古川くーん、頭は生きているウチに使うんだぞー!
投稿: AZ生 | 2012年3月 4日 (日) 02時23分
> 財政出動とセットになった量的緩和に後ろ向きならば、今ある資金を有効活用するしかありません。税制の改革や有効需要を喚起する政策を矢継ぎ早に打つしかないのです。
・・・やっぱり之に行き着きます・・・
≪財政出動、公共投資、内需拡大、流動性確保・・・財政出動、公共投資、内需拡大、流動性確保・・・≫ 轍さんのつぶやきを経文に採用しましたので宜しく。
投稿: 地球防衛君 | 2012年3月 4日 (日) 08時22分