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2015年11月 9日 (月)

驕れるドイツは久しからず(前編)

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先日、ドイツ人はどうもおかしい、という記事を書いたところ、まるで私の言っている事を証明するような大変な事が起きました。(笑)にわかには信じられないような事件ですが、ここまで悪質なのは聞いた事がありません。

トヨタの欠陥問題は明らかな冤罪だったし、タカタの場合も確かな事は何も分かっていません。それらに比べたら詐欺罪とも言えるような犯罪的行為と言えます。米を相手になぜこのような暴挙に出たのでしょうか。

ともあれ、日本の場合で言っても、国の認証試験のやり方にも問題はあるのでしょうが、試験にだけいい成績を取れば、マーケットの事は二の次という空気がないとは言い切れないようです。

3年程前に、いすゞのフォワードが基準値の3倍というNox 値で、抜き取りテストの網にかかったのは必然と言えるのかも知れません。メーカーの意識の問題ではありますが、燃費の公称値なども実走行は半分程度に過ぎないというのでは、何の為の数字かという事になります。

そういう意味では全世界のメーカーは大なり小なり似たような境遇にあり、意識レベルも大きく違うとは思えないのです。そこで、目に余る例が見せしめのために吊るし上げられたという事でしょうか。それにしても、やはりどう考えてもVWの場合は度を超しています。

ボッシュから指南を受けて採用したという不正ソフト使用は、言い逃れの出来ない確信犯だし、騙すにしても米が相手では相手が悪すぎると言わざるを得ません。甘く見るにも程があります。

この問題は未だ流動的で最終的にどういう形になるのかは分かりませんが、ドイツ政府や公の機関が株の大半を持っている事実から、最悪でも倒産や身売りはないものと思われます。さらにボッシュが絡んでいるとなるとドイツだけの問題ではなく欧州全体の問題と見るべきなので、EU全体が保護主義に走る可能性があるのではないでしょうか。

元々日本車は自由貿易などという言葉とは程遠い扱いで、欧州市場からは半分閉め出されていました。従ってこの問題から漁父の利を得て日本車が欧州市場で大幅に勢力を伸ばす事はあり得ないと思われます。シェア始め、マーケット的には大して変わらないのかもしれません。

いずれにしても、今回の問題で浮き彫りになった事は沢山あります。まず、旧態依然とした拡大再生産にこだわっていたのはドイツで、何が何でも販売台数世界一の座が欲しかったようです。

一方の雄、日本はそこからは卒業しているように見えます。豊田章男社長の言葉にも現れていますが、決して数にこだわるのではなく、経営の質や顧客満足度、あるいは系列を含む持続可能な体制作り等に意識が向いているのです。

そもそもドイツの貿易依存度は高く、外需依存の体質は昔から変わりません。狩猟民族故の弱肉強食のDNAが重商主義的な動きにさせるのでしょうか。ギリシャ問題でも、そういう姿勢がよく出ていました。つまり、あの民族は自分たちが世界一優秀だと思っているので、無能な回りに対して寛容にはなれないのです。(笑)

確かにいいクルマは作ります。ガソリン車に限れば、特に高級車を含む高付加価値車のカテゴリーでは未だ日本車も歯が立ちません。デザインやコンセプトの素晴らしさは見習うべきところが多いのです。垢抜けしない日本車を見て小バカにする気持ちも分からないではありません。

ところが環境や省エネ分野では致命的に遅れを取ってしまいました。そこが彼らのプライドが許さないのでしょう。初めから無理筋だと分かっていたディーゼル乗用車に固執しドツボに嵌りました。常識で考えて、小型の乗用車に大きくて重いディーゼルエンジンを積むというのは無理があります。

特徴としてトルクが太く、ゼロ発進加速なども有利ではありますが、高速での伸び(燃費も含む)や機動性に欠けます。振動や騒音面でもハンデがあり、何よりコストが高いと来ているのです。

さらに増々厳しくなる排ガス規制に対応するには、DPFは当然として、触媒や尿素SCR等の高価な装置も不可欠です。三元触媒以外に大した浄化装置を必要としないガソリン車とは本質的に違うのです。

元々素性がいいガソリンエンジンと電気で動くモーターとの組み合わせ、つまりハイブリッドやPHEV のアドバンテージ、ポテンシャルは分かっていた筈、と言いたいのですが、ディーゼルの未来に夢を託したのは、頑に合理性を追究するあまり、柔軟性に欠けていたのかもしれません。

Ceramic_metallic
(マツダCX3 1500cc シーケンシャルツインターボ クリーンディーゼル、SUV のカテゴリーなら大きなエンジンでもハンデを吸収出来る。デザインもいいので人気の一台)

ところで世界で唯一、尿素SCR等の各種触媒に頼らず、DPF装置だけで厳しい排ガス規制をクリアしたディーゼルエンジンがあります。ご存知のようにマツダの SKYACTIV-D です。このエンジンは従来のディーゼルエンジンではあり得ない14という低圧縮比を実現しました。

ドイツ本国にその情報が上がった時に、そんな事は出来る訳がないと一笑に付されたという話を目にした事があります。自分たちに出来な事が日本人に出来るものかと思ったのでしょうか。

その低圧縮比技術とデンソーの高性能燃料噴射装置(コモンレール)の組み合わせが低コストのクリーンディーゼルエンジンを産み出しました。日本の技術力の高さを物語ります。ドイツでさえデンソーのコモンレール技術がなければクリーンディーゼルはあり得ませんでした。

ところが今となっては、それがちっともクリーンではなかった訳ですから、何をか言わんやです。因にドイツ(ボッシュ)のコモンレールは日本の研究所で開発されたもので、その研究者はデンソーから移った日本人技術者だという事のようです。

この話まだまだ続きます。

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コメント

VWフォルクスワーゲンは販売台数世界一にこだわり過ぎて、排ガスとか燃料消費を誤魔化すという・・・やっちゃあいけない事をしでかしてしまいましたね。
ゴルフ等は衝突安全で良い仕事をしているのに・・・会社の上層部は腐っているようです、残念な事です。

投稿: AZ生 | 2015年11月10日 (火) 20時07分

驕れるからこそドイツ!という見方もあるかもしれませんね。そしていつも最後にコケる。
ドイツ人が持つ鉄壁のプライドは傍から見ればかなりの石頭でございます。それを相手に押し付けさえしなければうまくいくと思うのですが、まず無理でしょう。
同じように驕れるからこそ中国という事も言えると思います。ただ、中国の場合は世渡りは上手いのですが、いつも外からではなくて必ず内部崩壊を繰り返すのが特徴ですが。

この2国、昔から仲が良くてなにかとツルむのがすきなのですよね。
類は友を呼ぶ・・でございましょうか。

あくまでも私の主観でございますが(笑)

投稿: 南国通信 | 2015年11月11日 (水) 20時44分

ドイツも日本も上が腐っていたならこうなると思います。
クリーンに事を押し運ぶには今の状況は世界的に厳しすぎるような感じがします。
 日本もドイツも他の国でも何ぼでもこういう不正が発覚しないだけでまかり通っているのではないかと・・・。
 韓国も確か現代自動車とか言う企業が頑張っているし、たぶん中国もベトナム・タイ・マレーシア・シンガポール・インド・台湾など付け入る隙を狙っているでしょう。
 上が腐るのはどこの国でもよくあることと思います。
 はっきり言ってドイツのこの不祥事が出る前に、正す機能が働く会社だったのなら安泰でした。よくわかりませんが、上が腐ったとき今はなかなか正すことの出来ない世知辛いよりも厳しい社会情勢なのだと思います。そして今の自民政権は困ったときに見捨て、要らない時に口を挟みそうで大嫌いです。
 

投稿: nao | 2015年11月12日 (木) 01時14分

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