質問にお答え致します(日本国債の話)
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今日は拙ブログの希少で貴重な読者の方からの質問にお答えする形で話をします。主に国債にまつわる金融の話ですが、私は専門家でないので細部に渡って100%正確な話をする自信はありません。私が出来るのは常識論に基づくマクロ経済概念の話です。
ところが、それが意外に難しいと見えて専門家でも頓珍漢なことを言う人が後を絶ちません。特にテレビに出るような人は実社会(もの造り等の経済の現場)の経験がないのか、全く意味不明なことを言います。各人見解がバラバラなのをみても、経済学は確立された学問ではないようです。
さて、最初のご質問
財務省は日本国債の海外IRと題し、海外の投資家に日本国債についてプレゼン?をしている様ですが、(財務省から出しているPDF見ました)これは一体何なんですか?要するに日本国債を海外投資家に売る?ってことですか?もしそうだとすれば、それって良いことなんでしょうか?難しくて分かりません。田中さんの解説をお願いします:)
おっしゃる通りで日本国債を海外にもっと売ろうとしています。海外保有率は未だ10%を切っていますが、それ以上にしたいのでしょうね。とんだ売国行為だと言えます。海外に売るメリットなど全くありません。これは断言出来ます。その理由を箇条書きにします。
1)日銀が異次元緩和で年に80兆円も買っている現在、海外に売らなければいけない理由はどこにもない。
日本は外貨に困っている訳でもない、むしろ買う側だ。
2)それどころが国内が既に品薄状態に陥っているので、国内の金融機関に一定割合を持たせるという意味でも海外に売るのはおかしい。
3)海外保有の場合のリスク
海外勢は自分たちの利益のためにしか売り買いしない。
基本日本国がどうなろうが知った事ではない。
例えば反日国の中国などが大量に買えば言いたい事も言えなくなる。
泥棒にお金を借りるバカはいないでしょう。(笑)
財務省の売国ぶりは目を覆いたくなる程です。森友問題だって財務省当りが仕掛けたのでは?という噂もあるくらいです。消費税の増税をしぶっている安倍政権が目障りな事は確かでしょう。
次に
「主に自らが増やした銀行の当座預金残高を減らす事によって資金を調達しています。」とありますが、私は主に市中の銀行や保険会社などの金融機関から借りている(金融機関が国債を買っている)と理解していますが、そこのところもう少し解説お願いします。またその当座預金とは日銀の当座預金のことですか?ついでにもう一つ、マネーサプライとマネーストック、マネタリーベース、についても説明お願いします。初歩的な質問ですがよろしくお願いします。
(国内で消化されている分には、誰が買っても大した問題ではないが、中央銀行が大半を持っている方が安定感があって好ましいと言える。)
この基本的なところが意外に難しいのです。専門家もよく分かっていません。テレビなどで時々ビックリするような事を訳知り顔で言う人がいます。「1800兆円の個人金融資産があるうちは大丈夫だ。」とか(笑)全くもって意味不明です。
昨日も言いましたが、基本お金は政府(日銀含む)にしか作れません。政府の作るお金がハイパワードマネーと呼ばれ日銀の当座預金口座に溜め込まれます。この場合の当座預金口座とは民間及び政府系金融機関が日銀内に持つ口座です。
これに現金通貨(日銀券等)を加えたものをマネタリーベースとかベースマネーと呼びます。これは基本自然には消えません。増やすも消すも政府次第という訳です。これに対して日銀以外の金融機関が自行に持つ預金残高+流通している現金通貨の事をマネーストックと呼びます。昔はマネーサプライと言っていましたが、今はマネーストックに変更されました。M2 M3がよく出て来ます。
このお金(残高)は銀行が自行の持つ日銀当座預金残高に対して一定割合で増やせます。今ならほぼ100倍までは増やせるので無限と考えた方がいいかもしれません。330兆円の100倍ですから天文学的数字になります。実際には預金残高は1250兆円(M3)程ですから、まだまだ貸し出しの余裕がある訳です。
ここのお金は基本貸し出しによって増やしたものなので、返済で消えていきます。従って銀行は必死になって貸し出さなければならないのですが、近年は貸し出し(間接金融)より債券などを買う直接金融の方が増えているようです。これは実は大問題で、マネーストックが増え難い構造になりつつあります。
さて、昨日も言いましたように、政府は国債を売り買いする事でハイパワードマネーの量を調整します。その結果は全て日銀の当座預金残高に反映されるという訳です。つまり国債は誰が買っても日銀内でしかお金のやり取りはありません。
例えば生命保険会社が国債を買っても、その会社の取引銀行を経由して政府に資金が移動します。詳しく言うと、その銀行が持つ日銀当座預金口座から政府の日銀当座預金口座に移動する訳ですね。それは個人が買っても同じ事です。個人と政府が直接の取引は出来ません。銀行などの金融機関を通してという事になります。
従って国が国債を刷って売る=日銀の当座預金残高が減る、国債を買う=日銀の当座預金残高が増える、となります。つまり国は自分で創造した真のお金の増減を日銀当座預金で行っている訳です。誰が買うかは大した問題ではありません。うまく売れなければ金利を上げるだけの事で、マクロで見れば自作自演をしている訳です。
それをあたかも国民が買って政府を支えているかの如くに言うのは汚いやり方です。国民一人あたりの借金が〜に通じます。金融機関も含めた国民が買ってくれなければ政府は資金調達が出来ないとすると、その調達したお金は必ず返さなければならない事になり、その返済資金はまた国民の資産から税金でという妙な話になります。
論理的矛盾がそこにはあるのです。そんなんじゃ購買力の源泉であるマネーストックが枯渇するではありませんか。それで経済が上手く廻る訳がありません。ここは常識論の範疇と言えますが、全くもってデタラメな話です。国民を舐めるなと言いたいです。
これらの事からも財務省がいかに売国的で、さらに消費税を上げる事に必死かが分かるというものです。騙されてはいけません。全ては自作自演です。国内で廻すお金なんて何とでもなるのですから。。
国民一人当たりの借金が〜というのが、いかに人を舐めたデタラメな話かがお分かりいただけるでしょう。書いているうちにムカついて来ました。(笑)こんなところでよろしいでしょうか。
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コメント
さっそくのご解説ありがとうございます。よく理解できました。しかし財務省の売国奴ぶりには怒りを覚えます。大東亜戦争の失敗もエリート軍事官僚の責任だし今もそうですね。
日本政府の借金(国債)はなんの心配もないことがわかっていてもここまで砕いて説明しているのは他にはないと思います。前にも提案しましたが、チャンネル桜に出て解説してください。経済だけでなく自動車のことはもっと貴重な話です。多くの人のためになり喜んでもらえると確信しますよ。他のネット番組でもいいです。
投稿: 八丈島 | 2017年3月30日 (木) 18時22分
田中さん、分かりやすい解説ありがとうございます。私のお粗末な質問に答えて頂きホント恐縮です。こんな私でも国債を外国人に売る行為は良くないだろと感じておりました。政府・財務省が定期的に海外へ行って外国人投資家にプレゼンを行っている行為は本当に理解出来ません。
いつもの通り私が一人で騒いでいると、私の周りは「誰も買わないから、外国人に買ってもらうしかないんじゃない」と言ってましたが、納得いきませんでした。田中さんの解説を聞いて安心しました。(安心と同時に財務省への怒りも倍増しましたが)ブログ、楽しみにしております。引き続き宜しくお願いします。
投稿: 女性読者 | 2017年3月31日 (金) 00時39分
>私の周りは「誰も買わないから、外国人に買ってもらうしかないんじゃない」と言ってました
女性読者さん、全くの逆です。買い手が多すぎるから金利も下がるのです。世界で一番安心出来る国債です。世界が不安定になると円が買われるでしょう。皆日本円や、それに準ずる日本国債が欲しいのです。
言える事はニーズに対して円の絶対量が少ない、だから円高圧力が常にかかるのです。
投稿: 田中 徹 | 2017年3月31日 (金) 09時17分
>チャンネル桜に出て解説してください。経済だけでなく自動車のことはもっと貴重な話です。多くの人のためになり喜んでもらえると確信しますよ。他のネット番組でもいいです。
八丈島さん、無理です。(笑)ツテがありません。と言うより、そこまでやるならもっと理論武装をする必要があります。どこから突っ込まれても即座に、しかも完璧に反論出来るようにしなければなりません。それには未だ道半ばです。
投稿: 田中 徹 | 2017年3月31日 (金) 09時22分