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2017年7月24日 (月)

日本は猫をかぶったトラなのか?

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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 前回の日欧EPAの話の続きのようになりますが、自動車(乗用車)に限って言えば日本は遠の昔から関税ゼロです。対するEUは10%、因に米国は2.5%、但し、販売台数の大半を占めるSUVやピックアップトラックは25%とかなりな高関税になります。

これが意味する事は自動車に関する限り日本は何も恐れていないが、欧米は日本を脅威に思っているという事です。自動車といえば先進国では基幹産業に当たりますから、そう簡単に海外からの侵食を許す訳にはいかないのです。現地生産なら話は別ですが、その場合は日本にメリットが殆どありません。

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ある英国人官僚に言わせると「日本は自分の事を猫だと勘違いしているが、外から見ればトラにしか見えない」そうですから、海外から見る日本は、日本人の思っている日本とはかなり差があるのです。それが関税や非関税障壁に現れていると言えます。

尤も、これは80年代以降の話で大戦前からそうであったかと言えば、そんな事はありません。軍事力を強化し大陸へ進出する日本に対し、ハルノートで最後通牒を突きつけた米国なども、それ自体を見ても随分日本を侮っていた節があります。

真珠湾には空母こそ避難させていたものの、無警戒な主力艦が10隻近くもいたし、フィリピンで待ち構えるマッカーサー指揮する守備軍は15万人もいて、日本を敵とは思っていなかったようです。実際15万人対4万3千人の戦いでは、どう考えても守る方に分があります。

ところが初日の攻撃で大戦果をあげる日本軍航空隊を見て、焦ったマッカーサー本人が「日本の戦闘機はドイツ人パイロットが操縦していた」と本部に報告する有様です。それはそうかも知れません。この時が日米初の戦闘ですから敵の実力を知る由もないのです。

逆に当時日本人は欧米をどう見ていたかですが、ある程度正しい見方をしていたのかも知れません。零戦開発には無理難題を押し付け、真珠湾攻撃前の航空隊の訓練なども、歌にも歌われた「月月火水木金金」でも分かるように軍上層部からの要求は熾烈を極めました。自分より強い相手に立ち向かっていく心構えはあったのではないでしょうか。

その甲斐あってか開戦から1年近くまでは、ただ一国で南太平洋地域とインドシナ半島に於いて米英蘭豪の連合軍を圧倒しています。半年目のミッドウェイ海戦こそ破れはしましたが、それでも未だ十分な戦力を有していたのです。ただ、この戦いはそれまでと違って不手際が目立ちます。連戦連勝による驕りがあったのかも知れません。

前置きが長くなりました。さて、今現在の日本人が欧米をどう見ているかですが、敗戦のトラウマからか、戦後自虐史観教育の成果か、かなり過大評価をしている節があります。自動車評論家を見ても、とにかく欧州車、とりわけドイツ車に関しては白旗状態ですからお金でももらっているのではないかと勘ぐりたくなります。

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(ドイツ車と言えば、泣く子も黙るメルセデスベンツ、写真はその旗艦とも言えるSクラスのクーペ)

実際そういう例もあったようですが(笑)大昔からという事は考え難いし、全員が全員という事はないと思うので、欧州車に対しては何か特別な感情を抱いている事は確かなようです。かく言う私も欧州車は嫌いではありません。特にドイツ車は機能的で高品質な中にも骨太の車造り精神がしっかりと宿り、信頼感、安心感を抱かせます。未だに大いに見習うべきところはあるのです。

また、どちらかと言えば野暮なドイツ車に比べ、英国車の度派手ながら絶妙に品位を損ねない意匠の技、洗練度には圧倒されます。ジャガーやアストンマーチン、ベントレーなどは日本人にいきなり似たものを作れと言われても無理な相談です。それだけ歴史の重みを感じさせるのですが、貴族文化の国ならでは、と言えるのではないでしょうか。いい悪いではなく庶民文化の日本などとは根本的に考え方が違うのです。

同じ欧州でもイタ車はまた趣が異なります。とにかくセクシーなのです。言うなればナンパ車でしょうか。見るもの触るもの聞くもの、5感にダイレクトに訴えて来るものがあります。私も、あの耐えられないラフさを除けば嫌いではありません。フランス車はおしゃれ、ハイセンスで、特に内装に見るべきものがあります。これも我々には真似が出来そうもありません。

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(最新型ボルボV90、ステーションワゴンはリッチさの象徴)

スウェーデンは、今は実質ボルボ一社になりさびしい限りですが、どちらかと言えばドイツ車の流れを汲みます。プラクティカルとでも言いましょうか。骨太で実質本意なのです。そう思っていましたが、先日最新のV90 に試乗して驚きました。

とにかくカッコいいのです。知的でおしゃれで高級車然としています。乗ってもドイツ車との差がにわかには判別出来ないレベルです。車格がいきなり二つくらい上がりました。売れるのではないでしょうか。侮れないですよ~。(笑)

因みに米に対してはどうかと言いますと、60年代のアメ車は大きく豪華で子供達の憧れの的でした。パワーウィンドーにパワーステアリング、エアコンはもちろんで、油圧で開閉するソフトトップまで完成していたのです。一度は持ちたいと思った人は多いのではないでしょうか。

その米もオイルショックあたりからおかしくなり、日本車の怒濤の輸出ラッシュを許します。貿易摩擦等、すったもんだの末、結局直接投資まで受け入れ全面的に日本車の軍門に下る事になりました。米国でのシェアは40%近くにもなり、ビッグスリーの40%強に迫ります。ただ、今は棲み分けも上手くいっているようで、ライバルとしての存在感はありません。

ところで最近日経、電子のバーンを見ていて高級車に関する記述に出会いました。ドイツ3強も危機感、テスラが突きつける高級車「再定義」 という題名で、なんとTeslaの躍進は、高級車ブランドの醸成が「時間」の問題ではないことをはっきりと示す。とまで言い切っているのです。

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(全幅2M以上とバカでかいテスラ・モデルS、頭悪そう)

全く意味が分かりません。(笑)テスラを高級車としたところに私などにはどうしても受け入れられない溝が存在します。記事が言っているのはテスラモデルSの事ですが、いつからあれが高級車になったのでしょうか。確かに価格は高いです。高価な電池を沢山積んだモデルは1000万円を悠に超えるのですから高級車と錯覚しても仕方がありません。

では同じ1000万円クラスのジャーマン3が擁する高級車群と比較すればどうでしょうか。ベンツはSクラス、BMWは7シリーズ、アウディはA8です。まず貫禄が違います。何十年も同じテーマで積み上げて来た歴史の厚みも比較になりません。

何よりテスラは車として、高級車としての条件を満たしているかどうかさえ疑わしいのですから、同じ土俵にあげるのは適切とも思えないのです。むしろ気の毒になります。そこでちょっと突っ込んだ話をしたいのですが、例によって長くなりそうな予感がします。今の時点では未だまとまってもいないので次回へ続く、とさせて下さい。

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