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2013年6月 6日 (木)

経済はオーソドックスが一番

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----- TPP 日中韓FTA 消費税増税に絶対反対 ------

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経済が分からないと政治は明後日の方向に向かいかねないのですが、昨日発表された安倍総理の成長戦略を聞いて、「あ〜やはり、この人も実は何も分かってはいなかったんだ」と、危惧していた事が現実となり、軽くショックを受けました。

既に色々な事で失望を味わっているので、大きく落胆する事はなかったのですが、インフレターゲットの当然の結果である「10年で150万円の一人当たり所得を増やす」や「7年で海外からの投資を2倍にする」などと言う、全く日本の現状を無視した事を言われても、市場も面食らうというものです。株価も今年三番目の下げ幅を記録しました。

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第一、「アベノミクスの一丁目一番地が規制改革です」と言われた日には経済担当の内閣官房参与達の立場がありません。今頃激しくがっかりしているか、焦っているかのどちらかではないでしょうか。日本の生産要素を破壊した新自由主義の使いっ走り、小泉改革の匂いプンプンです。

それと気になった事は、全て企業の側に立った戦略(?)だという事です。労働者を守る為、あるいは国民側からの視点が十分でない気がします。小泉改革から続く格差拡大は既定路線なのでしょうか。

拙ブログでも、前々からしつこく言っていますが、日本の一番大きな問題はデフレです。デフレが諸悪の根源だからこそ異次元の金融緩和と「国土強靭化」をメインとした財政出動が第一と第二の矢で計画され実行に移されました。

勿論未だ開始したばかりですが、これから本格的に推進されればデフレは解消に向かうでしょう。まず、そこが解決しない限り、他に何をしても意味がありません。と言うより、むしろ邪魔になります。

計画通り2%の物価上昇と3%の名目成長を果たし、完全に成長軌道に乗ったならば、必要に応じて規制改革をやればいいのです。それくらいのもんです。

需要が供給を上回った場合、供給サイドの改革は、調整という意味である程度必要になります。それにしても一丁目一番地と言われる程のものかと言われれば、首を傾げざるを得ません。

この人達(政治家や産業競争力会議メンバー)は、非常に残念な事に日本の現場の実力(技術力、供給力)が分かっていないのです。例えば15年前と比べて、収入は大きく減りました。これは明らかな事実です。一方、生活を見渡して15年前との比較で不便になったり、量的に減ったりしたものがあるでしょうか(?)

いいえ、明らかに言える事は、量はともかく生活の質は間違いなく上がっています。衣食住は勿論、クルマの性能は桁違いだし、家電製品はイノベーションを繰り返している訳です。当時、ハイビジョンの40インチ液晶テレビがありましたか(?)

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多くの家庭は大きくても30インチ程の、重たくてかさばるブラウン管テレビだった筈です。映りも今見れば信じられないくらいの酷さです。それでも結構なプライスタグをつけていました。

他の分野の日進月歩ぶりも、差こそあれ似たり寄ったりではないでしょうか。だとすれば妙な事になります。国内で生み出された量的質的付加価値の年間総生産量がGDP ですから、当然GDP が増えていなければいけないのです。

ところが、ほぼ横這い、あるいは下落しているから問題なのです。つまり、それこそがデフレです。今現在の付加価値生産を当時との比較で正当に評価すれば、少なくとも700〜800兆円、あるいは1000兆円くらいあったとしても何の不思議もありません。

それは他国との対比でもわかります。他国は大した付加価値を生んでいないにも関わらず成長しているのです。なぜか日本だけが内容はともかく、数字的に成長していません。そんなバカな事があるでしょうか。

殆ど全ての分野で世界をリードしている先進国が成長しないなんて、たちの悪い冗談です。代わりに為替レートが実力以上に上がる事になりました。基軸通貨のドルより98年の130円から、2012年の79円まで65%も価値が上がったのです。

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なので、取りあえず、そのおかしな状態から正常な状態に戻そうというのが第一と第二の矢です。遅きに失した感は否めませんが、非常に的確な判断と言えます。失われた所得を取り戻そうというのですから、必然異次元の金融緩和に、最低でも200兆円(10年で)クラスの財政出動が求められる訳です。

とにかく、この15年で失ったものは、安倍総理が言われた今後10年で一人当たり150万円(インフレ率2%込み)なんてもんじゃありません。ざっと見積もって300〜400万円程ではないでしょうか。

ところで、田中宇氏がテレ朝でフィナンシャルタイムスの記事を紹介していました。例によって胡散臭い「アベノミクスに警鐘を鳴らす」というやつです。この手の記事がまともだった試しがありません。

アベノミクスは行き過ぎた金融緩和により、長期金利の上昇を招き財政的に破綻しかねないと言うのですが、はっきり言って聞き飽きました。反論もバカバカしいのですが、念の為言わせて下さい。

日銀が金融緩和で狙っているのは、まず物価上昇です。2%と言っていますから、それに連れて長期金利も上がります。物価上昇率との差を逆転させるわけにはいかないのです。

今現在長期金利が1%で物価がマイナス1%だとすれば、実質金利は2%になります。貯金すればするほど目減りしないよう金利差を維持する為には、2%の物価上昇が見られるなら4%まで長期金利が上がらなければならない事になるのです。

それをビビっていたのでは何も出来ません。政府の利払いが大変になり、予算は殆ど利払いに費やされるなどと、超間抜けな事をフィナンシャルタイムスは言っているそうですが、その為に日銀が無制限に国債を引き受けている事を忘れているようです。

つまり、ある程度まで国債が売られ金利が上昇すると、最後は日銀がいる訳ですから、資金がリスク資産などから戻って来るという訳です。その結果として国債価格が上がって金利が下がると、今度は売られます。

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  (世界的に見ても異常に低い日本の長期金利、だってデフレだし。。)

その繰り返しですから、一本調子で金利が上がるという事は考え難いのです。昔のように10年もの国債の金利が8%にもなる事も考えられません。

そもそも、麻生太郎財務相によると0.1%の金利上昇で1000億円程しか利払いは増えないと言います。単純計算で3%なら3兆円です。しかもそれを受け取るのは日銀をメインとする政府系金融機関が50%以上ですから、政府は自分に1.5兆円も払う事になる訳です。

さらに日銀が買い増していきますから、大半は自分が払って自分が受け取る事になります。これを自作自演と言わずして何と言うのでしょうか。だからこそ、そんな意味のない面倒な事はやめて日銀引き受け分は政府との連結決算で消却すればいいと先日のブログで言ったのです。

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それに、肝心な話、物価(コアコアCPI)が実際問題として2%も上がるでしょうか。そちらの方が疑問なんですが、浜田教授も目標数字自体はどうでもいいと言っていましたから、ますます可能性が薄いと言わざるを得ません。

いずれにしても長期金利が上がれば(国債価格が下がる)売られた国内の資金は株や土地に向かうでしょうし、悪い事ばかりではありません。ただ、大量のマネーが投機にしか向かわない事が問題です。

その為にも規制改革が一丁目一番地などと、どこかのグローバリストのように間抜けな事を言っていないで、真面目に財政出動をして下さい。それが一番の成長戦略である事は論を俟ちません。

「国土強靭化」「エネルギー国産化」「食料自給自足化」が、成長戦略の一丁目一番地に決まっています。他に何があるというのでしょうか。トリッキーな小細工をせずにオーソドックスにいけばいいのです。

 

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コメント

こんにちは。

成長戦略ということで、何も期待してませんでしが、官邸HPからスピーチ書き起こしを拝見しましたらば、案の定、という感じですね。

経団連やらは笑いが止まらないでしょうけども、札束眺めてりゃ幸せだと思ってるような人間を喜ばせても仕方ないでしょう。

意外だったのが電力自由化(とは明言してないものの)ですね。私はてっきりマスコミの飛ばし報道だと思ってましたが、安倍総理もまんざらではないのか?

私は、エネルギーの地産地消はおおいにやればいいと思います。戦争など、いざというときのバックアップのためにも、温泉と電気の二毛作は掛け替えのない重要なエネルギーですから。

しかし、電気を「売る=儲ける」という概念からスタートするのは間違いだと思います。売り先行で自然エネルギー買い取り法を作った結果、途端にハゲタカたちがたかってきました。そりゃそうです、電気代の3倍の値段なのですから。

やはり、まずは「使う」ことからスタートすべきです。


とにかく、成長戦略には何も期待していませんけど、当日の「NewsZERO」に甘利大臣が出演されるということで、噂の甘利氏が何を言うのか、気になって見てみましたが、評判通り、小泉改革の亡霊ですね、あれは。

一つだけ、思わずテレビに向かって

『お前、余計なこと言うな!』

と突っ込んでしまったことがありますが、詳しくは忘れましたし、私は経済にあまり詳しくないもんで、うろ覚えの素人分析ですけども、『財政再建が必要ですよね?』とキャスターから煽られて、甘利氏は、政府債務比率を対GDP比(?)で100%以内だったか、そんなことを言ってまして、絶対にやると豪語してました。(いつまでにやると言ったかは忘れました)

ガッカリ…

麻生大臣あたりに

『あれは理想を言ったまでだよ』

と、閣内不一致を言われてもいいから撤回してくれと、本気で思いました。

あの甘利氏は、ちょっと…、良く言えばダークホース、悪く言えば暴走機関車でしょうか。

甘利更迭要求した方がよさそうですね。

安倍総理も甘利氏の口車に乗せられているだけなら、なおのこと、甘利氏更迭要求した方がいいかもしれません。

経済にも順番があるのだと、気付かせてあげねばなりますまい。

投稿: 硫黄島 | 2013年6月 7日 (金) 17時19分

> 「国土強靭化」「エネルギー国産化」「食料自給自足化」が、成長戦略の一丁目一番地に決まっています。

・・・はーい、大正解GJ・・・賛同致します。で、抜け漏れ満載でしょうが、小生の理解を以下に示します。

「国土強靭化」・・・地震・津波等の自然災害への備え:耐震工事の堤防/原発を含む水力・火力等の発電所/貯水池/空港港湾施設/各種トンネル/橋梁/各種工場・学校及び一般住宅への反映・・・ところで、福島・東北の復旧って進んでいましたっけ?

竹島・尖閣・沖縄・対馬を当然ながら含む、日本国土の国防力強化:人員・装備等の人・物・金・将来展望戦略戦術(Win/Winが理想であるが、まずは国家生き残り条件の策定構築と実施)。
洗脳情報たれ直し対応(NHKとかフジその他赤日新聞等マスゴミ)・電波法(外国資本が20%以上入り過ぎ)などの規制。近隣反日国家の情報操作を上回る国家ビジョンの世界各国への情報発信部門の構築。

「エネルギー国産化」・・・輸入化石燃料に頼らない、”藻から石油を抽出、排他的経済海域でのメタン等の地下資源採掘の実用化”とか水力/地熱/風力発電の見直し、二次電池の性能UPによる電力の有効活用等。あの~パチンコ屋の照明、明る過ぎ~

「食料自給自足化」・・・中国は空気の汚染のみならず、工業汚染水の垂れ流し(韓国も)が放置されて、現状にて最早、良質の水が足りない→日本の山林を買いあさって水源確保を推進中。食糧輸入国家に成りつつあるので、アフリカ各地にて農地を大規模に開発中(資本も計画的に投下しているが、親中国派と中国嫌悪派両方を製造中)・・・アメリカは地下水源を掘りっぱなしで、対策は不明。日本は誰か(政府とか農林水産省?)が何かをやってるのかしら?国家存続の為に。アメリカもイギリスもフランスも一歩都会を外れると小麦トウモロコシ等の農産物の畑が限りなく続いています。TPPなどで我が国の自給率が低下し、世界的な不作が続いた場合大変危険な状態になります。ドンパチの戦以外で国が滅びます。2050年頃から小氷河期への気候変動を予測する人もいますし・・・

投稿: AZ生 | 2013年6月 8日 (土) 03時16分

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