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2016年1月14日 (木)

日本の年輪、風雪150年(最終編)

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---- TPP消費増税 /カジノ解禁に反対します ----

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戦後の日本の政治の世界はず~と米の監視下、影響下に置かれています。相変わらず米軍基地が日本中にあり、国民に対してもマスコミを操作し、まともな方向に行かないよう常に目を光らせているという訳です。それでもたまに頓珍漢な政権が生まれ米を悩ます事になるのですが、最近でいえば民主党政権には、さすがの米もビックリポンだったのではないでしょうか。

あまりにも中国や韓国の方を向いて政治をしていたからですが、その時代に韓国の李明博大統領をして、民主党は私の手下と言わしめる程でした。さらに南北朝鮮の統一資金は日本に出させるとまで言わせるのですから、どこまでいかがわしい政党かという事になります。お仲間である反日マスコミはもちろん都合の悪い事実を報道しません。

尖閣諸島問題ではDNAがそうさせるのか、中国に対して土下座外交を展開し日本の保守系を大いに失望させます。その頃、私なども盛んに反民主党デモに参加していました。何とかして一番ましな自民党政権に戻さなければ日本は大変な事になると考えたからです。

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(私も参加した民主党の尖閣諸島問題に対する弱腰を糾弾するデモ/チャンネル桜主催 3500人が集まったがマスコミは一切報道しなかった)

その願いは通じ、程なく奇跡的に、自民党内でも最も右寄り保守(と言っても実際は真ん中くらいか?))を標榜する安倍政権が誕生する事になります。しかも日銀総裁を貧乏神ヌラリヒョン白川から真逆のリフレ政策を支持する黒田氏に替えたのですから期待は嫌でも高まらざるを得ません。

第一の矢である異次元金融緩和に大勢の人が期待しました。クルーグマン教授が言うところの「日本の問題はお金を刷る事で解決する」を地でいく政策ですから世界からの注目度も抜群だったのです。

その意味は日本の場合に限ってですが単純明快です。まず供給力が需要を上回る技術立国、内需大国で、経常黒字国だという前提をクリアしています。しかも現状がデフレですから日銀が多少マネーを供給しても経済成長するだけで問題は起きないのです。至極常識的な見解ではないでしょうか。

ところが結果は円安と、それにリンクする株高を招いただけに終わります。肝心な物価は消費増税もあって上がらず仕舞です。円安で期待された輸出増も既に円建て決済が増えている事や、致命的に増えた海外生産によって思った程ではありませんでした。

反対に輸入額は円高時代との比較で50%も増えるのですから大変です。資源系は殆どドル建てなので貿易赤字は一気に増える事になりました。マスコミはここぞとばかりに赤字、赤字と騒ぎ立てます。近い将来日本は経常赤字国に転落して破綻への道を転げ落ちるとでも言いたげな論調です。

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しかし、そこには小さな神風が吹きました。原油価格の下落です。シェールオイルやオイルサンドの商業化、産油国の増産などで1バレル40ドル以下にまで下がります。新しい油田も次々に見つかっているようで上がる要素を発見する事が困難なくらいです。それを見た国際金融資本が投機の対象から除外した事で原油の低値安定は決定的となりました。

つまり、ここ20~30年くらいは原油価格に一喜一憂する事はないという可能性が大となったのです。大きな戦争でもあれば話は別ですが、そうでなければむしろ下がり続けるかもしれません。

それが何を意味するかは別の機会に書きたいと思いますが、省エネ圧力はかなり下がると思われます。自動車なども燃費より排ガスの方がより重要視されるであろう将来が見えて来たのです。それが我々にとって何を意味するか、面白いテーマですが、これから考えていきたいと思います。

本文に戻って、異次元金融緩和だけでは日銀当座預金のベースマネーが増えるだけで大したマネーストック増に繋がらず、インフレにもなりません。その点でクルーグマン博士は間違っていたという人が少なからず出て来るのですが、これらの人は間違いなく財政再建派の人達です。日本がもう成長する事はないと信じている頭の悪い貧乏神達です。(笑)

私はエコノミストでもなんでもありませんが、常識的に考えて今の日本が金融緩和だけで経済成長しようというのは無理がある気がします。長年デフレに苦しみ節約や省エネが身に付いた国民に、いや、もっと言うなら、日本はこれからお金もないし人口も減って大変な事になると吹き込まれ続けて来た日本国民が、将来に期待が持てるから投資せよと、にわかに言われても動けるものではありません。余剰資金があれば株でも買おうかという事にしかならないのです。

では全く手がないのかと言えばそんな事はありません。第二の矢である財政出動を盛大にやればいいのです。つまり有効需要を増やす為の手っ取り早い方法はケインズの昔から公共事業と決まっているのです。災害大国日本ならやる事はいくらでもある筈です。

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      (日本の公共投資予算の推移)

ところが好事魔多し、「コンクリートから人へ」などと言って民主党時代に公共投資予算を致命的に減らしてしまっため供給力が激減していたのです。これでは金融緩和でマネーをいくら増やしても使えません。文字通り宝の持ち腐れとなります。

そこに増税をすればどうなるかは火を見るより明らかです。当然なるべくして今の結果があります。折角マネーを増やしてもそれを相殺してしまう増税や、不十分な公共投資、さらに財政健全化、あるいは観光立国やインフラ輸出、TPP参加(未定)などの外需依存策を採ったのでは景気が良くなる訳がないのです。クルーグマン博士もそこまでアホな事をする政権だったとは読めなかったでしょう。(笑)

ところで安倍政権は本当にアホな政権なのでしょうか? 浜矩子女史がいうように、アベノミクスはアホノミクスだったのでしょうか? 私にはそうは思えないのです。なぜなら政権をとる前には、もっとまともなことを言っていたからです。

今にして思うと麻生さんだって酷くまともでした。それがいつの日か変わっていく事になります。アフラックのがん保険を優先的に認めたあたりからでしょうか。そこは政治家らしいと言えばそうなのかもしれません。変節に対して恥の意識は弱いようです。しかも、挙げ句の果ては財政再建派へと鞍替えしてしまったのですからビックリポンです!

TPPにしても自民党は反対していた筈です。ところが今はどうでしょうか。参加する事が大前提のようになり、むしろそれが得意げです。何でもかんでも安倍政権には否定的なマスコミもなぜか騒がなくなりました。

いつの間にか、それが当然のような空気が醸成されているのです。はっきり言って百害あって一利もないにも関わらずです。先人が折角取り返した関税自主権を放棄するなど狂気の沙汰です。さらに恐ろしいのは国際条約は国内法に優先するというところです。

つまり、突き詰めれば多国籍企業の都合が優先され日本人の利益は二の次にされるのです。規制緩和とは外国企業を守り、日本人の権利を守らないと宣言するようなものではないでしょうか。

そんな事は政治家なら百も承知な筈です。ところがボケ老人のようにバックレてとぼけまくる? これでは安倍政権でさえ既に詰んでいると言わざるを得ません。やはり命が惜しいのでしょうか? 米による日本統治は最終段階にさしかかっているのかもしれません。

では日本の将来に全く希望がないのかと言えば、私はそんな事はないような気がしています。それは国民の覚醒によってある程度の挽回が可能だからです。正しい選択を積み重ねていけば、恐らくですが、また勝機は来るのではないでしょうか。

もちろん少しだけの時の運も必要である事は言うまでもありません。ポイントオブノーリターンに到達する前に手が打てればベストです。そこを過ぎると塗炭の苦しみが待っているでしょう。。正に時間との戦いになりますが、希望は持ち続けたいと思っています。

竜頭蛇尾と言うより、正月早々ちょっとヘビーだったかもしれません。(笑)

このシリーズ、今日で一応最終回とします。長らくお付き合いいただいて有り難うございました。。

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後書き

思えば75年前、日本は何かにとり憑かれたように大東亜戦争を始めました。罠を仕掛けられようが、それに応じなければ戦争は回避出来たのかもしれません。真珠湾を攻撃したせいで結果として310万人にも及ぶ犠牲者の山を築き国土は荒廃しました。

それだけを見れば何てバカな国と言われるかもしれません。確かに今回の記事でも書いたように突っ込みどころは満載です。しかし75年後の日本は終戦後から見て想像も出来ない程豊かな国へと変貌したのです。戦後生まれの人達、特に高度成長期以降の日本国民は愚民化教育のせいもあってか戦争の悲惨ささえ知りません。

世界に目を転じて、一部の地域で紛争やテロはあっても一見平和で豊かです。人々は植民地時代が昔あったという事すら忘れ去っているように見えます。自由に世界中を旅し、異国民同士が会話を楽しんだりします。最早人種差別など遠い昔のお伽話にでもなってしまったかのようです。

しかし、日本人として忘れてはいけない事があります。今日世界がそのような状態にあるのは日本が起ったからです。犠牲を顧みず、敢然と巨大な敵に立ち向かった成果としての世界が今存在します。戦いに敗れても結果的には望外の大きな成果を人類にもたらすことが出来たのです。

英国人で元ニューヨーク・タイムズの東京支局長、ヘンリー・S・ストークス氏は日本が成し遂げた事を、人類史上最大の貢献と讃えています。少し面映いのですが、謙遜するだけが能ではありません。客観事実は事実として捉え、今後の糧にしなければならないのです。水面下には潜っても問題が全て解決した訳ではありません。

あの時の日本人が何を考えて何を成したか、もう一度見つめ直す時期が来ているのだと思います。子供達の未来を可能性のあるものにする為にも。

拙文にも関わらず、ここまで読んでいただき有り難うございました。

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コメント

毎回楽しみに読ませて頂いております。田中さんのブログを読んでいると目頭が熱くなる事が多々あります。私は日本が大好きで世界一の国だと思っています。そんな祖国を貶めるような国が許せません。日本らしい、日本人らしさを失わず、伝統を守りたい気持ちでいっぱいな私にとって、今の世の中は不愉快なことばかりです。日常生活の中でも、マナー・常識的な事が分からない人が多く、その度に「私の考えが古くておかしいのかな?」と悩むこともあります。でもここのブログに来ると、私のような思い、考えの人もいるんだ~と嬉しくなります。これからも出来るだけブログをアップして下さい。楽しみにしております。1割の女性読者より。

投稿: 田中さんファン | 2016年1月14日 (木) 11時23分

1割の女性読者さん
有り難うございます。そう言っていただけると励みになります。出来る限り更新したいと思います。

ところで、1割ではありませんよ。1%です。(笑)たった1%しか来られていないのですから、どんだけ人気がないのか・・・ちょっと硬派的過ぎるのかもしれませんね。でも、スタンスは変えませんよ。

投稿: 田中 徹 | 2016年1月14日 (木) 13時15分

経済・国家観に共感いたします。
ブログの更新を楽しみにしています(笑)
すみません。長くなりますが(涙)。

株価暴落の中、本日一時的ではありますが、長期金利が
年0・190%まで下落しました(国債価格は上昇)。
う~ん、財政破綻を心配されている国なんですが…
ならば、金利がつかない国債も金利がつかない紙幣ももう変わらないのだから、政府が1000兆円コインでも発行して買い入れてしまえば国の借金なんて明日にでもゼロにできそうなものですが、、、

私は地方住まいですので、田中様のように行動(デモ)することなくまた、靖国神社へも未参拝です。
ただ、残された家族を思い戦死した、写真でしか見たことがない両祖父が眠っています靖国神社へは機会を設けて必ず、参拝に伺うつもりす。

海保大在学中の息子もあと数年後にはこの国の役に立てるものと期待しています。
わたしは決して、極端な右寄りではありません(笑)。

投稿: ブログファン | 2016年1月14日 (木) 17時50分

田中様、長い連載有難うございます

 私、明日から3日間の出張、帰ったら感想書かせていただきます。
 今年は日本の正念場、頑張っていきたいですね。

投稿: ナベ | 2016年1月14日 (木) 20時52分

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