「風立ちぬ」を見て
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また忙しさにかまけて更新が遅くなりました。仕事は悪い事に短期に集中するのが常で、今回のは殺人的だったのです。幸い生き残りましたが。(笑)
さて、本日は昨日見たアニメ映画「風立ちぬ」について書きたいと思います。先週やっていたテレ東の「永遠のゼロ」テレビ版との対比という意味でも興味深かったのです。
まず永遠のゼロですが、がっかりするくらいの駄作でした。あれだけの長編にする意味がどこにあるのかというくらい間延びしていたのです。そういう点でも映画版が圧倒的に勝っていました。
キャスティングも向井理ではどうかと思いましたが案の定です。(笑)あの現代風童顔では感情移入出来ないし芝居も上手いとは言えません。映画の岡田君は抜群に上手かったし零戦パイロット役にバッチリはまっていました。
シナリオそのものに無理があるだけに役者の出来によって大きく評価は変わるのでしょうか。女房の松乃だけはテレビ版が、個人的には好きです。ああいう清楚な感じは井上真央さんには酷だったのかもしれません。
それはともかく、アニメはその心配がないのです。ただ作者のイメージを投影すればいいだけです。しかし堀越二郎本人とアニメのイメージは重なりました。ジブリ作品の主人公となる人物像はいつも金太郎あめではありますが。。(笑)
それにしても宮崎駿という人物よく分かりません。公の場での発言を聞くと左翼かぶれの浅はかオヤジにしか思えないのですが、作品はしっかりとした主張、思想を感じます。公の場では猫でも被っているのかな。(笑)他の作品にもそれらしきものを感じるのですが、発言とのギャップに戸惑ってしまいます。
結論から言いますと作品は出色の出来映えと言えるのではないでしょうか。下手な映画顔負けです。長い作品でしたが、集中力を切らす事なく観ることが出来ました。絵も素晴らしいし細かいところも描けています。大人の鑑賞に堪える作品と言えるでしょう。
内容はご存知のように零戦を産み出した日本人天才技術者の話です。それを悲恋の恋愛ドラマ仕立てにしているところがビジネスオリエンテッドのハリウッド的と言えなくもありません。ここはフィクションですが上手い演出で結構泣かせてくれるのです。(笑)
ともあれ、当時欧米先進国に致命的に遅れていた航空機技術を劇的に挽回し、劣勢を優勢に転換するなど夢のまた夢と思われていたものを見事に成し遂げた事は、結果として海軍の開戦の決断に影響を与えたと言われています。ひょっとしたら勝てるかも知れないと思わせるものがあったのです。
それは第一次大戦までは制海権を握ったものが覇者でしたが、この戦いから制空権がそれに取って代わる事を予感していたからでしょう。つまり航空機技術の発達と共に制海権を守る事が出来るのは大鑑巨砲より航空機の実力次第という事になっていくのです。
もちろん戦闘機が攻撃の主体という訳でなく、足が遅く動きも鈍い爆撃機を援護する直援機としての役割りですが、それには敵の戦闘機より優れた性能でなければ意味がありません。
それを世界で最初に証明したのがハワイ・マレー沖海戦始めとする大東亜戦争緒戦という訳で、連合国を震撼させました。特に零戦や爆撃機に搭載する爆弾、魚雷の性能を含む日本の航空戦力を過小評価していた米は焦ったのではないでしょうか。それは聞いてないよ。って。。(笑)
開戦後わずか3日でアメリカ太平洋艦隊とイギリス極東艦隊を全滅させ、その後2年間に渡って西太平洋と東インド洋の制海権は日本軍の掌中にあった訳ですから、本当にやり方次第で勝利の美酒を味わえたのです。
英米は植民地であったフィリピンやシンガポールからも追い出され一敗地にまみれますが、反対に植民地であったアジア諸国は勇気づけられました。同じアジア人が英米に勝つのですから画期的です。戦後の独立戦争に繋がっていきます。
さて、零戦に恐れをなした米は大出力エンジンの戦闘機開発に躍起になります。特段の進化がなかった零戦は、ベテランパイロットの消耗と共に徐々に劣勢に立たされていくという訳です。
圧倒的優勢だったミッドウェイ海戦になぜか惨敗し日本の夢はついえました。その点で日本軍の人命軽視と兵站に対する姿勢、あるいは情報戦軽視は問われるべきです。日本に戦争犯罪があったとすれば、そこではないでしょうか。
(これは戦後の実際の画像だそうです。ゼロの墓場か)
その代償、つまり強くなり切れなかったせいで日本は焼け野原にされ、310万人もの犠牲者を出しました。そのあたりもアニメでは最後に累々たる飛行機の残骸で表現しており、戦争の悲惨さを訴えているという訳です。
実際の戦闘場面はありませんが、戦艦長門他兵器類も多数出て来て作者の兵器オタクぶりも披露されています。本当はまんざらでもないのとちゃう(?/笑い)靖国神社にも参拝していたりして。。
いずれにしても技術者の本能的パフォーマンスは時代と場所、使う人によって大きく結果が変わって来るという見本ではないでしょうか。最悪は原子力ですが、平和利用というのが詭弁に思えて来ます。あれだけは開発されない方がよかったのではないでしょうか。。。
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コメント
以前、何かの記事で読んだのですが宮崎氏の父親は戦時中航空機の部品を作る会社を遣っていて、当時かなり裕福な家庭環境にあったようです。敗戦後裕福な家庭のボンボンによくある、一種奇妙なヒケメからウスアマサヨク思想に嵌ったようです。ですから人前での彼の言動は照れたようなサヨクのそれのように感じます。
でも技術的な面はしっかりしており、「くれないの豚」のようなイタリヤを舞台にした初期の航空機のアニメは良くできていて、私の好きな作品です。
投稿: ナベ | 2015年2月25日 (水) 14時13分
「風立ちぬ」を見て
・・・小生はDVDにて見ました。画像/ストーリーとも美しくてメルヘン指数100%(ハリウッド的に娯楽っぽい!?)ですが充分楽しいけれどセンチメンタルにもなって、あ~自分の工業デザイナーという職業の選択は良かったのだな!と(根拠無く!)納得しています。
宮崎駿さんが描いた堀越二郎さんのキャラクターは、天才設計家で決断力がある(異議なし)が多少浮世離れした心が優しく情緒的な一面もお有りになる性格と描いている印象を持ちましたが、私が以前(57年前!)靖国神社にて零戦のサイドビュー決定の根拠をお聞きした時の様子を再現してみましょう・・・
多分何か格式あるセレモニーの開始直前、偶然私が立ち会った瞬間だったと思います。零戦52型を遊就館へ奉納する式展であったかもしれません。
私は思わず質問しました。 Q;ゼロ戦は、サイドビューで見ると、ツエッペリンみたいな理想流線型と私は解釈しておりますが、堀越さんはどの様な論理で形状を決定されたのですか?
Ans;Engが空冷でしょ!従って、円形断面をそのままスーッと後ろまで素直に延長しただけですよ。。。(そんなこと、見れば解るでしょ)
・・・そうかあ、(不純な)美学が入り込む隙はなくて、完全な合理性から組み立てられた設計なのですね!
・・・しかし、キャノピーは行灯っぽい桟だらけなのに、とても美しいのは何故でしょうね~、美意識も少しは入っていますよね!
http://ust.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-e735.html
投稿: Carly | 2015年2月27日 (金) 07時25分
「風立ちぬ」を見て
・・・真面目なコメントから少し角度を変えたエピソードをご披露致します。
昔、TVドラマで水戸黄門役で一世を風靡した俳優の西村晃さん、実は特別攻撃隊白菊隊の搭乗員でありました。出撃直前に終戦になり、なんとリアシートに見送りに来ていた奥さんと赤ちゃんを乗せてトットと故郷に帰っちゃったそうです。軍規違反も恐れずに・・・これって“日◎芸術学部的獰猛さ”なのかしら?私も見習おうっと!
同期の隊員では茶道の流派の一つである裏千家の家元“千玄室”さんとのお2人のみが生き残られたのです。
投稿: Carly | 2015年2月27日 (金) 17時06分
私はこの映画の良さが全く理解できません。
単に戦争で大変なこともあったけれども飛行機を作る人の浪漫を追及した結果の映画としか捉えられなかったので。
悲惨さや可哀想感を強調する蛍の墓(題名間違えていたらすみません)よりも少年の単なる素晴らしい飛行機が作りたいの夢に、第二次世界大戦の事柄を絡めているのが嫌いです。加えて、ラブロマンスを絡めているのもいただけないのです。結核だったら主人公にも移っているのが普通なのに・・?。移らず他の関わる人も病気を怖がって忌み嫌う言動をしていません。
夢のような美しい物語にしているところが私は嫌いです(お涙頂戴の戦争の映画も私は好きではないので私が変に捩じれて受け取っているかもしれませんが)。
投稿: nao | 2015年3月 1日 (日) 02時08分
「風立ちぬ」を見て
・・・この作品は単なる御伽噺(メルヘン・・・お花畑さんの夢物語)と思えば良いのではないでしょうか?
それ以上でもそれ以下でもありません。堀越二郎さんも天国で気を揉んでいるかも・・・
投稿: 一映画ファン | 2015年3月 2日 (月) 04時38分
前回強く否定的な内容でしたが、良いと思う方の気持ちを否定するつもりはありません(私には理解できないだけで・・・)。
映像の美しさと飛行機の描写は素晴らしいがこれに感動するポイントは何なの?とあおりがあったせいか、全くわからん!のが疑問です。
答えを求めているわけではないのですが・・・。
投稿: nao | 2015年3月 2日 (月) 23時37分
naoさん
男のロマンに対し、女性は往々にして醒めた目線を送ります。(笑)
まあ、構造的問題かも知れません。一映画ファンさんもおっしゃるように、あの手のアニメ(特にジブリ作品)はメルヘンとして観るべきでしょうね。内容がありそうでなさそうで、絵のクオリティに騙されるのかもしれませんね。私などには、それだけでも観る価値がありますが。。
投稿: 田中 徹 | 2015年3月 2日 (月) 23時43分