2030年、日本のモータリゼーション
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日本のハイブリッドカーや、省エネ環境技術が世界をリードしている話を散々して来ましたが、では10〜20年くらい先の日本のモータリゼーションはどういう形になっているでしょうか。今日は筆者なりに占って(願望?)みようと思います。
まずFCV(燃料電池自動車)や純EVは、例えば限定エリアなどで、またEVの場合コミューターや公共交通機関、あるいは特殊用途として少数は生き残るでしょうが、二次電池の能力が劇的に向上したとしても、50年先はともかく10〜20年で大幅に増える余地はないと思われます。
原発を縮小し、今のLNG 比率の上がった火力発電が日本の電力のメインである限り、これらのクルマの生存空間は増えようがないのです。笑えない話として、先日米メディアが、中国ではEV一台あたりの大気汚染がディーゼルバス一台に相当するというショッキングなデータを伝えていました。
EVに電力を供給するために、発電の70%以上を占める石炭による火力発電をさらに増やすのではクルマだけをクリーンにしても全く意味がないという事なのです。それならWell to Wheel (井戸からクルマまで)で見て最もクリーンと言える日米欧スペックのガソリン車を増やした方が、大気にとってはよっぽどましという事になります。
日本の火力発電の場合は中国などと違って極めてクリーンだと言ったところで、こちらは発電量そのものに限界があります。これ以上火力発電が増えれば貿易収支の赤字が慢性化し、かと言って再生可能エネルギーによる発電比率が10年や20年で3.11前の原発並になるとも思えません。
という事は、高効率化、省エネ化が多少進んだとしても、その余剰電力は経済成長分に回すのが精一杯で、EVや液体水素を作る為に多くの電力を消費するFCV までは面倒見れないのです。そういう理由でPHV(プラグインハイブリッドカー)も数を増やす意味はありません。
そもそも、価格が高く、重たくてかさばるリチウムイオン電池を、動力性能やトランクスペースを犠牲にしてまで大量に積む意味があるのか疑問なのです。通常のハイブリッドカーの4〜6倍のリチウムイオン電池を搭載するプラグインタイプ(PHV)は、それだけで140〜200キロの重量増となります。
これは操縦安定性や動力性能に少なからず悪影響を及ぼしますから、その分補強をしたり大出力のエンジンやモーターを積むのではいたちごっこです。家庭などで充電する事によりランニングコストが下がる事は魅力かもしれませんが、増加した電池分コストを回収出来るかと言えば、甚だ疑問と言わざるを得ません。
それなら一回のガソリン補給で1000キロ近くも走る普通のハイブリッドでいいじゃないかという事になります。さらにPHVをセミEV として通勤に使っている場合などは、毎日自宅で充電しなければならない手間もバカになりません。それが疎んじられるようになるのは時間の問題ではないでしょうか。
上記事情を読んでいるからこそ日本の自動車メーカー各社はガソリンエンジンとの高効率ハイブリッド化を血眼になって進めているのです。恐らく1000cc以上の乗用車の大半はこのタイプになるのではないでしょうか。
もちろん660ccの軽自動車は重量やコストの面でハイブリッド化は難しいので、従来通りのやり方にならざるを得ません。つまり既存技術を延長線上で限りなく個別デバイスを磨いていく方法です。
ただ、世界でも特殊なこのカテゴリーが生き残るかと言えば、そこは微妙なのではないでしょうか。自動車税も50%上がる事が決まりましたが、軽の枠そのものが意味をなさなくなりつつあります。安全性や輸出を考えた時に、枠はフリーにする必要に迫られるのではないでしょうか。
筆者は発展途上国こそリッターあたり35キロ(JC08で)も走る日本の軽自動車の技術が必要だと考えます。コスパを考えれば、世界で飛躍的に増えるポテンシャルがあるのです。いや地球環境の為にもゼロエミッションへ(完全クリーン)への過渡期における対策として増やすべきではないでしょうか。
今の660ccから1000ccの間くらいで、大人が四人乗れる立派な小型車が出来るのですから、それをガラパゴス化してしまう手はありません。日本の軽薄短小技術は世界の為にこそあります。
(ベストセラーのホンダN BOX 室内は上下と縦に広いが、幅がないのが玉に傷)
その場合、サイズも3400 X 1480 X 2000 以内に限定する意味は全くないので、無理のない範囲で大きくすればいいのです。全長はともかくとしても、幅は安全性に直結しますから1550 位は欲しいです。
世界から見れば日本の七不思議としか言えない軽自動車は、以上の理由で世界の為にも枠を外すべきではないでしょうか。軽メーカーは自動車税を上げる条件として、泣き寝入りせずに枠の撤廃を提案されてはいかが(?)
税金の他にも車庫証明がいらないという特典があるって(?)それは最初から変です。車庫がなくてクルマが保有出来る筈はありません。正常化して普通車並にしましょう。結果的には軽規格の抜本的見直しになりますが、それなら税金もサイズではなく燃費やクリーン度で等比級数的に割り振れば恨みっこなしです。
整理しますと、1000cc 位までは従来のガソリン車、1000〜1800は1モーターのシンプルなハイブリッド、1800〜2500は2モーターのフルハイブリッド(ホンダアコードやトヨタプリウスタイプ)、それ以上は2あるいは3モーターで4WD も選択肢に入る高性能カテゴリーのハイブリッドになるでしょう。勿論いずれもガソリンエンジンとモーターとの組み合わせです。
ディーゼルは乗用車の一部、例えばSUV 等の低速トルクを必要とするジャンルには積極的に活用するべきです。石油精製時、連産品の無駄をなくす為にも政府は何らかの形で支援すべきではないでしょうか。最も厳しい排ガス規制が条件である事は論を俟ちません。
何か大メーカーの社長になったみたいで楽しくなって来ました。(笑)問題は商業車ですが、未だPMなどの排ガス規制値が乗用車よりゆるいのが気になります。PMに関しては西の方から飛んで来るものだけにしてもらいたいのです。つまり日本では排出ゼロとすれば原因が明らかとなります。
ここも現在既に存在しているようにハイブリッド化の可能性はありますが、ただでさえ重い重量がさらに重くなるので軽量車には向きません。ターボやスーパーチャージャーなどの過給機デバイス、あるいは周辺機器の進化が求められます。
2030年はともかくとしても、この日本発の新パラダイムが世界に波及すれば、暫くの間はそれでいけそうです。世界がその段階に達する頃、先進国は次のステージに移行しているという訳です。
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