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2017年6月16日 (金)

アベノミクスとは何だったのか(後編)

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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前々回からの続きですが、話は少し戻ります。第一の矢、異次元の金融緩和とは、銀行から国債などの債券を大量に買って当座預金残高を増やす事に意味がありました。その結果、動かせる現金が増えた銀行は貸し出しに積極的になれます。

そうすれば当然マネーストック、即ち国民が使える資金が増える訳ですから給料も上がり、消費が増えて景気が良くなるという訳です。その、円が増える事による副作用は円安です。この場合輸出企業が主に恩恵を受けるのですが、その輸出企業の株も上がる事になります。

日経平均で見ても民主党時代との比較で言えば2倍にもなりました。この効果は大きいのではないでしょうか。と、普通は思うのですが、実は日常的に売買をしている投資家の大半は外資系ファンドです。バブル前との比較で60%も増えました。

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儲かっているのは実はその外国人なのです。その数字は日銀のHPでも確認出来ますが、アベノミクススタート以降の2年程で100兆円ものキャピタルゲインを記録していました。それが意味する事は誰かが大きく損をしているという事です。

では誰が損をしたのでしょうか? 株などへの投資は直接金融と呼ばれ、個人が投資先を選ぶことが出来ます。日本人(家計)の株式投資は米などとの比較でも極端に小さいのですが、そうは言ってもチリツモで総額で言えば167兆円(16年Q4)にもなります。

しかしこれは日経平均株価がほぼ同じ15年Q1当時から対個人金融資産総額で見て1.5%マイナスです。184兆円から167兆円へ、この2年で投資総額が17兆円も減っているのです。

これだけで日本の投資家が損をしているとは断定出来ないものの、対外純資産を外貨ベースで見れば明らかです。経常収支がずっと黒字だというのに減少に歯止めがかかりません。

日本人の財布から外国人の財布へとお金が移動するのが株式投資の実態のようです。これは企業の含み資産とは別で、株高の輸出企業にはそれなりにメリットはあります。しかし個人レベルでは、トホホな結果と言わざるを得ません。

因に政権が交替する前の12年Q2時点では日経平均が1万円ちょっとで87兆円の株式投資額でした。その時点での家計の預金残高は840兆円で16年Q4との比較で97兆円の差があります。

結局個人金融資産が1800兆円(16年Q4)と威張ってみても、個人事業主の運転資金も含めた正味資産(預金残高+現金)は937兆円に過ぎず、後の資産はそれをベースに膨らませた風船のようなもので、全てを現金化すれば、最終的な金融資産はM3(マネーストック)の1300兆円が残るだけです。

その1300兆円も国債の発行残高と、銀行の貸し出し残高が減って行けば同額減っていく事になります。ここが意外に理解されていません。お金は消えないと信じている人も多いようです。

株式の場合も東証一部上場企業の時価総額が現在600兆円程にもなりますが、全て売り払えばゼロです。つまりその場合は最後の貧乏くじを誰が引くかという、恐怖のチキンレースになる訳です。株式投資をしている人は、外国人にいいようにやられているという事も含め、そういう事実が分かってやっているのでしょうか?

上手くいったら行ったで一種の搾取?ピンハネになります。株式に信用創造機能はないので、儲かった人は誰かの資産を頂戴している事になるのですが、マクロの視点で見れば株式がなければ得られた筈の国民の所得が割り引かれている事を意味します。

格差拡大の温床と言っても差し支えないでしょう。従ってどう考えても日本のように勤勉で付加価値創造力のある国民が多い国に株式の制度が必要だとは思えないのです。資金調達の方法はそれ以外でも色々あります。米を見ても分かるように、株主が力を持つ社会程、殺伐として勤労意欲を削ぐ社会はありません。

さて3本目の柱、民間投資を喚起する成長戦略ですが、何か具体的な施策があったかと言えば、記憶にありません。マクロ経済のヶの字も知らない民間議員達が間抜けな事を色々提案していましたが、実際に何か実施されたかどうかは知りません。最近騒がれている加計学園問題くらいでしょうか。

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[第三の矢の成長戦略の要である国家戦略特区からの施策が開始。ようやくいくつかの特区で外国人の家事代行が解禁され、パソナの他にもダスキンと保育ポピンズがサービス事業者として認定されています](こんなものが成長戦略?笑)

いや、しかし、実はここが肝だったのです。難しい話ではありません。民間が投資をし易い環境を作ればいいだけです。ところが政府がその具体案を考えると、上の家事代行解禁のように、ろくなものでもない事はこれまで実証されています。

という事は? そうです。政府が出来る最も効果的で簡単な方法は貸し出しの推進です。政府(日銀)がノルマを課して銀行が積極的に資金を企業に貸せばいいのです。これで信用創造が起きます。つまり国民の財布と言えるマネーストック(預金残高)が増える訳です。

企業はその借り入れ残高を利子を払いながら遊ばせておく程裕福ではありません。という事は、当然何かに投資する事になります。設備や研究開発、あるいは教育でもいいでしょう。そうなるとお金が世間を回り始め、回転数が上がって来るのです。

当然国民の所得が増えて有効需要、つまり消費が増えます。このやり方で90年のバブル崩壊前までは発展して来ました。すなわち「円の支配者」の著者リチャード・ヴェルナー氏が著書の中で散々述べている日銀の窓口指導の復活こそが成長戦略なのです。

日銀に逆らえない銀行は必死にノルマを果たすため貸し出しに奔走します。少々不良債権が増えても成長がカバーし再分配で均す事も可能です。技術力、供給力のある日本は、それで華麗に蘇るのですが、なぜかそれだけは誰も言及しませんでした。

90年まではそのやり方で成果を上げているにもかかわらずです。バブルの醸成と崩壊があったではないかと言われるかも知れませんが、それも含めて民間銀行は日銀のコントロール下にあった訳で、言うなれば日銀次第で何とでもなるのです。

その意味は日本程の先進国なら経済成長率は政府によるコントロールが可能だといいう事です。それをしないのは何らかの圧力がある証拠と言えます。今政府や日銀がやっている事は猿芝居で、田舎役者がそれぞれの役割をヘタクソに演じている、というのが、悲しいかな現実です。

今回の結論としては、アベノミクスの初心を貫徹すれば、ベストとは言えないまでも、少なくとも今以上の、ある程度の成功があった事は間違いないという事です。

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