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2017年2月22日 (水)

子供には難し過ぎる財政の話(リマインドバージョン)

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 最近ギリシャがまた怪しくなって来ました。ドイツなどから借りたお金が返せないようです。結局一度悪い流れになって緊縮財政を強いられた国は、表現は悪いのですが踏み倒してなんぼですから、貸すだけ無駄という事になります。

だから英国のように早くEUから離脱すればいいのです。そうすれば自国通貨が発行出来ますから、貧乏でも何とかやっていけるようになります。BMWが韓国車になるかもしれませんが、乗れるだけ上等です。(笑)

さて、今日はお約束通り財政の話です。前回提案した事を実現するには当然お金が必要ですが、その財源をどうするかという問題が常につきまといます。国会でもよく「財源はどうするんだ~」と野党が凄んでいる姿を見ます。まるで高利貸しが金返せと迫っているようです。

さすがに最近は日本の財政はギリシャより悪い、なんて事は言わなくなりましたが、借金大国という肩書きが外れた訳ではありません。肝心な政府も相変わらずピーピーしていて、補正予算なども小出しにしています。テレビなどでは1000兆円の借金は将来世代へのツケだなどと訳知り顔に言って厳しく政府を追及するキャスターもいるようです。

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(観光以外にこれと行った産業のない国がEUに留まっている事自体に無理がある。)

ところが外から見れば堂々の債権国、つまり金貸し国です。(笑)340兆円の世界一の対外純資産を保有し、外貨準備も円換算で140兆円を超えますが減る様子はありません。なんかおかしいですね。国内で言っている事と矛盾しています。

さらに個人金融資産は驚いた事に1752兆円(昨年末時点)もあるようですよ。国民一人当たりで言えば1381万円です。ウァオ~・・企業は企業で内部留保を350兆円も溜め込んで、せっせと海外に投資していると言いますから、これでどこが借金大国なのでしょうか。むしろ金余りじゃないの?

デフォルトするかもしれないと青息吐息の国を見てご覧なさい。通貨スワップをしてくれ~と必死です。いや、中にはひねくれた国もあって、「日本が望むならスワップしてやってもいい」なんて子供でも言わないような負け惜しみを言いますから、目が点になります。はい、お断りさせていただきます。(笑)それで何も日本は困りません。

政府が負債をいくら膨らませても別に危機らしい危機が来ない国日本、なぜでしょうか。お金は使ったら消える、借金は必ず返済しなければならない家計の論理で考えるとさっぱり分からなくなります。そこがミソかもしれません。

つまり、家計と違って国はお金を無限に作り出せるのです。政府さえその気になればいくらでも万札が印刷出来る訳です。あるいは必ずしも返済しなければいけないという事でもないようです。ギリシャや件のデフォルトしそうな国は外貨が足りないから騒いでいるのであって、自国通貨が足りないと言って騒ぐ間抜けな国はいません。

誤解されては困りますが、自国通貨なら発行し放題で全く消えて無くならないなどと言っている訳ではありません。仕組み上、お金を創るという事は誰かが借金をする事ですから、借金を返済するとお金は消えます。

個人でも新たに借りずにせっせと返済していけば借金がなくなるのと同時に銀行の債権も消えるのです。日銀の当座預金残高自体は変わりませんので、念のため付け加えておきます。つまり分かりやすく言えば国民の財布であるマネーストックが減って経済が収縮するのです。

それでは困るので常に返済よりも借り入れが多い状態を作り出さなければいけません。今の金融システムだとそうなります。例えば新しい国が出来たとして、まず最初に政府がお金を刷らなければ経済活動は始まりません。ところが発行した時点で政府の負債になるのです。一方、国民がそのお金を政府からもらうと国民の資産になります。何か国民にとって都合がいいですね。

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(上から見れば円という字に見える日本銀行/誰が考えたのだろう。)

日銀だってそうです。国債を銀行から金融緩和の名目で買い入れた時点で、その銀行の日銀当座預金に、その国債の額面金額プラスαが振り込まれますが、その原資はどこかから借りて来た訳ではありません。ただ印字するだけなのです。それが妙な事に、負債の部に計上されるという訳です。まさかそれを日銀の借金とは言わないでしょう。だって返す相手がいないのですから、そんな借金はあり得ません。

しかし、そういう事(金融緩和等)を続けていると日銀の収支が悪くなって破産するという人がいます。私に言わせれば、これが一番ナンセンスです。考えてもみて下さい。日銀、すなわち中央銀行は主に物価を安定させるために存在しますが、その為に市場に資金を供給したり、吸い上げたりしなければなりません。

その場合常識で考えて市場価格より安く買える(買いオペ)でしょうか? 否、それでは誰も売りませんね。国債を銀行などに売り(売りオペ)つけるときも安くなければ買ってもらえません。つまり日銀は損を覚悟で国債などを売買しなければいけないので、基本的に儲かる事はあり得ないのです。

もし利益が恒常的に出ているなら仕事をしていない証拠です。それでは中央銀行として存在理由がありません。そもそも政府の一組織が営利を目的とする機関である筈がないじゃないですか。基本は政府と同じで収入はないのです。それで何も不都合はないのですが、ここを理解しない人が多いので困ります。

ところで2012年にIMFがソブリン債(国債)の破綻リスク指数というのを発表しています。日銀が異次元緩和を始める前の数字です。それでいくと日本は25で、米国やスイス、オーストラリアと並んで破綻リスクが一番低いと評価されています。その一番の理由は国債が自国通貨建てだからです。もちろん政治が安定した先進国で、十分な供給力があるというのも評価の条件になるでしょう。

その次に40でドイツが来ますが少し差があります。自国で発行出来ないユーロがハンデになるようです。ドイツマルクのままなら日本などと同じレベルであったかもしれません。つまり、前段でも言いましたように自国通貨を持つ先進国はアドバンテージがあるのです。例え発行し過ぎて少々インフレになろうが、破綻するよりはましだと考えられるからです。

さらに言えば、日本の場合発行した国債の90%以上は国内で保有されています。しかも今は日銀が400兆円以上も持っているのです。という事は増々破綻リスクが下がった事を意味します。おまけに日銀が保有するメリットは借り換えのための予算が必要ない事です。今政府は毎年償還のために予算を10兆円以上組んでいますが、日銀の保有が進めば進む程これが減ります。利払いも急いでする必要はありません。

さらに驚いた事に期日が来ても償還せず日銀が保有したまま10年経てば時効が成立すると言うのです。(「国債ニ関スル法律」第9条)これは借金が消えるという意味です。まあ、政府の子会社が親会社である政府に金返せ、と迫るのも変です。(笑)どの道連結決算をすればプラスマイナスゼロですから償還しようがしまいが同じだという考え方は成立します。

そんな事をすれば国際社会からの信任がどうのこうのと聞いた風な事を言うエコノミストもいますが、そもそも海外が殆ど買っていないのですから関係ありません。それでも売り浴びせられれば日銀が買うだけです。金利も多少は上がった方がいいので慌てる必要もありません。そういえば前にテレビで素晴らしい肩書きの女性が1%金利が上がれば利払いが10兆円も増えると言っていました。

どういう計算をすればそうなるのか聞いてみたいのですが、そもそも国債の殆どは固定金利だという事が分かっていません。金利が上がるという意味は市場での売却額が下がる事です。つまり現在売買している国債の価値と、その国債の残存価値との比較で金利が決まるのであって、既発国債は対象外です。詳しく説明すると長くなるので省略しますが、新規発行の長期国債にしか影響しない金利を前述のように大袈裟に騒ぐ意味はありません。

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(トランプさんが日本に対する態度を軟化させたのは、ブレーンから本当の日米関係をレクチャーされたからだろう。)

ない仮定ですが、例え利払いが10兆円増えたとしても、政府系金融機関がその殆どを持っていきますから仲間内で廻しているだけです。どこからどう見ても大した問題があるとは思えません。第一米が許す筈がないでしょう。日米金利差で円キャリートレードが起き、そのお陰で利益を得ているのは米金融資本です。おいそれと日本の金利が上がる状態にはなりません。

ついでにはっきり言いましょう。日本の金利が米より低い事と円高、デフレによって米経済は支えられているのです。従ってトランプさんが何と言おうがその流れは変わりません。つまり、日本人の所得が米国人に移転する事が日米安保の正体なのです。昔はともかく今はそういう関係です。それは政府関係者もマスコミも口が裂けても言えません。

このように日本の場合は好むと好まざるとに関わらず米が絡むのでかなり特殊と言えますが、自国通貨建ての債務が外貨建てに比べいかに問題ないかがお分かりいただけたのではないでしょうか。それを殊更大変だと騒ぎ立てるのは裏に何かあるからです。

また長くなりました。一回切ります。

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