« 薫風香る、一年で一番の季節だと言うのに | トップページ | 超先進国日本が、今後の世界を導くだろう »

2012年5月 4日 (金)

ムンクの「叫び」について考える

ブログランキングに参加しています。

ノルウェーの画家エドバルト・ムンク(1863〜1944)の代表作「叫び」が2日、競売大手サザビーズがニューヨークで行ったオークションで1億 1992万2500ドル(約96億円)で落札された。
Scream

美術品の落札額としては、2年前にパブロ・ピカソの「裸婦」についた1億650万ドルを抜き、史上最高額となった。 「叫び」は計4点あり、3点はノルウェーの美術館に所蔵されているが、この1895年の描かれたパステル画は唯一、個人が所有していた。

この子供の落書きのような絵が96億円とは恐れ入りました。
筆者も、多少なりとも絵心がある人間として、審美眼とは言わないまでも、価値がありそうかどうかくらいの判断は出来るつもりですが、正直言って分かりません。(笑)

ただ、おどろおどろしい色彩やタッチに、作者の表現しようとするところは伝わって来ます。最初見た時の印象も、「なんや気色悪いなあ」でしたから、作品としては成功しているのではないでしょうか。

しかしながら、だからと言って96億円の価値があるかと言われれば、即座に「ノー」と答えるしかありません。作業時間とネームバリューから算定して数十から数百万円がいいところではないでしょうか。

ものの価値が分からないやつ、と言われるかも知れませんが、96億円に正当な根拠があるとも思えません。そもそも価格は需要と供給の都合(バランス)で決まりますから、たまたまその額での需要があったという事にはなります。

Img1c2236fazik7zj         パブロ・ピカソの「裸婦」1億650万ドル)

だからと言って未来永劫、この価値が続くという保証はないのです。いつの日か、価値観や美意識が変わった時に、極端な場合ゴミとして捨てられかねない危うさを内包するのではないでしょうか。

すなわち、人間が創造する付加価値の中でも、最もあやふやで判断し難い領域である純粋芸術を定量的に価値基準を決めようなどと言うのはナンセンスです。先に述べたように好事家が決めれば、それがその付加価値創造の対価となります。

しかしながら、それは冷静に考えると、流通している資金の絶対量に比例して来るものかもしれません。つまり、地球全体が年間に生み出せる付加価値(GDP)の3.5倍もある資金は、常にそういう得体の知れない価値を求めて彷徨わざるを得ないのです。何かの価値をつり上げないとバランスがとれないという訳です。

眠らせておいて価値が上がるものなら、世界に溢れ出して悪さはしないのですが、銀行に預けても、利息がせいぜい1%もつけば上出来、あるいは絶対量が多いが故に、いつ通貨としての価値が暴落してもおかしくないという現状を鑑みれば、投機や投資に走る気持ちも分からないではないのです。

これが、通貨量が世界GDP並の量しかなければ、作業時間 X ネームバリューや希少価値で計算する事にしかなりません。プレミアムはつかないのです。ここだけ妙に高いと、単純に言えば、プレミアム分だけは付加価値(消費材)の価値を下げざるを得なくなるからです。それはデフレを意味します。

という事は、同じように価値の判定が難しいのなら、時間単価の低いクルマのデザインなんかやめて、こういう得体の知れない絵を描く方が、一攫千金を狙えるという事になります。

だから、金と頭は使いようなのです。(笑)結局、通貨量を減らさない限り、ずる賢い人間がはびこる世界は続くのではないでしょうか。因に「叫び」を競り落としたのは、どこかの国の「裸の王様」かもしれません。

 

ブログランキングに参加しています。共感いただければクリックを!!

|

« 薫風香る、一年で一番の季節だと言うのに | トップページ | 超先進国日本が、今後の世界を導くだろう »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

> ムンクの「叫び」について考える

・・・うーん、この絵を最初に見たとき(うん十年前)この絵の作者は心を病んでいるか、凄く怖がりの気の弱い人かのどちらかであろうと思いました。
・・・家族にご不幸が続いた人だったのですね。うつ病的な(良く解りませんが)心理状態を絵に表現出来た事は画期的であった事は確かですね。

投稿: Carly | 2012年5月 4日 (金) 23時09分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 薫風香る、一年で一番の季節だと言うのに | トップページ | 超先進国日本が、今後の世界を導くだろう »