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2016年10月20日 (木)

貿易黒字は国を相対的に貧困化させる、は本当か?

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今日は読者の方からリクエストがありましたので、それに答えたいと思います。貿易黒字が日本を貧困化させるという話です。それを出来る限り易しく説明してみます。子供シリーズ第5弾と言ってもいいかもしれません。

まず、通貨をベースに話をします。例えば世界に国境がなく通貨もひとつしかなければ、という前提にしましょう。つまり全ての取引が日本国内のような感じであったなら、どうなるでしょうか。世界に日本一国だけが存在するという解釈でもかまいません。一時的に他の国には消えてもらいましょうか。(笑)

仮に名古屋が自動車造りが上手くて、東京が電機に強いとします。その場合は平和ではないでしょうか。多少どちらかが赤字でも他の地方でカバー出来たりします。収支で言っても日本全体で見ればプラスマイナスゼロになるので大きな問題は起きません。

リカードの比較優位理論を拡大解釈すれば、地方によって得意分野に特化する事が合理的だという事にもなります。同じ国内なら、お金(その国の通貨)さえあればどこの地域からでも物が買えるので困る事はありません。

地方によって収入に大きな差がついたとしても税金で再分配が可能です。人の流れで解決する事もあるでしょう。裕福な地方へ人は集まるので自然にバランスが取れたりします。貧困な地方に対しては、政府が何らかの手を打つ事も可能です。それを地方創世と名付けるかもしれません。

ところが名古屋と東京が別の国で通貨も違っていたならそうはいかないのです。どちらかが赤字になった場合、差額を借金しなければいけなくなります。日本全体で見てプラスマイナスゼロになっても強い地方はEUのドイツの様に黒字が積み上がっていくのです。国が違う場合は税金や政策によってバランスをとる事も出来ません。

さらに、これに為替が加わるとどうなるでしょうか。変動相場制の場合、名古屋国はクルマを売って儲ける度に三河円が上がる事になります。(笑)変動制の目的が貿易弱国救済ですから通貨高はペナルティという訳です。市場を独占する状態ならそれはそれでいいかもしれません。高くても東京国の人は買ってくれるかもしれないからですが、悪い事に埼玉国でもクルマが作れて結構性能もいいらしいと言います。

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名古屋国の人は何とか埼玉国のベンザに負けまいとして人件費を下げてでも東京での価格を維持するしかありません。そのせいで社員は長年給料が上がらないと嘆いているのです。メーカーの下請けはもっと悲惨で円高になる度に、メーカーからコストダウンの要求が来て給料が下がっていきます。但し、名古屋国の人が東京国に旅行に行くと、やたら物価が安いので驚くのです。その時だけは優越感に浸れるという訳です。

しかしその状態が10年も続くと事態は変わって来ます。名古屋国政府は賃金が上がらないデフレのせいで税収が減っていったので国債を乱発しました。10年も続ければ巨額に膨れ上がります。そういう状況下で人々は将来に対する不安から希望を失い子供も生まなくなっていったのです。なにか刹那的で頽廃したムードがマスコミによっても作られます。

そこまでに行く前に名古屋国の人が、資源購入以外では使い道がない江戸円をいくら稼いでも、自分たちが裕福にはならないと気付けば良かったのですが、なんせあの大都会東京国の江戸円です。持っていて損をする筈がありません。溜めるだけ溜め込みました。その結果、日本一のお金持ちなどと言われて悪い気はしなかったのです。得意になって地方国に大盤振る舞いもしましたが、なぜか金持ち名古屋人は評判が悪いようです。

その頃東京国では名古屋バッシングが盛んになっていました。東京国にも質は悪いのですが、実は自動車会社があったのです。名古屋プリウソのお陰で売れなくなった東京の自動車会社CMは、ロビー活動をして名古屋国から買うクルマを制限するよう政府に働きかけます。名古屋から駐在で東京に来ていた自動車会社幹部は、身に覚えのないセクハラ疑惑で訴えられたりもしたのです。

それを深刻に受け止めた名古屋の自動車会社トブタは自発的に東京に進出する事にしました。そうです。現地生産です。それなら現地に雇用を生むし経費も使ってくれます。叩かれる事はもうないでしょう。三河円が異常に高くなる事も避けられます。自動車会社トブタは日本中に工場を建設して喜ばれ、増々発展していった事は言うまでもありません。

ところが20年経ち足下を見てみると、名古屋国から工場が殆ど消え、税収も減り続け、国債発行残高だけが増えていました。それを補う増税増税で人々の生活は困窮しています。それでも気がつかない名古屋の人達は自分たちの努力が足りないせいで名古屋国が貧困化したと思い、やれ構造改革だ、規制緩和だと頑張るのです。狭い名古屋国だけでは需要がないと考えた企業家達は他の地方国への投資にも積極的になりました。

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しかし、なぜかそれをする度に増々景気が悪くなっていったのです。なぜでしょうか? デフレの原因を商品に魅力がないからだと勘違いして供給側を刺激したせいだけではなさそうです。

よくよく考えたら、貿易黒字こそ海外に生産拠点を移した事で減りましたが、所得収支を含む経常収支は相変わらずの巨額黒字を計上していたのです。直接投資などによる海外での利益を地元に還元しようとすると通貨の交換が起きます。つまり所得収支の黒字も通貨高要因なのです。

通貨高はデフレに直結します。自動車以外の産業も次々に生産を労働力の安い地方国へ移し逆輸入で儲けるようになりました。こうなると国内空洞化、物価安に歯止めがかかりません。名古屋国の為に頑張ると言って国内に残った残留組も高い賃金は払えなくなりました。背に腹は代えられないのです。おまけに現地生産から技術が漏洩し、思わぬところと競争する羽目にもなります。

50年後、名古屋国があった場所は、最盛期とは似ても似つかぬ様に変わり果てていました。経済の衰退は軍事力の衰退を意味します。一時、シューキンピラ率いる大阪共産軍がやって来て占領されましたが、巷の評判とは違って名古屋国には何もなかったのですぐに引き上げたという噂です。(笑)

今はただ荒れ果てたゴーストタウンが残っているだけです。そこに住んでいた人達は日本中に難民として散らばったと言います。本社を税金の安い地方国に移した自動車会社トブタだけは相変わらず大儲けし、丸々と太っていた事は言うまでもありません。日本一のメーカーになり日本中に優秀な性能のクルマを供給し続けています。お陰で日本プラネット全体で見れば大層発展しました。・・・・・・

例えば、名古屋国の人が賢明で10年経った時に意識が変わっていたなら・・
貿易で黒字にする事は他国にして見れば、借金を押し付けられる事になるので程々にしようと言い出した人がいました。「だから自動車だけじゃのうて、にゃーじゅきゃくでー(内需拡大)じゃ」と言ったとか言わなかったとか。(笑/方言が間違っていたらご指摘下さい)

名古屋国全体が発展すればいいのであって、他国で売れるからと言って名古屋国の産業を全て自動車にする事は出来ません。もちろん食料も大事だし、衣や住も生活には欠かせないのです。政府が音頭をとって脱貿易、脱グローバル化を推進した名古屋国の50年後は日本プラネットでもトップクラスの経済大国となり、人々は豊かな生活を謳歌しましたとさ。。

貿易?もちろん天然資源を手に入れるだけの輸出をした事は言うまでもありません。あくまでも物々交換が原則です。この場合のみがウィンウィンの関係を築けると気がついた名古屋国は、すんでのところで逆転ホームランが打てたのです。

これ以外でも貿易のデメリットは多々あるのですが、今回は分かり易くという事で省きました。貿易だけでなく外需は皆同じです。観光なども日本から海外へ出て行く数(1700万人程度)と同じにすれば平和なのですが、欲をかいては失敗します。

近い将来現れるであろう、もっと効率のいい産業から人を減らしてしまうという機会損失が発生し、トータルで見れば所得は減るのです。通貨高とのダブルパンチです。おまけに質の悪い客を相手にする事でサービスの質さえ落としかねません。百害あって一利無しではないでしょうか。

さらに、よく考えれば、国内観光を日本人がすればメリットは倍増します。国内でお金とサービスという価値の交換が出来るからです。海外相手だとお金(外貨)しか残りません。しかもそれは過剰に余っているのですから何をか言わんやです。

国内で使えるのはあくまでも円なので、その円を誰が発行しているかを考えれば、残るものが外貨である必要性がない事が分かります。海外からの旅行客は円を運ぶ媒体に過ぎないのです。

使えない外貨と交換する円があるなら、日本国民に直接配った方がよっぽど経済には有効ですが、そこまで想像力が及ばないのはなぜ? この国の貧困な経済学に原因があるのでしょうか。

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コメント

早速リクエストにお応えいただきありがとうございます。
国債が破綻するといことのうそ、移民政策の必要性だということのうそ、を理解させるのが困難なのに、貿易黒字が貧困化をもたらすことを理解してもらうのはもっと難しいです。田中様の解説を参考に身近なとこから少しずつ拡散していきたい思います。またよろしくお願いします。

投稿: 八丈島 | 2016年10月21日 (金) 10時20分

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