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2012年5月23日 (水)

イエス ウィ キャン

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世界の公正な筈のマーケット(市場)は、真っ赤な嘘で、実は誰かに操られているのではないか。と書いているブログを見ました。答えは仕掛人に言わせれば イエス ウィ キャン ではないでしょうか。操られていない市場などありません。

と言うのも、ちょっと考えれば分かりますが、公正、公平にやれば、誰が得をするかという事です。例えば液晶テレビの場合、基礎技術はともかく、大画面化と、その量産化技術があり、多くの要素技術に関する特許を持ち、大量生産が出来る工場を自前で持つ会社があったとします。しかも、その会社は材料、その他部品のサプライヤーを傘下に持っているのです。

そうです。このグローバル化時代、その会社の一人勝ちになります。後発(?)無理です。特許の壁は越えられません。材料や部品の事を考えても諦めます。考え難い事ですが、一から自分たちでオリジナルを作ったとしても、完成する頃には次世代モデルに切り替わっていますから勝負になりません。普通は、そんなもんじゃないでしょうか。

半導体やリチウムイオン電池などもそうです。後発の付け入る余地などある訳がありません。従って、その分野も全部、最初に量産化に成功した会社に持って行かれます。自動車、もちろんです。ただこの分野だけは、後発でもついて来られます。

ユーザー層が多様化しているからです。乗り方や用途、その国の事情、思い入れの差等で棲み分けが出来るのです。それでも技術の壁だけは越えられません。従って、この世界が公正公平ならば、同じように見えても国が違えば、似て非なる商品という事になります。特に先進国と途上国とでは、天と地程の差があるのです。

ところで、22日の読売新聞に、国内半導体大手、ルネサスエレクトロニクスが6000人の人員削減案を発表したと載っていました。システムLSI の注文が、国内電機メーカーの不振で大きく減ったのが原因です。エルピーダメモリーに続いて、国内半導体メーカーの衰退ぶりが目立ちます。

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東芝も、先日国内でのテレビの生産を打ち切りました。シャープは台湾の大手電気メーカーの支援を受けますが、買われたり資本が入ったりと、ここに来て大きく様変わりしています。世界を席巻した日の丸電気産業の一時の勢いはどこへやらです。

その原因とは一体何でしょうか。ここまで短期間に、急激な落ち込みというのは解せません。技術力が落ちた訳でも、販売力が落ちた訳でもありません。専門家は「マーケッティングの問題だ、仕向地にあわせた製品を投入せよ。」などと分かった風な事を言いますが、急に何かが変わったとは思えないのです。はっきり言えるのは円高による価格競争力の低下です。そこだけは、はっきり変わりました。

この一連の流れを見て行くと、どうも、筆者は見えない力を感じるのです。大きな力が作用して、日本のメーカーを狙い撃ちしているような・・・考え過ぎでしょうか。

話は20年以上も過去に遡ります。85年にプラザ合意があった頃には、今との比較で、ドイツや米などに比べ、さほど技術力にアドバンテージがあったとは言えない日本の輸出産業は、なぜか滅法強かったのです。

2〜3年後に円は対ドルで半分(円高)になりましたが、貿易黒字は続いていました。海外への生産拠点シフトが進んでいたにも関わらずです。凄い話ではないでしょうか。

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その後、90年のバブル崩壊を経て不況時代に入ります。デフレ基調です。供給過剰ですから早期退職社を募ったりしていました。時を同じくして半導体摩擦や日米貿易摩擦がマスコミを賑わせます。スーパー301などという言葉が踊り、米から日米構造協議や年次改革要望書などによる露骨な内政干渉が始まったのです。

その結果はご存知の通り、通産省も米側について、技術開示、技術者流出、超円高という、とんでもないハンデを負う事になります。これで生き残れと言う方が無理ではないでしょうか。ところが日本の企業は、なお技術を磨き、新付加価値を創造して行ったのです。世界に冠たる技術立国です。

その成果は対外純資産に数字となって現れます。22日財務省は、2011年末時点での対外純資産は253兆円の21年連続世界一と発表しました。因に、2位の中国は円換算で137兆9297億円、3位のドイツが同93兆8947億円です。世界から見れば垂涎の的ではないでしょうか。狙われない筈がありません。

このように、マクロの数字の上では、まだアドバンテージがありますが、個別のジャンルや企業を見た場合に、状況は確実に悪化して来ています。どこまで絶えられるか、日本は正念場を迎えているのではないでしょうか。

ところで、筆者が韓国の自動車メーカーと直接の付き合いがあった頃、ソウルモーターショー用に、あるコンセプトカーの提案をしました。エレクトロニクス・デバイスを満載した夢の車です。当然韓国のエレクトロニクスメーカーとのタイアップを想定していました。

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企画書を持って某自動車メーカーのトップに、系列エレクトロニクス企業への橋渡しを依頼した時の事です。意外な言葉が返って来たのです。「韓国に技術はありません。技術は全て日本のものです。日本のメーカーに話をつけて下さい」です。。。

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つまり、2000年当時には、韓国には世界に売るようなエレクトロニクス技術はなかったのです。裾野や基礎技術の積み重ねもないのに、それから10年で日本を凌ぐ(???)あり得ません。

何が言いたいのかと言いますと、あくまでも仮説ですが、米が日本を叩き不景気にする、あるいは強引に技術の開示をさせる、その結果は米を始め米資本が大きく入った周辺国へ技術が流れる、更なる円高に誘導する、日本メーカーが衰退し外資に買われる。

そう考えた時に、これまで日本に起きて来た事の脈絡が繋がって来ます。通貨スワップなども、日本潰しの為に、赤字が出るくらい安いコストで作らせた損失補填を、日本からさせようという魂胆なのでしょう。踏んだり蹴ったりです。

よく練られた虫のいいシナリオではないでしょうか。まあ、考えてみれば、日本側に、いかに想像力がないかという事を、証明しているようなものかもしれません。結果を考えて行動しなければ、容易く陥穽に嵌ります。無防備すぎるのです。

今後の日本に求められるのは、そういう意味での「チェンジ」ではないでしょうか。発想のチェンジ、政治のチェンジ、マスコミのチェンジ、国民意識のチェンジ、そうです。今からでも遅くはありません、イエス ウィ キャン. です。(笑)

 

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コメント

>日本メーカーが衰退し外資に買われる

エルピーダもルネサンも、これらメモリー製造会社は、外資に喰われるべく、デッチ上げられました。

韓国の企業は、日本からの盗品の山で出来ているのでしょう。そろそろ日本人は気がつかねばなりませんネ。

世界政治等というのは、強盗団とか、狡猾な詐欺師たちとの知能戦だと言うことを。貴ブログは、この経済を実にノーマルな切り口で分析されています。

投稿: 左近尉 | 2012年5月24日 (木) 16時03分

>世界の公正な筈のマーケット(市場)は、真っ赤な嘘で、実は誰かに操られているのではないか

>日本メーカーが衰退し外資に買われる・・・世界政治等というのは、強盗団とか、狡猾な詐欺師たちとの知能戦だと言うことを。

・・・天下の論客さんの発しておられるメッセージは心に響きます。バッハのカンタータ140番「目覚めよと呼ぶ声あり」の如く。。。

投稿: AZ生 | 2012年5月24日 (木) 17時37分

金融犯罪者達の逮捕が近いという噂がありますが本当でしょうか
http://www.youtube.com/watch?v=28-ABN3l4D0

投稿: だは | 2012年5月24日 (木) 21時20分

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