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2015年3月20日 (金)

日本のような先進国に外需は必要なのか

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--- TPP消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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予定していたプロジェクトが流れたので幸か不幸か時間が出来ました。(笑)という訳で、今日は14日の続きを書きます。

成功体験からか未だに貿易に対する幻想を抱いている日本人が多く、困った事にエコノミストまでが疑問を感じていないようです。なぜそう思うのか分かりませんが、円安で輸出が増えると喜んでいます。確かに短期的にはそれでもいいかもしれません。

今は貿易収支が赤字なのでGDPに貢献するためにも純輸出がゼロになるくらいまで輸出を増やすか、あるいは輸入を減らすか、そこはどちらも否定し難いです。もちろん出来る限り輸入を減らす方が健全である事は言うまでもありません。

ところで海外に売るものは何も一般消費財や自動車などの耐久消費財に限った事ではなく、インフラ輸出や観光による外貨獲得も含め総称して外需と呼びます。前から言っていますが、私の持論(偉そう?)は、外需依存では廻りが迷惑する重商主義でもない限り最終的に経済成長はないというものです。

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(新幹線を輸出しても途上国を利するだけというのは中国の例を出すまでもありません)

自前で資本財や優秀な生産財を作れない発展途上国なら外需依存は理解出来ます。産業の裾野が育っていず、ハードカレンシーも持たない韓国や中国がドル獲得に血道を上げるのは当然なのです。彼らにとって自国で作れない資本財等を買うために世界で使えるお金はドルや円、あるいはユーロしかないからです。経常赤字は死活問題になりかねません。

ところが先進国の場合は自国の通貨が国際決済に使えるケースがあります。尤もこれは相手次第ではありますが、日本も円建ての貿易は輸出で40%と結構多いのです。為替の変動リスクを考えると当然でしょう。技術輸出の弊社も基本円建てですが、クライアントが最初から円建てを前提としてくれるのです。その点自分たちの分というものをよくわきまえています。(笑)

これを見ても明らかなように、日本の場合、外貨を必要以上に溜め込む意味はありません。外貨準備が100兆円を超えているなんて無駄そのものではないでしょうか。しかも大半を米国債として運用していますから、喜ぶのは米だけです。

さらに日本の場合、対外純資産も増え続けています。一時的に貿易赤字とは言え所得収支の黒字が増えている事もあって経常収支は常に黒字を計上しているのです。これがまた所得を産みますから純資産は増える一方です。円安もあって昨年末時点で370兆円にもなりました。

つい最近ですが貿易赤字幅が大きい時に、誰か偉い先生がこのままでは日本は経常赤字国になって近い将来破綻するなどと言っていました。デタラメにも程があると言わざるを得ません。ご存知のように、そのリスクが最も低い国が日本です。

対外純資産、つまり余剰外貨が増えれば海外への直接投資も出来るし、そうなれば配当や利子収入も増え悪い事はないと言われるかも知れません。確かに親日国に投資して味方を強くするのは意味があるでしょう。しかしながら日本国経済全体で見れば大したメリットはないのです。空洞化を考えればむしろマイナスでしょう。

見るべき産業もなく金融で食っていく国ならいざ知らず、日本は強い製造業が経済を牽引する、自給自足型経済大国になり得る世界でも稀な国です。その線だけは死守すべきというのが私の持論の源泉で、経済に関する考えの基本でもあります。

例えば日本の場合、生産台数世界一を誇る自動車産業が日本経済を牽引していると言っても過言ではありませんが、今年の春闘でもベースアップの先頭を切りました。これこそが経済の肝なのです。

長年日本の産業はベアゼロ(あるいは雀の涙)が続いていました。当たり前の話ですが、これでは経済成長しません。もらったお金以上の出費は出来ないからです。しかも生産年齢人口が減れば給与所得者が減ります。日本全体での給与所得総額はじり貧を続ける事になりデフレの一因にもなりました。企業の内部留保が増えているのにも拘らずです。

三面等価の原則から言っても給料が減って消費が増える筈はありません。消費が増えなければ必然生産も増えないのです。そういう意味では今年のベアは非常に良い兆候と言えます。それでも、それは大企業だけで、サービス業などはベアはないのではと言われるでしょう。事実マスコミもそう言って騒いでいます。(笑)

しかしそう断じるのは早計です。給与所得が増えれば消費が増え、その結果生産も増えるのですから、トリクルダウンではありませんが、ベアの波は生産性の低い産業へと波及していきます。生産性の低い産業は補助金等の政府からの支援を除き、これ以外の方法で給与を上げる事など出来ないのですから、生産性の高い産業のベア程有り難いものはありません。

話が随分それましたが、貿易の話に戻します。例えば世界の国々が自給自足経済を確立していたとして、貿易量は伸びるでしょうか。もし世界中の人が清貧を美徳とする国民性なら貿易は原則必要ありません。ところが現実はそうではなく、多少贅沢もしたいし珍しいものも食べたい、となると貿易の出番です。キャビアとマンゴーを交換するなんて事は十分あり得るのです。こういう物々交換が健全な貿易の姿かもしれません。

しかしそれにも限界があります。自国で消化する量以上のものを作るにはそれなりの資源(人的、天然的)が必要ですから、持続可能な範囲というのは限られるのです。そうすると世界の貿易量というのは自ずと上限が決まります。

I03030103        (世界の貿易量もそろそろ頭打ちか?)

ところがややこしい事に技術革新かなにかで、そこにほぼ上限がない産業が表れたとします。例えば自動車としましょうか。日本のような先進国が際限なく作り続けたとします。一時は国内で1350万台も作っていたのですから、貿易摩擦や円高がなければ天井知らずだったかもしれません。

今は世界の生産拠点分を入れると年に2600万台も生産していますから、海外に出て行かなければそのくらい国内で作っていても不思議はないのです。

いずれにしても自動車を生産出来る国というのは限られますから、世界中に欲しい国は五万とあり、借金してでも買う事になります。そうすると日本にお金が五万と入って来る事になるのです。この場合ドルが多いでしょう。ドルは際限なく刷られますから売るだけ入って来ます。日本のメーカーはウハウハです。貿易黒字も溜まっていきます。

ところが日本という国には、ほぼ全ての分野の産業がありますから世界から買うものは決して多くはないのです。エネルギー他の天然資源系とブランド品、逆輸入品に食料少々というところでしょうか。折角ドルを貯めても大半は残してしまう事になり、仕方がないので世界に投資したりする事になります。

つまり儲けたお金を、製品を買ってくれたところに還元する訳です。それで喜ぶのは誰でしょうか。クルマをもらい、払ったお金まで戻って来る。。それでもう一台買えますね。(笑)つまり一台分の現金があれば二台手に入る・・・で、借りたお金を踏み倒せばクルマの価格は半分だった事になります。それでドイツはギリシャに怒っているのです。(笑)

さらに海外に自動車を売れば、お金は入るでしょうが。自動車というハイテクの塊のような資産は海外に行ってしまいます。さらにその自動車を使う事によるメリット、波及効果まで海外に取られるのですから、輸出は効率の点で大いに疑問なのです。

増してインフラ輸出などは言語道断です。将来敵になるかもしれない国の産業振興に貢献してしまう訳です。安全保障の点で全く論外と言うしかありません。安全保障の基本は軍事力よりむしろ国力の差です。中国が改革開放策を取るまでは全く存在感がなく、日本も歯牙にもかけていなかった事を見てもお分かりでしょう。

さらに貿易は搬送によるエネルギーロスや環境汚染問題もあります。これが地産地消ならなんの問題もありません。あの国富論のアダム・スミスも言うように生産は消費地に近いところで行うのが経済の基本なのです。

従って自動車などのように、国内に生産余力があるなら、その余った分の資源を未飽和の生産性が高くない産業に振り替えるべきである事は明らかです。現にデフレ下でも人手不足の産業は存在します。土木建築や介護分野などです。

生産年齢人口が増々減少する中、資源は有効に活用しなければならないのですから輸出に廻す余裕などある筈がありません。日本のような先進国にとって貿易や外貨の獲得はあまり意味がない、むしろ内需拡大の妨げになるという事がお分かりいただけば幸いです。。

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コメント

日本のような先進国に外需は必要なのか

・・・地産地消を基本とすると日本のような先進国にとって貿易や外貨の獲得はあまり意味がない、むしろ内需拡大の妨げになるという事は国民一人ひとりが認識するべきなのでしょう。自民の2F,河野一家3代、民主(ルーピー鳩、核マル枝豆、辻なんとか、)や日共、社民の様にイデオロギー遊びをしているヒマはありません。自立自尊の国家が1つの理想(武装中立国スイス?)と仮定すると、以下の様に解釈致します。

①金融・開発・生産・消費を含む経済建設はまず自国で賄うのが基本・・・TPP加入は反対したい。国内法より米国企業の方針が優先するなぞは愚の骨頂。

②食料・エネルギーをまず自国で賄う・・・地球氷河期はそんなに未来の事ではありません、太陽からの放射エネルギー次第で地球の温暖化/寒冷化は左右されます・・・TPP加入はぬらりくらりと回避する”ウナギ泳ぎ”で回避。農産業はモンサント(種屋)の家来にはなりませんよ。我が国は。日本の近海での”メタンハイドレート開発”とか”藻から石油”等の自前エネルギーの研究開発に力を集中するべき。他国の方針に国の存続が左右される弱点を持ってはいけません。

③統帥権を含む国防の備えは自国で行う・・・自立出来るまでは日米安保・NATO・豪州などと有効状態を保持する。

・・・4~5年まえから当ブログを中心にあれこれネットを読んで知識を蓄えた小生ですが、今時点でのコメントは上記の如くであります。。。

投稿: Carly | 2015年3月21日 (土) 15時41分

民主党=高速道路の無料化
民主党=ガソリン暫定税率の廃止
民主党=朝鮮学校授業料の無料化
民主党=在日生活保護世帯、母子家庭の更なる優遇
民主党=外国人に子ども手当を支給
民主党=消費税率の据え置き
民主党=日本の科学技術向上にメス
民主党=日本とアジア諸国との所得格差の解消
民主党=韓国民の生活が第一!

小沢一郎、鳩山由紀夫、菅直人、細野豪志、枝野幸男、原口一博、野田佳彦、前原誠司、陳哲郎、蓮舫、岡崎トミ子、辻元清美、赤松広隆、岡田克也 網膜剥離天皇制反対植木職人竹島は韓国領

韓国人に人生を捧げる反日変態議員
金正日喜び組を称賛する民主党議員一同

投稿: 岡田克也=糖尿網膜剥離天皇制反対肛門に香水を塗る | 2015年3月23日 (月) 01時27分

消極的鎖国論者

 今の私は田中社長やCarlyさんに近付いています。
 日本は約1億3000万人の人口で内需で遣っていける国です。韓国のように材料と生産財を輸入しながら加工貿易で外需に頼るなどしなくてよいのです。韓国では加工費を安くするために人件費を切り詰めるしかありません。それで国民は貧困化しているようです。その結果、お人好しの日本に鬱憤晴らしを向けてきています。よい迷惑です。
 今の日本が遣らなければいけないのは防衛と食料、エネルギーの自立でしょう。防衛は海空陸とも十分とはいえませんがある程度のレベルにあります。特に潜水艦と深深度魚雷は世界一です。近隣国の船舶の音紋はほぼ収集済ですから、いざと言う時、中国艦船は海に出るとほぼ全滅です。空では戦闘機のトップガンたちの錬度も高いです。残るは核兵器だけです。先日もロシアが核の事を云々していましたが、日本はこのような核の恫喝があるたびに日本国に3発目の核の被害を受けることは絶対に許せないと、強く反発し、それに備えるあらゆる手段を講じると、暗に核武装を仄めかし、実際にいつでも核武装できるように準備しておくべきでしょう。もしそれを米国が許さないならドイツのように米国との核のシェーリングを提案すべきです。潜水艦搭載の核を持つべきです。今から進水する4千トンクラスの潜水艦なら搭載可能です。
 食の安全保障はまず自給率を上げるべきでしょう。休耕田には飼料用の作物を、山間部の狭い田畑には補助金を出し平地とのハンデを補い、専業農家と兼業農家には政治的な配慮が必要です。農業はどうしても経済効率だけを推し進めるわけには行かない、TPPなど以ての外です。 
 エネルギーに関しては核分裂、融合をはじめ、太陽、風、海流、地熱、メタンハイドレードあらゆる事を研究開発し化石燃料だけに頼らないリスクを分散する工夫が必要です。
 我が国は2000年以上争い事を好まず、政治は権威を持った天皇と、天皇から委託された権力を行使する役割を持った者とが代理統治してきた、世界でも特殊な国です。
日本が生み出す製品や文化は国内だけで消費し、どうしても欲しい人には十分な利益を確保しながら売ってあげればよいのです。製品がガラパゴス化しようと良いのです。
寿司などシナ人に食わせる必要はありません。マグロなどバク食いされては迷惑です。
 どうしてもグローバル化したい経営者には適切な税制で対処すべきです。

投稿: ナベ | 2015年3月23日 (月) 11時04分

ナベさま

・・・ご共感くださいまして恐縮です、ありがとう御座います。

投稿: Carly | 2015年3月25日 (水) 03時03分

日本のような先進国に外需は必要なのか

・・・この表題にたどり着く前にはまず国内経済の活性化・強靱化が肝ですよね。で、直感ではありますが正直な所、消費税を下げるのが良いんじゃあない?!
税収は消費が活発になれば自然と上がる物です。こんな当たり前の事誰でも気がついているはず。それが出来ないのは外国からの圧力が強烈なのでしょうね(徹底的に日本人を痛めつけてやれ~的な)・・・それとも右や左のジャィアン国の経済担当者・TOPがばか杉だからなのか?植民地奴隷はしなない程度に搾り取るのがコツなんですけれどね~

・・・なのでやられているフリして密かに富国強兵を国家のコンセプトにしたいところです。HondaはF-1で頑張れ~三菱はF-3(平成零戦)で頑張れ~


投稿: かかし君 | 2015年3月29日 (日) 14時40分

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