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2017年3月 8日 (水)

通用しない常識、異なる倫理観

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東芝が世界で始めてそのコンセプトを考案したと言われる「3D構造NANDフラッシュメモリー」は現在、サムスンを筆頭に東芝、その東芝のビジネスパートナーである米ウェスタン・デジタル社、韓国SKHynix、米マイクロン・テクノロジーと新規参入のインテルの6社が世界で凌ぎを削っています。

そこに最近莫大な予算をかけて半導体の内製化を進めるべく中国が投資、買収を強化、割り込んで来ている話は前回しました。これは嫌な展開です。DRAMの時のようにチキンレースになり市場は荒れるのでしょうか?コスト面でハンデを負う東芝の苦戦は予想されます。

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ここで素朴な疑問がわき起こります。なぜ日米韓なのか? 後発のサムスンがなぜトップシェアを保てるのか、あるいは資本の逃避などで外貨が激減し、通貨防衛に躍起な中国が、なぜ莫大な買収資金を調達出来るのか、常識的な日本人には理解が及びません。

一言で言ってしまえば「アンフェア」、言い換えれば「何でもあり」ですが、ではなぜそのような事が可能なのでしょうか。韓国の場合は比較的分かり易いです。まず、2000年頃まで何も技術らしい技術がなかった韓国企業は、日本人技術者から手っ取り早く買う手を思いついたのです。

人がよく、韓国に対し間違った歴史観から贖罪意識を持つ世間知らずの日本人技術者はいとも簡単に籠絡されました。その頃には日本経済の停滞もあって資金力の差が縮小していたという事もあり、韓国企業は好機が到来したとばかり積極的にヘッドハンティングに動いたのです。さらに国策として輸出企業を優遇する政府が後押しするのですから話は簡単です。

当時スター企業がキラ星の如く存在を競い合う電機産業が真っ先に狙われました。そのオペレーションモデルは、まず先端技術を持つ日本企業からエースクラスを引き抜きます。ついでにその周辺の技術者や協力企業も含めて一網打尽にする作戦です。それがまんまと図に当たるのですから驚いてしまいます。日本人はそこまで尻軽だったのか。。

既存の技術の延長であれば仕事は楽です。サムスンなどが、あっという間に日本にキャッチアップして来ました。サムスンの李会長が「我が社は開発のために資金は使わない、日本が代わりに出してくれる」と言っていたように、ハナから基礎技術の研究など眼中にないのです。

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    (サムスンの最新鋭3D V-NANDフラッシュ)

その点、基本だけを西洋から習い、基礎から積み上げて来た日本とは全く異なります。ものの考え方が180度違うのです。しかしそれを韓国に要求するのも酷な話かもしれません。ここまで高度になった段階で一から始めるのでは気が遠くなります。一体いくら開発のための資金が必要なのか、何年かかるのか見当もつきません。経営者としてはやってられないと考えても仕方ないのではないでしょうか。

そういう意味では合理的というか、盗人にも三分の理ではありませんが(笑)一理はあるのかもしれません。問題は非合法、あるいは倫理、商道徳に反する事です。中国も似たようなもので、相手が外国、しかも日本なら何をやってもいいというような空気があります。

倫理観と言えば、弊社も痛い目に遭った事がありました。大分昔の話ですが韓国人技術者を採用した一時期があったのです。アジア通貨危機の直後でしたから、優秀な韓国人技術者が日本に職を求めていました。何人か採用しましたが、その内の一人がとんでもない事をやらかしてくれたのです。

既に採用を決めて在留資格認定待ちだったのですが、その彼を中国に弊社社員として出張させたのが間違いでした。いつまで経っても戻って来ないので確認したところ、先方に就職したというのです。それはないだろうと先方の経営者に詰め寄りましたが、本人が望むのだから仕方ない、その何が悪いのか?と逆切れされる始末です。(笑)

その企業とはいくつかプロジェクトをコラボして、良好な仲であったにも関わらずです。こちらに断りもなく、いきなり採用する方もする方なら寝返る方も寝返る方です。日本での仕事の場を提供した弊社の立場など全く意に介しません。中韓が結託すれば日本は泣き寝入りするしかないという構図がここにもあります。

この例でも分かるように日本人の常識や倫理観は通用しないのです。常に自分の都合を優先させます。しかも場当たり的、短絡的です。目先の利益しか求めません。人だけでなく企業も同じで、先行投資や研究、技術の蓄積という概念は希薄です。出来合いの物、技術を買って来て日本より安く売れば商売になるのですからそうなって不思議はありません。

このビジネスモデルはグローバル時代の申し子と言えます。国際水平分業がこのモデルを可能にしました。一企業としての大きな投資はないので、ひとつ失敗しても次の商品を先進国の中から探し出すだけです。何のストレスもありません。日本の垂直統合型ビジネスモデルの場合は部品も含め全て自主開発(系列内も含む)ですから投資も桁違いになります。ひとつの商品が失敗したなら会社が傾きかねません。

それなのに、慎重に製品開発を行い市場に出す頃には相手も生産体制が整っているのですから驚天動地です。しかも当然ながら日本の半分というようなプライスです。但し、品質という点に於いては数段落ちるのですが、世界は大して気にしません。(笑)電機製品ならそんなものなのでしょうか。そこは自動車の世界とは違うようです。

もちろん日本ブランドは評価されているので国内では最強、世界でも一定の顧客は望めるのですが、マスとなるととても勝てません。あっという間に韓国ブランドが世界を席巻しました。もちろん特許の問題もあってトラブルは尽きないのですが、逆に訴訟に持ち込まれたり、なんだかんだで長引かせ、決着する前に商品を売り切ろうという姿勢では日本企業に勝ち目はないのです。

それでも韓国企業の場合は未だ可愛いものかもしれません。資本財や部品、材料の調達で対日貿易赤字は常に2兆円以上もあり、そのせいもあって慢性的な外貨不足にも悩まされます。ところが中国はと言えば、経常収支は巨額の黒字だし、曲がりなりにも世界一と言われる外貨準備を持ちます。

頼りになる外資系金融機関がサポートでもするのでしょうか?この資金力を持って一企業の仮面を被った国が動く訳ですからタチが悪いと言わざるを得ません。ただ韓国と違うのは同じくアンフェアと言えども合法的なところです。買収という行為に於いて国際法に触れる事はありません。

当然政府のバックアップのない日本企業は狙われると厳しい立場に追い込まれます。シャープに止まらず東芝、しかも軍事にも重大な影響を与える最先端技術の半導体となると安全保障上も国が動かざるを得ない筈ですが、今のところその気配は感じられません。

何か水面下で政治的な駆け引きでもあるのでしょうか。米にとっても無関心ではいられない話の筈ですが・・長くなりましたので一旦終了します。

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