ヒントはギリシャ問題に凝縮されている
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財務省が10日発表した2011年度の国際収支によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を総合的に示す経常収支の黒字額は、前年度比52・6%減の7兆8934億円だった。1996年度(7兆2890億円)以来、15年ぶりの低水準で、減少率は統計を比較できる85年度以降で最大だった。
経常収支のうち、モノの取引を示す貿易収支は3兆4495億円の赤字だった。東日本大震災や世界経済の減速などの影響で、電子部品や自動車の輸出が落ち込んだ一方、原子力発電に代わる火力発電に使う原油や液化天然ガス(LNG)の輸入が大幅に増えた。(読売新聞ニュース)
凄いですね。強靭な体力を見せつけていますが、所得収支の黒字を生む対外純資産も増加し続けています。去年あれだけの事があって、この数字ですからEU諸国などから見れば、羨ましいを通り越して、憎らしいくらいではないでしょうか。(笑)
さて、そのEU のネック、ギリシャ問題が再燃したり小康状態になったり、なかなか収束しませんが、ギリシャから一番遠い国、(地理ではありませんよ)も円高になったり株安になったり落ち着きません。早くけりつけてよ、って感じなのですが、何かいい方法はないものでしょうか。
経済学者の浜矩子氏が、ユーロを二部制にすることを提唱しているようです。それは一つの選択肢として面白いかも知れません。経済弱国をサッカーの下部リーグのように分けて、下部リーグのトップが上部リーグに昇格するというのは、合理的な案ではないでしょうか。
尤も、そんな事も面倒なので、離脱でいいんじゃない(?)という声もあるようです。筆者などは、それがギリシャにとって一番ではないかと思うのですが、案としては浮上していません。ユーロ体制空中分解の危険性があるからかも知れませんが、独仏は、あくまでユーロを死守するつもりなのでしょうか。
(全ギリシャ社会主義運動のベニゼロス党首)
ギリシャの借金はスイス一国の経済規模に匹敵するため、ユーロ圏から離脱することになれば、欧州の納税者が甚大な打撃を被る恐れがある。(ブルームバーグ)
という事もあり、簡単には離脱させてもらえそうもありませんが、そうは言っても、政治はぐちゃぐちゃだし、何かを決められる状態ではありません。確かに、これは非常に頭が痛い問題です。(どこかの国みたい/笑)
仮にギリシャがユーロから離脱し、自国通貨のドラクマを復活させたら、当然の如く為替のスタビリティ機能が働き、ドラクマが全通貨に対して安くなります。勿論円に対してもです。
その結果は輸出が増え、観光産業も賑わうでしょう。さらに、ギリシャがユーロを離脱する事が市場で好感されれば、ユーロの価値は対ドルや対円で上昇し始めるのではないでしょうか。独仏は痛し痒しでしょうが、それ以外は丸く収まります。
これから分かる事は、多くのレベルの異なる国を抱える共通通貨制の巨大経済ブロックは、少なからぬ問題を内包するという事です。これは国境を肯定する限り、逃れる事は出来ません。一つの国になってしまえば問題は解決しますが、その場合は地域格差が生じます。
例えば、ドイツ地方がせっせと働いて税金を納めるが、それを使うのはギリシャ地方になるという訳です。どちらにしても割が合わないのがドイツという事になります。
結局、異なる多くの民族が国境を接して存在する限り、経済の深化した連携は難しいという事ではないでしょうか。程々に付き合うのがベターかもしれません。他国に依存し過ぎたり、面倒見過ぎても良い結果は得られないのです。
翻って、日本が進めている日中韓のFTA やASEANプラス3(東南アジア諸国連合と日中韓)も疑問です。力の差が歴然としているからです。通貨安定の為と言いながら、なぜか日本が突出して資金を出しますが、その見返りは大して期待出来ません。
メリットより、むしろドイツ対ギリシャのような関係が必然的に生まれます。この場合ユーロとの違いは、日本以外の国においては、為替のメリットを受ける事です。つまり、破綻には至らないものの、為替差損で日本のメリットは限りなく薄くなるという訳です。
逆に何かの間違いで、日本のメリットが多かった場合は、日本以外の国の破綻のリスクを考えなければならなくなります。結局どうやっても、支援出来る唯一の国である日本のメリットは薄いという事にしかなりません。
そりゃそうです。いい時はガッツリ稼げるし、日本がメリットを生み出そうとして、自分たちの給料を削ってまで頑張れば、好きなだけ借金して最終的には踏み倒せばいいのですから楽なもんではないでしょうか。(笑)
それでも既に手に入れた自分たちには創造出来ない付加価値は残ります。それはギリシャを見れば明かなのです。分不相応な生活をしておいて、尻拭いはドイツにさせる事になります。
今後の世界は、グローバル化を進めれば進める程、経済大国で先進国と言えども、決して得はしないのです。そこを分かって付き合うのならいいのですが、アジアの成長を取り込もうなどと言うスケベ根性では、骨の髄までしゃぶられるのが落ちではないでしょうか。
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