円高を国益に転換する発想を!
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円高で輸出主導の日本経済がダメージを受ける、と言われて久しいのですが、360円の時代から80円を切るようになっても、ず〜〜と貿易黒字を続けているのはなぜなんでしょうか。
給料は下がったとは言え、4.5分の一までは下がっていないにも関わらずです。しかも、為替差損や貿易摩擦を避ける為に、今では現地生産の方が圧倒的に多いのですから、訳が分かりません。(笑)
勿論去年のように特別な事があった年は例外です。それでも普通の国なら真っ赤っかのところ、経常収支は黒字なのですから可愛げがないのです。(笑)日本の力を侮ってはいけませんよ。政府日銀さえまともなら、どこまで成長するか分からないのです。
どう考えても、今は恣意的にデフレ誘導していますから、純輸出に過大な期待は出来ないGDP は成長しようがありません。という事は、頑張った企業は、他の国内企業のシェアを奪う事になるのです。日本人同士で共食いをさせているというのが実情ではないでしょうか。
その件は、散々拙ブログで書いていますから今日はおいといて、(笑)政治家にしろ、経済人にしても、バカの一つ覚えの様に円安に誘導しろ、と言うのも何だかなあ、と思うのです。基本的に通貨が高いという事は国力が強い事を意味します。
日銀の一つ覚えである為替介入による通貨安誘導も芸がありません。外貨準備を無駄に積み上げるだけです。その資金を国内に回せば、どれほど助かる企業があるか分からないというのに、情けない話です。もっと円高を活かす政策は取れないものでしょうか。
世界を見渡した場合、中進国として、ある程度のものが作れる国は先進国からの直接投資もあって随分増えて来ました。また中進国を追いかける途上国も増えていて一般消費財や、自動車なども大衆車の分野は激戦区の様相を呈しています。
日本のような先進国にとって、あえて激戦区で勝負する意味はデフレ促進効果しかないと思うのですが、あくまでも数の論理を信奉して意識を変えられない経営者は多いようです。
では競争のない世界とは何でしょうか。一つはブランドの世界です。ファッションで言えばシャネル、ルイ・ヴィトン、グッチ、エルメス等です。クルマではBENZ、BMW、AUDI、JAGUAR等がすぐに思いつきます。これらの信奉者には高い方が売り易く、試乗もしないで購入する場合さえあるのです。
(ド派手だが、決して品が悪くないベントレーの室内)
超高級のロールスロイスやベントレー、あるいはアストンマーチンなどは少量すぎて、ビジネスとしての旨味はないかも知れませんが、前述のブランドは、数もある程度売るのです。美味しい商売ではないでしょうか。
その世界へ行けるのは世界広しと言えども日本のメーカーしかないし、また既にブランド化しています。レクサス(下/LSのハイブリッド)やアキュラ、インフィニティなどです。スバルなども国内よりはブランドイメージは、はるかに高く海外では人気があるのです。
では、その道を究めて行けばいいじゃないかと思うのですが、拡大再生産こそが企業の生きる道と信じ、フルラインアップ体制にこだわる経営者達がそれを阻みます。一種の脅迫観念かも知れません。量産効果という点でも、ある程度の数は重要なのでしょう。
しかしながら、そのやり方を続ける限り、永遠に厳しい戦いをしなければなりません。なぜなら円高基調が変わるとは思えないからです。貿易収支はともかく、所得収支の黒字は減りようがなく、経常収支の黒字は当分の間は継続されるので、円安に振れる事は考え難いのです。
という事は、日本人は発想を転換して、円高を肯定するビジネスモデルを確立しなけらばデフレ圧力から逃れられないという事になります。尤も、現地生産分に関しては、現地に合わせればいいので、そこまでではありませんが、少なくとも輸出商品に関しては、高付加価値モデルへ転換するしかないのではないでしょうか。
例えば、自動車などの耐久消費財ばかりに目が行きがちですが、輸出の70%以上を占める資本財、生産財などは、世界に真似の出来る国はありません。ボーイング787に使われたカーボン、液晶パネルではフィルム他、素材と材料で世界シェアをほぼ独占する品目が多いのです。その他、ケミカル系、環境省エネ系でも材料の優位性は圧倒的と言えます。
従って輸出の主体は、高くても世界が買わざるを得ない高い技術力に支えられた材料系や高付加価値商品に集中し、価格競争力に劣る一般消費財は国内専用にするべきです。
輸出の総量自体が、輸入総額を下回らなければいいと考えれば、そんなに難しい事とは思えません。円高を容認すれば、必需品であるエネルギーや天然資源も安く買えますから、国民生活は安定するし、輸入材料も安くなるので高付加価値産業の収益力も増す筈です。
その為には、有り余る供給力を消化する為に、内需を拡大する事が不可欠です。逆に言えば、内需を拡大する事により、輸出へのモチベーションも下がって来るという訳です。
しかし、そのマクロ経済政策だけは民間には出来ません。5500兆円もある金融資産を有効活用して、内需拡大策を採る、現体制にしがらみや義理、利権のない政治家になら、それは簡単な事ではないでしょうか。
例えば橋下市長のような、やる気のある政治家に、確かなブレーンが付けば面白いのかも知れません。残念ながら今の側近やアドバイザーを見ていると絶望的な気持ちになりますが。(笑)
冗談はともかくとして、経済学者、浜矩子氏によると、円は1ドル50円まで行くと言います。ならば、それに備えて50円時代のパラダイム構築をしようではありませんか。
さらに内需拡大策が奏功すれば、国民一人当たりのGDP が倍近くになり世界トップクラスに躍り出ます。日本の経済力が世界を救う日は近いのではないでしょうか。
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コメント
去年テレビを棄てたので、1本50円の洋画を借りてきて観ています。
結構レクサス出てきます。持ち主は、比較的若い何かを当ててお金持ちに成った人という設定が多いですね。
マーチやロードスターも見ました。
歪んだHは全くみません。アメリカで売れているというのはどの層に売れているのでしょうかね。
投稿: 八目山人 | 2012年5月13日 (日) 13時01分
> アメリカで売れているというのはどの層に売れているのでしょうかね。
・・・娯楽系の映画は、誰でも見ているでしょうけれど・・・街の酒屋さん(リカーショップ)で買うのでしょうね、どの層の人でも。
・・・3~4年前まではタワーレコード(Tower Record)というDVDとかビデオレテープとかCD/ミュージックテープを売っている専門店がありましたが今は殆ど消滅。本屋さんがDVD映画とかCD音楽ソフトを売っていますがお客は少ないようです。 大抵の人は、ケーブルテレビで見ているのではないでしょうか。。。
投稿: Carly | 2012年5月13日 (日) 14時17分
> アメリカで売れているというのはどの層に売れているのでしょうかね。
・・・その2 ビデオレンタル屋さんで、Blockbuster(ブロックバスターとは、アメリカ合衆国に本拠地を置くビデオ・DVDのレンタルチェーン店)が一時全米中に展開されていましたが、出店数が半分ぐらいにダイエットして営業はやっています。一時日本にも展開されていましたが、今は撤退しましたよね。
投稿: Carly | 2012年5月14日 (月) 02時03分