スーパーリッチ大国ジパング(2000回記念)
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「100年後も生き残ると思う日本企業」というテーマで調査が行われました。主催がリスクモンスター株式界者という耳慣れない会社です。調査は4月に全国の20~59歳の有職者男女個人、60~69歳の男女個人に対して実施され、調査対象企業は年間売上2500億円以上、従業員数5000人以上の企業200社を抽出、有効回収数は1000サンプルだそうです。
それによると、ランキングの1位「トヨタ自動車」(回答率36.4%)、2位「本田技研工業(ホンダ)」(同14.2%)3位「東日本旅客鉄道(JR東日本)」(13.5%)、4位「東海旅客鉄道(JR東海)」(12.4%)これら上位4位にランクインする企業の順位は、昨年実施時から変化なしと言います。
自動車と鉄道ですか。・・・全て交通に関するマンモス企業が上位を占めています。輸出や海外生産の売り上げが締める率が高いかどうかはあまり関係なさそうですが、1、2位は多国籍企業で3、4位は国内中心のドメスティック企業というのが面白いです。
さて、そこで本文ですが、今回も読者の方からのコメントに答える形で進めたいと思います。上の記事にも関係しますが、貿易や海外生産にも絡む話です。日本自動車産業の国際化、グローバル化は凄まじいものがあり、昨年2700万台にも達した日本ブランド車の世界総生産台数の内、国内生産は900万台ちょっとに過ぎません。
近年国内では500万台も売れていませんから、何と2200万台以上を海外で売っているのです。率にして80%を大幅に上回っています。それだけ海外に貢献している訳です。加えて良質な中古車も世界中に輸出され喜ばれています。素晴らしい事だと思われる方は多いのではないでしょうか。
この件、私は手放しで喜べるとは思えないのです。何故なら、ひとつには資源は有限だからです。高いお金を払って折角輸入した天然系資源に国内の色々な資源を加えて外に出すのが日本にとって得策とは思えません。むしろ浸透圧を例にとれば、有益なものが国境という薄い膜から流出し国内濃度が薄くなっていくのではと心配してしまいます。(笑)
それだけの資源、生産力を国内に振り替えればもの凄い事になる事は明らかです。国内に2700万台も必要ない、などと言ってはいけませんよ。そうではなく超高付加価値型製品に置き換えていけば台数はそんなに必要ないのです。超ハイテクで高品質な製品にすれば売り上げを減らす事なく利益を増やす事が可能です。
(2370万円という国産最高価格を付けたホンダNSX)
例えば自動運転にして安全のための装備は完璧にし、ホンダNSXのような超ハイテク次世代ハイブリッドシステムを搭載するだけで一千万単位の価値が付加されます。豪華&高品質仕様を追加すれば天井知らずです。そこまででなくても1台平均が500〜1000万円になって何が問題でしょうか。この場合量産効果というのは大して重要ではありません。
1台1000万円平均なら国内の500万台だけでも今の世界売り上げと大差なくなります。これに一定数の輸出(輸入額を超えない範囲)を加えれば今以上の売り上げさえも可能です。そもそも今のような膨張一方の拡大再生産方式が正しいと誰が決めたのでしょうか。産業の黎明期なら分かりますが、物が溢れている今となっては先進国は多機種少量生産に移行すべきなのです。
欧州のプレミアムブランドを見ても少数だからこそ価値を維持しています。ベンツやBMWが六本木のカローラのように走りまくってはいけないのです。ちょっと例えが古かったか(笑)いずれにしても多機種少量生産こそが日本の進む道です。AIとロボット技術がそれをバックアップ、サポートするでしょう。
もちろん世界に貢献するなという事ではなく現地生産を否定するものでもありません。ただ、考え方としては国内に軸足を置き国益優先にすべきだと言いたいのです。企業栄えて国滅ぶでは何にもなりません。まず国内を高い水準に引き上げてから世界の事を考えても遅くない筈です。全てのもの事には順序があり、戦略が必要である事は明らかです。
つまり、海外に対する動きは国策として政府と共に動くべきなのです。個人レベルが外へ行き勝手な真似をされては困ります。例えばトヨタのようなスーパーマンモス企業が特定の国へ行き、そこの経済を大きく動かしかねないのでは国家としての戦略もへったくれもありません。
例えばタイでの日本企業の売り上げはタイのGDP比で言えば50%近くにも達します。これを国策としてやっていて、タイを日本の属国のようにしているのなら分からないでもありませんが、大戦前でもあるまいし、そんな事出来る訳がないじゃないですか。(笑)
いくら貢献してその国を栄えさせても、彼らは自分都合で身勝手に動きます。政権が変わればフィリピンのように中国になびくかもしれないのです。いくら民主化されたとは言っても政情不安定な国は山ほどあります。そんなところへ国家としての戦略もなく個人がのこのこ出て行ってどうしますか?
中国のように何が起きるか分からない国は論外であるにも関わらず、未だに投資するバカ企業が後を絶ちません。本当にどうかしています。何かあった時に無事に撤収出来ると思っているのでしょうか。韓国だって同じです。あれ程の反日国へ投資する経営者の気がしれません。敵を富ませてどうしますか?戦前なら非国民と言われます。(笑)
海外に関する事は特に、自由と権利を金科玉条のように企業論理を振り回すべきではないのです。権利の裏には義務が必ず発生するし、自由には責任がついて廻ります。個人の自由や権利は公共の福祉に優先しない事をきちんと教育して来なかった政府の責任は重いです。お陰で今の日本はハチャメチャになってしまいました。そのあたり一度締め直すべき時期に来ているのではないでしょうか。教育勅語の復活もいいかもしれません。
話は戻りますが、内需を主体にした経済システムを再構築するなら、ものやサービスをいくら高付加価値にしてもし過ぎる事はない事に気がつきます。プアな海外を対象にしなければ必然的にそうなるのです。観光業にしても出来る限り大勢の観光客を海外から入れようとするから貧乏臭くなり、質も悪くなる訳です。海外からはセレブに限るというくらいの高ピーな姿勢で問題ありません。
(強気の値上げをしても発売即完売のななつ星、室内は手作り単品生産)
JR九州の株式が25日、東京証券取引所第1部に上場された。公募価格の2600円に対し、初値はこれを大きく上回る3100円となった。時価総額は4960億円となり、7月に上場したLINE(ライン)に次ぐ大型上場となった。26日には福岡証券取引所にも上場する。
国内観光もJR九州の「ななつ星」ではありませんが、高付加価値型の方が人気を集めているのは明らかです。リッチで格好いいもの、美味いものが嫌いだという人はいません。日本の産業を全て内需中心の高付加価値型にしていけば、その分の資金を政府が供給するだけでGDPはうなぎ上りになります。それを何でやらないで、貧乏臭い観光立国だとか、海外からの投資歓迎、あるいは移民受け入れなどと言っているのか私にはさっぱり分からないのです。
日本人が作れるなら、つまり海外の世話になるのが天然資源などで極限定的であるなら、いくら高級化しようが、高品質化しようが問題ないのではありませんか。誰か困る人がいれば教えて下さい。金本位制でない現代、円ならいくらでも刷れる事は黒田さんが証明しました。
ところで、今日でついに当面の目標であった2000記事に達しました。と言っても通過点に過ぎず、これからも書く事がある限り書いていく事に変わりはありません。特に新しい目標は設けず気の向くまま風の向くままにはなりますが、今後とも皆様の力強いご支援、暖かい見守り、宜しくお願い申し上げます。
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コメント
2000記事達成おめでとうございます。
保守系のブログを漁っていてこのブログに出会いました。最初は自動車についての専門的な話に引きつけられ、その後貿易に関すること(黒字は決して喜ぶべきことではない)、これはまさに目から鱗でした。自動車についても確かに国内高級化が一番ですね。投資した資金は自国内でまわり、生産された高級車も自国民が所有するのですから。海外の人がその高級車がほしければ高く売ってやればいいのです。そのほうがブランドも立つし、利益率も高いでしょう。日本はすべてにおいて高級の国になります。外国人旅行者のことも田中様のおっしゃるとおりですね。
移民のことや財政(財務省)のことは他の保守系のブログでも主張されています。しかし日本では貿易黒字を追求することが、相対的に貧困化をもたらすことを、他では指摘されていません。しかも今回のブログのように、プチガラパゴス化が豊かな日本をいかに作るかということを具体的に示されたのはまさに慧眼に値します。企業もただ利益を追求するのではなく、いかに国益に貢献できるかということが大事ですね。企業は資本家のためにあるのではなく、従業員や消費者(国民)にあるのです。グローバル資本主義などもってのほかです。
祖国というものを軸にすべてを見直すべきです。私もそのために微力ながら力を尽くすつもりです。田中様もブログ更新お願いします。今はチャンネルさくらだけでなく保守系のネット番組がたくさんあるので、田中様はそのどれかに出演してほしいです。それがどれだけ国益になるか。とにかく私は応援します。お仕事もお忙しいでしょうがよろしくお願いします。
投稿: 八丈島 | 2016年10月25日 (火) 21時30分
>日本では貿易黒字を追求することが、相対的に貧困化をもたらすことを、他では指摘されていません。
八丈島さん、いつも有り難うございます。
貿易黒字が日本経済に貢献するなんて言うエコノミストは実体経済を知らない学者が多いのではないでしょうか。数字ばかり追いかけて肝心な事を見逃してるのです。
日本は貿易優等生でした。しかしながら稼げば稼ぐ程円高になり国民が貧乏になっていった事実は厳然としてあります。なぜそれを理解しないのか理解出来ません。
実社会の経験のない学者には常識が通用しないのかな?とも思ってしまいます。そういう連中の助言を受ける政治家もまた常識力という点では多いに疑問です。
まともな事を言っている人もいない訳ではないのですが、なぜか表面には出て来ません。私などは論外としても、そういう論客がもっと露出する世の中でないと国民の意識も変わらないでしょうね。
投稿: 田中 徹 | 2016年10月26日 (水) 09時06分
(2000回記念)表題:スーパーリッチ大国ジパング
2000回記念に相応しい素晴らしい内容ですね、立派な1里塚構築の完成、おめでとう御座います。
八丈島さんのコメントは世界の中での我が国の立場での、現状把握・目標設定が的確であり、(日本はかくあるべき…)という素晴らしい提言と思います。頑張る日本の英知とスピリット
投稿: AZ生 | 2016年10月26日 (水) 09時19分
2000UP おめでとうございます
田中様には単なる通過点かも知れませんが2000回の記事は並大抵のことではなかったはず、途中、誰かの干渉で何ヶ月か止まったことも有りましたね。でもよく続けてくれました。いつも読むたびに私とほぼ同じ考えの方が居る事に安心しています。今後も変わらない活躍を期待しています。
当に田中さんの仰る通りこれからの日本は全てのものに付加価値を高めることだと考えます。今、あの単なる便器が凄いことになっています。事ほど左様に人も車も家も街も国も付加価値を高めていかなくてはいけません。
しかし、我が国の政治は全く駄目ですね。安倍さんのやることが時々「おかしいんじゃないの」と思われるときがあります。恐らく各方面からの圧力や干渉があるのでしょうが国民にはその賢明(クレイバー)な説明が必要です。
シナ朝鮮には米国や総連絡みのパチンコマネー、防衛や外交関係は米国、TPPには一部の米国やグローバリストの跋扈、財政や消費税には隠微な財務省などが絡んでいるはずです。そのうち、韓国と通貨スワップ5兆円などと言い出すのではないかと懸念しています。
国会を見ても民進党の質問は馬鹿馬鹿しくて見ていられません。「提案」という言葉の意味が全く分っていないようです。安倍内閣には突っ込み所があるにも関らず国民が納得できるような質問が出来ないようです。今の日本には健全な野党と報道機関が是非とも必要です。
今後とも田中様の活躍期待しております
投稿: ナベ | 2016年10月26日 (水) 09時31分
AZ生さん、ナベさん、いつも有り難うございます。皆さんの暖かいご支援のお陰で何とかここまで来ました。
それにしてもブログを通じて分かった事ですが、私に似た考えの方が結構多いことに驚きます。反対にテコでも変わらない頭の硬い人達も大勢いて相変わらずマスコミの影響を受けていますが、そこをもう少しだけこちら側に引き入れる手はないものでしょうかね。
日本のマスコミが変わらない限り無理かもしれません。という事はやはり、あの方達を何とかするしかないという話になってしまいます。(笑)
投稿: 田中 徹 | 2016年10月26日 (水) 22時49分