50年早い中国主導のAIIB
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またまた忙しさにかまけて間が空いてしまいました。その間実に色々な事が起きましたが、ドイツのLCC 墜落は悲惨でした。被害者の家族はやりきれない気持ちでしょう。冥福を祈ります。。
しかし、かなりな高速度で山に激突したとは言え、あそこまで原形をとどめないものでしょうか。副操縦士の自爆説が有力ですが、どうも腑に落ちません。行方不明となった機と撃墜された二機のマレーシア機、またアルジェリア機の事故と言い、あるテーマで括った時に同じベクトルを持った事象がうっすらと浮かび上がる気がします。その話は不確実なのでやめときましょう。(笑)
さて、話は変わって何かとかまびすしい話題、アジアインフラ銀行(AIIB)です。中国主導でアジアのインフラ整備を目的とした国際金融機関の創設ですが、参加国の多さに驚きます。欧州各国までが参加表明している点も注目に価しますが、ロシアやブラジルまで参加するだのしないだのと言っているのはどういう事でしょうか。BRICS銀行はどうなっちゃったの?(笑)
BRICS銀行もAIIB も結局はアメリカ主導の現体制からの自立を目指すもので、ブレトンウッズ体制への挑戦と取れなくもありません。要は自分たちで好きなようにやりたいのです。アメリカに監視され注文を付けられる事に嫌気しているのでしょう。
ではAIIB には、それを可能にするポテンシャルがあるのでしょうか?世界銀行やIMF あるいはWTO が動かす現体制を向こうに廻し、それを上回る機能が持てるのか、その検証をする必要があります。ところが日本の一部マスコミやエコノミストは例によって「日本が世界から孤立する」「乗り遅れてはならない」と煽り立てるのです。中国様にくっついていれば、おこぼれに預かれるとでも言いたいのでしょうか。
昔、報道ステーションで古館伊知郎が中国の外貨準備が日本の外貨準備を超えた時に「さすが中国は凄いですねえ」と細い目を細め喉を絞るように言ったのを覚えています。この人の経済音痴ぶりは今更言うまでもないのですが、外貨準備を経済力の指標のように思っているのかもしれません。
言うまでもありませんが外貨準備高とは、貿易に支障が出ないように政府が予め準備する外貨の事です。あるいは為替の変動によって不利益を被る事が予想される時に、例えば日本の場合ならドル売り介入する為の資金です。反対にドル買い介入した時に積み上る外貨も外貨準備に加算されます。
これらは通常米国債などで運用されますが、当然増減はつきものです。日本の場合、80年代初頭の殆どゼロから2014年の1兆2千億ドルまで右肩上がりで増えて来ました。大半は米国債で運用されています。中には小泉さんの時の意味不明なドル買い介入、3.11後のドル買い介入によって積み上がった数十兆円もの米国債も含まれている訳です。円高を防ぐ効果は限定的でしたが、なぜかマスコミも突っ込みを入れませんでした。
一方の中国ですが、ハードカレンシーを持たない貿易大国故に貿易で得た外貨を相当量外貨準備として持ちます。さらにドルペッグするために常時ドル買い介入が行われ、それによって外貨準備は膨大に積み上がってきました。2014年末で3兆8430億ドルと言いますから吃驚です。何と日本の3倍です。凄いですねえ(笑)
ところが中国の場合はドル買いに必要な資金は政府が元を刷る事で調達しているようです。従って元は市場にそのまま流れます。いわゆる非不胎化介入というやつです。日本が、政府短期証券を発行し市場から資金を調達しているのとは全く異なります。
日本の場合円資金が市場に流れませんからインフレリスクはありません。これを不胎化介入と言います。黒田さんの異次元金融緩和はこれと逆の事をしている事になります。敢えて市場に円を流してインフレを促しているのです。
話は戻って、元の場合はドルの流入量に見合った元を発行していますから外貨準備を減らす事は経済の足を引っ張る事にも繋がります。という事は借りてでも外貨準備高を維持するしかないのです。いずれにしてもドルペッグをやめない限り膨大な外貨準備の保有、維持は避けられません。
因に中国の外貨資産は約600兆円、対外負債は400兆円で対外純資産は208兆円(2013年末)となります。その外貨資産の460兆円分が外貨準備という事です・・・おかしいですね。対外純資産が外貨準備高を下回っています。これが意味する事は何でしょうか。
日本の場合で言いますと、対外資産797兆円で負債が472計325兆円の対外純資産(13年末/14年末は370兆円)になります。外貨準備は約150兆円ですから外貨準備を差し引いても175兆円の純資産が残る訳です。
つまり中国の場合は日本同様(意味は違いますが)使うに使えない外貨準備という事で、実態はと言えば約250兆円も純負債がある事になります。しかも外貨準備は最近減る傾向にあるのです。景気の低迷や不動産相場の下落の中で、資金流出が年間で4千億ドル以上に上ると言います。これは投資には該当せず、消えて行くマネーと言えば分かりやすいかもしれません。
いくら輸出で稼いでも追っ付きませんね。(笑)つまり見え方と違って実は中国は火の車なのです。外貨が欲しくて欲しくて仕方がない韓国と似たような状況と言って差し支えないでしょう。観光で日本に来て爆買いするどころではありません。(笑)
莫大な外貨準備も裏を返せば将来のリスクです。いずれドルペッグはやめざるを得ず、その場合の為替差損は目を覆いたくなるような額になるでしょう。つまりドルペッグは損失の先送りなのです。将来にツケを廻しているに過ぎません。どこかで聞いたような(笑)
そんな中国が自国主導で、しかも総裁は元政府高官、本部は北京で主要言語は中国語でやろうと言っているのですから、AIIBは党中央の意思に左右される事は目に見えています。やはり何か企んでいるか、やけくそになっているかのどちらかでしょう。
AIIB の資本金は1000億ドル、その内中国が500億ドルを負担すると言います。アジアのインフラ整備にかかる費用は年間84兆円とも100兆円とも言われていますから、資本金の10倍くらいレバレッジを効かせたバランスシートのサイズが当面要求されるのでしょうか。
そのあたりは専門外なのでよく分かりませんが、いずれにしてもアジア開発銀行が2兆円程度の資本金で14兆円のバランスシートである事を思えば、それをはるかに凌駕する規模というのは大風呂敷とは言え不気味さが漂います。
ところが、そういう諸々の条件、環境を加味すれば、AIIBの資金調達の道はイバラの道と言わざるを得ません。資金調達のために発行されるであろうAIIB債は、どう考えてもADB債より低い金利でさばけるとは思えないのです。
という事は貸し付け金利も高くならざるを得ません。誰がそんな高金利で借りるでしょうか。それとも何か美味しい餌でもちらつかせて食いつかせる?あり得ない話ではないでしょう。しかし通常の銀行にはある信用創造機能は働きません。バランスシートを膨らませるには道を外しながらも地道な作業の積み重ねしかないのです。(笑)
結局、ビジョンも理念もなく、ガバナンスに問題が山積するような話が、スケベ心だけが先行して膨らみまくっている訳です。この膨らんだバブルは稼働前に破裂するのが中国のためであり、廻りの国のためでもあります。二年後には「そう言えばそんな話もあったねえ」になっているのではないでしょうか。中国はまず、普通の国になるのが先決です。
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