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2013年2月 9日 (土)

やはり不思議の国ジャパン

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当ブログは、消費税の増税と、TPP への参加には断固反対です。

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ローソンの名物社長が、自己顕示欲がよっぽど強いのか、あるいは産業なんとか会議に参加した事が嬉しかったのか、アベノミクスを支援する形で4億円程の従業員に対する給与アップを発表しました。「おいおい、そんな事が出来るのならもっと早くやれよ」と言いたい人は多いのではないでしょうか。

コンビニなどはアルバイターで成り立っていると言っても過言ではなく、恩恵はそこまで廻るの?というのが筆者などの偽らざる思いです。そもそもサービス業は製造業に比べて自給が安い構造になっています。

P_shop

少し訓練すれば誰でも務まる仕事が多い事がその大きな要因と言えますが、それにしてもコンビニのバイト代自給739円は重労働の割には安過ぎるのではないでしょうか。最近は夜なども物騒だし、とても割のいいバイトとは思えません。

企業は高い税金を払いながら、260兆円も内部留保を溜め込むのであれば、もっと従業員に払ってもよかったのではないでしょうか。その点はどうしても腑に落ちないのです。日本人らしくありません。

動機はともあれ、給与を増やす事が悪い訳はありません。これに続く雰囲気が醸成されれば結果オーライではないでしょうか。またまた日本が、世界の常識では考えられない学者泣かせの経済モデルを実践する事になります。正に不思議の国です。

さて、昨日の日経新聞で妙なTPP の記事を発見しました。「米は日本の自動車市場の解放を求めている」というものです。あれっ、自動車に関する限り、日本はとっくの昔から関税ゼロですよ。

関税をかけているのはむしろ米の方です。乗用車で2.5% トラックでは25% もかけているのですが、どういう意味で、この記事を書いたのでしょうか。続けて読んでも真意は分かりませんでした。

非関税障壁という意味なら分からないでもありませんが、これはお互い様です。その国その国の事情があって、あるカテゴリーは保護しよう、あるいは特典を与えようというのは珍しい事ではありません。

それを言い出すときりがないのですが、内政干渉ごっこは不毛ではないでしょうか。尤も、今までは日本がやられっぱなしです。かと言って大人げなく反撃も出来ません。お互い、相手国の事情は尊重しましょうよ。

実際問題として、エネルギーを現時点で世界に求めざるを得ない国としては、省エネは切実な問題です。石油だけで16〜7兆円、LNG(液化ガス)なども入れると年間20兆円(昨年)にも達しますから、ナンバーワンの金食い虫である事は言うまでもないのです。

従って、軽自動車やコンパクトカー、あるいはハイブリッドカーなどが発達し、また受け入れられるのは必然と言えます。それを見て、非関税障壁だから軽規格は廃止しろ、環境車に対する補助金はやめろ、またハイブリッド技術を開示しろ、などと言うのは横暴の極みではないでしょうか。

そんな国を相手に、まともな交渉が出来る筈がありません。安倍さんがオバマさん相手に、オタクのバカでかいトラックの税金が安すぎるから、高くしろなんて言える筈もないのです。

3    (ガス、がぶ飲みのシボレー・シルバラード/GM のトラック)

それに、例え万が一TPP に参加したとしても、効率が悪く貿易摩擦の再燃になりかねない輸出はさほど増えず、米国内での現地生産のみが増える事になります。ただ、GM やフォードなどの米国内企業への遠慮もあって現在40%(現地生産プラス輸出)も占める日本車比率が大きく伸ばせるとは思えません。

下手をすれば叩かれたり、あらぬ疑いで訴訟すら起こされかねませんから、日本がこれ以上輸出や現地生産を増やす事は現実的ではないのです。言い換えれば、それくらい日本車が強いからですが、電機などに比べ、世界で大検討しているのはなぜでしょうか。

今現在で言えば世界での年間販売台数8000万台のうち日本車は2500万台、つまり31%も占めます。中国では例の件以来、苦戦していますが、中国以外のアジアではチャイナ+ワンもあり、爆発的に伸びているのです。中国でのマイナス分を補って余りあります。

しかしながらメーカーはともかく、これが日本国にとって、直接的なメリットがあるかと言えば、国内の空洞化と低価格の逆輸入車などによるデフレ圧力を考えた時に、ノーと言わざるを得ません。

ただ、どうせ海外で増やすなら省エネでクリーンな日本車にして欲しいというのは偽らざるところです。中国からのPM2. 5などを見れば、お願いだから日本車を買ってくれと言いたいのですが、それでは中国の民族資本系企業が黙っている筈がありません。

ところが、日本製と中国製とではまだまだ大きな開きがあります。特に省エネ環境技術分野では埋め難い差があるのです。韓国製とて、そこは追随出来ていません。電機の分野では、韓国や台湾、あるいは中国なども意外に簡単にキャッチアップして来ましたが、自動車だけはそういう訳に行かないのです。

まず部品点数が2〜3万点と多い点が上げられます。それらをシステマチックに、準備し組み付けるだけでも簡単ではありません。そもそも部品の全てを一国内で供給出来るのは、世界広しと言えども日本とドイツくらいのものです。

Nsx_concept

(2013年のデトロイトモーターショーでは、NSXコンセプトが更に市販モデルに近づく形で公開された。/ホンダの高性能ハイブリッドスポーツカー/高性能な従来技術の他にEVユニット+ハイブリッド制御システムを搭載して、大きな効果を上げているのは日本車だけ、他の国のハイブリッドは、まだ「なんちゃって」なのだ。2013年からホンダの本格ハイブリッド攻勢が始まる。

次期NSX は V6エンジンをミッドに積み、7速DCT(ツインクラッチ)+モーターで後輪を駆動する本格的なハイブリッドスポーツカーだ。しかも、フロントは30kWのモーターを左右一つづつ搭載するので立派な電動四輪駆動車でありながら、左右のタイヤを電動ベクタリングで制御できる文字通りハイテク満載のハイパースポーツカーなのである。技術集団のホンダが目を覚ましたのだ。清水和男レポートより/ク〜〜しびれる〜。笑 伊東ちゃんやるなあ。)

部品を世界中の安いところから買って来て、自前の箱に組み付けさえすれば商品になる家電などとは決定的な違いがあります。さらに、多くの要素技術の集大成である車はトータルでのコーディネートが重要になります。

Nsx_concept_inside

   (NSX のインテリア、赤がスポーティさを際立たせる)

つまり、全ての分野を横断的に見られるリーダー(司令官)がいて、その下にいる各分野のエキスパートの長(隊長)らが連携しながら、チームとして共同で開発に望むという訳です。

細かくいえば、デザイン、ボディ設計、艤装品設計、電装設計、シャーシ設計、エンジン、ミッション設計、実験部隊、エトセトラと続く訳ですから気が遠くなります。発売時期が決まれば、一斉にそこに向かって収斂して行くのです。

しかも、それらをベンダー(サプライヤー)や関連部署と擦り合わせをし、高い次元でのコーディネーションを達成しなければならない訳ですから、高い技術力に加えて、長年に渡って培われて来たノウハウ、さらに執念と忍耐力が必要となります。正に日本人にうってつけではないでしょうか。(笑)

結局、一人一人の能力は世界と比べても対した差がある訳ではありませんが、組織をシステマチックに動かして何かを成すという点では凄いパワーを発揮する訳です。それを目の当たりにして来た筆者などは、日本はつくづく不思議な国だと思わざるを得ないのです。分かり易い国には真似出来ません。(笑)

 

 

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コメント

> さて、昨日の日経新聞で妙なTPP の記事を発見しました。「米は日本の自動車市場の解放を求めている」というものです。あれっ、自動車に関する限り、日本はとっくの昔から関税ゼロですよ。

・・・雨利香のビッグ3は日本のTPPへの参加に対して否定的ですよね。多分大型のトラック分野(Ford・・・F150,GM・・・シボレー・シルバラードその他GMCのあれこれ、クライスラーのラムその他)だけは死守したいのでしょう。
・・・但し、TPPの本音は国内の農業関連製品(メキシコ・カナダを侵食している遺伝子操作された悪名高きモンサントの各種種子・農薬・・・日本の番頭はK団連のヨネクラ)、金融保険業界の他、工業製品を日本に大量に輸出する腹ですよね。
・・・隙を見せれば日本の軽自動車を廃止せよとか、車を右側通行にせよとか言いだしかねません(あ 以前に徹さんも打ち上げていましたっけ!)

投稿: Carly | 2013年2月 9日 (土) 15時15分

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