« バカなのか左翼なのか、あるいは工作員? よく分からない人達 | トップページ | ヘリコプター・マネーについて考える(続編) »

2016年7月21日 (木)

ヘリコプター・マネーについて考える

Photo     

---- TPP消費増税 /カジノ解禁に反対します ----

ブログランキングに参加しています。

 今日は前回の記事で紹介した経済コラムニストの方や、アホノミクスで有名な浜矩子女史(通称紫BBA)が強硬に否定するヘリコプターマネー(略称ヘリマネ、減りマネーじゃないですよ)について考えたいと思います。

よく「フリーランチ」は無いとか、「ベーシックインカム」は勤労意欲を低下させるなどと言って否定する人が多いのですが、ヘリマネに関しても否定的な人は多いようです。俗人である私などは、ただでばらまいてくれるのに文句を付けるなんてバカじゃないの?と思うのですが、そういう考えは不純で間違っているのでしょうか。

1c4b89e5s
ところでヘリマネというネーミングの産みの親は元FRB議長でヘリコプター・ベンという異名を持つユダヤ系アメリカ人経済学者のベン・バーナンキさんです。コトバンクによると以下のように解説されています。

あたかもヘリコプターから現金をばらまくように、中央銀行あるいは政府が対価を取らずに大量の貨幣を市中に供給する政策。米国の経済学者フリードマンが著書「貨幣の悪戯」で用いた寓話に由来。中央銀行による国債の引き受けや政府紙幣の発行などがこれにあたる。ヘリコプタードロップ。


あれ?オリジナルはバーナンキさんではないようですね。単にそのその考え方を支持しただけのようです。まあ、そんな事はどうでもいいのですが、(笑)なぜ今ヘリマネが話題になるのでしょうか。安倍さんがバーナンキ氏をわざわざ招いて話を聞いたり、何か思わせぶりです。

想像の域を出ませんが、安倍さんは何かを企んでいるのではないでしょうか。ぱっとしないアベノミクスを一発で逆転するいい手はないかと・・逆転満塁ホームランとまではいかなくても、財務省を欺くスクイズで劣勢を挽回するくらいの事は考えていても不思議はありません。正攻法でいくなら浅めの犠牲フライか? そこは何でもいいのですが、とにかく得点が欲しいのでしょう。

そこでG7では現在の状況がリーマンショック前に似ているなどと、えっ?と思うようなジャブを出したり、英国のEU離脱問題のどさくさに紛れて10兆円を超えるような大型補正予算を組もうとか、色々画策しているようです。バーナンキ氏招待とヘリマネの話はその一環として、お金が国民に直接行き渡る方法と、その大義名分探しでしょうか。いずれにしても悪い話ではありません。これに関しては、私は憲法改正同様猛烈に支持したいと思います。

昔「社員は悪くありません。悪いのは私たち経営者です。」と言って泣いていた経営者の方がいましたが、現在の日本は「国民は悪くありません。悪いのは私たち政治家です。」と言っても何らおかしくない状態です。(朝鮮式水飲みの野々村君のようにみっともなく泣いてもらっても困りますが)デフレを放置しているのですから当然それは言えます。いや、我々はもっと強く無策の政府に責任を追究しなければいけないのです。

ところがマスコミや現場を知らない似非エコノミスト達は、日本は生産性の低いサービス業が多いので成長しないのは当然、とか、日本製品の国際競争力が落ちた、だのと言って経済低迷を国民のせいにしたがります。冗談じゃない。労働集約型産業の生産性は構造的に上がらないのです。上がったとしても限界があります。

しかしながら、それらは守らなければいけない産業ばかりです。日本の農業他の食料品の産業は大量生産には向きません。医療や介護もそうです。ロボット化したとしても限界があります。その他飲食や観光などのサービス産業の大半はロボット化やコンピューター化が不向きです。だからと言って国全体のバランスを考えた時に、なくす訳にはいかないのです。

Ohondaarc570
(ホンダは、世界初となる、完成車組立のメインラインに流動型のセル生産方式を組み込んだ「ARC(アーク)ライン」を開発しタイの自社工場に導入された。

ARCラインは、これまでの「ライン生産方式」ではなく、作業者が広い範囲の工程を受け持ち、複数部品の組み付けを行う「セル生産方式」の生産ユニットをメインラインに組み込んで流動させた、世界初となる革新的でユニークな組立ライン)

工業製品等の国際競争力が落ちたというの妙です。それを言うなら輸出する量が減ったと言うべきです。海外生産が進んだ(輸出の割合を減らすため)のですから当然です。と言うより、全産業の過半数を占めるサービス産業の所得が落ちたのは、明らかにデフレ(円高)のせいなので、そういう局面で輸出産業が競争力を維持出来ると考える方が経済のセオリーに反するのではないでしょうか。

卵が先か鶏が先かの議論ではありませんが、デフレ、円高の副作用は想像以上に大きいのです。諸悪の根源と言えます。資本集約型の産業に対してだけではありません。先ほども言いましたように、そもそも労働集約型産業は自律的に生産性を上げる事は苦手です。

ではなぜ農業などが途上国よりも単価が高く、輸出競争力が弱いのかと言えば、生産性の高い製造業などによって人件費(最低賃金)が吊り上げられるからです。政府からの補助もそれを助長します。つまり人を集めるために寄ってたかって底上げをしているから競争力がないのです。

誤解されては困りますが、それを否定的に捉えているのではありませんよ。逆です。そういう重要だが生産性が低い産業を守らなければ主権国家としての成立基盤が脆弱になるのです。海外依存を増やせばその分弱みを握られます。安全保障上も一国で完結する経済システムを構築すべきは当前です。但し、一般論として軍事だけは単独での完結は難しいので集団的自衛権はやむを得ません。

話は前後しますが、件の日本駄目論を展開するエコノミスト達は頭が悪いだけでなく、恥も知らないと見えて矛盾する事を平気で言っているのです。エコノミスト(権威)やマスコミに弱い正直者の国民も疑いを持たず信じてしまいます。おまけに利権にしか興味が無い政治家までがそれに乗っかりますから、日本経済はメチャクチャ悪い循環に嵌っていると言うしかないのです。

私に言わせれば、日本に限った話ですが、ヘリマネでマネーストックを増やす事は決してフリーランチではないし、ベーシックインカムの変形でもありません。この20年で失われた所得を挽回するだけの事なのです。ではその目的ですが、裕福になるためでは決してありません。勘違いされる方も多いとは思いますが、当然上がるべきであった物価をその水準に戻すだけの事です。

今身の回りを見てプラザ合意の30年前との比較で付加価値が上がっていないものなどあるでしょうか。しかも価格はむしろ安くなっている・・当然その分給料も下がる訳です。日本一国ならそれで済むかもしれませんが、国際的に見ればずるい事をしていると見られかねないのです。そのペナルティとして為替レートが円高になります。そのせいでデフレになり問題が深刻化するなら元に戻せばいいじゃないですか。30年前のレートなら1ドル240円です。

であれば物価は少なくとも2倍以上でなければいけないのです。その場合GDPは単純計算で1200兆円(現在が1ドル100円とすれば2.4倍)程になります。一気にそこまでは行けないとしても、最短10年がかりくらいでその水準に戻す事は可能ではないでしょうか。その為にはマネーストックを飛躍的に増やす必要がありますが、M2を今の2.4倍の2250兆円まで増やすには年平均で130兆円づつ増やさなければなりません。

Gn2015091303

1901620160720072231

(通貨量の対前年度比「下のグラフ」とGDP「上のグラフ」の関係)

国民一人当たりで言えばざっと100万円/年です。その場合、民間銀行による貸出し残高の増減なしとして、成長率は過去の例(80年代)を見れば8%くらいになり、それを10年継続すれば名目GDPが1200兆円に達します。簡単ですから計算してみて下さい。理論上10年で達成可能な事が分かります。

給与所得者の賃金もインフレ(付加価値アップ分を含む)が継続しベースアップが続いていたなら上の数字(2.4倍)になっていたとしてもおかしくありません。つまり日本にとってのヘリマネとはベースアップの事なのです。政府の無策によって中断され失われたベースアップ分を取り戻すだけの事です。

ただ、さすがにいきなり国民一人当たり100万円というと家族四人で400万円になります。バラまき方にもよるのでしょうが、その時の消費性向がどうなるか想像もつきません。半分使っただけで国全体では65兆円になりますから、このプランを開始して2〜3年は3%を超すようなインフレもあり得ます。増加通貨量としは実際には民間銀行の貸出し残高増と合わせて100兆円くらいが無難でしょうか。段階的に増やすやり方の方が間違いがないでしょう。

バブルの末期にはマネーストックの伸びが13%もあり(上のグラフ参照)その時の名目GDPが前年比で8%(実質5.5%)の伸びです。それを現在に当てはめると、当時と同じくM2ベースで計算すれば122兆円増えて名目GDPは40兆円増える事になります。いずれにしても分配の仕方によって結果は変わって来るでしょう。

1233420160720180422_2

(赤がドル円の為替レートの推移、青は実質実効為替レート、この為替レートの変遷は日本国民がいかに莫大な円を失ったのかを物語る。)

タラレバになりますが、もし米が内政干渉をせず、プラザ合意も無く、日本の過度な外需依存もなく、為替が240円で固定されていたなら、地価もここまで下がる事はないし、バブル期に借金して破綻した人も救われています。また税収で苦労する事もないので政府債務も膨らまず消費税の導入もありません。

その他、なんやかんやの効果でGDPは1200兆円(為替レートは1ドル240円として)をはるかに上回っていたでしょう。そう考えると日本人はメチャクチャ損をしている事になります。国が損害賠償として、企業に代わりベースアップを実効して何か不都合があるとは思えません。

ベースアップ(ベア)
企業の賃金カーブに基づいて、年齢に応じて賃金がおおむね増えていく定期昇給(定昇)に対し、賃金カーブそのものを底上げする増額方式がベースアップ。 好調な収益を従業員に息長く還元したり、インフレによる所得の目減りを調整したりする効果がある。(コトバンク)。

 

共感いただければクリックをお願いします。

|

« バカなのか左翼なのか、あるいは工作員? よく分からない人達 | トップページ | ヘリコプター・マネーについて考える(続編) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« バカなのか左翼なのか、あるいは工作員? よく分からない人達 | トップページ | ヘリコプター・マネーについて考える(続編) »