« だいじょうぶだ〜。 | トップページ | デフレ要因の総合商社 »

2013年6月16日 (日)

豊田章男社長の憂鬱

Photo        

----- TPP 日中韓FTA 消費税増税に絶対反対 ------

ブログランキングに参加しています。

トヨタ自動車は14日、愛知県豊田市の本社で株主総会を開いた。
豊田章男社長は冒頭、連結営業利益が5年ぶりに1兆円を超えた2013年3月期を振り返り、「持続的成長のスタートラインに立っただけ。再び危機が起きても、着実に収益を上げられるよう真の競争力を追求していく」と述べ、一層の競争力強化に取り組む姿勢を強調した。

 豊田社長は「09年の社長就任以来、多くの困難に直面したが、貴重な経験を積み、多くを学んだ」と力説した。株主から競争力の強化について問われ、「労働力が安い地域で生産すれば良いと勘違いしていた」と振り返った。その上で「(コストが高くなっても)生産性を10倍に上げて、日本のものづくりを守っていく」と強調し、国内生産300万台の体制を維持する考えを強調した。

豊田章男社長は、東日本大震災の時もサプライチェーンを守るという意味はあるにしても、真っ先に東北支援を打ち出した、日本と日本人の為を第一に考える貴重な経営者です。このグローバル化時代に、なかなか出来る事ではありません。

また、米で起きた捏造欠陥車騒動での真摯で誠意ある対応を見ても、人間性を含め尊敬出来る真の意味での国際人ではないでしょうか。こういう経営者が増えれば日本も安泰です。どこかの自己利益追求型のコストカッターとは随分な違いです。

Pictoyota

(結局韓国系米人ジャーナリストと、いかがわしい対企業専門の米弁護士グループの捏造であったトヨタ欠陥車問題、米議会の公聴会でボロクソ言われたにも拘らず、米議会から一言の謝罪もない)

筆者、自動車関係の仕事をしているので、「胡麻すりか」と誤解を招く恐れのある上記発言は軽々には言い難いところですが、独断と偏見は多少あるものの、良いものは良い、悪いものは悪いと言うスタンスや、独自の評価基準を維持をしない訳にはいきません。

さもなくば、見られるかどうかはともかく、世界に向けて発信するブログとしての存在価値を失います。実際には日本語ブログのため、日本国内からの読者の方が圧倒的多数を占めます。特に東京がダントツで関東圏が多いようです。

横道にそれましたが、話を戻します。
豊田社長の株主総会での発言、当ブログが日頃言っている事に対し、全く矛盾がないかと言われれば、そこは正直否と言わざるを得ません。一カ所だけ疑問点があるのです。それは「生産性を10倍に上げる」という下りです。

当然気持ちが入って、誇張されているのでしょうが、生産性を上げるという点では本気だと思われます。つまり、日本国内の雇用を守るため、価格競争力で労働コストが低い国に負けないようにするという決意の表れです。

Nkx201111282       
       (レース好きの豊田社長、ラリーにも参加する)

常連の読者の方はお分かりでしょうが、生産性を上げる(無駄を省く=コストを下げる)というのは、言い換えれば量的付加価値の削減に他なりません。トヨタ内の所得が下がらなくても、日本全体で見れば所得(総生産)が下がる方向です。日本の為、会社の為を思ってした事が、日本を衰退させる事になり得るのです。

いや、そうではない、質的付加価値のアップだと言われるなら、それなら価格競争力を犠牲にする事になります。なぜなら、本来その付加価値分は価格に転嫁されるべきものだからです。

そうではない、あくまでも価格は据え置きにすると言うなら、それはもっと妙な事になります。他の国とバランスがとれなくなるからです。例えば日本車が300万円のところ、同クラスのドイツ車が600万円になったりします。

それではドイツが気の毒というものです。ダンピングだ。不公正だと叫ぶでしょう。従って、スタビライザー機能が働き、その分は為替に反映されて行くという訳です。円高となり相対価値が上がります。つまり、この考え方こそが日本のデフレを助長しました。

「そんな事を言ったらどうしようもないじゃないか。じゃあ、一体、日本メーカーはどうすればいいのだ」と言われるかもしれません。

本当に「合成の誤謬」とでも言いますか、正しいと思ってした事が、マクロで見れば必ずしも良い結果を生まないという、困った問題なのです。

この問題は自由貿易やグローバル化を肯定するなら避けては通れません。世界平準化作用に乗っかるだけです。では、開き直って積極的にグローバル化を肯定するなら、どういう方法があるでしょうか。

一つは、超高付加価値化です。例えば国内生産をレクサスに特化するなどして、高くて当たり前という路線で行くのです。特に輸出は、さらに超高付加価値にする必要があります。価格帯や価値感で、どの国の、どのメーカーとも競合しないようにすれば摩擦は起きません。台数より売上高、利益率の重視です。

705b4fc1fa
             (ニューレクサス IS )

ただ、この方法が日本メーカー全てで上手くいって、莫大な利益を上げたなら、今度は貿易黒字や経常黒字問題に突き当たる事になります。国単位で見れば外貨(対外純資産)をいたずらに積み上げるだけです。反対側に経常赤字国を作り、ギリシャとドイツの関係のように債務問題に悩まされる事になりかねません。

上手くいかないもんです。やはり、国内の購買力を上げて、ガラパゴスと言われようが独自に発展して行くのが世界にとっても平和ではないでしょうか。しかし、それをするには、それに見合った流動性の供給を政府と日銀が担保する必要があります。

つまりアベノミクス、第一と第二の矢です。ここを不退転の決意で充実させ、国民を富ませるのです。第三の矢は、あえて言うならば、前述の超高付加価値レクサスが海外で大成功するようなものではないでしょうか。あくまでもオマケとして考えるべきです。

拡大再生産を推し進めて来た日本の製造業、そろそろ方針転換をしなければ、グローバリゼーションの一つの駒として世界に埋没しかねません。

これは企業のトップだけでなく、政府自体も同じ意識、共通の概念を持たなければ始まらないのですが、全く気配さえ見えない現状を見れば、あちらを立てればこちらが立たずという、製造業トップの憂鬱は続くのではないでしょうか。

 

 

ブログランキングに参加しています。共感いただければクリックを。

当ブログは日本の名誉を挽回するために尽力される中山成彬議員を応援します。
中山議員の ホームページ 南京問題を扱っています。

|

« だいじょうぶだ〜。 | トップページ | デフレ要因の総合商社 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« だいじょうぶだ〜。 | トップページ | デフレ要因の総合商社 »