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2016年9月28日 (水)

仁義なき日独戦(前編)

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今回は自動運転について書くつもりでしたが、その前にちょっと近未来の日本車を占ってみたいと思います。あくまでも私個人の占いです。(笑)

ホンダは9月17日、米国ユタ州ソルトレイク市のボンネビルスピードウェイで開催された「Mike Cook's Bonneville Shootout」において、ホンダ車最速の約421km/hの最高速を記録した、と発表した。(これは日本の研究開発部門が主体になって結成した若手チームのようです。)

Honda

このSドリームが、カテゴリーA、グループ1、クラス4(自動車・レシプロ過給エンジン・排気量500-750cc)において、1マイル測定区間の記録として 261.875マイル/h (421.446km/h)、1km測定区間の記録として 261.966マイル/h (421.595km/h)の最高速を計測。FIA(国際自動車連盟)から、同クラスの世界最高速記録と認定された。

ホンダは、「2006年のBARホンダF1マシンの記録も更新。ボンネビルでホンダ車最速になった」とコメントしている。

これらの事からホンダの方向性が見えて来る気がしますが、先頃市販されたNSXも実はこれの一環で、ホンダがモータースポーツに回帰している様が窺えます。ミニバン造ったり、セコい燃費競争をしたり、に嫌気がさしたのかもしれません。(笑)

Nsx

このスーパーカー、NSXはニュルブルクリンクでの、GT-R対ポルシェの戦いに割って入ろうとしているのではないでしょうか。この話は2007年にGT-Rが市販車のままでポルシェ911のラップタイムを破った事に端を発します。ムキになった王者ポルシェはレーシングタイヤを履いていたんだろう、とニッサンに難癖をつけました。

Gtre

(日本のモンスターマシン ニッサンGT-R 17年モデル、570ps  海外でのニックネームはゴジラ)

そこからGT-R対911の、抜きつ抜かれつの血みどろの争いが始まりますが、最後は2013年、911のような市販車とは言い難いポルシェ918スパイダー(下/まるでレーシングカー/8500万円)によって7分の壁が破られ決着がついた形になっています。

Porche

(打倒ゴジラで造られた918スパイダー、918台だけ売って市販車の資格を得た。量産車との部品互換性はない。)

どうもNSX(2370万円)は反則技で負けたGT-R(1370万円)のリベンジのために、そこに彗星の如く登場するつもりかもしれません。・・私の妄想かもしれませんが、そんな気がしてならないのです。

価格もなぜか丁度1000万円高いし、意識している事は間違いなさそう・・恐らくシステム出力が800馬力くらいのハイスペックバージョン(3000万円超)が追加され、ニュルを走る日は近い。。(勝手な妄想)

ガソリン価格が低価格で安定し、事実関係が限りなく疑わしい温室効果ガス騒ぎも熱が冷めた昨今、各社やはりクルマは速くなければいけないと思い始めているのかもしれません。ここのところのドイツ車のハイパフォーマンス化が半端でないのです。

ダウンサイジングしたガソリンエンジンとターボの組み合わせによるリッター当り100馬力を超すエンジンがめじろ押しで、200psはもちろん、300ps400ps級もざらです。

600psを超す市販車まで普通に闊歩し、しかも燃費が飛躍的に向上している、とあっては日本も黙っている訳にはいかないのです。ホンダあたりが昔とった何とかで復活して来る様は、新たな日独戦の幕開けを予感せずにはいられません。

米だけはZEVの販売を法制化し、一定数をノルマにしたいようですが、そこでしか勝負出来ないと思っているのでしょうか。確かにテスラはある程度成功したし、リチウムイオンなどの二次電池の高性能化、低価格化も進んでいます。テスラに続くメーカーが出て来る可能性は否定出来ません。

しかしながら、そこは日本メーカーの得意分野でもあり、その気になれば何とでもなるので取りあえずは様子眺めではないでしょうか。マスキー法案のように、土壇場でトーンダウンする事もあり得ます。

燃費競争に関しては一日の長がある日本、基本的にはハイブリッドカーの充実ぶりが加速して行く事は間違いありません。しかも、その可能性は無限と言えます。

ところでニッサンが先頃ノートのレンジエクステンダーEVバージョンを発表しました。1200ccの発電専用エンジンを積み、搭載する電池はリチウムイオンではないと言いますから、実はシリーズハイブリッドと呼ばれるものではないでしょうか。

トヨタが先鞭を付けたハイブリッドという名は極力使いたくないので、敢えてレンジエクステンダーと言っているのかもしれません。だとすればかなり姑息と言えます。

レンジエクステンダーEVとはEVベースで、足りない航続距離を補うために小型の発電用エンジンを積むコンセプトの事です。

I3

   (このクルマに511万円は出す気がしない)

BMWのi3などはこの仕組みで、647ccのエンジンを積み150キロ近く航続距離を伸ばしているらしいのですが、ベースとしてのEVは33kWhのリチウムイオン電池を積み300キロ以上走ると言います。

それと比べ、ノートのバッテリーはたったの1.5kWhです。これは、ほとんどがモーター直にエンジンで発電した電力を供給して走る事を意味しますから、誰が何と言ってもシリーズハイブリッドです。(笑)

さて、今後の展開ですが、少なくとも日本ではシリーズ、パラレルを問わず内燃機関+モーターのハイブリッドが主流になっていきます。

1)軽自動車やリッターカーはモーターや二次電池がミニマムのマイルドハイブリッド(1モーターでのパラレル)

 2)Dセグメント(クラス)のセダンやミニバンにはアコード方式によるシリーズハイブリッドの変形(2モーター)



 3)ラグジュアリーカーやSUV、大きめのMPV(ミニバン)には3モーターの4WDパラレルスプリット型ハイブリッド

という組み合わせがベストではないでしょうか。

つまり、これ・・現行ホンダ方式なのです。(笑)

これにバリエーションとして、2)3)やトヨタ式・パラレルハイブリッドにはプラグインタイプが用意されます。ただこれはやはり高くなるのと重量増、あるいは充電の煩わしさが付きまとうので大きく伸びるとは思えません。

EVはコストはともかく、航続距離に関しては10年経っても大きくは変わるとは思えないので、レンジエクステンダーが主流になる可能性はあります。この場合エンジン分の重量増とコストアップが問題です。

しかもこれではZEVと言えない悩ましさがあります。中途半端ではありますが、街中はEVで走り、郊外でエンジンを廻せば、それなりに合理的と言えるかもしれません。過渡期の商品か?

いずれにしても日本が得意とするフィールドで戦えるのは安心材料です。問題はクルマ本来の魅力ですが、これに関しては未だ欧州に一日の長があるのは認めざるを得ません。ミニバンと燃費に気をとられている間に彼我の距離は開きました。

クルマ本来のスポーティ路線に立ち戻り、その差を縮める事が喫緊の課題です。という訳で、今後日本ではスポーティなハイブリッドカーが主流になって行くのではないでしょうか。

この話は続きます。

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コメント

私はマイカーを持っていますが、車のことは詳しくありません。レンジエクステンダーとかシリーズハイブリッドなど初めて聞く言葉です。この機会にざっと概要が勉強できてうれしいです。全体をひとまとめにして簡潔に説明してくださるので助かります。これも日本の競争力に関する話なので大変興味深く読ませてもらっています。でも日本車はスペックのわりには安すぎますね。

投稿: 八丈島 | 2016年9月29日 (木) 00時40分

なるほどね~。日本と独逸とが燃費・速さの技術のせめぎ合いは世界の自動車の発展には必要不可欠でしょう!まだまだ技術の終着点は見えません。

投稿: go to | 2016年9月29日 (木) 09時25分

島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑の原理をついに解明。名称は炭素結晶の競合モデル/CCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象にかかわる広い説明が可能で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後マイルドハイブリッドエンジンのコンパクト化の開発指針となってゆくことも期待されている。

投稿: コンパクトエンジンに朗報 | 2017年7月 6日 (木) 18時35分

 機械工学の本質とはなにか?それは統合力であると思う。細かなことを知らなくても何がボトルネックかということを自覚し、時にはチャレンジすることだ。そのキモとなるパラメータの限界はおおむね材料の耐久性にあったりする。
 この材料は一つの大きな可能性を示している。機械をなぜ小さくできないのかという原理を明確化した。原因が分かればここに勢力を投入しさらなる高みを求められる。地球環境に対する真水の直球勝負がこれから始まる。

投稿: トライボシステム展望 | 2017年7月19日 (水) 12時10分

 さすが日本力の象徴、和鋼の伝統ある島根県でそういったブレークスルーがあるのは興味深いですね。たたら侍見に行きましたよ。

投稿: 日本刀ファン | 2017年7月23日 (日) 21時52分

 博士はダイセルでトライボシステムの開発をするのか?

投稿: 姫路マテリアル | 2017年12月 7日 (木) 09時37分

 久保田博士はダイセルの首席技師になられたようですね。

投稿: 特殊鋼流通関係 | 2018年1月 7日 (日) 15時58分

ダイセルがポリアセタールの巨大プラント建設をサステナブル戦略として中国に建設することを決めたらしい。

投稿: プラスチック関係 | 2020年12月 9日 (水) 01時25分

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