« 国貧論(前編) | トップページ | 流れを変える »

2012年10月27日 (土)

国貧論(後編)

1209   
    
当ブログは、消費税の増税と、TPP への参加には断固反対です。

ブログランキングに参加しています。

昨日の続きです。
結局、貿易でしっかり儲けようなどというスケベ根性では、世の中上手くいかないという事はお分かりいただけたのではないかと思うのですが、自国の経済が満足に自給自足出来ない状態であるにも関らず、背伸びして輸出で儲けようとする国がいるとややこしい事になります。

強引に通貨安に導き、ダンピングさえやりかねません。しかも、製品の元になる技術さえもオリジナルでないとすれば、オリジナル技術を持つ国は、大いに迷惑するのです。

Mn_sh1 (新興国のダンピングにより値崩れを起こし、儲からない電気製品の代名詞になった液晶テレビ)

しかし、それらの国は長年にわたるノウハウ等の蓄積と、オリジナルの技術を持たないが故に、異常なくらい危機感を持っています。そこを理解しないと見えて来ない世界はあるのではないでしょうか。

一方、貿易に問題があるなら、海外から富を得る手段としての企業進出などによる直接投資の場合はどうでしょうか。これも、結局はどういうコンセプトで進出するかによります。と言うのは、「搾取するつもり」と、「共存共栄思想」で進出するのとでは大きな差が生まれるのです。

戦前の欧米による植民地活動が前者でした。力にものを言わせて不平等な条約を結び、可能な限り相手から搾り取るやり方です。後者は戦後日本が世界に進出したような、相手国を富ませて、利益を少しだけ還元するやり方です。

利益を一杯出せばいいじゃないかと言われるかもしれませんが、競争相手が日本企業なら国全体としてみればプラマイゼロです。しかしながら競争相手が他国の場合には間違いなく軋轢を生みます。最悪戦争にだってなりかねません。これまで常勝だった日本企業は、そこに思いが至っていないようです。

いずれにしても、投資相手国との共存共栄の枠内で莫大な利益など 望みようがありません。利益の大半を現地に再投資しなければ持続可能ではないからです。従って、直接投資も大して儲からないという事になります。結局こちらも ノーブレスオブリッジでしょうか。(笑)

「サムスン栄えて国滅ぶ」でもありませんが、企業にとってプラスでも、国にとってメリットがあるとは限りません。企業が利益として得た外貨分、国として海外へ貸し出せば、結局その資金は死に金になって、海外を潤します。

しかしながら、いやでも直接投資や貿易で海外にものを売らなければ成立し難いビジネスがあるのも確かなようです。大量生産によって価格を下げ、競争力を維持する自動車などの産業モデルの場合、生産台数の採算最低ラインというものがあります。

国内だけでそのラインに達しない場合は、いやでも世界に進出せざるを得ないという訳です。一時期、年間400万台が、生き残りの条件だと言われた事がありました。

その数字の根拠はよく分かりませんが、(笑)エントリーカーから高級セダンまでのフルラインアップに加えて、SUVやミニバン、スポーツカーまでバリエーションの品揃えをするなら、そのくらいの数になるのかもしれません。

最低でも一機種で年間10万台くらいは欲しいところですから、数十のバリエーションを持てば、400万台は決して多いとは言えないのです。考えてみれば、大変なビジネスではないでしょうか。

To_1111priusphv01 (部品点数が3万点と言われる、ハイテクの塊、プラグインハイブリッドカー)

部品点数が2〜3万点もある、その時代の技術の粋を集めた付加価値の凝縮体を、一つのメーカーで何百万台も作るのですから脱帽です。その体制を維持するのは並大抵ではないと思われます。

話が例によって、あさっての方向に飛んでいますが、(笑)その高付加価値の塊を世界中で生産する事の意味を考えなければなりません。このペースで行けば8000万台/年 が1億台、2億台になり、無限に増えて行きます。

それは同時にインフラなどの付帯する環境、生活様式までも変えて行くのです。世界の一極化、平準化にも繋がって行くという訳です。つまり、自動車を買える生活というのは、欧米や日本のような先進国と肩を並べる事を意味します。

これが人類と地球にとって、持続可能とはとても思えないのです。どこかで誰かが線引きをするか、あるいは神の見えざる手によって揺り戻しがあり、適当なところで落ち着くのか、今の時点では知る由もありません。

しかし、言える事は、「日本にとってのグローバリゼーションとは、国を貧しくする」で間違いないのではないでしょうか。欧米と一緒になって地球の寿命を縮め、自らも貧しくなるのでは笑えません。

自動車メーカーも、いつまでも数頼みの拡大再生産に奔走するのではなく、100万台前後でも十分採算の取れる、ドイツのメルセデスやBMW型のビジネスモデルにシフトして行く必要があるのではないでしょうか。

やや唐突で中途半端な終わり方ですが、話が散漫になって来ましたので、一回締めさせていただきます。(笑)

 

ブログランキングに参加しています。共感いただければクリックを!! 

|

« 国貧論(前編) | トップページ | 流れを変える »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

国貧論と反成長主義では少し違うかもしれませんが、ドイチェ証券で有名な株の解説者だった武者氏がいい事言ってます。

『リスク選好指標である「株式益回り/社債利回り倍率」は、1990年の日本のバブルピーク時0.25倍、1999年の米国ITバブルピーク時0.5倍に対して、現在の日本は8倍、米国は2倍である。』

家内に言ったら、直ぐ株買おといいました。
http://www.musha.co.jp/4228

投稿: 八目山人 | 2012年10月30日 (火) 07時06分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 国貧論(前編) | トップページ | 流れを変える »