実は米より成長率が高い日本(ヘリマネシリーズ最終回)
---- TPP/消費増税 /カジノ解禁に反対します ----
ブログランキングに参加しています。
日本のエコノミストや経済評論家と言われる人達は、二言目には日本の潜在成長率は低いので成長戦略や構造改革が必要だと言います。政府もそういう前提で動いているようです。しかし長年もの造りの現場にいて日本製品の優秀性を嫌という程見て来た私には、彼らが言う事が全くピンと来ません。
マスコミなどが不況だ不況だと煽る割には国民は皆優雅にやっているように見えます。多少ホームレスはいても失業者が街に溢れている事もないし、治安の良さも世界有数です。落とした財布は必ずと言っていい程戻って来ます。
これまで5回くらい置き忘れた私が言っているのですから間違いありません。因に戻って来なかったのはタイだけです。これは置き引きでした・・・横道にそれましたが、日本人は皆小ぎれいなクルマに乗って、着るものもお洒落になり、レジャーを楽しんだりしているではありませんか。
駅や空港、市役所などの公共施設もいつの間にか新しくなり、斬新なデザインのものに変わっていたりします。世界から日本に観光に来た人たちも、日本が不況だとはとても思えないと言っています。一体どういう事でしょうか。
確かに日本円で近年のGDPなどを見て行くと絶望的な気分になります。名目で言えば20年も前の95年当時と変わらないのですからビックリです。2000年と比較すればむしろ減っています。他国は順調に成長しているというのに納得出来ません。何かからくりがある筈です。
そこで基軸通貨であり世界共通の価値を持つドルベースで日本のGDPを調べてみました。為替は遠の昔から変動相場制なので、外貨ベースで見れば基本円高の日本が有利になる事は想像に難くありません。そう思いつつ統計から数字を拾いだして計算をしてみると、やはり面白い事が分かって来ました。そんなに悲観する内容ではなさそうですよ。
まず、為替で大変動のあったプラザ合意の85年を基準として考えて行きます。当時のドル円レートは1ドル239円です。実質GDPは333兆円になります。次に直近で最も円が高かった年を見ると12年の80円のようです。実質GDPは519兆円もあります。という事は円ベースで見れば28年間で56%成長した事になります。
(ドルベースでのGDP推移、実質実効為替レートを参考にして適正なレートで計算すれば図のような右肩上がりとなる。)
さて、では為替の変動を加味した場合どうなるでしょうか。つまりドルベースならどれくらい成長しているかという事です。239/80だと2.99倍になり円ベースでの成長率(1.56倍)を掛けると何と、4.67になり、367%もの成長になるのです。これは年に4.9%の成長を28年間続けるのとほぼ同じです。驚愕の事実ではないでしょうか。
つまり、例えば日本が米の属国で、ドルを自国通貨として使っていたなら年平均4.9%の実質成長で、GDPは5倍近くになっていたのです。一方の米はと言えば7兆5938億ドル(85年)のGDPが16兆3488億ドル(12年)になったに過ぎませんからたった2.02倍です。日本の367%増に対し102%増でしかないのです。
これにさらに人口の増加率を加味すれば、増加の少ない日本は342%となり、35%も人口が増えた米は53%と増々差が開く訳です。なあんだ、やはり日本は成長しているじゃないですか。(笑)
日本人は経済を当然ながら円でしか判断しませんが、世界の人はドルで評価するのです。しかも、こっちがむしろ常識です。円でいくらかなんて知った事ではないのです。
そう考えた時に、現状を見て悲観ばかりするのは賢明でない事が分かります。客観的に物事を見る事は大切ですが、そう言いながらも主観的にしか見ていない我々がいるのです。
ただ、今は意味のない円安誘導をしているので実質実効レートで見ればかけ離れたレートになっています。それでも1ドル120円である昨年までの31年間を計算しても日本の一人当たりの成長率は198%もあり、米は60%に過ぎません。
問題は日本は低成長の国だと勘違いして企業が国内に投資をせず、あるいは政府が構造改革などの誤った政策を採っている事です。それをやると増々デフレになり、それと連動して円高が進みます。
その場合は必然的に政府負債が積み上がりますから、また増税が必要だという事になりかねません。日本にとって一番望ましいのはヘリマネでも何でもいいので政府が財政出動をしてマネーストックを増やし物価を上げ、結果として円安が進む事です。
ドルベースでの国民一人当たり実質GDP
日本 米国
85年 1万1545ドル 3万1851ドル
12年 5万2191ドル 5万0836ドル
米の要求を呑み、円高を容認した為にデフレになり国民は随分損をして来ました。本来なら円高になった分は成長に廻っていたのです。為替のハンデがなければそこに書いた数字どころではないでしょう。その額は巨大です。政府は無策を恥じ、国民に対し損害賠償をする必要があります。
そういう意味でのヘリマネなら公共投資などという面倒な事をしないで直接国民に渡せばいいのです。年に一人当たり50万円で65兆円です。ベーシックインカムとしてしばらく実施してはどうでしょうか。
景気が良くなってベアが実施されれば、その分をベーシクインカムからマイナスして調整して行けばいいのです。そうすれば過度なインフレにはなりません。ベアが増えてベーシクインカムがゼロになる頃には日本経済は逞しく成長軌道に乗っている筈です。
4回に渡ったヘリマネシリーズは今回で一旦終わりにしたいと思います。拙い文章、記事にお付き合いいただき大変有り難うございました。
最近のコメント