一丁目一番地は誰のもの(?)
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日曜日のテレ朝「劇的ビフォーアフター」を見てぶったまげました。フランス版をやるとの事で興味津々だったのですが、奥さんが日本人の、あるフランス人家族(子供5人)が住み替えの為に買ったアパルトマンは、日本人のあまい幻想を打ち砕くものだったのです。これを見てひっくり返った人は多いのではないでしょうか。
パリ市内にある築150年の5階建て集合住宅、その5階にある狭く清潔とは言い難い薄汚れた59平米の部屋は、兎小屋どころか、ネズミ小屋にしか見えませんでした。これでよく日本の住環境を兎小屋だなんてバカに出来たもんです。
(イメージ画像)
EC(ヨーロッパ共同体、今の「EU」の基となった地域統合体)による、対日経済報告書まで遡ります。1979年に発行されたこの非公式報告書で、日本人は「ウサギ小屋(rabbit hutches)」に往んでいる「労働中毒者(workaholics)」と表現されており、(略)
つまり、「狭い家に住んで狂ったように働く人達」という嘲笑の意味があった事は明らかだと思われます。ところが現実には、、
一軒あたりの平均床面積(㎡)(世界の統計2006)
1位 アメリカ 162
2位 ルクセンブルク 126
3位 スロベニア 114
4位 デンマーク 109
5位 日本 94.85
6位 オーストリア 92
7位 フランス 90
トルコ 90
8位 イギリス 87
9位 チェコ 84
10位 ポルトガル 83
あれ〜。(笑)日本は言われる程狭くなかったようです。欧米人特有の「いやみ」だったのでしょうか。だとすれば、いいように騙されていた事になります。そこまで言うからには、さぞ広くて素晴らしい家に住んでいるのだろうと、本気で思っていました。
それはさておき、このやりがい(?)のある物件を日本の匠が、どう変身させるのか、三ヶ月後が楽しみではあります。しかし、予算760万円というのは、どうなんでしょうか。(笑)
(リフォームされたアパルトマンの一室/イメージ画像)
さて、この件ひとつ見ても分かるように、欧州は保守的と言えば聞こえはいいのですが、特に住環境は日本人の想像を絶する程旧態依然としています。それに対し、日本の住環境は、この30年で劇的に良くなりました。段違いの付加価値向上は衣食住全般についても言えるのではないでしょうか。
一方、筆者が知っている80年代と比較して、パリは何も変わっていません。衣食住は勿論、工業製品なども、これと言ったイノベーションはないのです。筆者の目には、日本と比べて、自動車技術なども止まっているようにしか見えません。
それは何を意味するのでしょうか。拙ブログの読者の勘のいい皆さんは、もうお分かりでしょうが、フランスのGDP と日本のGDP を比較して、日本の方が伸びていないなんて事があり得るとは、とても思えないのです。
GDP は、その国における一年間の付加価値の量的質的総生産量です。それが80年当時と2012年との比較でフランスは4.6倍にも伸びています。対する日本は1.95倍です。そんなバカな事があるでしょうか。
人口の伸びを見ても日本より13%程上回るもののGDP の差程ではありません。因にドイツはと言うと、人口の伸びは日本よりやや少なめで、GDP の伸びは3.45倍です。フランスより見劣りするのは、東ドイツとくっついたハンデがあるのかも知れません。
いずれにしても日本は異常に低いという事になります。ただ、これは自国通貨ベースでの名目値の比較ですから、客観的公平性を欠く事は否めません。ドルベースに統一して置き換えれば、また違った世界が見えて来るのです。
ドルベースの場合、仏3.96倍、 独4.12倍、 日本5.5倍となり、全く立場が入れ替わります。
あ〜、なるほど、こちらの方が実態に則した数字として現れているようです。つまり為替の問題なのです。日本がデフレで名目GDP が上がらなかった分、為替が自動的に上がって調整をしているという訳です。
しかし、その結果は国民生活は豊かにならず、逆に所得が減少しました。為替レートが上がるのではなく、名目GDP が上がる方が、よっぽどよかったという事になります。なぜなら円高で得をする人は輸入業者や海外旅行者等の極一部だからです。
そこを是正しようというのがアベノミクスの量的金融緩和策です。円を増やして為替レートを下げ、名目所得を上げようとする政策は正しいに決まっています。これまで日銀がさぼって来た分を一気にやるのですから、量的にも異次元になるというものです。
しかし、それを理解しないエコノミストや経済学者とは一体なんなんでしょうか。言うに事欠いて「やっと終わった「アベノミクス」の空騒ぎ」「アホノミクスが5つの悲劇を引き起こす」「日本は成熟した国だから経済成長は望めない。質を上げてヨーロッパ型の豊かな生活を目指せ」ですから、この人達は、余程日本が駄目になるのが嬉しいと見えます。
ドルベースGDP でのポテンシャルを見れば分かるように、日本には未だ未だ伸びる余地があります。豊かな筈のヨーロッパはいつの間にか、実生活面の豊かさで日本に抜かれ、こんな筈ではなかったと思っているのではないでしょうか。
その根拠は「質」にあります。浜さん達、反リフレ派のエコノミストは欧米の「質」を過大評価しているようですが、実は日本の得意技も質です。生活の質、物の質、サービスの質を上げて内需で経済成長して来ました。
問題は、その質に見合っただけの円(対価)を払って来なかった事にあります。輸出競争力の為のコスト削減や、追い討ちをかけるような国内市場の流動性不足が、不当に安い高付加価値商品群を生みました。
(分かりやすく言うと、経済成長に連れてマネーストック(現金プラス預金の量)が増えなければならないところ、日銀が、あの手この手で抑制した為に行き場がなくなった供給力は世界を目指し、さらなる円高デフレを招いた)
リッター23.4も走るアッパーミディアムクラスのハイブリッドカーが300万円ちょっとで買えるなんてふざけています。世界の常識では600万円前後がいいところでしょう。
(カムリ・ハイブリッド 安全装置のABS TCS ESC が標準で付くモデルが304万円からとは驚異的だ。日本以外で追随出来るメーカーはないだろう。)
50インチのフルハイビジョン液晶テレビが11万円じゃあ、開発に大金をはたいたメーカーがあまりにも可哀想過ぎます。シャープやパナソニックも潰れそうになるというもんです。笑えない事実ではないでしょうか。
(但し、電機の場合は、技術流出と言うイレギュラーな問題もあり、デフレのせいだけには出来ませんが。)
なぜって(?)先ほども言いましたが、民間の信用創造機能が働かなかった、これまでの15年間、政府や日銀が何もしなかったからです。増えた付加価値と同等のマネーが増えなければ価値が凝縮するだけです。つまりデフレです。
それを横目で見ながらも、故意からか無能からか、中央銀行は職務を放棄していました。ですからアベノミクスの一丁目一番地は、日銀による金融緩和に決まっているのです。
政府は規制改革を一丁目一番地だと言ってみたり、第三の矢、第四の矢などと、あちこちに色目を使っていますが、完全に蛇足です。黙って粛々と市場に円を供給し続ければいいのです。多くは望みません。せめてそれだけでもやりきって下さい。
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コメント
日銀があの手この手でマネーストックの増加を妨害したそうですが、具体的にどんな妨害をしたんでしょうか。
小泉期にも量的緩和をやったし、震災直後からも量的緩和しています。
政策金利も2007~2008の2年間だけ0.5%でしたが、それ以外はほぼゼロ金利でした。
それなりにやってるように見えるのですが。
なお、量的緩和でマネーストックを増やすのは無理だと思います。過去の推移を見ても、緩和分だけ貨幣乗数が下がっただけで、量的緩和とマネーストックの相関は見られません。
日銀のせいにし過ぎだと思うのですが。
投稿: tamagogayu | 2013年6月11日 (火) 00時42分