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2015年12月25日 (金)

発展途上国的発想から抜け出せない日本

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---- TPP消費増税 /カジノ解禁に反対します ----

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環太平洋パートナーシップ協定(TPP)発効に伴う日本への経済効果について、政府が国内総生産(GDP)を実質で約14兆円(約3%)押し上げるとの試算を取りまとめる方針であることが22日、分かった。関税撤廃や通商ルールの統一などで貿易や投資が拡大すると見込んだ。24日に公表する。
      
 政府はTPP交渉参加前の2013年3月にも経済効果の試算を示し、その時はGDPの押し上げ効果を3.2兆円としていたが、新たな試算は効果が4倍超に拡大する。13年当時の試算は、農産品の関税がTPP発効と同時にゼロになるとの前提で、関税以外の通商ルール統一の効果も勘案していなかった。(毎日新聞)

GDP600兆円やデフレギャップ8兆円などと怪しげな数字が跋扈するこの頃ですが、中でもTPPで14兆円(年)の経済効果とは、どういう根拠で言っているのでしょうか。その見識と状況判断力を疑わざるを得ません。

GDPの方は主に国内問題なので、その気になれば達成出来なくはないでしょうが、TPPには相手がいます。従って一方的に決めつける訳にはいかないのです。

第一米がTPPもに割り込んで来たのは年次改革要望書のような露骨な内政干渉なしに日本に干渉出来ると思ったからではないでしょうか。日本に貢ごうと思って参加を表明した訳でない事だけは確かです。

他の圧倒的に経済規模の小さい参加国を見ても米が本気を出して相手にしたい国があるとは思えません。その中で比較的大きな規模のオーストラリアは元々子分のようなものです。つまり常識で考えて、日本が標的である事は明らかです。

これまで日本は米国相手に散々貿易で稼いできました。多い年は9兆円もの貿易黒字を計上しているのです。そのため80年代には貿易摩擦が起き、さらに85年のプラザ合意で異常な円高を呑まされたりと、散々痛めつけられて来た経緯があります。その結果が世界中への生産拠点拡大と国内デフレです。

つまり、今なお続いている巨額貿易赤字を含む経常収支の赤字を少しでも減らす為に何かを仕掛けたいのは米の方で、その相手は日本しかいないのです。対象をTPP参加国以外に広げても、自国産業が巨額投資をしている中国に対しては手が出せません。

何かを仕掛けると必ずブーメランとなって自国に戻るからです。米には対中貿易赤字を放置せざるを得ない事情があると考えるのが自然ではないでしょうか。

つまり、その、どの国からも標的にされるであろう日本が、誰を相手に14兆円もの巨額黒字を稼ごうというのか、全く見当もつきません。さらに生産拠点の海外移転が進んだ日本は貿易に関する限り、どこからどう見ても不利なのです。

そもそも世界規模で見てゼロサムとなる貿易で稼ごうなんていうのは発展途上国的発想です。影響力の小さい弱小国なら許されますが、日本程の大国で、しかも使えない対外純資産が溜まりまくっている国が、さらにというのは強欲に過ぎるし賢明とは言えません。第一相手国が許してくれないでしょう。

貿易収支はせいぜいプラスマイナスゼロにして余剰生産、資源は国内に廻し、内需主体で経済を活性化すべきです。どうしても外貨が欲しいなら所得収支で稼ぐというのが大人の先進国というものではないでしょうか。

TPPで投資が拡大するというのもよく分かりません。海外への投資なら、既に十分すぎるくらいしているし、逆に日本への投資にしても、技術大国で物が溢れまくったデフレの日本に積極的に来る企業があるとは思えないのです。これまでに進出して来た企業だって殆ど撤退しています。どこからどう見ても14兆円は風呂敷広げ過ぎです。

しかしながら、こう書くと必ず「国内に需要がないのだから外需依存はやむを得ない」という人が出て来ます。先進国は物で溢れているので需要がなく、成長が鈍化していくのは当たり前と言いたいのでしょう。しかし、それはそう思わされているだけではないでしょうか。

私に言わせれば、全くそんな事はありません。(笑)成長速度が先進国になる程鈍化する事は否定しませんが、国民一人当たりで言えばまだまだ可能性があります。確かに必要最低限のものは持っているかもしれませんが、だからと言ってもっといい生活をしたくない人がいるとは思えないのです。

耐久消費財で言っても、免震構造で広く斬新なデザインの家に住みたくない人は殆どいないだろうし、広くなればいい家具だって置きたい訳です。クルマだって本音を言えば短期間で買い替えたい筈です。

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(歳を取って運転がおぼつかなくなったら、こういう自動運転のクルマで楽をしながら日本中を回ってみたい。その気になれば手動に切り替えられるのもいい。)

新車で買った人が3年で買い替えれば販売台数は新車、中古車共に倍増します。その方が地球の為にもいいし、エネルギー消費も減って来る事は自明です。何より安全性が段違いに高まります。

省エネ化始め、技術的にどんどん進化する家電製品に至っては言うに及ばずです。すなわち、どう考えても欲しい物は回りに溢れているのです。それを既に飽和状態だと言う人の生活を見てみたい。。そんな素晴らしい生活をしている筈はないでしょう。(笑)

それらの魅力的な消費財が輸入に頼らなければならないなら話は別です。せっせと外貨を稼ぐしかありません。ところが今や魅力的な商品は極一部の超高級品を除けば国内で得られます。いや、むしろ日本製の方が高性能だし信頼性も高いのです。

そうは言っても、お金がないのだから仕方がないと言うなら、あなたは真正の経済音痴です。又はお上やマスコミの言う事を盲目的に信じている模範的な国民(為政者にとって)かもしれません。日銀が異次元の金融緩和をして国債を買い取っている事の意味が分かっていないのです。

問題は折角刷ったお金の大半が国民に届いていない事です。この件話し始めると愚痴も混ざって長くなりますから、また別の機会にします。(笑)

ともあれ、日本のような供給力のある技術立国で万年経常黒字の経済大国が、マネタリーベースをいくら増やしてもご存知のようにインフレにさえなりません。しかも今は管理通貨の時代です。高橋是清が活躍した時代のような金本位制であれば、貨幣の供給量には気を使うでしょう。

その時代に金の裏付けのない貨幣を増刷する事は、正に通貨の信任問題になります。しかし今はそうではありません。日本のような供給過剰の技術大国は、その気になればいくらでも貨幣を増やす事が出来るのです。裏付けは技術力を含めた供給力です。技術力本位制と言ってもいいくらいではないでしょうか。

話が取り留めもなくなりましたが、そういう意味で国際的に最も価値のある通貨は、平和を前提とすれば技術力がナンバーワンの国の通貨である事は明らかです。つまり円です。

従って日本人なら円以外の通貨を持つ意味はあまりないと言えます。また国家としても、ドルやユーロなどで対外純資産をいくら溜め込んでも、その価値を担保するものがない限り大した意味はありません。それらは期限と保証のない借用書に過ぎないのです。

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コメント

内容に迷いがあるのでは?と思います。言い切って何人の意見も受け付けません。と言うのも考え物ですが、ふらふらしないで自分の考え方を大切にしつつ他人の考え方もしっかり受け付けると言う態度があれば私は頑張れーと思いますが。
 多分田中様は硫黄島様に同調する事は多い考えの方かもしれないとは思います。何の接点も無くなりますが、あなたは自分の考えを押し通しても全く問題ありません。私はもう結構と思うだけです。
 加えて私は最初から言いたかったのですが、私は人間性に欠陥があるのかもしれませんが、ひいきされるのもするのもそれをしている人を見るのも好きではありません。
 多分贔屓されてたような私が言うのはおかしいですが・・・少し嬉しかったです。

投稿: nao | 2015年12月27日 (日) 00時21分

田中様の言うとおりです

 安倍さんや甘利さんがTPPで外国から資本を呼び込むなんて事は今の日本で考えることは馬鹿げています。もう20年以上デフレが続いている国に投資をしようと思っているのはハゲタカファンドか日本のきれいな水と空気と治安を求める中国の金持ちくらいでしょう。外国の金を当てにするより日本の企業には金が余って唸っています。その金をいかに上手く投資に向けさせるかが政治家の仕事なのです。
 今、一番参考になるのはウオシュレットでしょう。将にトイレ革命です。最初から最後までウンチに触れずに用が足せる画期的な商品です。昔はトイレの事を御不浄と言いました。全く不浄な場所だったわけです。しかし今は全く不浄ではない場所になりました。このような商品を開発できる体制をどの企業も作るべきです。
 また、都心に住む人達は感じていると思いますが、山手線の内側には軽自動車がやっと入れるような路地裏に多くの木造2階建ての家が犇めき合っている場所があります。文京区や新宿区には今にも森鴎外や夏目漱石、樋口一葉の作品に出てくるような場所がまだ多く有ります。しかしこれは現代の生活人にとっては問題があります。現在の建築基準法では建て直すには大きな規制や制限が有り容積が取れません。でも資産価値は有って相続税には困っている人が多いのです。このような場所は適切な資産評価をして売ってどこかに買い代えるかその地に立て替えられるビルの一部を所有するかして都市の土地の効率的な利用を計ると内需が大きく伸びます。イメージの悪い言い方ですが「地上げ」です。30年ほど前の「地上げ」は銀行屋とヤクザ屋さんが組んで乱暴な遣り方が流行っていましたが今は双方納得がいく遣り方になっているようです。六本木ヒルズもそうして建った訳です。これからも都心の需要は無限ですし、都心よりも地方に住みたいという人も居て、それが地方都市にも伝播します。
 今の安倍さんの経済政策はTPPは眉唾物、補正予算は中途半端、何を遣りたいのかがはっきり見えません、もっと現実的な政策を示して欲しいですね。

投稿: ナベ | 2015年12月27日 (日) 21時59分

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