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2016年5月29日 (日)

実は明るい日本の未来

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---- TPP消費増税 /カジノ解禁に反対します ----

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ロボット化やAIによって生産性を上げていくと、街は失業者に溢れ、治安が悪化し、経済が収縮していくと警鐘を鳴らす人が少なからずいるのですが、それはおかしな話です。本末転倒とさえ言えるのではないでしょうか。

人類の歴史とは生産性を上げていく歴史でもあります。縄文時代に26万人でしかなかった人口が飛躍的に増えたのは渡来人の増加によるものだけではありません。渡来人が伝えたとされる稲作も食料の生産性向上の最たるものです。

生産性を上げた事で余暇が出来たり、あるいは自由な人が増えたからこそ新しい価値が創造され人類は進化して来たのです。何事であれ、生産性向上を否定するのは進化を否定する事で、人類の存在意義にも関わって来るのではないでしょうか。

新自由主義的考え方をベースにすれば、こういう悲観論は成り立つのかもしれません。つまり政府が市場原理を尊重し特に何もしない事が前提です。超高効率化された市場を民間の手に委ねると失業率が上がり消費が減って、供給自体が先細りになり経済が成り立たなくなるのは自明です。

ところが日本のように教育レベルや民度の高い国で、ある程度大きな政府があるならどうでしょうか。特に80年代までの日本のような社会システムであれば、所得の再分配が理想的なので、生産性向上によって消費を落とすような事にはなりません。超高効率化されて莫大な利益を上げる企業や個人からは相応の税金を取ればいいのです。

当時は今のようにグローバル化していなかったし、簡単にタックスヘイブンに逃げられるような環境でもありませんでした。日本列島に腰を据えて基本的には内需で生計を立てるなら、恐れる事は何もないのです。

例え失業率が上がったとしても再分配が適切なら問題はありません。例えば定年の前倒しという手もあります。利益が莫大で税収も莫大なら年金他、社会保障も十分な事が出来る筈です。そういう意味で政府が提唱している社会保障と税の一体改革には何の意味もないのではないでしょうか。

生産性が上がり、生産年齢人口が半分に減ったとしても今の供給力を維持出来るなら未来はむしろ明るいと言えます。お金なら刷ればいいだけです。

2055

総人口に占める生産年齢人口比率が約50%と最も低くなると想定される2055年の実質GDPは、生産年齢人口一人当たりの実質GDPが2000年以降の1.5%アップを維持するとして、558兆円になります。

これは国民一人当たりで見れば643万円と今現在の419万円よりはるかに多いのです。その場合の実質GDPは558兆円となり、総人口は8674万人、生産年齢人口は4418万人となります。

これは総務省統計による合計特殊出生率を1.35として試算したものですから最近の出生率を見ても、実際はもっと条件が良くなる事が予想されます。

極端な場合の話をします。効率化が進み生産性が飛躍的に上がるという事は、当然国民全員分、あるいはそれ以上の供給力を持つ事を意味します。その場合大半の国民が所得を失うリスクがあり得ますが、大きな政府が所得の再分配を適正する事によってそれをカバーする事は可能です。

早い話が、生産物を全て政府が買い上げればいいのです。それを国民に平等に配れば無駄はありません。それによって企業が莫大な利益を上げるなら、莫大な税金によって政府が発行した通貨を回収していきます。それは供給過剰を防ぐ意味でも有効です。統制経済と言われるかもしれませんが、理想の社会主義国家が完成するかもしれません。

財源は?なんて愚かな事を聞く人はこのブログを読む人にはいないと思いますが、主権国家ならお金を発行すればいいのです。供給量と付加価値アップ分に応じて通貨の量を増やしていけば何の問題もありません。今は増やしていないからデフレなのです。実に愚かな話ではないでしょうか。

次に少し少し現実的な話をします。
例えば500兆円のGDPがあり社会負担率が40%の場合、超効率化された社会でもその経済活動を維持する事は可能です。生産性が倍になるのであれば労働人口を半分にする政策をとるだけの事ではないでしょうか。

その場合何が起きるのか想像力を働かせましょう。単純計算ですが、500兆円のGDPに大して労働人口が6000万人なら倍の生産性だと3000万人で済みます。という事は非就労人口は、総人口1億2000万人として、6000万人から1.5倍の9000万人に増える訳です。

一人当たりの非就労者への社会保障を現状の333万円と仮定して9000万人という事は300兆円が必要になります。残り200兆円が就労者の取り分なので、就労人口一人当たり所得は手取りで500万円から666万円にまで増える訳です。

さらに、定年が50歳以下にでもなれば、30年以上にも及ぶ長い余生を遊んで暮らすという人は少ないでしょう。ところが従来ある産業では人は余っています。

という事は新しい産業を興すインセンティブが働くのです。それは政府主導でいいでしょう。まず資金が必要ですが、政府がバックアップして十分な資金を手当てします。例えば信用保証を政府がする形で銀行からの融資を低金利で受ける事が出来れば、それこそミニベンチャー企業が百花繚乱でしょう。

つまり、その分マネーストックが増えて消費に向かう訳です。当然ですが超高率社会になる前よりもGDPが増える事は間違いありません。しかし、そんな美味い商売が沢山あるとは思えない、などというあなたは想像力が欠如しています。

AKB48だって、スマップだって、大した能力はないけど、小さいとは言えない消費を生んでいます。つまり、生活に必要なもの以外のサービス産業が乱立して来るのです。芸能だけでなく娯楽やスポーツ関係も活況を呈するでしょう。

40代で引退したとしても働きたい人ばかりではないので、お金持ちの暇な人は少なくありません。そういう人が余生を退屈しない為の一大産業が起き、無限の成長軌道に乗っていくという夢のある未来がイメージされます。

えっインドや中国はどうなるかって? そんな事は知りません。自分たちの事は自分たちで考えればいいのです。(笑)不必要なグローバル化をやめて自給自足経済へ切り替えていくなら、生産性の向上は全て国民の利益になり、おまけまでつくという話です。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

政府日銀は通貨を発行できるということがよくわかっていない人が多いです。今回のマイナス金利についても正確に説明しているエコノミストは少ないですね。彼らが本当に理解しているのか疑問です。だたら話が通じないのでしょう。でもそれは財務省やグローバル金融筋の意向なのでしょうか?

投稿: 八丈島 | 2016年5月30日 (月) 11時33分

>でもそれは財務省やグローバル金融筋の意向なのでしょうか?

それ以外で説明がつきません。昔の財務省はそういう考え方をしていなかったので、大蔵省が解体された時点で何かが変わったと考えるのが自然です。

日銀は前川レポートでも分かるように日本を構造改革してグローバル化路線に持っていきたいようです。なるべく市場原理に任せるという新自由主義経済に毒されています。

グローバル金融資本、ウォール街と同じ路線である事は言うまでもありません。永遠に日本を彼らのATMにしようという魂胆です。

投稿: 田中 徹 | 2016年5月30日 (月) 13時10分

 私も安倍さんの経済政策には大いに疑問を持っていますが今週いっぱいは見守りたいと思っています。何かサプライズがあるかも知れないと考えています。根拠はありませんが、淡い期待です。

投稿: ナベ | 2016年5月30日 (月) 22時25分

無責任な外野(南国通信)の採点です。

消費税:
延期=25点・・・消費マインドは変化なし。8%の現状を諦めて受け入れる人は半々。
延期+軽減税率=70点・・・単なる延期だけでは能がない。プラスアルファが絶対に必要。
凍結=75点・・・重い空気が少しは晴れる。8%の現実を受け入れる人は、当面の間3分の2、数年経たずに9割の人が増税以前の心理状態に戻る。
凍結+軽減税率=95点・・・現実的にはここまでが限界かも。
凍結の上一律3%の減税=100点・・・実質5%へ戻す事になる。一気に消費行動が爆発する。

 またいつものように少々話が変わりますが、コチラでは消費税12%です。レシートを見るたびに気持ちが滅入ります。
いまでも悪評高いアロヨ大統領の時代に一気に導入されました。

さて通貨発行権ですが、いまいち知れ渡っていないのが時の大英帝国、その次の米国共に政府ではなくて「民間企業」が持っているということです。
極端に単純に考えますと、一個人(含む同族)が通貨発行権を持っている事自体が、世の中狂っていると思っております。←話しが飛躍しすぎているかも知れませんが、その部分に手を突っ込んだ米国大統領の運命は皆様がご存知の通りでございます。
 日銀はかろうじて55%の株式を日本政府が押えていますが、じゃあ残りの45%は誰なのでしょう?

 そういえばケネディ大統領が出した「政府紙幣」はどこへいったのでしょうね?

    

投稿: 南国通信 | 2016年5月31日 (火) 07時27分

そういえばケネディ大統領が出した「政府紙幣」はどこへいったのでしょうね?

その「政府紙幣」は発行後、FRB(だったかな?)が半年~1年間位でこっそり回収してしまった様ですよ。。。
政府発行の紙幣を推進した人(大統領)は消されたのです。AリンカーンとかJFケネディとか。政府が発行しているのは貨幣(コイン)のみのようですね。

投稿: AZ生 | 2016年6月 2日 (木) 02時46分

AZ生様、ありがとうございますwwwww

日本でも紙とコインは発行元が違いますよね。
その違いに妙な勘繰りを入れてしまうのですが(笑)。
 
 ところで、最近はお偉いさん達の理由や理屈が効力を急激に失ってきているように感じております。一つの理由としましては、権威という「印籠」の中身が実はドロドロの薄汚い欲だらけなのがバレてきているということでしょうか。そこは権力ということであれば多少は納得がゆくのではございますが。
 更に付け加えさせていただくとすれば権威と権力の混同もその一因ではないのかな?と考えてしまいます。
権威=権力というのは明らかに異文化の悪影響であって、日本では古代の昔から権威と権力は違う物として育まれてきた土壌があったはずですが、成り上がりの勘違い野朗共にはそれを理解するだけ、あるいは欲を自制するだけの教養がないようでして残念です。

そこは「精査して」「第三者」として「一日も早く」納得のいく答えをでれでれと時間がかかろうとも見つけ出したいと考えております。

投稿: 南国通信 | 2016年6月 2日 (木) 08時56分

消費税率先送り、安倍さんの結論が出ました

 南国通信さんの表現をパクらせて頂くと25点となりますか。今の安倍さんにとっては、先送りがせいぜいなのでしょうね。私としては5%に戻し、新規住宅建設や耐震補強などには0%とすれば内需は一挙に拡大すると考えるのですが、財務省や党内の反対にこれ以上は抗えない事情があるようですね。
 これから中国の経済の落ち込み、鉄鋼や建材の過剰な在庫処分の影響で世界中が迷惑を被り、経済が停滞するのは目に見えています。そんな中、輸出に期待できない日本は内需を拡大しなければいけない状況なのに、先送りだけでは弱すぎます。安倍さんは先の8%への増税は間違いだったと率直に国民に謝罪して5%に戻し、積極的な景気対策を講じるべきですが、先送りしかできない。

 今一、物足りない総理大臣としか思えないですね。

投稿: ナベ | 2016年6月 2日 (木) 21時37分

今現在の我が国に、財政家として知られているため総理大臣としてよりも大蔵大臣としての評価の方が高い高橋是清さん(ウィキペディアより拝借)がいらっしゃっていたらば良いのにねと思います。頑張れ自分も含めた日本人!

投稿: AZ生 | 2016年6月 3日 (金) 12時25分

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