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2012年10月 6日 (土)

日本人にはポルシェは造れない。(?)

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トヨタ自動車は、中国での10月の現地生産計画を月産1万台水準に設定した。反日デモが起きる前の当初計画は月産8万~9万台だった。日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化に抗議する反日デモの余波で現地での販売が難しく、減産を本格化する。(中部経済新聞)

輸出も現地生産も悲惨な事になっています。ほとぼりが冷めるのはいつになるのでしょうか。お互いにメリットのない事を続ける意味はありません。大人の対応を、と言いたいところですが、ここまでこじれると、面子もあって簡単には解決しそうもない感じです。

20年近く前の新年の事です。新聞の、「日本も米も販売が頭打で飽和状態だが、今後の展望は」というインタビューに応えて、当時のトヨタの社長が「アメリカの次は中国がある。世界の市場は無限に近い」という意味の事を言っていました。

筆者は、「随分ノー天気な人だなあ。拡大再生産をずっと続けるもりなのか」と思ったのですが、その時に感じた漠然とした不安が的中しました。世界を相手にする限り、そういうリスクはつきものですが、トヨタともあろう会社が想定していない筈がありません。。。

しかし、なぜ日本人が拡大再生産の呪縛から逃れられないのか、よく分からないのですが、世界を相手に戦って来た先人から受け継いだDNA がそうさせるのでしょうか。

一方、日本のライバルであるドイツの場合、拡大再生産に血道を上げているのはスズキとのトラブルでも分かるように、フォルックスワーゲンだけです。メルセデスベンツもBMW もポルシェも少量生産を守っています。

特にポルシェの場合、リーマンショック前は、年に10万台という生産台数ながら3000億円、20%という高い利益率を誇っていました。高いブランドイメージが確立すれば、こういう商売も出来るのです。資本的にフォルックスワーゲンの傘下に入りましたが、見習うべきよい見本と言えます。

U00008385351_001l          (ポルシェ・カレラ2 ティプトロニク)

ところでポルシェが、そんなに凄いクルマなのかと言えば、少し疑問符はつくのです。筆者もバブルの頃は真っ赤な911カレラ2に乗っていましたが、トラブルの連続でした。(笑)特にドイツ車に共通して言える事ではありますが、電装系は信頼感がありません。新車の時からエアコンは効かないし、雨の日はすぐエンストするわで、泣かされました。

女性にも特にもてません。(笑)若い女性にはマツダRX7 の方が評判が良かったのです。確かに性能面では見るべきところがありましたが、エンジンとかミッションとかという話ではなく、それはリアエンジン・リア駆動というレイアウトから来る特異なものでした。

Img_957836_27874470_0   (性能もデザインも優れていたが、ポルシェよりもはるかに安いRX7)

現在のものも劇的によくなっているとは思えません。数字で言えば日本車の後塵を拝するし、品質や新しいとは言えないデザイン面でも有り難みは薄いのです。ひたすら、あのマークとポルシェという名前で売っているという訳です。

ポルシェと言えば、筆者が某メーカーに在籍していた頃、ポルシェ・デザインの主宰で356や911のデザイナーでもあるフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェ氏に会った事があります。自ら空港に向かえに来てくれたのですが、何と、愛車の英国製レンジローバーを自慢していました。(笑)

Lr_s005_f001_m003_1_l       (当時のレンジローバー/フルタイム4駆の走り)

今年の春に76歳で鬼籍に入られたそうです。ご冥福を祈ります。

話が散漫になりましたが、言いたい事は、拡大再生産はいつか壁に突き当たります。その前に方向転換をしなければならないのですが、日本のよい見本はドイツ(VWを除く)にこそあるのではないでしょうか。

つまり、ドイツ製高級車に取って代われるだけの性能、品質を有して、ためらう事などありません。量より質へ転換して行けばいいだけではないでしょうか。その為のブランド戦略が必要ですが、今のようなフルラインアップ体制ではプリウスは作れても超高級車は作れません。

大衆車と同じ合理性を持ったコスト重視の思想で開発をするからですが、超高級の世界はコストや合理性では計れないのです。例えばレクサスを、思い切って親会社の支配が及ばない、採算を度外視した別会社にするくらいの覚悟がなければ、本物の超高付加価値車の創造は望めないのではないでしょうか。

日本が進むべき道は、ガラパゴス化をも辞さない超高付加価値化である事は論を俟ちません。

 

 

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コメント

> ところでポルシェが、そんなに凄いクルマなのかと言えば、少し疑問符はつくのです。

・・・ポルシェは914しかドライブした事ないので偉そうな事言えませんが、重量配分が過度に後ろに掛かっているので左右への回頭性がすこぶる良い。逆に言うと横風が吹いたり大型トラックとすれ違うたびにステアリングを細かく切らないと直進するだけで疲れてしまう。ただし、フルチェンジ毎に洗練度がUPしている。
911って虎屋の羊羹みたいな物なのですって。暖簾の味わい?覆されない伝説のブランドって事でしょうね、ベストカー8月10日号のデザイン水かけ論にて元日産のデザイナー前澤義雄さん(MID4その他)がおっしゃっていましたっけ。

消費者運動の先頭に立っていたラルフネーダーに非難されて、製造中止に追い込まれたGMのコルベア(えらい昔の話で恐縮)と同じレイアウトのリアエンジン車両と同様の弱点〔トンネルを抜けた時、横風が吹いているとひっくり返ってしまう〕があるのでしょうね、まあ奥さんとか娘さんには勧められない車。
アメリカの空軍アクロバットチームのブルーエンジェルス(でしたっけ?)のトップガンレベルの操縦好きな奴とか、難しい車を乗りこなすのが自慢なマニアには頗る面白い車なのでしょうね。もしも、356・911・959・991を上げると言われたら即答でOKですけれど・・・ないよね、そんな都合の良い話!!!

投稿: AZ生 | 2012年10月 7日 (日) 16時16分

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