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2013年12月20日 (金)

帯に短し。。

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前回の「ガラカーか(?)続編」にコメントをいただいたポールさんの質問にお答えします。

もっとも筆者は識者でも走りの専門家でもないので100%正しいかどうかは分かりません。前から言っているようにデザイナー視点での拙ブログ、むしろ独断と偏見に満ちていると言った方がいいでしょう。ハードル下げました。(笑)

まず、欧州車のシャーシやハンドリングですが、確かに殆どの欧州車はおっしゃるような傾向を持ちます。特にスポーティさを売りにしているブランドは胸をときめかせてくれるのです。

筆者が初めての外車として手に入れたライトウェイトシックスのBMW320iなどは飛ばす為にあると言って過言ではありませんでした。若気の至りか得意になって飛ばしていてガスケットを吹き飛ばした事があります。(笑)しかし、首都高の渋滞などでたまにドキドキさせられるオーバーヒート以外はとても気に入っていたのです。

Bmw535i01

  (筆者は、この5シリーズのスタイリングが一番気に入っていた)

ところが、その後535i を手に入れた時には大いに失望しました。デザインは3シリーズと相似形でも全く性格が違うのです。走らない、曲がらない、燃費は悪いでコストパフォーマンス最低でした。おまけに都内を普通に走っていてエンジンルームから水蒸気が噴き出したのです。なんでそうなるの(?)

アルファロメオも同じような傾向がありました。小さい147や中くらいの156は外観の印象通り走ってワクワクするクルマです。スタイリングを含め音や触感、コックピットからの視界、シートの座り心地等、凄く官能的でした。走るだけで満足させてくれます。少々の故障や燃費の悪さなんてどうでもいいと思わせてくれるのです。

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(アルファロメオ166 カッコいいんだけど、、それだけでもいいか/笑)

ところが大きい方の166に乗った時は、すぐ降りたくなりました。BMW535i のように走らない、曲がらない鈍重なクルマだったのです。驚きました。BMWの場合はラック&ピニオンとリサーキュレーティングボールというステアリングメカの差がありましたが、アルファは皆ラック&ピニオンです。大型の欧州車は皆鈍臭いのでしょうか(?)

では日本人が喜んで法外なお金を出してでも買う、大好きなベンツはと言うと、何と全滅です。ちっともスポーティではありません。乗っていてつまらないのです。上から下まで同じテイストで作られている感じです。元祖金太郎飴か(?/笑)

小さい方のスポーツカー、SLK なんて最低です。見た目はいかにもキビキビ走りそうなのですが、カローラと大差ないのでは(?)という操縦性でした。おまけにバリオルーフは剛性不足でミシミシ言うし、これで500万ですから。。う〜ん。

メリットは唯一、廻りが避けてくれる事でしょうか。(笑)特に高速では不思議な事に前を行くクルマが次々と消えてくれるのです。日本の道が快適になる。そういう意味での所有する喜びがあるのかもしれません。

アウディの場合もベンツのように下から上まで、大きな差はなかったように思います。尤も、よく考えるとA8シリーズは乗った事がありません。従ってA6までの話です。

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   (この初代TTは面白いクルマだった。特にマニュアルが楽しい)

しかしこのブランドもスポーツカー(TT)以外は乗っていて大して面白くはありません。そのTTもFFとしては機敏だし、早い事は早いのですが、モデルチェンジして普通のクルマになりました。

但し、アウディはデザインも含め総じてスポーティと言えます。クルマとしての完成度は高いのではないでしょうか。エンジンオイルがやたら減る事以外は嫌いではありません。

そうそう911(ポルシェカレラ2/下)はドキッとするほどトリッキーなクルマでした。リアエンジンリア駆動のため回頭性が抜群です。軽快だしエンジンもよく廻ります。ただし、エアコンが効かないのと雨の日にエンストしてカミさんに文句を言われたのには参りました。(笑)イタ車ほど官能的ではありませんが、乗って楽しいクルマではあります。

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(ポルシェカレラ2 ティプトロニック 3600cc 250ps 1.3t のボディなので、さすがに早かった。筆者も時速250キロ[メーター上]の世界を体験した。)

ところがそのポルシェさえもフロントエンジンの944や928となると駄馬だったのです。30年程前の古い話で恐縮ですが、完全な見かけ倒しでした。ボクスターはレイアウトが911と近いので乗るとまあまあでしたが、何か古くさい感じは拭い去れません。

フランスのクルマは大昔にシトロエンBXを所有した事があります。内装デザインはとてもオシャレでしたが、故障の恐怖を除いたとしても、必要以上に走りたいと思いませんでした。軽快だし乗りごこちも悪くなかったという記憶があります。

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あと、フランスで言えばスポーツカーのルノーアルピーヌ(上)を試乗した事があります。このクルマは凄くスパルタンでした。見え方は宇宙船ですが、乗るとゴーカートのようで楽しかったのです。マニアには応えられません。

他の欧州ブランドでは英国のジャガーやランドローバー、スウェーデンのサーブ、ボルボ、イタリアのランチア(ベータ・モンテカルロ)等、色々乗りましたが、帯に短したすきに長しで、これはというクルマにお目にかかっていません。よく考えるとポールさんが評価されているプジョーだけは乗った事がなかった。。すみません。

そうは言っても、欧州にはスーパーカーがあるじゃないかとおっしゃるあなた。あまいです。フェラーリあたりに乗ってご覧なさい。まず驚きます。早いし乗り方によってはキビキビ走るのかもしれませんが、完全な我慢車です。長時間の運転には耐えられません。最新のものは知らないので無責任な事は言えませんが、大きく変わっているとは思えないのです。

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(ちょっと古いフェラーリ512BB /乗り降りだけでも一苦労、目立つだけにかっこ良く降りたいのだが、筋力がないと無理!)

そこで日本車ですが、平均点は高いのではないでしょうか。皆エンジンはよく廻るし、そこそこ早い割には安全で乗り心地も悪くありません。何と言っても価格がリーズナブルです。

それに日本車とひと言で言われますが、メーカーによっては特色があり十把一絡げには出来ません。特にホンダやスバルは日本車とは思えないくらいハンドリングが欧州的でスポーティです。

ただ、一部のマニアックなクルマを除けばエキサイティングなハンドリングというのは期待出来ません。言わば、それが日本市場の要求なのです。つまり、同じ見え方のクルマでも欧州向けは足回りやエンジンの味付けが違っています。仕向地によって丁寧にアレンジするのは日本メーカーのおもてなしなのです。

従って、米国で日本車に乗っても味付けは米車ですから、欧州向けの日本車とは全く性格が異なります。筆者も米に行った時などは郷に入れば何とやらで、大きめの米車を選んで乗りますが、やはりその方が楽だし米の道路事情にあっているのです。

結論、確かに欧州には歴史と高速道路で鍛えられたスポーティなクルマ作りのノウハウが豊富にあります。日本が学ぶべきところはまだまだ多いのです。しかしながら、その昔ホンダが全て自分たちで製作したF1(下)で優勝を勝ち取った事実を見ても、全く真似が出来ない程の差というものは存在しないと思います。製造業に限るなら、日本人がその気になって出来ない事などないのではないでしょうか。

F1

    (デビュー11戦目で優勝したホンダF1 昔は葉巻型だった)

従って、日本で走っている日本車が鈍臭く思えるとすれば、それは製品の性能や開発陣の能力の問題ではなく、単純に市場性、すなわちユーザーの指向性の問題ではないでしょうか。つまり日本の道路事情にあったクルマを日本人の性格に合わせて作れば、欧州車のようになる筈はないという事です。

いずれにしても、クルマの種類は世界に5万とあるのですが、「帯に短したすきに長し」でなかなか自分に丁度良いクルマにはお目にかかれませんね。

 

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コメント

田中さん、ありがとうございます!

欧州の有名ブランドであっても、全てのモデルが優れているわけではなく、出来はバラつきがある。ベンツでもビーエムでもだめなモデルはだめ、という理解でいいのでしょうね。

経験に基づいた印象を語っていただけて感謝です。

本当はクルマメディアがしっかりした論評を伝えてほしいのですが、いわゆる大人の事情でしょうか、辛口の論評はあまり読んだことがない。唯一沢村慎太郎さんくらいでしょうか、ズバッとした物言いをしていらっしゃるのは。

田中さんもメーカーの方ではないにせよ、業界の方には違いないわけで、リスクを背負って語っていただいたこと感謝します。

それにしても考えてみれば「じゃあ、クルマメディアの価値は一体何なのか?」となりますね。
今日のようなインターネットの時代ともなると利害関係のない一般ユーザーの発言の方がよっぽど説得力があります。

一クルマ好きとしては、日本車についても「ちょっとそこまでお買い物」に特化したハンドリングより、渋滞を抜けて郊外の空いた道に出たときにキモチのいいハンドリングのクルマの方がいいなと思うのですが、まあ日本のメーカーも商売ですから想定される最大公約数に合わせたハンドリングになってしまうというのも致し方なしなのでしょうね。

日本のメーカーもハンドリングを諦めているわけではないでしょうから、いいハンドリングのモデルを探すことにします。

ありがとうございました。

投稿: ポール | 2013年12月20日 (金) 17時26分

葉巻型ホンダF1。
子供の頃、模型メーカー・タミヤのカタログに1/12スケールのRA273が載ってました。
初優勝したRA272の次のタイプ。

後ろからの写真だったので、あのクネクネしたエキゾーストパイプが妙に気になりだして^^
いつかは作ってみたいと思っているうちに生産中止になったが、その後何度か再販されてるので今は簡単に入手できます。

67年に発売されたとは思えない素晴らしい出来栄え。
高価にもかかわらず、最初の1万個があっという間に売れ切れたというのもうなずけます。
海外でも評判になり、日本製プラモのイメージを変えるきっかけになりました。
この完成度の高さのウラにはホンダ関係者の密かな協力もあったそうです。

「当時の関係者は皆さんリタイアされていますから、もう時効なのですが……。
あのマシンのモノコック中央部は、うちのモデルで完璧に再現されていました。
短時間の取材で写真を撮っただけでは不可能なことです。
だからホンダの内部でも大問題になりかけた。
内緒で資料を見せてくださった方をはじめ、まあエンジニアには模型好きの方が多くて事なきを得たのですが」
http://ammo.jp/cursor/0202/03.html

「二つ星マーク」が世界ブランドに タミヤ会長・田宮俊作さん(78)特別編
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130913/szk13091312020004-n1.htm
「日本の模型屋もここまでやるようになったか」
とRA273のキットを眺めてる本田宗一郎氏の写真が載ってます。

投稿: RA273 | 2013年12月29日 (日) 18時00分

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