日本にとって大迷惑な外国人アナリスト
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日本は今、GDPに対する借金の比率が世界一高く、貧困率も先進国の中でもっとも悪くなっています。生活水準も他国に抜かれ始めており、経済や社会のシステムを「改革」する必要性が出てきた。
このような(政策提言の)本を出したのも、総理が1年に1回代わっていた頃に比べて現在の安倍政権は安定しており、しっかりと政策に時間を割けるので、構造転換を提案するにはいい時期だと思ったからです。
今回書いたテーマは範囲が広く、データの分析に時間も必要だったので、かなり労力も要しましたが。 ――日本が「潜在能力」をうまく成長に結びつけられないのは、自ら「ものづくり世界一」、「吾こそ技術大国だ」と自画自賛してばかりで、客観的なデータ分析を行わず、問題の根本的な解決を怠ってきたと指摘しています。日本人には耳の痛い話でしたが……。
アトキンソン:日本のアナリストが書いた本の多くは、キャッチフレーズを並べているだけで、データ分析が足りません。
中略
昨年したためたベストセラー『新・観光立国論』(東洋経済新報社)では、人口減少社会となった日本で新たな成長を目指すには、これまでの価値観をすべて捨て、官民一体となって戦略的に「観光大国」を目指す以外にない、と説き、政府をも突き動かすほどの大きな反響を呼んだ。
今年は前回で終了にする予定だったのですが、またまた看過出来ないおかしな経済記事を見つけましたので急遽書く事にしました。
このデービッド・アトキンソンという英国人の方はかつて「伝説のアナリスト」と称されていたそうですから笑えます。日本は観光立国を目指すしかない、なんて言う事自体が日本を知らなさ過ぎです。ナンセンスと言うしかありません。
他に書いている日本の潜在能力や貧困率等に関する記事も酷い内容ですが、観光立国だけは現実的大問題として、とても看過出来ないので、そこを集中攻撃する事にします。
大体この方、平気で日本の間抜けなアナリストをこき下ろしていますが、この人自身、本当に真面目にデータ分析しているのか? と言いたくなります。何でこういう適当な人しか表に出て来ないんだろう?しかもベストセラー??不思議でなりません。
アベノミクスで観光立国政策を開始して以来1000万人以上も外国人観光客が増えました。しかし、それで黒字になった外貨は年に1兆1200億円に過ぎません。これが後6000万人も増えてフランス並になったとして余分に9兆6千億円の外貨が入って来るだけです。一人当たりの使う額が16万円くらいなのでそうなります。
確かにGDPにして2%近い数字となるので、今の日本から見れば御の字かもしれません。しかし、だとしても安倍さんが言うGDP600兆円までは程遠いです。後6000万人も増やすのは並大抵の事ではありませんが、それでこの程度の数字ですから私が首相なら外国人観光客を減らす政策を選びます。(笑)
現状観光産業に直接携わる人が200万人として、その内外国人のために必要な人数は40万人程度でしょうか。これが8000万人も外国人が押し寄せるとなると後120万人も増やさなければなりません。生産年齢人口がどんどん減っている中、どこから人を集めて来るというのでしょうか。
ご存知のように観光業自体は生産性で言えば、かなり低い部類の産業(殆ど最低)です。日本はもっと生産性を高めなければいけないと言いながら、そこを増やすという考えは解せません。その場合、日本全体で見て、就労人口が不変としてもGDPはむしろ下がる事になります。こんな簡単な計算が出来ないアナリストや政治家とは何なんでしょうか。
さらに言うなら、観光業は安全保障上で言えばかなりネガティブなアイテムです。何を考えているか分からない外国人が増えて安全な訳はありません。しかも大半が反日国からの観光客です。昨年で言えば中国系650万人、韓国400万人ですから反日国からの観光客が過半数を占めます。
先日の新千歳空港を思い出しましょう。外国人の増加に比例して、あの種の事件が頻発するようになる事は自明です。大地震が起きた時の事も考えなければなりません。ああいう人が大勢足止めを食った状態で治安が保てるのでしょうか。警察官や自衛隊の余計な仕事を増やすだけで済めばめっけものです。
もっと言えば日本の観光業の質の低下を招く事は必至です。先進国等の比較的レベルの高い観光客には質の高いサービスが必要ですが、その逆は言うまでもありません。その結果、国内観光の圧倒的多数を占める日本人観光客からそっぽを向かれるようになるなら本末転倒です。
マクロ経済の視点に話を戻します。ない仮定ですが、例え外国人が増えた分の全てがGDPの増加に寄与したとしても、日本にとってそれが最善かと言えば否と言うしかありません。先ほどの治安の話を抜きにしても安全保障上必須アイテムとは思えないからです。
生産性の低い労働集約型産業には安全保障上欠く事が出来ないものが少なくありません。生産年齢人口が減っていく現状では、その何にリソースを集中するか優先順位をつけるべきです。
つまり、食料や医療・介護、運輸、土木建築などからは人は削れず、むしろ増やすべきは明らかです。ところが、規制緩和や構造改革などと言って、その逆の政策を押し進め安全保障上好ましからぬ事をしているのが現政府ですから頭が痛いと言わざるを得ません。
さらに対外純資産355兆円と、外貨があり余っている日本で、これ以上外貨を増やす事もある意味危険です。増々経常収支の黒字が膨らみ赤字国から顰蹙を買います。80年代の貿易摩擦は日本の巨額黒字を恐れた米が難癖を付け起きたという事実を忘れてはいけません。
長年に渡って積み上げた巨額経常黒字は激しい円高を招き、輸出企業は海外へ次々と生産拠点を移していきました。それは空洞化とデフレ不況の一番大きな要因です。今現在デフレ不況で苦しんでいる理由を忘れたとでも言うのでしょうか。
このブログで何度も言っていますが貿易収支、経常収支はプラスマイナスゼロが望ましいです。すなわち貿易は物々交換、資本関係は貸した分だけ借りる、あるいは資本の移動を不自由化する事が赤字国を作らず平和で健全な姿なのです。戦争の原因さえなくなります。
日本の様に殆どの事が自国で完結出来る国は、他国に依存しなければならない事は多くありません。例えば貿易黒字分を内需に置き換えるだけで、GDPはすぐには変わらないものの、円高のリスクから逃れられます。
さらにその場合、耐久消費財などの生産物は国内に残って資産となり今後の生産性向上に貢献します。政府も外貨との交換用に必要な円を確保するための国債を刷る必要がなくなり、消費税アップなどという愚作も雲散霧消するでしょう。正に良い事尽くめです。
勘違いされている方も多いのですが、観光(外国人)も貿易と同じで外需産業です。使えない紙切れ(外貨)を持って来て円と交換して使ってくれるから有り難いのですが、そんな余分な円があるなら最初から日本人に対して使えばいいのではないでしょうか。
つまり公共投資でも何でもいいのですが、日本人に対して政府が支出すれば、その分は国民の所得となり廻り廻って観光業も潤う訳です。温泉にでも入ってリフレッシュすれば生産性向上にも繋がります。その対価として国内に円が支払われば一挙両得というものです。
声を大にして言います。日本にとっての観光立国は亡国の愚策でしかありません。入国を厳しく制限しましょう。特に反日国からの観光客は基本ゼロが望ましいです。
と言う訳で、今年も言いたい事を書いて来ましたが、今回が最後になります。読者の皆さんには今年一年大変お世話になり有り難うございました。先の事は分かりませんが、当面やめるつもりはないので、また来年も宜しくお願い致します。
では皆さん良いお年をお迎え下さい。
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コメント
田中様言いたいことを言わせて貰いお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
文面から段々と偏見が少なくなっているのが私としてはうれしいです。けれども、だから無くなったわけでは無くて多分うちに込めているのだろうと思います。
あんたが偏見だろうと硫黄島様なら言う所ですが、私はその硫黄島様も男性の考え方の典型を学んでいます。
何か喧嘩を売っているような文面になりましたが、喧嘩を売る気はありません・・・。
よいお年をお迎えください。蛇足ですが奥様のコメントも見たいのですが全く見たことが無いので奥様はどうお考えなのか来年は見る事が出来れば嬉しいと思います。
投稿: | 2016年12月30日 (金) 23時26分
>奥様はどうお考えなのか来年は見る事が出来れば嬉しいと思います。
naoさん、うちのカミさんは私よりよっぽど右寄りできついですよ。(笑)
昔はこのブログを読んでくれていましたが、最近は読んでいないようです。何でも文が長過ぎるという事と、経済がよく分からないから、というのが理由のようです。
差別に関しても私より厳しい見解を持っています。だから書かない方が無難でしょうね。
今年も多くのコメントをいただき有り難うございました。来年も宜しくお願い致します。
投稿: 田中 徹 | 2016年12月31日 (土) 23時34分