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2013年3月 3日 (日)

安いクラウンは国を滅ぼす(?)

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当ブログは、消費税の増税と、TPP への参加には断固反対です。

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昨日の記事の受けが一部で良かったからという訳ではありませんが、少し言い足りないところがありましたので補足説明をします。蛇足になるかもしれませんので、その点ご了承下さい。

どこの国の自動車もそうですが、特に日本車の場合は年々性能やそれ以外の付加価値が目に見えて上がって来ています。デザインなどは好き嫌いもあって定量的評価は難かしいのですが、一見して分かる違いなので、付加価値の中では分かり易い部類のアイテムと言えます。

勿論、出力や燃費など、数字で現れる性能はもっと分かり易いのですが、機械の精度を上げたり、振動騒音を含めた乗り心地の洗練度、また作り込みの丁寧さや人間工学的進化は一般のユーザーには分かり難いのです。

しかしながら、5〜6年毎のモデルチェンジの度に、全ての項目で付加価値が上がっていると言って間違いありません。たまに失敗例もありますが、その場合はデザインやコンセプトが原因のケースが殆どです。

従って、トータルでの付加価値は上がり続けているのです。ところがご存知のように、価格自体はさほど上がっていません。今回のクラウンなどは、むしろ前のモデルよりもグレードによっては約100万円、20%近くも下げているのです。

Crsm0000000000 (60年代、2代目クラウン、この頃から「いつかはクラウン」という憧れの対象に)

勿論、販売促進としての戦略的意味合いがあるので一概には言えませんが、上がった付加価値分はどこへ行ったのでしょうか。言い換えれば引き下げ分も含め、どこかで吸収しなければビジネスとして成り立たないのですが、どこで吸収しているのかは興味深いテーマではないでしょうか。

昨日も書きましたように、フルモデルチェンジの場合はデザインだけではなく全体の付加価値アップを一気通貫に実施します。専門分野で言えば、動力及び駆動系、シャーシと足回り系、ボディと内装、電装系等々多岐に渡るのです。

それら全てに協力企業も含め、設計の専門家がいて評価(試験)の専門家がいる訳です。彼らは自らの仕事に忠実ですから手を抜きません。必然的に全体の価値、品質が上がって来ます。ただ、特定の目的がない限り、部分的に突出する事を必ずしも良しとはしないようです。全体のバランスがあるからです。

それを調整するのがチームとその長、H社で言えばプロジェクトリーダーと、さらにその上にいる総司令官、ラージ・プロジェクトリーダーという事になり、全体を仕切り決定をします。それにかける時間はものによっては4〜5年、通常でも足掛け2〜3年と長きに渡るのです。

つまり、その開発にかけた資源(人的)は必ず製品価格に上乗せされてペイされなければなりません。ではクラウンの場合、値下げしたという事はどういう事なのでしょうか。

クラウンだけでなく、他の機種を見てもモデルチェンジの度に、新たに加えられた付加価値分だけ上がるケースは少ないようです。考えてみると、この20年くらいサイズアップや、偽装品などの追加による部品点数の増加分を除けば、車両本体価格は大して上がっていないのです。

Fc26548a5a9e3edd44708f144b7cb9e2   (1991年型のクラウン、2.5リッターで300万円くらい)

これはどうした事でしょうか。何百人もの設計者やデザイナーは20年もの間、ただ働きをしたのでしょうか。いえ、そんな事はありません。ちゃんと給料をもらっていますから、ただ働きではないのです。

う〜〜ん。妙ですねえ。しかし考えてみれば日本一国だけの事なら、それで済む話かもしれません。物価が下がる事は決して悪い事ではないからです。給料が据え置きでも物価が全て下がってくれば実質的な所得増です。大きな借金でもしていない限り、しかもその金利が低水準で安定している限り目の色を変えて怒るような事とも思えません。

ところで、その価格が上がらない商品を海外に売ったならどうでしょうか。先進国でもデフレの国なんてまずありませんから、輸出先は順調に物価が上がっています。車の価格も20年もの時間が経てば、それ相応に上がっている筈です。従って同クラスで比較すれば日本車が割安という事になるのです。

Crown20royal (2.5リッターのハイブリッドモデルが410万円なのは、どう考えても反則と言えるくらいのバカ安ではなかろうか)

例えば410万円のクラウンハイブリッドと同クラスの車は日本で690万円で売っているAUDI のA6 ハイブリッドという事になりますが、AUDI としては、とてもクラウン並の価格では売れません。正確な比較は難しいのですが、同じような仕様だと本国で恐らく600万円くらいだと思われます。

これで性能が同じなら誰がAUDI を買うでしょうか。但し、デザインの好き嫌いやブランドバリューを度外視した場合です。という事は、為替で調整するしかないのです。従って日本がいくら頑張って価格を抑えたところで却って円高になり、元の木阿弥という訳です。

つまり、日本人が本来得るべき富を毎年少しづつ失って来た結果は、あっさりと為替、すなわち円高で調整されてしまうのです。それは別にトヨタが悪い訳ではありません。責任は供給量に見合った需要が得られるように流動性を供給して来なかった政府と日銀にあります。結局またそこに行ってしまいました。(笑)

えっ、クラウンが下げた100万円分はどこへ行ったかですか(?)それは、部品の共通化や互換性等による企業努力と、他の機種に薄〜く配分したり、それでも吸収しきれない分は、そうです。部品メーカーなどの協力企業にお願いするしかないじゃないですか。(笑)

例えば、クラウンハイブリッドに600万円のプライスタグをつけられる環境にあったなら、実質成長をどのくらいに見積もるかで変わりますが、恐らく所得は50%以上、GDP も700〜800兆円でもおかしくはありません。

土地やコモディティ価格、あるいはサービスに対する料金は高付加価値商品ほどは上がりませんから、それくらいの所得があれば、生活は今よりずっと楽な筈です。

(注釈)
因にクラウンハイブリッドはドイツに輸出していませんので、念の為。確か、国内専用モデルだったと思います。

 

 

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コメント

> 安いクラウンは国を滅ぼす(?)

・・・新型のクラウンはTOYOTA渾身の力作なのでしょう。フロントグリルの好き嫌いはあるでしょうがハードウェアの完成度はかなりの水準でしょうね。

”いつかはクラウン”という良いイメージの純日本の心を見事に表現された、山村聡・吉永小百合さんのCFが思い出にありますが、その心を維持しようとする気迫が感じられます。

友人のアバロンのリアシートに乗せてもらった事がありますが、アッこれはクラウンだな~と思った事がありました。ベンチシートで3人掛けOKの余裕の幅シートスペース,コーナリングでズリずりお尻がズレそうですがずれない微妙なベンチシートの居心地、悪くないのです。フレンドリーな楽しい空間なのです、これが。

我が郷は足日木の垂水のほとり さんがおっしゃっていました・・・日本は技術力は抜群なので、遠慮なく超高級車を超高値で堂々と日本と世界へ市販したら良いのですよ・・・的な事を発言されていましたが、私も賛同致します。

投稿: Carly | 2013年3月 6日 (水) 18時32分

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