政府が借金して何が悪い?
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「1000億円超の借金と今なお続く赤字国債発行、政府予算の4割が赤字国債は異常です。子々孫々に対し将来にどう責任が取れるのでしょうか?」
ある方からこういう質問をいただきました。私は別に政府関係者でも何でもないので謝ったり説明したりする義務はないのですが、おせっかいにもつい言いたくなります。(笑)
そこで今日はこの問題を分かりやすく考えていきたいと思います。よくお分かりの方には退屈かもしれません。しかし、この問題に関しては財務省が絶対に譲る気がないようなので、我々としてもしつこく言っていく必要があります。かなり深刻な問題である事は間違いありません。別の意味でですが。。
まず基本的なところから行きます。お金についてですが、GDPと金融資産との関係はお分かりと思います。GDPは国民が産み出す付加価値の量の事です。これはフローとも言います。文字通り流れるお金、動くお金です。その1年間に於ける総量が500兆円程です。
次に金融資産ですが、その動いたお金はどこかに溜まっています。家庭や銀行、企業等々です。現金で持ったり貯金にしたり、あるいは債券として持ったりしています。それらを金融資産、またストックなどとも言います。
日本にはグロスで言えば7000兆円近い金融資産があるのです。負債は6600兆円程で差額が対外純資産という事になります。十何年も連続して世界一の座は揺るぎません。正に経済優等生と言えます。
例えばの話ですが、今の日本に救世主が表れたとします。その人の名は白馬王子にしましょうか。腐敗し堕落した現状を見かねて現政権を倒し、新政権を樹立しました。初代総理大臣はもちろんその白馬王子です。(笑)
彼は徳政令を出し今までの事は全てご破算にすると言いだしました。ところが負債だけでなく資産も全てガラガラポンでゼロにすると言うのです。円までやめて新しい通貨はポンすると言うではありませんか。という事はポン札を発行しなければなりません。
日本のGDPが500兆円なので分かりやすく500兆円分のポンを発行する事にしたのですが、何しろ白馬王子はもてます。言い寄る女性は星の数なのです。従ってプレゼントも沢山買わなければいけません。
これではいくら通貨を発行しても女性の為に使われかねないので、監視役の長老が間に中央銀行を挟む事にしました。つまり新政府が500兆ポンの国債を発行し中央銀行に買わせるのです。こうすれば白馬王子と言えども勝手な真似は出来ません。
国民には政府が日銀に刷らせた資金をベースに予算を組み、それを執行して行き渡るようにします。これで経済は上手く廻る筈です。その年のGDPは500兆ポンであった事は言うまでもありません。そこで新政府はその年度の決算書を作りました。
それによると
政府の資産 0兆ポン 負債 500兆ポン
中央銀行の資産 500兆ポン 負債 500兆ポン
国民の資産 500兆ポン 負債 0兆ポン
日本全体で見た場合の資産1000兆ポン 負債1000兆ポンとなりバランスするのです。つまりプラスマイナスゼロと言う訳です。この場合中央銀行の負債とは刷ったポンで、資産は政府から買った国債の事です。
調査の結果、次の年は50兆ポンくらい経済成長しそうなので政府はまた50兆ポンの国債を発行し中央銀行が50兆ポンの通貨を発行します。そうするとGDPは550兆ポンとなり資産は1100兆ポンに増える訳です。
こうやって無限に資産と負債を膨らませる事をバランスシートを拡大すると言いますが、これを見て誰も政府の負債が国民の借金だとは思わないでしょう。(笑)本来主権国家の金融とはそういうものではないでしょうか。誰かが負債を引き受けなければ資産も持てません。
次に新政権は財務省なる機関を作って国債の管理をさせる事にしましたが、管理だけでは面白くないと思った官僚が税金を何とか自分たちの方に向けさせたいと思い始めます。そこで国の借金話をでっち上げる事にし、国民一人当たりの借金が~の連呼になる訳です。具体的には消費税を導入し、さらに消費税アップを目論でいきます。
実際の金融はもっと複雑で民間の金融機関が信用創造機能(お金を産み出す)を持ちますから政府がそんなに国債を発行する必要はありません。高度成長期にはお金を借りる企業や人が多い(銀行のバランスシートが拡大する)ので政府の負債は増えませんが、今の日本のようなデフレ金余りになると本来のあるべき姿に戻っていくと言う訳です。
(古いデータで恐縮ですが、これを見ると政府が負債を増やした代わりに企業の負債が減り個人金融資産が増えているのが分かります)
もう一つ、日本の財政が大した問題でないという事を証明する話があります。ここでも何回か書きましたが、IMFが2012年に発表したソブリン債破綻リスク指数によると、日本は米やスイス、オーストラリアと並んで25以下と最低でした。つまり世界で最も財政破綻する確率が低い国に認定されたのです。因にドイツは40です。
これは国債がその国の通貨建てである事、保有者の90%以上が国内である事ともう一つ、国債の利払いの対GDP比が世界で一番低い事がその要因となっています。これに関してはその当時よりさらに改善されました。金利が劇的に下がったので利払いが減っていくからです。しかもその金利もコントロール可能なのです。
いずれにしても自国通貨建ての国債でデフォルトする事はあり得ません。
最初に言った深刻の意味ですか? それは「真っ赤な嘘が大手を振ってまかり通っている事」です。つまり痛くもない腹を手術しようとしているのが今の日本だという事です。。
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コメント
まず、ロゴス(言葉)ありきです
安倍さんは今の日本の現状が財務省が言うのとは違って、「日本は世界一の裕福な国であり、安定した情勢の下、世界から最も頼りにされている国である」ことを心の底から訴える必要があります。
確かに政府の借金は多いですが資産も多く、その金は日本円であり、また政府に金を貸しているのは92%が日本国民です。国内の金の遣り取り、通貨発行権のある日本政府には何の問題もありません。
ただそれを言うと安倍さんの地元の支持者達に嫌らしい税務調査が入ることが予想されます。それほど財務省は腹黒いのです。どうやら今の日本の癌は財務省のようです。
投稿: ナベ | 2016年2月17日 (水) 20時25分
ナベさまの投稿〔2016年2月17日 (水) 20時25分〕コメントは素晴らしいです。
→100%支持致します・・・外務省ももっと頑張ってください。今年は海外との外交決戦の時・・・と認識致しております。
投稿: AZ生 | 2016年2月18日 (木) 12時30分
自国立て国債が破綻するわけなですよね。だった円を刷ればいいだけですから。やりすぎるとインフレになってしまうけど、今はまだデフレでしょ。こんなあたりまえのことが常識になっていないのが不思議です。財務省(大蔵省)の罪は重いと思いますね。
投稿: 八丈島 | 2016年2月22日 (月) 22時07分