案ずるより産むが易し
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戦後ドイツで中央銀行総裁を務めたヴィルヘルム・フォッケは「長期にわたってほどよく制御されたインフレーションなどということはありえない」とし、「制御されたインフレーションの下では、価格は人為的に安定を保つが、商品の質は低下し、需要は増大し、重要な商品は市場から姿を消すなどの現象が生ずる」と言ったそうです。
また、「中央銀行の指導管理を、政治すなわち政府に従属させようとするなら、その政府機関は、通貨や金融問題で中央銀行の当局者より高度の専門知識と実際的経験を有することが必要だ」とも述べていますが、こちらの方が分かり易いと言えます。金融の問題は、やはり信頼出来る専門家に任せるべきです。政府は大きな指針のみを伝えて、後は信頼して待つしかないのでしょう。
そういう事で言えば、安倍政権はデフレ脱却の為にインフレターゲット2%を指示しただけで、テクニカルな金融政策は、あくまでも日銀が決定しています。この点で問題はないと思われます。
問題は上段の制御されたインフレ云々です。確かに、社会主義よろしく政府が過度に市場に介入するのは問題があります。民間のやる気が削がれるからです。ものの価格の安定的維持が保証されるなら、誰も努力しません。一般的にはそうでしょう。
しかし、考えなければならないのは、日本はデフレだという事です。先進国でここまでのデフレに陥った国は過去にありません。インフレターゲットというのも、普通は高いインフレ率を下げる為の政策で、デフレ解消の為というのは日本が初なのです。だからこそ海外から注目されている訳です。
そもそも、元々勤勉でやり過ぎる嫌いがあり、デフレ圧力のかかりやすい日本経済ではありますが、ここまでのデフレになったのは90年のバブル崩壊に原因があります。
借金を抱えて返済に奔走する企業や国民は、新たな設備投資や住宅購入の為の借金が出来なかったのです。消費が伸びる訳がありません。いわゆるリチャード・クー氏言うところのバランスシート不況というやつです。
しかしながら、不良債権処理や債務弁済が殆ど終了したと思われる日本経済が、未だデフレというのは消費マインドの冷え込みだけでは説明出来ません。それよりは流動性不足という金融的要素が大きいのではないでしょうか。
ここでデフレのパターンを考えてみます。お断りしておきますが、筆者は経済学者でも何でもなく、ただの素人のおっさんデザイナーです。従って、拙ブログの経済記事は、もの造りの現場での経験を拠り所に、独断と偏見で書いている訳で、格調高い学術的考察を目指すものではありません。念の為。(笑)
デフレのパターン
1)自国に供給力はあるが、通貨発行権がない。
2)自国に供給力も通貨発行権もあるが、資金が一部の機関、個人に偏り、しかも国内より海外への投資が活発な場合。
3)自国に供給力も通貨発行権も個人貯蓄もたっぷりあるが、流動性が低い。
1)はユーロ圏でギリシャなどのように、ある程度供給力があっても経常赤字などで資金調達が困難な国が陥ります。将来的にはドイツさえも経常赤字になれば陥るかもしれません。
2)は明らかに米です。1%の金持ちが40%の富を握ると言われます。その格差は増々開き、庶民は借金で資金調達するのが日常です。リーマンショック後は信用収縮が起き、需要が大幅に減退しました。当然デフレ圧力がかかります。
3)はどこでしょうか。そう、明らかに日本ですね。日本は経常黒字国だし、貯蓄もあり、技術力、供給力も一流です。ただ足りないのが需要、すなわち、消費マインドと資金の流動性の問題です。良性デフレの国と言って差し支えないのではないでしょうか。
そこを修正する為に新日銀体制は異次元と言われる金融緩和策を採っています。白川前日銀総裁の誤った金融引き締め策の為に、これ程の経済大国が、謂われなき不況に塗炭の苦しみを味わいました。
ところで、デフレという事は言うまでもありませんが、供給力が需要を上回る事を言います。つまり、ものはふんだんにあっても、それに見合った需要がないのです。
と言う事は、供給側の労働力が余っている事になります。ところがどうでしょうか。失業率は世界一低い(上の表)のです。デフレと矛盾しませんか。(?)
実は、それこそが日本と世界との大きな相違点なのです。終身雇用が原則の日本企業は、デフレ不況でも安易に首を切りません。その分は一人当たりの取り分が減りますから給与ダウンという事にはなります。
そこだけを見て日本企業の労働生産性が低いなどと分かった風な事を言うエコノミストもいますが、木を見て森を見ずと言わざるを得ません。つまり、欧米程の利益第一主義に走らない経営者がいて、低賃金にも甘んじる労働者がいる社会が日本という訳です。
やはり、民度の問題かも知れません。集団の為に自己犠牲を厭わない姿勢が、世界よりほんのちょっとだけ高いのです。個人の利益を公共の利益が優先する事が苦にならない民度があるかが問われます。
従って、上記からも分かるように、経済学者が予測出来ない事態が日本では日常的に起こり得るのです。
そこで本題に戻って、制御されたインフレ下、つまり物価上昇率が2%に設定された状態ででモラルハザードが起きるかという問題です。筆者は民度とは別な角度から日本人を見た時にも、それはないだろうと推察します。
例えばもの作りが好きな、ややオタクっぽい国民性を見た時に、日本は特殊ではないかと思うのです。筆者の経験から言っても、日本のサラリーマンは給料とも会社の指示とも関係なく、時間のある限り自分のやりたい事を追求する性癖があります。言わば自己満足の世界です。だからこそ、日本の物作りが世界をリードして来ました。
筆者はアジアや欧米と共に仕事をした経験がありますが、アジア人のこだわりのなさは想像を絶します。(笑)悪く言えばどうでもいい?よく言えば割り切っている?でしょうか。欧米の場合は、本音はともかく、建前だけはしっかりしています。
まあ、何だかんだ言っても欧米人の合理的なものの考え方では、日本人を理解出来ないかもしれません。特にドイツ人は、そういう点で柔軟性がないのです。(笑)筆者の友人で、ダイムラー社とコラボした経験のある人がいますが、とにかく権威主義的で融通が効かないと言っていました。日本人との時間に対する感覚も違うようです。仕事が日本人の思うようには捗らないのです。
長くなりましたのでまとめますが、世界有数の優良メーカーがひしめき、デフレ下で売れる商品を作る為に改良をし続けて来た日本企業と日本国民は、民度の高さや、高いオタク度もあり、簡単には堕落しないだろうという事です。
つまり、売れるからと言う理由だけで、手を抜く事をしません。それは将来の自分たちの首を絞める事にもなりかねないのです。そこがインフレの国とは違うところです。インフレの国は需要に対し、物が足りない訳ですから、放っておいても売れます。元々やる気が起き難いのです。
従って、かなり昔に、未だドイツでさえ供給力が十分とは言えない、おそらくインフレ気味の時に言った言葉は、「現在の日本には全く当てはまらない可能性が高い」と言えるのではないでしょうか。
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コメント
> アベノミクス、案ずるより産むが易しです。論より証拠で株が上がっています。土地や各種会員権も上げ気配です。TPP に参加したり、消費税を上げない限り、いけるではないでしょうか。
なぜなら、その二つはデフレ対策とは逆行するからです。
・・・人事を尽くし 天命を待つ・・・と思いたいところです。
TPPと消費税UPは上手く空中分解を狙いましょう。日本の未来が決定されてしまいますから・・・
投稿: 心配性君 | 2013年4月14日 (日) 12時21分
はじめまして、ブログ楽しく読ませて頂きました。
坪江ともうします。
円高で海外のモノも方が安いし、昔よりもモノ以外にもお金を使っているから、物価だけでは判断できないですね。
投稿: 坪江 | 2013年4月14日 (日) 19時48分