良性デフレの処方箋
(当ブログは、消費税の増税と、TPP への参加には絶対反対です。)
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WBS で、先日と同じコメンテーター氏が、「デフレ対策として量的緩和をしろというが、日銀がお金を刷っても日銀の当座預金にたまるだけだ」と言っていました。さらに需要がないのは、日本に魅力ある商品がないかの如く言うのには、現場作業者として穏やかではありません。適当な事を言うんじゃないよ。(笑)
筆者などは「欲しい物は山ほどあるけど、お金がないから買えないだけなのだ。」(威張ってどうする/笑)そこで、昨日の続きになりますが、有効需要創出の話です。
(日本が、デフレ脱出出来ないように見張りをしている貧乏神の妖怪)
それにしても、このおじさん、元銀行員だけあって想像力というものが欠片もない。日銀の白川さんといい勝負です。何か似てるなあ。(笑)これではデフレからの脱出など永遠に無理です。日本には銀行屋の意識改革が一番の急務かも知れません。ものを知らなさすぎます。
銀行屋さんは知らないかも知れませんが、日本の付加価値創造力は世界一です。先日のINCLUSIVE WEALTH でも評価されているように、人的資産は米をも凌ぐ世界屈指です。その国が魅力ある商品を生み出せない筈がありません。現に、身の回りを見てもキラ星の如くあるではありませんか。その勢いは、むしろ加速しています。
INCLUSIVE WEALTH(国民一人当たりの国富の比較/IHDP発表)
(天然資源は1%とされているが、実はここも凄い事が最近分かった)
で、お金がない(PIIGS のような債務国)というのであれば需要不足も分かりますが、金融資産は5700兆円もあり、マネーサプライもM3では1000兆円を悠に超えています。問題は、折角の資金が効率よく回っていない事です。人間で言うなれば、栄養過多で動脈硬化を起こしているのです。肥満で糖尿気味か。(笑)
その原因は、バブル勝ち逃げ組等の余剰金融資産の滞留、格差拡大などによる富の偏在、などである事は明らかではないでしょうか。それらがコレステロールの様に血流を妨げます。その場合の処方箋の一番目は税制改革ですが、逆進性のある消費税増税だけは避けなければいけません。血管がますます細くなるからです。
安易にマジョリティ(大多数である庶民)からとるのではなく、眠っている資金を動かせばいいのですから、相続税等の税制改革が有効な事は明らかです。頭のいい連中に、それしきの事が分からない筈はありません。このスカポンチンめ。(笑)
勿論、増税だけでは不十分です。政府の財政政策とセットにならなければ、いくら資金があっても効果を発揮しません。つまり、財政出動で強制的に流れを作るのです。その財政出動で最も効果的なのは昔から「公共投資」と決まっています。
大借金時代に公共投資で資金をバラまき、危機を脱した例は高橋是清始め、枚挙にいとまがありません。ケインズが言うまでもなく、参考例が国内にあるのですから、素直に真似すればいいのです。
(日銀引き受けによる政府支出の増額等で、世界恐慌により混乱する日本経済をデフレから世界最速で脱出させた高橋是清)
そういう点で、自民党のマニフェスト「国土強靭化計画」予算200兆円/10年というのは、ベストではありませんが、悪くないのです。誤解を恐れず良く言ってくれました。公明党なども異口同音に100兆円の公共投資と言っています。何をすべきかが分かっているようです。
問題はマスコミです。公共投資は無駄というステレオタイプ・プロパガンダで一斉攻撃します。自民党政権時代の族議員の印象が悪かった事も災いしているかも知れません。「コンクリートから人へ」とかの意味不明なフレーズも国民に支持されていました。
しかしながら、昨年の大災害を例に出すまでもなく、国民の生活が第一ならば、そのベースである防災インフラに力を入れない訳にはいきません。それは、お金があろうがなかろうが第一優先でやるべきなのです。
ところが土曜日の日経新聞(一面左下のコラム)では「土建国家は時代遅れだ」などと根拠のない公共投資批判をしていました。本当に困ったものです。国家にとって土木建築工事は切っても切り離せない事がなぜ理解出来ないのでしょうか。
特に老朽化した橋梁の補修や、津波、地震対策は急務です。自然災害に見舞われるたびに膨大な無駄が発生します。強靭化だけではむしろもの足りないくらいです。日本列島を総免震化するくらいの事をしてもいいのではないでしょうか。自然と共生する、持続可能な理想社会構想です。
安藤忠雄さんとチームでも組んで、青写真を描いてみたいものです。相手にされないでしょうが。。。(笑)
いずれにしても、安全保障上も欠く事の出来ない国土の保全、強靭化は半永久的なテーマと言えます。しかもそれを可能にする技術、供給力の全てが日本にあります。
これで、材料を国外からの輸入に頼らなければならないような事情があれば話は別ですが、日本全体を見ても天然資源系の輸入は例年でGDP比5〜6%です。これで何か問題があるとも思えません。
つまり、資金があって、政府の政策があり、民間にそれを可能にする技術、供給力があるなら完璧です。ためらう事など何もありません。出来ないと言うのであれば、障害となる要素を排除するだけです。
まあ、常識的に考えて、余剰資金に対する直接税の、いきなりの大増税は難しいので、繋としては自民党が言うように、60年償還の建設国債発行でいいのではないでしょうか。
懸念材料は、業界や族議員への利権です。これを封じる為にも政治資金規制法の改革は必須と言えます。簡単に言えば、政治献金を一切認めなくすればいいだけです。(これが出来れば苦労はしない/笑/この件、我が郷は足日木の垂水のほとりさんが詳しい)
いずれにしても、財政出動、金融政策、税制改革、政治資金規制法改正、あるいは現行法の厳正なる運用、の4本がセットになれば、元々ポテンシャルのある良性デフレの日本は、見違えるように良くなるのではないでしょうか。
全て一気にというと、空しい理想論になりますが、取りあえず、財政出動と金融政策をセットにした公共投資だけでも十分な効果は期待出来ます。投下された資金が2前後の乗数効果を生み、有効需要に結びつくのです。デフレの解消には一番近道で、停滞していた経済が活性化して行くのではないでしょうか。
太くて強靭な血管の中を、酸素や養分をたっぷり含んだきれいな血液が、よどみなく流れて行く樣を想像して下さい。
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コメント
貧乏神の妖怪…の絵が凄いですね。。
投稿: 人の欲@吉田 | 2012年7月 8日 (日) 04時20分
> 貧乏神の妖怪…の絵が凄いですね。。
・・・輿石東さんも相当凄い妖怪…の絵になりそうです。
投稿: かかし君 | 2012年7月 9日 (月) 10時30分
その内、時間があれば民主党妖怪図鑑でも作りましょうか。(笑)役者ぞろいですよ〜。その前に本当の妖怪のように、我々の前から消えてしまうかも知れませんが。
投稿: 田中 徹 | 2012年7月 9日 (月) 10時38分