トランプ氏だけでなく言葉が軽い欧米人
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またトランプネタですが、トランプ大統領が精力的に動いています。
トランプ氏の日本たたき、垣間見えるフォードの執念
2017/1/24 日本経済新聞 電子版
自由貿易体制の「逆回転」が始まった。トランプ米大統領は23日、環太平洋経済連携協定(TPP)離脱の大統領令に署名し、さらには自動車貿易について「不公平」という言葉を使いながら日本を名指しでけん制した。
日本にとっては1980年代の対米貿易摩擦を思わせる展開だが、伏線はあった。
厳しい対日姿勢で知られる米フォード・モーターと政権の急接近だ。
中略
さらには自動車貿易について「不公平だ」と名指しで日本を批判した。業界団体ならともかく、大統領が車にからんで日本を問題視することは近年では無かったことだ。日本が米国製の車を締め出しているという指摘は古くて新しい論争だ。
日本の輸入関税はゼロ%である一方で、米国は日本からの輸入乗用車に2.5%を課している。関税上は日本の方が開けているが、日本は輸入時の認証や安全規制、騒音や環境を巡る「非関税障壁」が高いとされる。
フォードはこうした理屈から日本が閉鎖的だと批判。
トランプ大統領が23日に離脱の大統領令に署名したTPPについても「関税を下げれば日本を利するだけ」と強硬に批准に反対してきた。オバマ政権がTPP締結の方針を示した後の16年には「規制が不透明」だとして結局、日本から撤退してしまった。
中略
そのフォード会長は業界では日本嫌いで有名だ。11年にトヨタ自動車と決めたハイブリッド車(HV)技術の提携が13年に破談となった際、トヨタの関係者は「創業家との意思疎通の難しさ」を1つの理由に挙げていた。
フォードの反TPPの裏にはフォード家があると指摘する関係者もいる。メキシコ投資を断念する代わりに、トランプ大統領から投資優遇など自社に有利な条件を引き出したとされるフォード。その中に「日本たたき」が含まれていた可能性はゼロではない。
10日のデトロイトでの業界向けの会合で、フォード会長は最近トランプ大統領と話し合った内容として「税制、為替、貿易」を挙げた。税制と貿易を巡る議論が動き出した今、次は為替の矛先が日本へと向くのだろうか。トランプ政権は米企業の思惑ものみ込みながら日本に重い影を落としている。(ニューヨーク=中西豊紀)
トランプ大統領は24日にも米自動車メーカー(ビッグスリー)のトップをホワイトハウスに呼んで会談するらしいです。どうも彼にとって自動車は最優先項目なのかもしれません。しかしどこまで身勝手なのでしょうか。上の記事を呼んで怒らない日本人、特に自動車関係の人はいないと思います。
日本が非関税障壁を厳しくして外国車を閉め出しているって?? 何をおっしゃるウサギさん。(笑)冗談は休み休みにして下さい。米のメーカーは日本で売るための努力をどれだけしたと言うのでしょうか。
(63年式のダットサン、今よりいいかも/笑)
翻って、我が日本自動車産業は血と汗と涙を流しながら米市場を開拓しました。最初はまるで相手にされなかったのです。大きくて豪華で立派なアメ車に比べれば貧弱でプアで、経済性だけが取り柄の日本車なんてはっきり言ってゴミです。(笑)いや、笑い事でなく、子供の頃私自信そう思っていました。
ド派手でキンキラキンのキャディラックを見て欲しいと思わない人はいません。エアコンがついていてパワーウィンドウが当たり前、さらにパワステ、ATです。コンバーティブルのトップは何と電動で開閉するのですから、当時の日本のガキから見れば宇宙船です。(笑)憧れたものです。
(今見てもチョー格好いいキャディラック・デヴィル・コンバーティブル/68年モデル)
私などはアメ車によって今日があると言っても過言ではありません。ああいう格好いい車を作りたいという一心でこの業界に入りました。あのアメ車に恋い焦がれて絵を一生懸命描いていた頃が、今でもなつかしい思い出です。
転機は何と言ってもオイルショックです。これでアメ車が狂い始めました。ダウンサイジングしてゴージャスでなくなったアメ車に魅力はありません。その間隙を縫うように日本車が進出します。その頃には少しは格好がついて来ていました。それでも魅力という点ではまだまだ差があったのです。
結局何だかんだ言っても日本車はアメリカという巨大なマーケットに育てられ成長したと言って過言ではありません。当時米では欧州車の方が圧倒的に優勢で、彼らが先生になった事も事実です。幸運だったのは欧州車の融通性のなさです。ヨーロッパ人のプライドがそうさせるのでしょうか。
欧州仕様をそのまま持って来て、これがベストだ、ではアバウトな米人に通用しません。その点日本人は柔軟です。(笑)自分のベストよりお客のベストを優先します。それがいき過ぎる事もあるので程々にはして欲しいのですが、米ではこれが当たりました。
つまり米車と欧州車の中間に位置するクルマを作ったのです。もちろん日本仕様とも違います。日本仕様はどちらかと言えば欧州寄りです。さらにその頃には外観も含めた品質が欧州車を上回るようになり、言うなれば「安くて運転のし易い欧州車」のような小型車が支持されるようになります。それはまずい事にビッグスリーを凌ぐ程に成長したのです。
ここで貿易摩擦が起きます。当然と言えば当然の結果です。80年代には300万台を超えるような集中豪雨的輸出攻勢で止まるところを知りません。。日本人は限度っちゅうもんを知らないようです。だから何でも自由なんてあり得ないと言っているんですよ。(笑)誰かがコントロールしなければ戦争にだってなりかねません。
そこで米が日本に経済戦争を仕掛けて来ます。貿易摩擦にプラザ合意、バブル崩壊、日米構造協議等々、それは年次改革要望書に姿を変えましたが最近まで続いていたのです。その仕上げがTPPの筈だったのですが、なぜかトランプ大統領は離脱しました。(笑)
もう十分だと思ったのか、違う手を考えているのかは知りません。いずれにしても放置される訳はないと考えるべきです。日露戦争以降、日本は米にとって不倶戴天の敵なのです。そのため裏でも色々奸策を弄しますが、歴史問題が一番手っ取り早いのかもしれません。中韓に騒がせて自分は仲裁に入るような立場を演出するという訳ですが、見え見えでしょう。
左翼マスコミと戦後教育によって贖罪意識を植え付けられた人のいい日本人は言いなりです。そこに在日外国人系の政財界人が紛れ込みますから話はややこしくなります。いつまでも歴史問題で揉めるのは必然なのです。というか、最近とみにエスカレートしているでしょう。悪い流れです。
しかし、考えてみれば米自動車産業が未だ健在なのも日本が手を差し伸べたからです。満足な部品も作れない裾野産業を教育し、技術も惜しみなく差し出しました。日本からの生産財、資本財輸出も侮れません。3.11でサプライチェーンが寸断された時にラインが止まったメーカーは米だけではなかったのです。
最近でのVW排ガス偽装も、元はと言えばドイツがライバルと見る日本の存在があります。焦りが生んだ犯罪かもしれません。そもそも欧州が誇っていたクリーンディーゼルも元はと言えば日本の技術です。コモンレールはデンソーが開発し、ボッシュの日本研究所で元デンソーの日本人技術者が乗用車用にアレンジを加えました。
日本のハイブリッドに対抗するにはこれしかなかったのです。ちょっと残念な気がしますが事実でしょう。ドイツメーカーの、黎明期のハイブリッドに対するこき下ろし方は酷かったのです。VWに金で買われた日本の自動車評論家も盛んにハイブリッドなんてあり得ない、これからはディーゼルの時代だと言っていたのは記憶に新しいです。
しかしながら、ニュルブルクリンクでのタイムレコード争いで、GT-Rに通常のやり方では勝てないと思ったポルシェは、918スパイダーという1億円近い価格の限定車で(一応量産という扱い)勝負を挑みます。なんとそれはバカにしていたハイブリッドだというのですから・・開いた口が塞がりません。(笑)
それにしてもVWはクリーンディーゼルを諦めたのでしょうか。次はEVだと宣言していますが、それにしたってリチウムイオン電池は日本がメインで材料も含めて開発したものだし、高性能モーターも日本がアドバンテージを持ちます。
さらに電力の供給問題もあって、VWが1000万台も作っている乗用車の全てをEVにする事などあり得ません。政府からの補助金だって限界があるでしょう。どうも我々が思っている以上に欧米人の言葉は軽いようです。
ちょっと長くなりましたので続きとします。
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コメント
田中様質問です。
最近トヨタとグーグルが自動運転の提携を解消したというニュースを聞きました。代わりグーグルはホンダと手を組んだらいしですが、自動運転のノウハウを出すから、ハイブリッドやその他の制御のノウハウを教えろということで、日本の技術が流失しないか心配しています。極端に言えばそのせいでグーグルが主導権を握るのではないかということです。杞憂でしょうが田中様の意見をお聞かせください。
投稿: 八丈島 | 2017年1月25日 (水) 18時39分
米国の白人はあまり利口じゃない
もう25年くらい前ですがグワムに潜りにいきました。小型のボートをチャーターして、有名スポットのブルーホールにい行きたかったのですが、その日は外海が荒れていて湾内で潜ることにしたのですが、朝、船を出すときエンジンを掛け、いきなり全速発進し途中でエンスト。私は日本で5馬力ですが船外機を使っていたので、暖気運転(ウオウムアプ)しないで出すなど無茶だと抗議したのですが、船長はそのうちエンジンが冷えて動くようになると気楽なものです。話をしていくうちにベトナム帰還兵とのこと、これじゃベトナムには勝てねーよなと思いました。
今、トランプさんが米国の製造業の回復を盛んに言っていますが、米国の自動車産業を含む製造業の弱点は、労働者の程度の低さとその人達を守る労働組合の強さに有ります。これを改善するには教育制度の改善と労組の改善が必要です。これは今すぐどうにかできるものではありません。
結局、彼らのいつものやり方、無理を通して道理を引っ込める、ことになるでしょう。世界中がここ暫らく迷惑することを覚悟しなくてはいけませんが、日本にとっては戦後の仕組みを変える好いチャンスかも知れません。
投稿: ナベ | 2017年1月25日 (水) 22時05分
八丈島さん
ご安心下さい。全くの杞憂です。グーグルが自動車で覇権を握るなんて事はあり得ません。せいぜい自動運転と言う一つの要素技術を持つだけです。
ハイブリッド技術にしてもフォードですらホンダの指南を受けても、今の日本車レベルには到達出来ないでしょう。緻密さと我慢強さがないと完成しない技術なのでアメリカ人には無理です。(笑)
試作が出来たとしても量産はまた違う領域です。つまりエラーゼロが達成出来なければ商品化は難しいのです。
従ってホンダがグーグルと組むとすればグーグルの持つ膨大な実走行生データか、AI技術が目当てで、言うなれば保険的意味合いだと思われます。一社で全てやるよりは仲間がいた方が早いしコストもかかりません。
グーグルにとってもメーカーからの貴重なノウハウ、膨大なデータは魅力です。つまり提携してもイーブンの関係なのでハイブリッド技術を差し出せなんて事にはなりません。
例え差し出しても猫に小判ですし。。(笑)
投稿: 田中 徹 | 2017年1月25日 (水) 22時26分
安心しました。
投稿: 八丈島 | 2017年1月26日 (木) 19時29分