民主党のおかげかもしれない。
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先日、ある若い人(A氏)と酒を飲みました。彼は某一流私立大卒の秀才です。WEB関係の仕事を手伝ってもらっていることもあり、時々話をする機会があるのですが、日本の将来を憂いています。この日も日本の財政の話になりました。
A氏 「本当に民主党には頭に来ます。熱心なのはマニフェストにない事ばかりで、消費税アップなんてとんでもないです。しかし財政赤字は何とかしなければならないし、どうしたもんでしょうかねえ。」
筆者 「急場としては、取りあえず赤字国債でも何でもいいので、予算を大きく取るしかないんじゃないですか。日本国債は安定的に消化されているし。」
A氏 「そうは言っても、個人貯蓄額を超えて買い支える事は出来ないし、既にその限界が近づいています。その場合は海外にお願いするしかないのではないですか。」
筆者 「貯蓄額を超えて国債を買う事は勿論出来ないが、その貯蓄が減らないとすれば、いや、資金が無尽蔵に供給されるなら永遠に買い支える事は可能ではないですか。」
A氏 「それは机上の空論でしょう。現実にはあり得ない。」
若いA氏は、資金が循環するメカニズムが分かっていないようです。尤も、日経新聞や有名経済評論家さえ分かっていないのですから無理もありません。
筆者 「国債を買った資金は一時国庫に入るが、予算として使われるので、結局は買った側に全額戻ります。つまり、金融機関が貸し出しをしていない預金が現状で180兆円程あるが、その中から国債を買い、そこへまた予算として執行された資金が戻るので、今のところ半永久的に発行が可能です。」
さすがにこの理屈は、にわかには飲み込めないようで、A氏は言葉に詰まります。
筆者 「景気が悪く民間が設備投資を控えているから、つまり資金需要がないのに莫大な金融資産があるという事は、国債でも買うしかないという事になりますね。景気が良くなり資金需要が出てくれば税収が増え国債発行額が減るのでバランスは取れるのです。いずれにしても、しばらくは大丈夫だと市場は見ているから長期金利は世界一低い。」
A氏 「なるほど、しかし現実に景気が良くなる事なんてあるのですか。という事は国債を発行し続けるしかなく、現実問題、それで問題は起きないのですか。長期金利が上がればたちどころに苦しくなりますし。」
さすがに目のつけどころがシャープです。問題がない筈がありません。
ところで、この会話は経済学部の先生と生徒の話ではありませんので念の為。(笑)最近は素人でも、この程度の会話はするのです。
筆者 「景気が良くなるかどうかは政府次第です。残念ながらマクロ経済の領域なので、政府の政策によるところは大きいのです。民間も外需依存に凝り固まっているから外にしか目を向けない。その結果は増々デフレになり給料が減る。極めて悪い循環です。」
A氏 「金利も今のところは低い水準で安定していますが、上がる要素はないのでしょうか。そこが気になります。1%上がれば単純計算で10兆円くらいになるでしょう。?」
筆者 「そうなんです。経済学者さえそういう事を言いますから、私も最初そう思っていました。ところが調べてみると10年もの国債の大半は固定金利なんです。変動しないのです。短期証券の金利はもっと低いし、従って、いくら金利が上がろうが影響を受けるのは新規発行分だけと言ってもいいくらいで、試算によると1%上がれば1兆数千億円ほど利払いが増えるだろうと言われています。さらに言えば、国債の70%くらいは政府系金融機関が保有していますから、利払いも70%が(民間会社風に言えば)連結決算で自分のところに戻るのです。一種の自作自演ですね。」(笑)
A氏 「なるほどそういう事ですか。少し安心しますね。でも、発行額の増額と金利負担をず〜〜っと続けて行けば、いつかは国内で資金調達が出来ない事になりますね。理論上は。」
さすがに数学が得意なA氏、筆者もそこまでは考えていませんでした。
筆者 「確かにそれは言える。増え続けて何十年後か何百年後かは知らないが、発行額が、今で言うところの余剰資金180兆円を超えるならば、超えた分に関しては海外にお願いするしかないかも。。。」
A氏 「そうするとギリシャのようになる事はあり得る訳ですね。」
筆者 「ところが、日本には円資産の他に、莫大な対外純資産(外貨)があるので、理論上、それが枯渇するまでは海外のお世話にならなくても済むのではないでしょうか。ギリシャなどは、そこが最初から赤だったから、デフォルト危機に直結しました。」
A氏 「その対外純資産も、貿易赤字が続けば減りますよねえ。どのくらい持つのでしょうか。」
筆者 「それは、さすがに当分は大丈夫と言えます。消費税アップやTPP 参加さえ回避すれば、経常収支の黒字は続きます。何と言っても所得収支の黒字は現状では増える一方なので。」
A氏 「なるほど、ではやはり一番の解決策は景気を良くして税収を上げる事が一番という事になりますね。それには公共投資という訳か。財源の日銀の引き受けに関してはどうでしょうか。」
筆者 「日本人は律義なので、すぐに財政規律を言い出すが、現状がデフレだという事がよく分かっていません。世界を見て下さい。中国もアメリカも刷りまくっています。それが円高の原因でもあるので日本も刷り負けないようにするべきです。(笑)自民党が言うように、少なくとも2%のインフレになるまで資金を供給すればいいのです。現状はあまりに小出しに過ぎます。やる気のまるでない白川さんでは難しいのではないでしょうか。」
A氏 「民主党は消費税を上げて法人税を下げると言っていますが、これに関してはどうでしょうか。?」
筆者 「法人税もですが、税収を大きく増やすには全般的に税制を見直す必要はあります。一億総中流と言われた時代は累進税率がもっと強かったのです。消費税も逆進性があるので格差は確実に広がります。むしろ消費税は廃止するくらいでもいいかもしれません。贅沢品に大きく課税した物品税の復活です。その代わり、一つには、バブルの頃、不動産で売り逃げした勝ち組に対する課税を考えるべきです。すなわち相続税の累進率を上げるのです。これが確実に取れれば基礎的財政収支も即解決するのではないでしょうか。そのくらい大きな税源なのです。ところが政府は政治献金絡みで、大企業や金持ちには甘い。」
A氏 「なるほど、日本には莫大な金融資産がある訳ですから、流れを良くするには、やはり政策次第という訳か。いずれにしても民主党政権を倒さない限り、駄目だという事になりますか。」
筆者 「おっしゃる通りです。」(笑)
多少脚色はしましたが、80%くらいはこの内容での会話でした。若い人でも、こういう人はいるのです。いや、むしろ増えていると言えます。それはひょっとして民主党のおかげかも知れません。問題提起を色々してくれたので、国民が目覚めつつあるのです。(笑)
それにしても、国債の70%近くを政府系金融機関が保有する現実は、自主運用が出来ない、それらの「なんちゃって金融機関」救済という疑惑を排除する訳にはいかないのです。結局は財務省利権であり、金融機関利権でもある事を追求すべきではないでしょうか。
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コメント
> 結局は結局は財務省利権であり、金融機関利権でもある事を追求すべきではないでしょうか。
・・・財務省ってアメリカ(を支配する国際金融機関)の支店だったのね!日本国とか日本人を守る役所じゃあなかった。。。
投稿: かかし君 | 2012年4月30日 (月) 15時40分