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2012年9月23日 (日)

神をも恐れぬ人間の勘違い

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当ブログは、消費税の増税と、TPP への参加には断固反対です。

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このところテレビに出ずっぱりの自民党総裁候補達ですが、外交と防衛以外、特に経済の点では首をひねらざるを得ない発言が多いようです。今日も報道2001で、しきりにアジアの成長を取り込まなければいけないと言っていました。

コメンテーターとして出演している榊原教授も、かつて同じ事を言っていましたから、その事に対する反論はありません。しかし、本当にそんな事が出来るのでしょうか。(?)今日はその一点に絞って考えてみたいと思います。

そもそも地球単位で見た場合、質量はほぼ不変ですから、何か特定の生物だけが増殖するという事はあり得ない事になります。もしそういう事実があるとすれば、どこかに皺寄せが行く事になるのではないでしょうか。それが地球の汚染だったり、化石燃料の消費、あるいは森林伐採が過ぎて砂漠化や、特定生物の絶滅に繋がるのかもしれません。

ともあれ、地球上で食物連鎖の頂点として人類が生活していくには8億人程度が限界という説がありますから、過剰である62億人(2011年末現在)は、その分だけ地球を削って生きている事になります。

また、人類だけで考えた場合、新たな付加価値創造機能が働かなければ、つまり他の生物と同じく、毎日を自然のままに生きているだけであれば、人口の増減だけが生産活動の成果(GDP)となって現れるという訳です。

ここに、新たな付加価値を創る事が大好きで、それを世界に広めたい人達が現れたなら、地球は一体どうなるのでしょうか。面白いテーマです。(笑)

つまり、欧米や日本の企業が、国内の需要が飽和状態になった事を理由に、あるいはそう思わされて、世界中に付加価値製造工場を作った場合です。その場合、明らかに現地GDP は増えます。

G_fund_shisanbaizou_01_02a

 (アジア諸国全体のGDP の推移/日本を除く/オレンジの部分は推定)

なぜなら現地で作られた製品は殆どが現地で消費されるからです。これは内需が拡大する事を意味します。具体的に言えば2011年度のGDP は日本1に対して中国1.2、インドを含む他のアジア諸国で1ですが、10年程前には日本対、中国含むアジア諸国全体が1対0.7でした。

何と日本以外は10年間で200%、700兆円も成長した事になります。人口増加分が20%としても180%の付加価値増は凄まじい数字ではないでしょうか。ところがそれ以前(2002年以前)の成長を見ると人口増加分程度の成長でしかなかった事が分かります。(上の表参照)

つまりこの頃から日本を含む海外企業による直接投資が一気に増えたのです。ところで日本企業の物とサービスの現地売上は世界全体で約200兆円(2010年)になります。

2011_2

このうちの約半分がアジアですから、日本の直接投資による売上は10年間のアジアの成長分の7分の1に相当します。波及効果を考えると3分の一くらいにはなるのではないでしょうか。(この点は資料がないので定かではありません)

そう考えた時に、アジアの成長を取り込むと言っても、これまでに十分な投資をし、売り上げも上がっている事から、既に取り込めている筈という事になります。ところが日本のGDPはこの10年間でほぼ横這い、昨年に至ってはマイナスです。従ってこの理屈は当てはまらないのではないでしょうか。

つまり、いくらアジアに投資をしても、地球資源の消費と反比例して現地の経済成長には多大に寄与しますが、日本のGDP には寄与しないのです。当然と言えば当然です。

しかしながら、直接投資はともかくとしても、貿易ではメリットを出せる筈だと言われるかもしれません。確かに現地生産分の内、対日本輸出(逆輸入)が10%ありますから、多少安い製品を輸入するメリットはあるでしょう。

しかし残りは現地消費と域内(アジア圏)消費ですから、アジア諸国も、ドルペッグやウォン安誘導で輸出振興策を採る中国と韓国を除けば、輸出のGDP に対する寄与度は決して高くはないのです。現地生産の為の部品輸入もバカにはなりません。

回りくどいようですが、それが何を意味するのかと言いますと、アジア諸国は中国を除けば、経常収支の黒字は大したものではない事になります。つまり、輸出で日本がアジアからガッポリ稼ぐ程の外貨は構造的に持ち合わせていないのです。

10101201

上の表でも明らかなように、この10年間での累積経常黒字額が日本と中国を除くアジア諸国で80兆円(年間で平均8兆円)程しかなく、通算ではシンガポールと香港以外が赤字という事は、日本が今以上に頑張っても大した利益は望めないのです。逆に、今でも十分に大きいと言えます。

Creditordebtornations_2            (2010年度 IMF DATA )

尤も、日本の経常黒字額の内、貿易黒字よりも所得収支が大きい事は注目すべきです。直接投資による日本本国へのフィードバック分も世界全体で2〜3兆円程にはなります。規模から見て、決して貪欲とは言えない平和な数字と言えるのではないでしょうか。

そもそも、97年の通貨危機で懲りているアジア諸国から、経常黒字を取り上げようなどという発想自体が経済大国としての挟持に関わります。アジアの成長を取り込むなどといういかがわしい幻想は捨てて、内需拡大に邁進する事が日本の安全保障上好ましいのではないでしょうか。

日本が内需拡大を怠り、このペースでアジア諸国を発展させれば、日本の相対的優位性は早晩失われます。経済力こそが安全保障上の一番のアドバンテージである事が明らかな以上、日本と地球の為にも、海外に関わって地球を削る行為は限定的にするべきではないでしょうか。

例によって竜頭蛇尾になりましたが、地球と人間の経済活動というパラドックスは人間が存在する限り続きます。残された時間内に解答が出せなければ、人間は地球、いや宇宙全体から手酷いしっぺ返しを受ける事になるでしょう。

 

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コメント

> 神をも恐れぬ人間の勘違い

・・・今回の経済学講義は最近時の
”技術開発をメインとした製造業界を通しての日本に於ける他国との相互影響の解釈”
・・・的なかなり高度かつ精密な講義・・・ですね。
K大の広ちゅう教授(脱亜入欧でなくて、脱亜入湯田ですよ、あなたは)よりよっ程上等です。

投稿: AZ生 | 2012年9月24日 (月) 19時57分

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