逆転の発想で税金を考える
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何らかの形で税金を納めている普通の日本人は、税金はお上へ献上すべき「みかじめ料」?のように思っているのではないでしょうか。正しく使われているかどうかはともかく、お上には逆らえないので取りあえず払っておこうという感じです。
しかし出来る事なら払いたくない、払うにしても、少しでも減らしたいと思うのが人情です。特に自営業や中小企業の経営者にとっては切実です。利益が出た場合、どうせ税金に取られるくらいなら何かに投資しようとか、物に代えておこうと考えても不思議はありません。
そのせいもあって高級欧州車などはよく売れるようです。私の場合も車が商売なので税務署は殆ど丸ごと経費として認めてくれます。儲かった時などは節税の名目で欧州車を買ったりしていました。もちろん仕事の参考にするためである事は言うまでもありません。(笑)
このように直接税なら考え方次第でやりようは色々あるのですが、間接税、特に消費税はいただけません。うちの場合消費税の納税は年に一度ですが1年分となると大金を納める羽目になりかねないのです。海外との取引が少ない時は悲惨です。
(笑) 既に色々な支払いに使ってしまって、そのための蓄えが全くない場合などもあります。そうなると取りあえず銀行などから借りるしかないという事になり悪い流 れへと落ちていく訳です。計画性がないと言われればそれまでですが、商売に不測の事態はつきもので、そういうケースは案外多いのです。
( 私、日本に生まれてよかった。私もそう思います。)
ところで国の税収はアベノミクスで上がって来ているとは言え歳入全体で見て、歳出に対し30兆円以上不足した状態が続いています。国債の償還費と利払いだけで24兆円近くもあるのですから当然と言えば当然ではないでしょうか。
しかし常識的に考えて、その足りない分を全て間接税で補う事は不可能です。20%以上もの消費税になりかねません。そうなると消費が間違いなく冷え込むので、肝心な直接税の税収が減り全体の税収は返って伸びないというパラドックスに陥ります。
今の8%でも結構やばい訳ですから10%に上げるのは無茶です。間違いなく消費は減りデフレからの脱却は遠退くでしょう。むしろ下げてほしいというのが中小企業経営者の本音です。輸出企業で、しかも下請けを叩ける大企業は賛成かもしれませんが。。
では一体どうすればいいのでしょうか。何か妙案はあるのか? あるエコノミストは言います。国債を刷って財政出動をすれば有効需要が増え、税収も増えるので好循環になると・・またあるエコノミストは、それでは財政が保たないから節約しろと言います。
しかし考えてみれば、今は金本位制の時代ではありません。ニクソンショック後、1971年に管理通貨制に移行しています。それが意味する事は、その気になれば主権国家の政府はいくらでも通貨を発行出来るという事です。
その場合のリスクはインフレしかないというのですからふざけた話ではないでしょうか。もちろん物価がどんどん上がり、アルゼンチンやジンバブエがそうだったように、お札の束を抱えて買い物に行くのは悪夢です。何としてもそれだけは避けたいというのは分かります。
し かし今日本はデフレなのです。しかも膨大な潜在生産力を持ちます。なら少々お金を刷ってばらまいても問題ない筈です。2%のインフレターゲットを言い出し てから随分時間が経ちます。無策の誹りは免れません。もっと直接的に効率よく消費を増やす方法はあるのではないでしょうか。
よく言われ るのがばらまきの代表、ヘリコプターマネーですが、それが難しいというのなら逆に減税という手もあります。消費税を廃止して直接税も下げるなら消費は間違 いなく増えるでしょう。ところが政府は逆の事をやろうとしているのです。消費税の増税他、酒税なども見直しているようです。
それで消費が増 える訳がありません。 私が思うに、今の時代の税金というのは、もちろん国への帰属意識を高めるため、という事はあるのでしょうが、一種のペナルティと も言えるのではないでしょうか。つまり景気が加熱し過ぎて物価がどんどん上がる事への事前制裁金です。だとすれば人をおちょくった話です。
(画面をクリックすれば大きな画像になります。)
例えば98兆円(国債費24兆円を含む)の国家予算の財源を税収外収入を除いて全て国債の日銀引き受けで調達したならどうなるのでしょうか。夢の税金ゼロです。インフレがないとすれば乗数効果と限界消費性向を考慮しない単純計算で実質11%の経済成長になります。
(国 債費を除く基礎的財政収支対象額を約73兆円、減税額58兆円とし、前年のGDPを505兆円としての計算)
さすがにいきなり実質11%というのは難 しいかもしれません。では実質3%成長ならどうでしょうか。その場合、名目が11%成長なら、後の8%はインフレ分になります。という事は、政府は2%の インタゲを達成するなら5%分(30兆円)の減税すればいいという事になるのです。
極端な話ではありますが、一度やってみたらどうでしょうか。ある年に 税金を全てゼロにしてみるのです。壮大な実験です。(笑)その次の年から徐々に税金を上げて2%のインフレで安定させます。政府債務が莫大になると言われ るかもしれませんが、日銀引き受けなら大した問題にはなりません。それでも心配と言われる方には債務の対GDP比を減らす事で納得してもらいましょう。
私 の簡単な計算では名目5%成長が続けば13年程でGDPは倍になります。その時の税収が正確にどれくらいかは分かりませんが、税収弾性値を政府見解の1.1と極端 に低めに見積もっても122兆円、2とすれば200兆円を超すのですから、その時代の一般会計予算を今の倍としても十分税金だけでやっていけます。
プライマリーバランスの劇的改善は自明で、政府債務の対GDP比が問題にならないレベルになる事も言うまでもありません。但し、人口と生産年齢人口の減少は考慮していません。考慮したとしても10年では大きな減少はないので大した違いはないと思われます。
インタゲをやるには、こういうやり方の方が今のベースマネーを増やすだけのやり方よりよっぽど効果的だと思うのですが、そういう逆転の発想が政府にある筈がありませんね。(笑)ではなぜ今の金融緩和という、ひとつの方法にだけ固執するのかは次回考察したいと思います。
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コメント
面白かったです。
税金は国を運営する為に必要とは思いますが、政治家や官僚が好きに自分の利益の為に運用するのは筋が違うと思います。
この中では触れていませんが、森友学園に関与(アベ首相と夫人)していたら政治家?首相を辞めると断言したのに、全くそれは無かったようにアベ首相は振舞っています。
どうなるのかな・と興味深いです。
本当に良くわからないのが、税収を増やせば安泰という理論です。さんざん森友学園のように知人に便宜を図る事は公人でも公務員でも忌むべきことで、犯罪です。
支出も収入も相対的に見直しこうすれば良いという論が見たいです・・・。
投稿: nao | 2017年5月 2日 (火) 22時23分
政府は通貨を発行できるのだから、税金を徴収しなくてもやっていけるのではないかと、私も考えていました。ベーシックインカムもこのあたりの考え方がなければ導入が難しいような気がします。少なくとも政府の財政のすべてを徴収した税金でまかなわなければならない、また国債を国民から集めた税金で返さなければならないという考え方が間違っているというこが、広く国民に認知されることが重要だと思います。
投稿: 八丈島 | 2017年5月 3日 (水) 05時44分