日本の労働生産性が低いのは当たり前である
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先日WBSを見ていたら、またコメンテーターのエコノミストおじさんがおかしなことを言っていました。質が悪くてがっかりします。キャスターの大江さんも「最近そういう話をよく聞きますねえ」などと深刻そうな顔をしていましたが、経済番組のキャスターをやるなら、もう少し勉強しろよと言いたいです。(笑)
その適当なおじさんはOECD加盟34カ国の中で日本の労働生産性は21位だと言うのです。もっと生産性を高めるべきと言うニュアンスです。それだけを聞けば日本はダメなんだと思う人がいても不思議はありません。生産性が米の62%しかないと言われれば、もっと頑張らなくっちゃと思うのが人情と言うものです。
ところがよく考えてみれば、いくつものおかしな点がある事に気がつきます。まず為替ですが、数年前に比べれば金融緩和が主な原因で30%以上も円安になっているのですから、その数年前なら米並という事になり、世界で4、5位になります。(笑)
次に計算のベースですが、どうも購買力平価GDPを就労人口で割っているようなのです。おいおい、それはおかしいだろうと突っ込みたくなります。購買力平価GDPと言うのはその国の国際競争力を反映していません。同じパン一個作るにはどこの国でもコストは同じという前提でGDPを算出しますから、日本のような工業先進国は低めになります。
反対に中国などの途上国は大きめに出るのです。つまりパンだけを作れば中国だって負けていません。そんな事は当たり前の話なのですが、そんな事を比べる意味がどこにあるのでしょうか。
さらに中国で言えば政府の固定資本形成などの投資、政府支出がGDPの半分近くも占めるので必然GDPも大きくなります。逆に日本の場合は個人消費が60%と高く、政府の固定資本形成は十数パーセントしかありませんから、そういう意味でも全く不利と言えるのです。
次に、日本の失業率は世界でも最低クラスですから、デフレの今、企業は余剰労働人口を抱えていると考えられます。つまり企業内ワークシェアリングが行われているのです。それは非正規従業員の増加からも言えるのですが、日本の産業構造は一人当たりの売り上げ増に貢献しないシステムになっていると思われます。
反対に欧米企業の場合は簡単にクビを切ります。少数精鋭で売り上げを伸ばそうという新自由主義的な考え方ですから必然一人当たりの売り上げは増える訳です。その代わり失業率も高いです。どちらを取るかですが、売り上げが高いまま失業率も低いのがいいです。(笑)しかし、それが可能な国が日本です。
さらによく見れば、1位は「ルクセンブルク」(13万8,909ドル)2位は「ノルウェー」(12万6,330ドル)3位「アイルランド」(11万8,272ドル)ですから日本のような産業形態の国はどこにもいません。
金融で食っていたり元々天然資源が豊富だったりする国ばかりなので、正確な比較が出来るとは思えないのです。日本は天然資源こそないものの、製造業がリードし生活に必要な全ての産業を擁し、一国で経済を完結出来る体制の国ですから、歪な産業構造の国とは単純比較出来ません。
(テレ東WBSの大江麻理子キャスター、サマーズとの「もやサマ」の方が面白かった?)
その得意の比較的生産性が高いと言われる製造業すらデフレで売り上げが伸びませんから、80%を占める他の生産性の低いサービス業などの生産性が上がる筈がないのです。
それを見て生産性の低い業種から生産性の高い業種に人を移動させろなどと言う人がいますが、本末転倒、正に愚の骨頂です。生産性の高低に関わらずバランスの良い産業構造を維持するのが安全保障上も有効だし、国の形も変えません。日本固有の文化、伝統を守る為にもそれしかないでしょう。
金融やITなどの無価値産業で荒稼ぎをする事が、あたかも国にとって良い事だというようなプロパガンダを流すのは間違いなく売国奴です。(笑)日本をグローバル化して力を削ぎ、海外に売り飛ばすのが目的でなくて、そういう愚かな事を言う意味が分かりません。
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