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2017年6月19日 (月)

自由貿易には致命的な問題があった。

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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 少し前に「誰が為の自由貿易なのか」というテーマで記事を書きましたが、そもそも輸出や輸入に関する根本的にネガティブな部分が抜けています。例えば海上輸送にしても今日の膨大な量を輸送して環境汚染がない訳はないのです。その費用も無駄で、消費者の負担になります。

そこで、その辺りの事を調べようと色々ググっているうちに、あるサイトに行き着きました。何と国際貿易に伴う窒素汚染の実態解明に成功したと言うのです。私などの想像をはるかに超える環境汚染が浮き彫りになったというのですから驚きました。

昨年の1月に解禁になった資料「国際貿易が引き起こす窒素汚染の実態を解明」を紹介します。

http://www.ynu.ac.jp/img/news/id-15185-jp.pdf

以下、一部をコピペ

現在、窒素固定を通じて陸上生態系が年間に生成する量の倍以上の活性窒素が、窒素肥料 の施肥や作物の栽培、化石燃料の燃焼などによって生成されています。年間の人為的な活性窒素生 成量は、世界人口と 1 人当たり食肉消費量の増加により増え続けていますが、既に地球の許容量の 約 3 倍に達しているといわれます。

活性窒素による窒素汚染は、生態系と人の健康を脅かしていま すが、中でも、海洋生態系の劣化は世界的に深刻化しているため、「国連持続可能な開発会議」(リ オ+20)において、窒素汚染を含めた原因対策を緊急的にとることが宣言されました。

そこまでとは全く知りませんでした。これは最早経済論で片付ける問題ではなさそうです。全人類が取り組むべき喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。その中でも特に下記記述に注目して下さい。

世界の窒素フットプリントを分解することで、世界の窒素負荷の約 4 分の 1 が、国際的に取引 されている商品によること、また、農畜産物由来の食料や織物などの生産地で排出される硝酸態 窒素、アンモニア、亜酸化窒素が、全体の多くを占めることがわかりました。これらの結果から、 国際貿易が農畜産業の盛んな地域の地下水汚染などを助長していることがわかりました。

さらに、輸入品の生産などのために国外で排出された量から、輸出品の生産などのために国内 で排出した量を差し引いて、商品に内包された活性窒素排出の「純輸入量」を算出しました。こ れにより、主な純輸出国は農畜産物由来の食料や織物の輸出大国であり、その多くは発展途上国 である一方、主な純輸入国は農畜産物由来の製品の多くを輸入に頼って消費している先進国であ り、
中でも日本の輸入による影響が突出していることを明らかにしました(図 1)。

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恐ろしい事に日本が貿易に於いて最も相手国を汚染している国であるという事が証明されてしまったのです。どういう事かと言いますと、日本が輸入に頼っている食糧や衣類などを生産する中国や米国などの国々が、余分にそれらを生産する事で自国の環境汚染をさらに悪化させているというです。

安いからと言って安易に海外から食糧を買ったり、ユニクロのように国内に工場を持たずに海外で生産して逆輸入する事が、生産地を必要以上に汚染させています。これがいかにエゴイスティックで罪深いかという事です。自分のところだけは出さない、では済まされません。

この問題はCO2排出問題どころでない事は明らかです。こっちは大気中濃度は0.038%に過ぎず、産業革命以降の250年で0.012%しか増えていません。7〜8%以上にもなれば生物の生存は難しくなるようですが、それまでには相当な時間がかかります。

アル・ゴアは原発関連企業に投資していたという事実もあり、随分前からCO2地球温暖化犯人説には疑問符が付いていました。しかし未だに亡霊が生きていて国際的にも排出規制を厳しくしています。どうも優先順位がデタラメなようですが、誰かの利権にでも結びついているのでしょうか。

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(図2 商品に内包された活性窒素排出量の国際貿易ルート{最終販売国―消費国間; 上位 10 ルートはラベル付}

 線の色が黄色に近いほど、内包された活性窒素排出量が多い。すべてのルートには、原産国や 中間生産国で排出された活性窒素量が含まれている。)

話を戻します。日本の輸入による窒素汚染問題は、それらの輸入品が国内で生産出来ない訳ではないので、輸入に高関税をかければ一発で解決するのではなでしょうか。日本式生産であれば汚染も桁違いに減らせます。もちろん自由貿易の精神には反しますが、地球環境を優先すべきは明らかです。

地産地消が安全保障や効率の点でベストである事は拙ブログでも散々主張して来ましたが、今回別の角度からもそれが証明されました。しかし、昨年発表されている割にはマスコミも扱いません。政府要人もこのような重大事実を知らないのでしょうか。

知らないのだとすれば、情報収集能力に致命的欠陥がある事になり、知っていたのであれば確信犯になります。TPPだのFTAだのと言っている場合ではありません。日本を環境犯罪国家にもしかねない、今の貿易体制を早急に改めなければ将来に禍根を残します。

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