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2013年1月26日 (土)

貿易でウィンウィンという欺瞞

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当ブログは、消費税の増税と、TPP への参加には断固反対です。

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 ブルームバーグによると、ECBのドラギ総裁は1月22日の講演で、昨年講じた断固たる政策が奏功し「ユーロ圏を覆っていた暗黒の雲は後退した」と述べている。それを示す象徴的な出来事が、最近起こっていた。

 スペイン政府は1月22日に10年物国債70億ユーロ相当をシンジケート団引受方式で発行したのである。スペインが長期債を発行したのは2011年11月以来となるが、調達額は当初見込んでいた40億ユーロを大幅に上回った。この10年国債の新指標銘柄は、外国人投資家が60%以上を引き受けたそうである(ブルームバーグ)。

 1月23日には、ポルトガルもシ団を通じ、2年ぶりに国債を発行した。2011年に国際支援を受けてから初めて発行される長期債には強い需要が集まり、約20億ユーロの5年債に対し、5倍に当たる約100億ユーロの需要が集まった。(久保田博幸氏のブログより)

昨日の続きなりますが、円安が進む理由としては、無制限金融緩和に加えて、ユーロの信用不安が昨年から次第に後退し、さらに、米も当面の危機が去り、ドル高容認姿勢が見られる事などがあげられます。

さらに忘れていけないのは日本の6兆9千億円もの貿易赤字です。12年度は石炭やLNG による火力発電が大幅に増え、燃料輸入コストがかさんだ事が原因ではありますが、さすがに、これだけの赤字だと為替のスタビライザー機能も働くと言うものです。

但し、円高の昨年でも13兆円もある所得収支の黒字は、円安で今後もっと増えますから、経常収支自体は昨年も今後も問題ないレベルと言えます。経常収支が赤字になるようだと黄信号ですが、それまでには輸出が回復し、燃料輸入も減って来るのではないでしょうか。

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いずれにしても、これだけ理由がはっきりしていると言うのに、日本攻撃をする連中のレベルは酷いと言わざるを得ません。よくそれくらいの知識で自国の経済運営が出来るものです。

ぃかしながら、よくよく考えると妙な話ではないでしょうか。昨年中は民主党政権下、為替介入を何度か繰り返し、総額20兆円もの政府短期証券を発行して資金調達、ドル買い介入している訳です。効果はありませんでしたが。。

その露骨な為替操作に関しては何も言わず、今回まだ1円も使ってなく、しかも直接の為替操作ではないというのに、メルケルさんまでが難癖をつけると言うのは分かりません。どういう基準で動いているのでしょか。

日本が正しい方向を向いた事に対して、危機感を募らせているのかもしれません。それなら本当はよく分かっている事になります。ドイツは日本と似た輸出構造があり、資本財や自動車でぶつかるのが、よっぽど怖いのでしょうか。

さて、今日の話題は昨日の「朝まで生テレビ」です。その中でTPP に関するところは捨て置けないので取り上げる事にしました。とは言っても半分眠りながらなので、話を全部聞いている訳ではありません。

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 (ほんの一部でしかないTPP参加国/日本は参加しませんが、なぜか色がついています。)

それにしても、出演者全員おかしいです。まず、グローバリゼーションや自由貿易を、盲目的に正しいもの、あるいは必然的なもの、と信じ込んでいるように見えます。そこが前提だと話になりません。

誰かが「最終的には地球全体が自由貿易圏になるのだから、それがTPP 経由だろうが、東アジア共同体経由であろうが、ルートの違いでしかない」言っていました。それに対する、場としての拒否反応が一切なかったのが気になります。

おいおい、誰がそう決めたんだ(?)と言いたいのですが、それは地球全体が一つの国になる事をイメージしているのでしょうか。あるいは国境はあるが通貨は共通というEU 的イメージ(?)

もしくは、三番目として、国境も独自通貨もあるけど貿易だけはフルオープンということなのでしょうか。この場合は、比較優位理論が実践される事になります。国は得意な分野だけの産業に特化して行くでしょう。

しかし、ちょっと考えれば分かりますが、自国に一つか二つくらいしか大きな産業がなくなれば、つまり海外への依存度が極端に強まれば、国境や法律、また通貨の違いは邪魔にしかなりません。ならば最初の「地球全体が一つの国」という考え方を選択すればいいという事になります。

二番目の、通貨だけを統一するというやり方がEU で失敗しているだけに、どう考えても、最終的には「地球全体が一つの国」にならざるを得ません。それが抵抗なく受け入れられるのであれば、それでいいかもしれませんが、国としてのアイデンティティにこだわりたい人には到底受け入れられないのではないでしょうか。

つまり、日本を愛し、その文化や伝統、習慣などを守りたいと思う筆者のようなタイプは、関税自主権を放棄して、何でもかんでも市場原理に任せ自由にしてしまうやり方には賛成しかねるのです。

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さらに、それが日本にとって経済的メリットがあるという考え方はどういう根拠に基づくのでしょうか。そこを検証しない訳にはいきません。メリットがデメリットを大きく上回るのであれば、個人的主観は殺してでも検討の余地はあります。

まず、初期段階としての、国と通貨はこれまで通りで、全ての関税が撤廃される場合です。FTAやTPP で考えてみます。TPP 自体は多くの国が参加しますが、経済規模で言えば、実質日米FTA のようなものです。

つまり米の狙いは日米FTA にあると考えるべきです。これまで散々赤字を重ね、少ない時でも年間5兆円、多い時は9兆円にもなる対日貿易赤字を何とかしたいと思うのは慢性的経常赤字国としては当然ではないでしょうか。

ここで思い出して欲しいのですが、米韓FTA の場合です。オバマさんは7万人の米国内の雇用を創出すると言っていました。これは言い換えれば、対韓輸出を7万人分増やすと言っているのです。

労働人口が人口の半分として、7万人分の売上とは単純計算で56億ドル(約5000億円)になります。これは、いみじくも韓国の対米貿易黒字にほぼ匹敵する額です。

つまり、韓国から見れば、輸出がこれまで通りだと、大のお得意さんである米からの貿易黒字が消滅する事を意味します。いや、その分韓国も対米輸出を増やせばいいではないかと言われるかもしれません。

しかし、5000億円分の輸入品が韓国内で消費されるという事は、内需がその分減る事になるのではないでしょうか。全部とまではいわないまでも、かなりな内需産業が打撃を受ける事は確かです。

仮に、5000億円分輸入をして、その分輸出も増やすとしましょう。現在でも90%を超える貿易依存度が増々高くなりますが、これはグローバル化の必然なので肯定するとして、5000億円分の輸出の為には、それに関わる部品等の、日本などからの輸入が増える事を意味します。

部品の対外依存率が40%としても2000億円の輸入額が、米からの輸入額5000億円に乗っかるのです。これでは少なくとも韓国のメリットはないという事になります。つまり、米からの輸入分、内需が全て減ったとすると、5000億円プラス日本などからの部品調達分の2000億円で7000億円もGDPが減る事になるのです。

そうではなくて、輸出を米と同じ額だけ増やせば、その売上分で内需を減らさずに消化出来ると言われるかもしれません。つまり消費が5000億円分増え贅沢が出来るのです。国内産業とダブらなければ可能かもしれません。

そこまで上手くいく事は、まずあり得ないのですが、仮に上手くいったとしても、増えた輸出に対する日本などからの輸入の2000億円分だけはGDP が減る事になります。そこだけは米に替わりは務まりません。

従って、今度はその赤字をどうファイナンスするのかという問題に突き当たります。要するに、輸出をいくら増やしても、輸入を減らさない限り、その国にメリットはないのです。しかし、だからと言って純輸出を増やし過ぎれば相互主義であるFTA の意味がなくなるし、摩擦が起きる事になりかねません。

この事から分かるのは、貿易には限界があるという事です。貿易依存は必要最低限にして内需を増やさない限り、その国の発展は難しいという事になるのです。

突然ですが、長くなりましたので今日はこれで終了します。(笑)明日は日本のケースを考えます。

 

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