クルマに未来はあるか
----- TPP 日中韓FTA 消費税増税に絶対反対 ------
ブログランキングに参加しています。
クルマに関するコメントが多く入っていますが、コメント欄では語りきれないので臨時にエントリーする事にしました。久々の記事ですが、時々こういう形でブログを更新する事は薮坂ではありません。
それにしても皆さんのお陰で、この一ヶ月余りに一回しか更新していないというのにランキング100位以内を維持しています。驚きと同時に大変有り難い事だと感謝感激です。本当に有り難うございます。
さて本文ですが、その前に先週末モーターショーに行って来ました。時間がとれず十分には見られなかったのですが、主だったところはほぼ見れたと思います。やはりクルマを見るのは楽しい。久々眠っていた若い血が騒ぎました。
(懐かしいホンダS600 欲しくてたまらなかったが、買えなかった・笑)
中でもホンダのブースは見応えがありました。超高性能ハイブリッドカー、NSX に斬新な軽スポーツカーのS660、 その隣にあった約50年前のS600が特に素晴らしかったです。(笑)今見ても新鮮且つ魅力的で、よく作られていたのだなあと感心しきりでした。
その割には、今の市販車に50年分の進化があるのかと問われれば、、メカ等の中身はともかくデザイン面ではもの足りなさを感じざるを得ません。もっと未来的になれた筈ではないでしょうか。自戒も含め、デザイナーやエンジニアはもっと頑張らねば。。
(これが量産でどうなるかですが、大抵の場合は失望する)
ショー自体は最近の傾向で当然と言えば当然なのでしょうが、EV HV PHV FCV(燃料電池自動車)のオンパレードです。特にホンダとトヨタの鼻息が荒い。そりゃそうです。HV で一時代を築きFCV を極々近い将来の2015年にも市販しようというのですから当然ではないでしょうか。
問題は価格とインフラです。量産とは言え最初はバカ高いものになるのは自明です。さらに水素が何処から供給されるのか、またそのコストはと疑問はつきません。トヨタとホンダは、これ程不確定要素が多い商品を本気で発売するつもりなのでしょうか。その怪しさはEVやHVの発売時とは比較になりません。
独断と偏見に満ちた拙い持論で恐縮ですが、結論から言えば「あ・り・え・な・い」です。(笑)苦労をされた世界でも一線級と言える開発者の方々には大変申し訳ありませんが時期尚早、あるいは最悪のケースで言えば時間と労力の無駄になりかねません。他分野に役立てる事は可能かも知れないので、そちらに舵を切るべきではないでしょうか。
第一、電気分解して水素を抽出し、さらにそれをマイナス253度に冷やして液化するならば、その電力でクルマは十分走るという事です。つまり通常のEV以上のアドバンテージがどこにあるのかが疑問なのです。
同じ電力を使うなら、よりシンプルなEV で十分ではないでしょうか。電力を使って燃料を作る意味が分かりません。EVのアキレス腱である航続距離にしても二次電池の性能が上がって来れば解決する問題です。
従って燃料電池は都市ガスを原料に、固定して使用する家庭用などの場合は十分に魅力がありますが、危険を顧みず移動するものに液化水素を搭載するという選択肢はないのではないでしょうか。重厚長大産業の維持という目的の為に資源の無駄遣いはあり得ない選択と言えます。
(最近のトヨタの傾向ですが、デザインがダイナミックだ/トヨタのFCV)
では近い将来は世界中が全てEVになるかと言えば、これも疑問です。と言うより個人的には願い下げです。何かつまらないじゃありませんか。(笑)モーターでヒューと走るクルマなんてオモチャみたいです。
幸か不幸か現時点でその可能性は低いと言えます。充電時間が長いという欠点や高速に弱いモーターの特性で高性能車には難しいという事だけでも萎えるのですが、常に電力を外部から供給されなければ走らないという致命的問題を抱えます。
そもそも、夜家庭で充電すると言いますが、集合住宅の場合はほぼ不可能です。一戸建ての場合は設備をすれば毎日の充電(200ボルトで7〜8時間)は可能ですが、その手間はけっこう苦痛ではないでしょうか。筆者のような無精者には耐えられそうにもありません。
さらに日本だけで見ても最終的に現在の保有台数である8000万台をEV に置き換えるならば、100万キロワットクラスの原発が20基近くは必要となると言われています。非現実的と言わざるを得ません。
従って再生可能エネルギーで大半の電力が賄えるようになる2050年以降であればともかく、その前にその選択肢はないと言えます。二次電池始めEVとしての性能自体は改良されるでしょうし、非接触充電の技術も実用化されると言われていますが、肝心の電力供給がどうにもなりません。
従って余剰夜間電力の範囲で商業車も含め、特定エリアでの使用やコミューターとして少数は生存権を得るでしょうが、長距離移動用や高性能車、つまり家庭用としてのメインにはなり様がないと思われます。
日本でさえこの有様ですから、それでなくても停電が多い途上国でEV の選択肢は考えられないのですが、大気汚染問題を抱える中国あたりはかなり本気なようです。
しかしながら常識で考えれば分かりますが、中国が日本並の対人口保有率、つまり8億台もの保有になるならば、その内のEV比率は数パーセントも難しいのではないでしょうか。
尤も、今年並の年2000万台以上の生産台数を維持するとして、8億台に達するのは30年以上未来の話ではありますが。。まあ、途上国の場合、高効率化されダウンサイジングしたレシプロエンジンが妥当です。小型車や乗用車はガソリンエンジンでトラックやバスなどはクリーンディーゼルという事になります。
(クリーンディーゼルは欧州では実績がある。メルセデスE350ブルーテック)
現行先進国並の排ガス規制なら大気に対する汚染度は他の原因を大きく下回るのではないでしょうか。中国の場合は暖房や鉄鋼、冶金、化学工業などの石炭による汚染が激しいので、EV以外のクルマは未だ未だ増やすポテンシャルがあります。但し、石油価格が劇的に上がらない事が条件です。
そもそも途上国で最先端の技術を商品化し展開する事のリスクに思いを巡らせない訳にはいきません。その技術は何処から得るのか、日本などから買うとしても、その先のメンテや改良、技術革新はどうするのか、また先進国でも経験のない問題が起きた時にスケールの大きさは致命的です。
つまり、先進国で十分に実績のある技術の範囲内で将来設計をし商品を展開、自国の技術レベルが自律的に上がって来るのを待って先進国で経験済みの次のステージへシフトするのが妥当なのですが、一気に背伸びしたがるのは悪い癖です。
長くなりますので、続きは次回にさせて下さい。ここ20〜30年単位で見た場合の先進国での本命であるHVのポテンシャルについて書きたいと思います。筆者は技術屋ではないので、あくまでもデザイナーとしての視点です。
因にタイトルの「クルマに未来はあるか」ですが、この質問を先日中国の某自動車メーカーで受けました。何か我々にはない危機感でも持っているのでしょうか。答えはもちろん「自動車は永遠に不滅です」でした。(笑)地球の許容が限界に達する前に人類の英知が問題を解決するでしょう。楽観的か。。
ブログランキングに参加しています。共感いただければクリックをお願いします。
| 固定リンク
「自動車」カテゴリの記事
- クルマの価格が5分の1になる日(後編)(2020.11.24)
- クルマの価格が5分の1になる日(前編)(2020.11.18)
- BEV(バッテリー式EV)に未来はあるのだろうか?(2020.09.23)
- EV vs HV (後編)(2020.03.27)
- EV vs HV (前編)(2020.03.23)
コメント
そうそう、こういう話がおもしろいです。これからもよろしくお願いします。
投稿: 八丈島 | 2013年12月 3日 (火) 19時30分
田中社長の更新が無ければ寂しい思いをしますが、新しい更新が有る度に考え込んでしまいます。今回は自動車の進化は生物の進化をなどっている様で動力源はその時の環境でいかようにも変化しそうです。また、敗戦国日本で独自に開発されてきた軽自動車を世界標準に出来るのでは?とか。
先週ホンダのディーラーさんでNワゴンの作り込みにびっくりしました。
日本以外では作り込みすぎのような。
もっとも、私自身はスバル党で水平対向エンジンのサウンド以外は性能に
関係なく生きている間はごめんです。
投稿: toro | 2013年12月 3日 (火) 22時11分
HVやPHVはすでに実車になっているので違和感を持たれないのでしょうが、EVやFCVは始まったばかりでピンとこないというのが大方の印象ではないでしょうか。
しかし、(今のところ)資源の乏しい日本が生きていくためには技術力を常に磨き続けないかぎり、今の生活水準を維持できないと思います。
ご存じのとおり水素は非常に分子が細かく、単に金属ボンベに閉じ込めて利用できる代物ではありません。万が一漏れれば大爆発をしかねないやっかいなものです。
だからこそ水の電気分解で無尽蔵に作り出すことができる燃料電池車の開発が日本を救うことになる訳で、開発には相当の困難が伴いますが、それが日本の生きる道とも言えます。
投稿: 三郎 | 2013年12月 4日 (水) 10時40分
燐家のドロドロと鳴るBMWの重低音は今でも魅力的です。我が家のHV車の何とも味気ない音。昔若者だったものは、車に対する思い入れも根強いものがあります。
免許取り立ての頃 自動車は決して自動では動かないんだと妙に納得した記憶があります。今は大分進化して自動に近いものが出来つつ有るのでしょうか。安倍首相も興奮してたとか。
将来年老いたら近所の買い物に行ける位の、ゴルフ場の電動カートに毛の生えたような小型の自動運転の車が出来ればなーなんて思っています。
夜間電力が安いのは ON OFFが難しい原発の夜間対策なのです。逆に石炭にしろ石油にしろ燃やしっ放しでは耐えられません。ですから 夜間充電前提の車は原発抜きにしては意味ないのでは。
福島の四つの発電所が爆発したのは水素が爆発したのです。昔、飛行船というのは水素で浮かんでいたのですよね。それで数々の爆発事故を起こしています。
今は制御できるようになったのでしょうか。
とはいえ、あらゆる可能性に挑戦して貰いたいものです。ガラパゴスで良いじゃないですか。
投稿: 古希のネトウヨ | 2013年12月 4日 (水) 15時59分
以下、古希のネトウヨ様の投稿の一部です:
福島の四つの発電所が爆発したのは水素が爆発したのです。昔、飛行船というのは水素で浮かんでいたのですよね。それで数々の爆発事故を起こしています。
今は制御できるようになったのでしょうか。
・・・え~と、私の知る限りでは、現代の飛行船・アドバルーン等は不燃性であるヘリウムガスをつかっていますが、めちゃくちゃ値段が高いらしいです。
飛行船の爆発事故の例:1937年のドイツ→アメリカへの大西洋横断飛行をしたヒンデンブルグ号の爆発事故原因については謎が多く、飛行中に蓄積された静電気が浮揚ガスの水素に引火した説、何者かのテロ説、サボタージュ説、構造上の欠陥説、漏電説、自然現象説、などがありましたが、根本的な原因は台頭しつつあるナチスドイツの象徴であるヒンデンブルグ号などの飛行船を嫌ったアメリカがヘリウムガスのドイツへの輸出を停止した結果、やむなく水素ガスを使った結果、爆発・炎上したらしいです・・・以上。
投稿: AZ生 | 2013年12月 4日 (水) 17時09分