デフレのメカニズム
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デフレに関して、よくある勘違いがCPI(消費者物価指数)が継続してマイナスする状況、いわゆるデフレーションと、デフレギャップ(需要と供給の差で、需要が下回る場合)を混同する事です。
デフレギャップは、主にデフレの結果として発生しますが、デフレギャップの殆どないデフレも存在するのではないでしょうか。戦争や技術競争に負ける事によって経済力(供給力)が毀損し、国内の所得や貯蓄率も下がり続ける状態です。貯蓄率はバブル崩壊などによっても大きく下がります。正に悲惨な状態と言えます。
(インフレ・デフレの状態を示す表/寒色になるほどデフレ)
ちょっと、今のアメリカがこれに近いです。金融緩和で、いくら市場に資金を供給しても金融資本に吸い上げられてしまい、借金まみれの庶民の所得は向上せず、消費に向かいません。失業率も高止まりしています。
一方の日本はと言えば、90年にバブル崩壊した時には、莫大な供給力がありました。ところが借金の返済に追われる企業や個人の消費は伸びず、必然的にデフレギャップが発生します。
しかしながら、デフレを最小限に抑える事が出来たのは、プラザ合意後にも関わらず輸出が好調だったからです。過剰な供給力は外へ向かい、そこから得られる外需が購買力を決定的には削がなかったのです。これが貿易赤字国であったらと思うとゾッとします。
それがおかしくなったのは、米による内政への干渉である年次改革要望書が効果を現し始めた97年頃でしょうか。計ったかの様に、丁度その頃3%から5%へ上がった消費増税も拍車をかけます。長い、今日まで続くデフレ不況の幕開けです。
当時の自民党政権が行った財政出動による公共投資自体、間違ってはいなかったのですが、過疎地の高速道路建設などが悪いイメージを固定化してしまいました。その反動が民主党による「コンクリートから人へ」です。このお陰で公共投資は大きく減らされ、デフレを助長します。
そこで出て来たのが、リフレ派と言われる人達が提唱するインフレターゲット論ですが、考え方としては間違っていないのではないでしょうか。いえ、筆者は経済学者でもなんでもないので、これまでの仕事上の経験によって培われた常識力をベースとする、独断と偏見に満ちた素人経済学で書いているに過ぎません。その点はご了承下さい。
従って、間違っていたとしても責任は取れませんので。(笑)ただ、何かの参考にでもなれば、あるいは問題提起が出来れば幸甚至極、と思っています。
その素人の言いたい事は、日本程の付加価値創造力のある国が、インフレになどなる事が、この先実際にあり得るのだろうかという事です。よっぽどの上手い、あるいはデタラメな金融、財政政策を採らない限り、ないような気がします。
例えば、消費増税やTPP は確実にデフレを助長します。それらが回避されたとしても、輸入資源系以外でインフレ要因は思い当たりません。デフレ克服の為に政府が考えているのは、インフレ対策と言える規制緩和や構造改革ですから話になりません。(笑)
さらに観光立国やインフラ輸出等で、外需依存体質をなおさら押し進めようと言うのですから念がいっています。無能の極みです。先進国は外需を欲っするあまり、途上国や中進国と付き合えば付き合う程、平準化が進みデフレが促進します。
自分の国よりも相手国の所得が少なければ、あるいは韓国などの中進国という競争相手が現れれば、安く売る努力をするからですが、それは確実に人件費に跳ね返ります。また、人員削減の代わりに、ワークシェアリングをする事も所得を減らして行くのです。
その結果は、失業率は抑えられるものの、労働生産性の低下を招きます。本当は、世界一効率のいい仕事ができるのにも関わらずです。そこは民族性に起因するところで、悪い事ではないと思うのですが、欧米から見れば理解し難い事のようです。
では、特効薬はないのかと言われるかも知れません。答えは「あるに決まっているではありませんか」です。(笑)日本のような良性デフレの国は、すぐにでも立ち直れます。外圧を排除し、政府と日銀を替えればいいだけですから、話は簡単ではないでしょうか。
つまり国民が、確かな意思を持ち、いかがわしい勢力を排除する、それだけで日本は見違えるように変わる筈です。デフレギャップの存在するデフレが克服出来ないなんて事はあり得ません。いざとなれば怒濤の生産力でギャップは埋めればいいだけです。逆は出来ませんよ。
ものが作れない、つまり供給を輸入に頼る国が通貨の供給量を増やせば、あるいは対外債務を増やせばどうなるかは火を見るより明らかです。ギリシャ化、ジンバブエ化です。それらと日本を同列視する輩が、少なからずいますが(?)冗談も休み休みにして欲しいのです。
メカニズムの解明になっていないと言われるかも知れません。では時系列でデフレの成り立ちを解説します。
1)中進国時代、輸出が伸びてGDPも成長する。(ややインフレ)
2)貿易摩擦が起き、一定量以上は相手国へ生産拠点を移す。(デフレの兆し)
3)なお、貿易黒字が続くと為替レートが実力以上に上がる。(デフレの深化)
4)貿易の競争相手が現れ価格競争になる。(デフレスパイラルに嵌る)
5)財政が苦しくなり増税をする。(愚の骨頂、消費減から大不況になる)
6)TPPに参加する。(企業が買われ、国が消滅して、地球の一地方になる)
デフレ病の処方箋(順不同)
1)外需依存の考え方を転換する。(円高が長所になる)
2)インフラ見直し等の内需を拡大し、社会資本の充実を図る。(有効需要喚起)
3)大きな政府、大きな社会保証で安心の出来る社会を作る。(消費拡大)
4)中央集権を強化して、防衛産業を振興する。(内需拡大に貢献/安全保障との一石二鳥)
5)スパイ防止法を制定、技術や機密の漏洩をくい止める。(不毛な国際競争のない世界)
6)中産階級と、それ以下への減税、同時に大規模財政出動(2とダブる)
7)左翼政権にノーと言い、真正保守政権を樹立(資金の垂れ流しを止める)
8)TPPやブロック経済には参加せず、一国で循環する経済を確立する。
書いてみれば、出来る事ばかりです。今ならですが。。。それもこれも、TPP に参加すれば一瞬でパーになります。従って未だにTPPなんて言っている人は、間違いなくデフレ容認のBKD です。(笑)
時間的制約があり、ちょっと竜頭蛇尾になりました。とても一回では書ききれないので、続きはまたやります。
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コメント
なんか、こういう整然とした経済論を
小生も書きたいのですが、
どうも雑念がおおくて、自分のはいつもゴチャゴチャ。
どうぞ、この魅力をもっともっと輝かせて下さい。
ものすごく期待しています。
投稿: 左近尉 | 2012年6月 1日 (金) 20時05分
いえ、恐れ多いです。なんせ素人ですから。(笑)
貴兄の迫力は出せませんが、オリジナリティは主張して行きたいと思っています。今後とも、宜しくお願い致します。
投稿: 田中 徹 | 2012年6月 1日 (金) 20時20分