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2013年6月18日 (火)

デフレ要因の総合商社

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----- TPP 日中韓FTA 消費税増税に絶対反対 ------

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6月17日(ブルームバーグ):日産自動車がなりふり構わず米国市場でシェアを拡大していることに、米自動車業界が懸念を強めている。リセッション(景気後退)に伴う販売不振の後で実現した利益構造を損なう価格戦争が起こりつつあるとの見方からだ。

5月の日産の米自動車販売台数は7モデル値下げと販売奨励金引き上げを受け、前年同月比25%増えた。これは業界全体の伸びの3倍だ。市場シェアは約1ポイント上昇の7.9%と、メーカー最大の伸びを示した。

 日産の販売急増に業界は神経をとがらせている。安倍政権が景気回復に向け演出した円安を日本の自動車メーカーが活用した初のサインだからだ。モルガン・ス タンレーによると、昨年10月末以降に円相場が対ドルで15%下落したことで、日本の自動車メーカーは1500ドル(約14万円)分の値下げなどの余地が 生じている。

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ニッサンは相当必死ですねえ。円安のうちに荒稼ぎをしようというのでしょうか。しかし、別にダンピングに当たる訳でもないし、円安差益をユーザーに還元して問題があると言われた日には、何の為の為替かという事になります。メーカーとしても戸惑っているでしょう。

まあ、大人っぽく摩擦を起こさないように、うまくやるしかありません。でないと、またトヨタのように捏造欠陥車問題でも起こされかねないのですから、程々にするのが賢明です。

ところで、昨日の日経新聞朝刊に、ある経済学者の記事が載っていました。その学者さんは、何と「デフレの原因が、よく分かっていない」と言うのです。

「おいおい、ちょっと待ってくれよ。今頃それかい」と思ったのですが、時間があまりなかったので詳しくは読みませんでした。原因がよく分からないという、ありえへんフレーズだけがひっかかったのです。

勿論原因は一つではなく、色々あるのでしょうが、日本は特にデフレ要因の総合商社みたいなものではないでしょうか。思い当たる節が沢山あるのです。以下思いつくまま列挙します。

1)そもそも勤勉で、自然を含む生産環境に恵まれた日本は、天変地異や外的要因さえなければ供給過剰気味だった。そのせいで問屋が発達した。一種のワークシェアリングか。

 2)そういうベースの上に、産業のピラミッドが形成され、国内垂直統合型の生産体制が万全となった。つまり、生産活動面での海外の影響を受け難い。

 3)それに伴い、人口が一億人以上もいて市場規模が大きい事から、同じ産業に優秀な企業がひしめきあう事になる。つまり競争が激しい。

 4)しかも情報化時代、ネットなどからディスカウント情報が簡単に手に入る。また量販店による薄利多売も、メーカーの利益率を悪くする。

 5)輸出による貿易黒字から円高圧力がかかりやすく、それに対応する為に国内の生産性を上げて来た。下請け企業に無理を言ったり、合理化などによるコスト削減に血道を上げる。

 6)それでも摩擦が収まらず、円高もかえって進行した為に海外へ生産拠点を移す事になる。その結果海外から安い製品が逆輸入され、国内生産品価格に下げ圧力がかかる。

 7)それらによって給与所得が下がり、国民の購買力が落ちる。

 8)政府や日銀が、デフレの悪影響を軽く見た為に、バランスシート不況下でも、金融緩和を必要十分には行わなかった。

 9)そもそも消費に供給が追いつかない発展途上国はインフレになりやすく、ものが充足された先進国程、デフレになりやすい傾向がある。

まあ、ざっと書いてもこのくらいあります。端的に言うならば、「金融政策のミス、あるいは作為により国内に需要がないと思わされた企業が、輸出や海外進出に精を出し、その結果として円高を招き、それでも海外との関係をより深めた為にデフレが、どんどん進行した」というところではないでしょうか。

つまり、一番のポイントは為替なのです。これはよく出来ていて、途上国を守り、先進国を疲弊させるように仕組まれているという訳です。言うなれば、世界平準化の先兵です。

例えば、為替がなければどうでしょうか。例としてはEUがあります。国境があるにも関わらず通貨をユーロで統一した為に大混乱が起きました。貿易赤字が膨らんでも、為替で調節が出来ません。

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[S&Pは、ギリシャのソブリン格付け(長期CC、短期C)を選択的デフォルト(SD)に引き下げた。/昨年2月]

その結果は強い国はより強く、弱い国はより弱くなりました。EUで一番の先進国ドイツが経常黒字を膨らませる事は必然です。しかし、折角の黒字もギリシャのデフォルト騒ぎで莫大な額を失う事になります。債務免除という落とし穴があったのです。

これを日本とアメリカに当てはめた場合、ドイツの損失どころの話ではありません。固定相場からほぼ4倍の円高になったと言うのに、日本側は例年で7〜9兆円の対米貿易黒字を計上します。もの凄い話ではないでしょうか。

米側の積もり積もった対日赤字は100兆円を悠に超え、日本が米国債に替え保有します。ところが、この米国債、売らせてもらえないのです。そりゃあそうです。日本が担保しない米国債なんて、ただの紙切れです。

日本が売る気配を見せただけで暴落しかねません。昔、橋本元首相が、「米国債を売るかもしれない、なんてね。」と言っただけで、市場は敏感に反応し、米は真っ青になったのです。(笑)

これがもし固定相場のままだったなら、米の対日赤字は100兆円なんてもんじゃありません。天文学的数字になっていた事でしょう。そうなれば結局、日本は米に対する資金供給機関に成り下がるだけです。それだけの対日債務を持つ米を破綻させるわけにはいかないからです。

従って、為替は変動制を採用するしかないのですが、円が高くなればなる程、円ベースのGDP を拡大させ難くなります。そちらが固定相場制並とは言わないまでも、半分くらいのペースで上がっていったなら、円高も今程にはならないとしても、ドルベースGDP で米を抜きかねません。実際にも90年代半ばには米に急接近しました。

その為にも日本国内をデフレにしておく必要があったとすれば、日本のデフレが、単に上記の理由だけで進行したのかどうかは、判断が分かれるところかもしれません。いずれにしても、その検証は非常に難しいのではないでしょうか。

 

 

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コメント

こんばんは。久々にお邪魔しましたが、やはり切り口が面白かったです。6月2日の香山リカさんですが、情報誌にもしょっちゅう見かける名前です。マスコミの言ってほしいことを言う方なのでよく見かけるのだと思いますが、全くその通りと思う意見を言うことは皆無です。
 心の中で莫迦じゃないかこの人といつもつぶやいています。
 じっくり見るのに変えていただけたら幸いなのですが、バックナンバーを見るとき月末から始まるのではなく月初めの一日から始めて貰えると読みやすいのですが出来ませんか?。

投稿: nao | 2013年6月18日 (火) 00時30分

naoさん。久しぶりですね。
お褒めいただいて有り難うございます。
バックナンバーの並べ方は、こちらではコントロールしていないので無理かもしれません。
一応、調べてみますね。
テレビは左翼だらけなので、信用出来ません。重要なニュースも、マスコミに都合の悪いもは報道しませんから、どんだけ偏っているのか、恐ろしい程です。

投稿: 田中徹 | 2013年6月18日 (火) 00時54分

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