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2012年6月 8日 (金)

ドルに代わる基軸通貨は(?)

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昨日のWBS での、基軸通貨についての話です。コメンテーターが視聴者からの、米ドル基軸通貨はいつまで続くか、の質問に答えて、ポンドからドルに替わった時の事を例に上げ、「少なくとも後30年は大丈夫だ」と言っていました。

しかしながら、ポンドからドルへ変わった時代とはテンポが全く違います。リーマンショックやギリシャの財政危機は瞬時に世界へ伝わりました。従って、現代では、そんなに時間がかかるとは思えないのです。

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そもそも基軸通貨とは何ぞや(?)ですが、世界一の規模と信用を持ち、軍事的にも覇権を握っている事が前提になる事は当然としても、さらに求められるのは公正公平性、高い倫理性ではないでしょうか。つまり、世界の規範となる指導的役割は外せないのです。

そういう点で言えばドルは失格です。しかし代わる通貨がないので仕方なく、というのが実態なのです。もっと言えば、今現在、ドルの役割を補完し、基軸通貨としての、ドルの信任を担保しているのは円と言っても差し支えないのではないでしょうか。

同盟国で隷属的関係にある日本が全面的にバックアップしている限り、世界は安心です。売れない米国債を保有し続けたり、一言圧力をかけさえすれば、無限に出て来る資金、またそれに耐えられるだけのファンダメンタルスがあるのです。

では円が近い将来的にドルに代わる基軸通貨になればいい、と思われるかも知れませんが、そういう発想そのものが、この国にはありません。政治家、官僚、国民、いずれにもないのです。

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番組では、ドルに代わる通貨は元しかないとでも言いたげでしたが、それもあり得ません。通貨量が多ければいいと言うものではないのです。言うまでもありませんが、前述の条件には、いずれも合致しません。

言うなれば、ドルに代わる通貨はユーロか円なのですが、最早ユーロは崩壊寸前です。国境のあるブロック経済下での共通通貨は幻でした。従って、この場合、消去法で円しかないのです。

筆者は、円が基軸通貨になるチャンスを失ったのは1997年だと思っています。消費税の増税とアジアの通貨危機、あるいは年次改革要望書受容によるマイナス効果が現れ始めた年です。

当時の宮沢蔵相による、ドル依存を脱却して国際貿易において円を使うよう呼びかけたアジア通貨基金(AMF)構想も、米の妨害に合い頓挫しました。

タラレバになりますが、米からの露骨な内政干渉である年次改革要望書等をはねつけ、増税を回避し、AMF構想が上手く行っていたなら、今頃は1000兆円のGDPを持つ、押しも押されもしない、米と比肩する経済大国が出現していた訳です。

勿論あり得ない仮定ではありますが、世界がまともで、日本に政治力があるなら、そういう世界になっていた可能性は高いのです。尤も、それをラジカルにやろうとして失敗したのが先の大戦という訳ですから、歴史は繰り返すのかもしれません。

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結局、子猫ちゃんのように米に隷属的な日本に対して、表立ったドンパチは出来ませんから、裏側でジクジクとやられる訳ですね。(笑)

 

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