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2017年7月

2017年7月29日 (土)

いつまでやるのか、亡国の観光立国構想

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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 今日は観光をテーマにした外需の話です。ご存知のように訪日外国人観光客(インバウンド)は昨年2404万人と始めて2000万人を突破し、今年は2700万人をうかがう勢いです。政府の観光立国構想が図に当たった形ですが、果たして思うようなメリットはあったのでしょうか。

元々私などは観光立国構想に反対して来ましたので、増え過ぎのインバウンドに対しては危機感を持っています。常々述べているように、良い事など何もないというのがその論拠です。

国際的な事は全て相互主義であるべきで、日本人が年に1700万人出て行くなら、入って来る方もその数字の範囲内が望ましいというスタンスに変わりはありません。

そもそも外国人とは言っても近隣諸国から異常に多くやって来ます。昨年は中国(香港含む)がトップで821万人、韓国509万人、台湾417万人と続きますが、その三ケ国で全体の73%以上を占めるのですからいい加減にしてくれと言いたくなります。観光業でない大多数の日本人にとっては、はっきり言って迷惑以外の何ものでもないのです。

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さらに言えば、世界中で反日活動を展開している韓国、中国から人を無防備に、しかも無制限に入れるのは安全保障上も好ましくない事は明らかです。彼らは間違った歴史認識から日本に対しては何をやっても許されるという甘えがあり危険なのです。

最悪、工作員さえも混じってる可能性があります。入国を制限する方策が必要である事は論を俟ちません。そんな事が政府に分からない筈はないのですが、日本は日本を仇なす国に経済を頼らなければならない程落ちぶれたのでしょうか。

ともあれ、危惧した事は現実となりつつあります。多すぎるインバウンドの弊害として、人気の京都などでは単に行儀が悪いだけでなく、経済的にもデメリットの方が多いという不満が出始めました。そのせいか27年続いていた祇園の夜桜イベントも中止に追い込まれたと言います。

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(日本人だけでも大変なのに、外国人が混じると想像を絶する事態になりかねない。中止は当然と言える。)

さらに京都府民は交通などの日常生活も脅かされています。そもそもそういう事態に対応出来る体制、インフラが整備されていません。小さい器にそれ以上の水を入れたらこぼれるに決まっています。という事はこぼれればこぼれる程、府民が後始末をするコストが増える事を意味するのです。

反対に落とすお金は極一部の観光産業を潤すだけで受け入れコストに見合ったものではありません。慣れない事を急にやってはいけないのです。やるならやるで万全の準備が必要です。スパイ防止法もない国が何を血迷っているのかと言いたいです。

よしんば、インバウンドによって豊富な外需がもたらされるとして、ではそれはどう日本のメリットに結びつくのでしょうか。そこをきっちり検証しなければなりません。例によって政府に検証している様子が見えないので私がやります。(笑)

例えばですが、その年のインバウンドによる収入がアウトバウンドによる支出を1兆円上回ったとしましょう。これは外需なのでGDPにして1兆円増える事になります。その場合、マネーストックも連動して1兆円増えます。一見よさそうに思えるのです。

しかしこの場合タイミングはともかく、為替レートが1兆円分円高に振れて、結果的には増えた分を相殺してしまいます。さらに政府が特に何もしなければ、輸入品(仕入れ)価格が下落し、デフレ圧力がかかる事は自明です。

競争力を維持するために、給料にも下げ圧力がかかりますからデフレは避けられません。つまり、それが意味するのは、広く薄く国民が観光業のために負担するという事です。

では政府が外貨との両替用として1兆円分新たに円を刷った場合はどうでしょうか。いわゆる非不胎化介入という訳ですが、円高にもデフレにもならず利益は観光業だけのものになります。これなら迷惑を被るだけの一般市民も納得してくれるかもしれません。

ところが好事魔多し、恐ろしい問題がありました。米のトランプ大統領あたりが「日本は為替操作国だ」と言い出しかねないのです。いわゆる中国の専売特許であるドルペッグと同じ事をしている訳ですから、そう追究されても仕方がありません。

それを無視すれば江戸の敵を長崎で討たれかねないのです。例えば日本からの自動車の輸入を制限する、などと言い出しかねません。最悪のケースはスーパー301条などペナルティが課せられます。それが怖い日本政府は必要以上には円を刷れません。

そうすると旅行収支の黒字が増えれば増える程円高デフレになります。観光業だけが儲かり、その儲けをそれ以外の国民が負担する構図です。これが持続可能でしょうか。日本全体のメリットになると言えるのでしょうか。

日本は国として、その桁違いバージョンを長年やって来ました。つまり輸出産業などの外需産業を優遇して来た訳です。マネーストックが増え難い状況下で外需からの黒字が増えれば、その分内需の為の資金が減ります。デフレになって当然と言えるのではないでしょうか。

それより日本人がもっと国内観光に行ける環境を作るべきです。一方で日本観光を高付加価値化して途上国からのインバウンドを制限します。この場合ならサービスの質も落ちないしいい事尽くめです。

その為には日本人が休暇を取り易い環境を整える事は必須ですが、設備投資などによってその分の生産性向上を図る事も忘れてはいけません。二つ同時にやらなければ元の木阿弥です。

海外との関係は煎じ詰めれば相互主義、つまりプラスマイナスゼロしかないという事がお分かりいただけたでしょうか。

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2017年7月27日 (木)

テスラ・モデルSが高級車とは言えない、これだけの理由

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 前回、テスラ・モデルSは高級車とは言えない、ときっぱり書きましたので、今日はその説明から入ります。その前に高級車の定義を独断と偏見で決めなければいけません。

高級車とは
1)まず確立されたエンブレムが周知されて久しい事。車全体を見る必要がない。つまり歴史の積み重ねが必須である。

2)その中で、ある程度の大きさを持つ事、全長4700以上、全幅1800以上、つまりDセグメント以上の大きさが欲しい。

3)確立された技術の、信頼性が高いエンジンを搭載する事、まず高性能ガソリンエンジン車が対象。モーターのみの駆動が高級車なんてブラックジョークか。

4)その存在を否が応でも認めざるを得ない特別な存在感がある事。つまり格調高く説得力のあるデザインでなければならない。当然フォーマルな場所にも通用する。

5)バックミラーで見て、瞬時に判別出来るアイデンティティを有する事。簡単に言えば顔のデザイン。

6)質感の高い内装を有する事。メーター廻りのハイテク感プラス高級家具を思わせるシート、トリム類、ハイセンスなイルミネーション等。

7)触感も大事。精度の高い部品同士で構成された各機能部品から操作時にスウィートな感触が手に伝わる。

8)雑音を徹底的に排し、計算された耳障りのいい音だけが社内に伝わる。それも極繊細に。

9)形状的には3ボックス4ドアセダンが中心で、バリエーションとして2ドアクーペ、ステーションワゴン、コンバーティブルなどがある。

まあ、言うまでもありませんが、テスラがこれらのいくつを満たすのかと言えば、せいぜい二つでしょう。そもそも車の成り立ちとしておかしいです。普通に考えて、加速や最高速、航続距離などの目標性能が達成出来ないからと言って、強引に電池の量を増やすというのは乱暴です。安易に過ぎます。本末転倒と言えるでしょう。

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(ヘンテコなテスラのインパネ廻り、モニターはデカければいいというものでもない。アメ車らしいと言えばそうかもしれない。)

ご存知のように車の設計は軽量化との戦いです。グラム単位で設計者は日夜苦心しているのです。なぜなら重くていい事なんて何もないからです。まず燃費(電費)に悪影響を与えます。走行性能にも色々な害があり、耐久性にも問題が出ます。それをカバーするためにはオーバースペックの部品が必要になり、さらに重くなるという訳です。正に悪循環です。

従って現状のEV技術ではAまたはBセグメント程度がやっとで、それ以上大きい車をEVにするというのは無理があります。欠点をカバーするために電池を多く積まざるを得ず、デカい、高い、という商品としての存在価値を失いかねない方向にいかざるを得ません。つまり単純思考=頭が悪いという事です。

ユーザーはメーカー都合でバカデカくなった高価格車を買わされる訳ですから、いい面の皮です。それなら半分の500万円も出せばはるかに高性能で安心が出来るハイブリッド車が買えます。環境性能に関しても、デカくなったEVに大したアドバンテージはありません。WELL TO WHEEL (油井から車まで)でのCO2や有毒ガスの排出量ならむしろハイブリッド車(PHV)に分がある程です。

EVを安易にゼロエミッションヴィークルと呼びますが、化石燃料による電力供給では説得力がありません。EVは再生可能エネルギーによる電力 プラス スマートグリッドがセットになって始めて存在価値が発揮出来るというものです。従って単独での価値は限定的と言わざるを得ません。まして高級車?ノンノン(笑)

テスラを既に買われた方にはお気の毒ですが、そもそも加州からの補助金や国からの助成金を何十億ドルも受け取り、黒字になった事がないビジネスモデルによって生産されたものとは、誰かの税金と犠牲の上に成り立っているのであって、決して胸を張って所有を誇れるものではないという事を付け加えておきます。

ここからは自動車の根源的な話をします。
まずサイズに関してですが、人の大きさに差があるので国によっても最適サイズは異なって来ます。5人乗りセダンとして合理的に考えればDセグメント程度というのが目安になるのではないでしょうか。安全性と快適性、走行性能、環境省エネ性能を総合的にバランスさせると、それ以上のサイズが必要とは思えません。

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(メルセデスベンツCクラス/Dセグメントのど真ん中)

ホンダが合い言葉にしていたメカミニマム、マンマキシマムの思想でいけば、Dセグのキャビンをそのままにして、前後を少し削りたいくらいです。量販が宿命づけられたカテゴリーの車としての最大モデルは、将来的にはそのくらいのサイズに収斂していくのではないでしょうか。

そのサイズの車が安全で快適に走れるだけの安全/快適装備、動力性能を持つべきである事は言うまでもありませんが、そこはあくまでも技術主導ではなくコンセプト主導で考えられるべきです。技術はコンセプトに従って開発され磨かれるのものであって、その逆をやってはいけないのです。FCV(燃料電池車)などは技術主導の悪しき例と言えます。正に宝の持ち腐れです。

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(技術者の自己満足では意味がない。国がインフラのサポートをするには視界が不鮮明過ぎる。このまま消えていくか、将来日の目を見るか・・)

次に自動車の存在が許される条件ですが、ご存知のように交通事故で年間に世界で何十万人も亡くなっています。日本は1万数千人から数千人単位にまで減りはしましたが、それでも中くらいの戦争レベルです。あってはならない事ではないでしょうか。通学児童の群れに突っ込むような悲惨な事故は絶対に無くすべきです。

自動車の排ガスによっても年間に何十万人も亡くなっています。原因の特定が困難なので意外に騒がれませんが、中国を見ても分かるように、途上国では悲惨な事になっているのです。欧州もインチキ・クリーン・ディーゼル車による排ガス汚染が深刻の度を増しており、途上国の事を言えません。

さらに、本当かどうかは疑わしいのですが、排ガスはCO2による地球温暖化の犯人にまでされています。それでも存在が許されるのは、それを上回る利便性、魅力があるからです。しかし人の意識は移り変わります。環境運動家からの要求レベルもエスカレートして来るのは自明です。

かと言って地球上の車の全てをクリーン電力によるEVに置き換える事など不可能です。途上国での電力不足は今なお深刻なのです。先進国でさえ現状を見る限り不可能に近いと言わざるを得ません。原発を容認しない限り夢物語に思えます。

再生可能エネルギーがあるではないかと言われるかもしれませんが、少量だからこそ成り立つ世界です。補助金で何とか成立させている現状を見るにつけ、持続可能とは思えません。50年後の世界は知りませんが、すぐにどうこうなるものではないと言えます。

ではどうすればその辺りの一筋縄ではいかない問題と上手く折り合いをつけ、自動車を存続させる事が可能なのでしょうか。先ほども言いましたように利便性、快適性に関しては既に十分なレベルに達しているので、未だ足りないのは地球との共存(環境問題)と安全性に集約されます。

その二つを高い次元でクリアする事が要求されますが、両方とも自動車メーカーに押しつけるのは酷な話です。どう考えてもインフラとの絡みが避けられないからですが、そういう点で先進国の場合はまだ見通しがあります。

地球との共存、つまり環境問題に関しては、このまま規制を強化していけば時間が問題の希薄化を進めるでしょう。メーカーの意識改革が進んで不正を完全に排除する事が条件ですが、そうすれば十数年後には先進国からは喘息や肺がんが激減していると思われます。こちらはコストとの戦いと言えるでしょう。

但し、途上国の空もきれいにしなければ地球全体として意味はありません。範を見せるだけでなく技術的支援が欠かせませんが、社会インフラが整わない途上国なりのやり方を模索する必要があります。そういう点で日本の果たせる役割は大きいのですが、日本に政治的動きと連動したオペレーション能力があるかどうかが問題です。

いずれにしても、そういう前向きな取り組みがあれば、自動車の存在価値が問われるような事態は避けられるのではないでしょうか。それでも途上国が対象では数十年かかるかもしれません。こちらは時間との戦いです。

一方の安全性に関しても答えは出ています。不確かな人間に頼らないシステムを完成させればいいだけです。つまり自動運転技術に集約されるのですが、今でもぶつからない車を作る事は可能です。それを広めるには政府が自動ブレーキの標準装備を法制化すればいいだけです。それだけでかなりの命が救われる事は過去のデータからも間違いありません。

さらに安全を求めるなら自動運転のレベル4が要求されますが、これはメーカー各社で競うようなものとは思えません。どこが開発したとしても技術は開示されるべきです。あるいは今から共同開発でも遅くはありません。単独開発ではコストと時間の無駄です。今も事故は起き続けています。

人の命をビジネスのネタにしてはいけないのです。勝負すべきは車としてのコンセプトやデザインを含めた基本性能であるべきです。ただ、やはりこちらもインフラが絡みます。さらに車(ハード)としての基本性能を満たしていない場合は折角の自動運転技術も絵に描いた餅になります。

従って、まずは日米欧の先進国から実践という事になりますが、日本の場合はまず歩行者が安全に通行出来ないような道路を何とかするのが先決ではないでしょうか。現状を見ていると気が遠くなります。・・・ちょっと竜頭蛇尾になりました。(笑)

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2017年7月24日 (月)

日本は猫をかぶったトラなのか?

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 前回の日欧EPAの話の続きのようになりますが、自動車(乗用車)に限って言えば日本は遠の昔から関税ゼロです。対するEUは10%、因に米国は2.5%、但し、販売台数の大半を占めるSUVやピックアップトラックは25%とかなりな高関税になります。

これが意味する事は自動車に関する限り日本は何も恐れていないが、欧米は日本を脅威に思っているという事です。自動車といえば先進国では基幹産業に当たりますから、そう簡単に海外からの侵食を許す訳にはいかないのです。現地生産なら話は別ですが、その場合は日本にメリットが殆どありません。

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ある英国人官僚に言わせると「日本は自分の事を猫だと勘違いしているが、外から見ればトラにしか見えない」そうですから、海外から見る日本は、日本人の思っている日本とはかなり差があるのです。それが関税や非関税障壁に現れていると言えます。

尤も、これは80年代以降の話で大戦前からそうであったかと言えば、そんな事はありません。軍事力を強化し大陸へ進出する日本に対し、ハルノートで最後通牒を突きつけた米国なども、それ自体を見ても随分日本を侮っていた節があります。

真珠湾には空母こそ避難させていたものの、無警戒な主力艦が10隻近くもいたし、フィリピンで待ち構えるマッカーサー指揮する守備軍は15万人もいて、日本を敵とは思っていなかったようです。実際15万人対4万3千人の戦いでは、どう考えても守る方に分があります。

ところが初日の攻撃で大戦果をあげる日本軍航空隊を見て、焦ったマッカーサー本人が「日本の戦闘機はドイツ人パイロットが操縦していた」と本部に報告する有様です。それはそうかも知れません。この時が日米初の戦闘ですから敵の実力を知る由もないのです。

逆に当時日本人は欧米をどう見ていたかですが、ある程度正しい見方をしていたのかも知れません。零戦開発には無理難題を押し付け、真珠湾攻撃前の航空隊の訓練なども、歌にも歌われた「月月火水木金金」でも分かるように軍上層部からの要求は熾烈を極めました。自分より強い相手に立ち向かっていく心構えはあったのではないでしょうか。

その甲斐あってか開戦から1年近くまでは、ただ一国で南太平洋地域とインドシナ半島に於いて米英蘭豪の連合軍を圧倒しています。半年目のミッドウェイ海戦こそ破れはしましたが、それでも未だ十分な戦力を有していたのです。ただ、この戦いはそれまでと違って不手際が目立ちます。連戦連勝による驕りがあったのかも知れません。

前置きが長くなりました。さて、今現在の日本人が欧米をどう見ているかですが、敗戦のトラウマからか、戦後自虐史観教育の成果か、かなり過大評価をしている節があります。自動車評論家を見ても、とにかく欧州車、とりわけドイツ車に関しては白旗状態ですからお金でももらっているのではないかと勘ぐりたくなります。

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(ドイツ車と言えば、泣く子も黙るメルセデスベンツ、写真はその旗艦とも言えるSクラスのクーペ)

実際そういう例もあったようですが(笑)大昔からという事は考え難いし、全員が全員という事はないと思うので、欧州車に対しては何か特別な感情を抱いている事は確かなようです。かく言う私も欧州車は嫌いではありません。特にドイツ車は機能的で高品質な中にも骨太の車造り精神がしっかりと宿り、信頼感、安心感を抱かせます。未だに大いに見習うべきところはあるのです。

また、どちらかと言えば野暮なドイツ車に比べ、英国車の度派手ながら絶妙に品位を損ねない意匠の技、洗練度には圧倒されます。ジャガーやアストンマーチン、ベントレーなどは日本人にいきなり似たものを作れと言われても無理な相談です。それだけ歴史の重みを感じさせるのですが、貴族文化の国ならでは、と言えるのではないでしょうか。いい悪いではなく庶民文化の日本などとは根本的に考え方が違うのです。

同じ欧州でもイタ車はまた趣が異なります。とにかくセクシーなのです。言うなればナンパ車でしょうか。見るもの触るもの聞くもの、5感にダイレクトに訴えて来るものがあります。私も、あの耐えられないラフさを除けば嫌いではありません。フランス車はおしゃれ、ハイセンスで、特に内装に見るべきものがあります。これも我々には真似が出来そうもありません。

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(最新型ボルボV90、ステーションワゴンはリッチさの象徴)

スウェーデンは、今は実質ボルボ一社になりさびしい限りですが、どちらかと言えばドイツ車の流れを汲みます。プラクティカルとでも言いましょうか。骨太で実質本意なのです。そう思っていましたが、先日最新のV90 に試乗して驚きました。

とにかくカッコいいのです。知的でおしゃれで高級車然としています。乗ってもドイツ車との差がにわかには判別出来ないレベルです。車格がいきなり二つくらい上がりました。売れるのではないでしょうか。侮れないですよ~。(笑)

因みに米に対してはどうかと言いますと、60年代のアメ車は大きく豪華で子供達の憧れの的でした。パワーウィンドーにパワーステアリング、エアコンはもちろんで、油圧で開閉するソフトトップまで完成していたのです。一度は持ちたいと思った人は多いのではないでしょうか。

その米もオイルショックあたりからおかしくなり、日本車の怒濤の輸出ラッシュを許します。貿易摩擦等、すったもんだの末、結局直接投資まで受け入れ全面的に日本車の軍門に下る事になりました。米国でのシェアは40%近くにもなり、ビッグスリーの40%強に迫ります。ただ、今は棲み分けも上手くいっているようで、ライバルとしての存在感はありません。

ところで最近日経、電子のバーンを見ていて高級車に関する記述に出会いました。ドイツ3強も危機感、テスラが突きつける高級車「再定義」 という題名で、なんとTeslaの躍進は、高級車ブランドの醸成が「時間」の問題ではないことをはっきりと示す。とまで言い切っているのです。

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(全幅2M以上とバカでかいテスラ・モデルS、頭悪そう)

全く意味が分かりません。(笑)テスラを高級車としたところに私などにはどうしても受け入れられない溝が存在します。記事が言っているのはテスラモデルSの事ですが、いつからあれが高級車になったのでしょうか。確かに価格は高いです。高価な電池を沢山積んだモデルは1000万円を悠に超えるのですから高級車と錯覚しても仕方がありません。

では同じ1000万円クラスのジャーマン3が擁する高級車群と比較すればどうでしょうか。ベンツはSクラス、BMWは7シリーズ、アウディはA8です。まず貫禄が違います。何十年も同じテーマで積み上げて来た歴史の厚みも比較になりません。

何よりテスラは車として、高級車としての条件を満たしているかどうかさえ疑わしいのですから、同じ土俵にあげるのは適切とも思えないのです。むしろ気の毒になります。そこでちょっと突っ込んだ話をしたいのですが、例によって長くなりそうな予感がします。今の時点では未だまとまってもいないので次回へ続く、とさせて下さい。

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2017年7月21日 (金)

日欧EPAの正体

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 日欧EPA(経済連携協定)について前回書きましたところ、結局関税ゼロになって日本製自動車部品が安く手に入ったところで相手側に大したメリットはないのでは?という読者の方から問いかけがありましたので、今日はそれについて書く事にします。

結論から言いますと、計り知れないメリットが欧州側にあると言って過言ではありません。その内容もかなり不平等で、まるで黒船の時代に戻ったかの様です。日本は一部の部品メーカーが潤うだけです。ずる賢い欧州人によって、人がよく間抜けな日本が食い物にされていきます。誰もその事について書かないので私が書く事にしました。(笑)

先日も欧州の自動車メーカーが日本製の優秀な部品なしでは既に成り立たないところまで来ているという話はしました。溶接ロボットなどの生産設備から小さな車載半導体に至るまでです。勿論欧州でも作れない事はないのですが、信頼性という点で日本製にアドバンテージがあります。

ものによっては性能そのものにも大きな差があるのです。例えばVWやアウディが採用しているDSG(一般的にはDCTという/デュアル・クラッチ・トランスミッション)は最初日本のアイシン製を使っていました。それをなぜか途中で自社製に変更したのですが、不具合が多く事故が頻発、最終的にアイシン製に戻しています。

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(VWのDSG デュアルクラッチ方式は不具合が多いので、トルコン方式の10速ATに取って代わられるか?)

これはスポーティな高級車にとっては非常に重要な部品です。精密さが要求される高価な部品で、加速性能に大きく貢献します。あのプライドの高いポルシェでさえアイシン製ATを採用しているくらいですから、正に背に腹は替えられないという訳です。フィアット、MINI、オペル、ボグソール、サーブ、ヴォルボに至っては自社製さえなく100%アイシン製です。

さらに小型車に多く採用されるCVT(無段変速機)は日本製が90%以上と独占状態です。CVT車の多い日本車以外ではアウディA4 等に搭載されていました。日本のジャトコが世界トップのシェア(約50%)を持ちます。ジャスコではありませんので、念のため。(笑)

その他の部品、素材まで言い出すときりがないので、従来車に関するものはこれでやめておきますが、欧州の悔しさ、焦燥感が少しはお分かりいただけたのではないかと思います。立場が逆転して久しいのです。

さて、これからが本題です。ドイツは30年までに、フランスは40年までにガソリンエンジンのみ、あるいはディーゼルエンジンのみで走る車を全廃すると言い出しました。スウェーデンなども追従する構えです。NOx等の排ガスで汚れた欧州の空をクリーンにすべく、劇的な変革の嵐が吹き荒れようとしています。

一頃言われていたような完全EV化ではないようなので、欧州車ファンの一人としては一安心しました。それなら歓迎すべきと言うしかありません。インチキクリーンディーゼルではユーロ6や、それより厳しくなる日米欧の排ガス規制をクリアする見通しがないと踏んだのでしょうか。それともマツダから特許を買うのに抵抗があったか。(笑)

いずれにしてもライバル日本の様にハイブリッド車とEVへのシフトが始まります・・・と、簡単に言いますが、これまでハイブリッドを散々バカにしていた欧州が急に180度も舵を切れるものでしょうか。コンセプトは作れても、あるいはそれらに適応するボディは作れても、部品はどうするつもりなのでしょうか。

社内は勿論、いきなりの大量発注に対応出来るサプライヤーが存在しているとは思えません。これから体制を整えるにしても大変な話です。欧州ブランド全体(独、仏、伊、英、瑞典)で年間2508万台も生産しているのです。因に日本ブランド2818万台、米ブランド1872万台です。(後は弱小につき省略)

規制対象外の途上国向けを除き、少なく見積もったとしても駆動用モーターが一台一個として1500万個程度は必要になるのですから、気が遠くなるような話ではないでしょうか。とても実現可能とは思えません。

そこで世界のハイブリッド車やEV関連の部品メーカーが今現在どういう構成になっているのかを確認します。まず肝心要の駆動用モーターですが、

1)モーター

   1.    明電舎
 2.   コンチネンタル(独)
   3.    日本電産
   4.    SIM-Drive(日)
   5.    安川電機
   6.    東芝
   7.    日産自動車
   8.    トヨタ自動車
   9.    ホンダ
   10.    ボッシュ(独)

ほぼ日本メーカーの独占状態(94%)ですが、この体制で今現在年間300万台程ですよ。(笑)今後は日本も増産するだろうし、もの凄い数になりそうです。 1500万台は本当に十数年で準備可能な数字と言えるのでしょうか。

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(永久磁石を使わないSRモータ/トラクション用/日本電産)

2)リチウムイオン電池

Ⅰ、パナソニック
2、サムスン(韓)
3、LG Chen(韓)
5、ソニー(村田製作所)

後は中国メーカーの乱立状態です。いずれも日本の技術が流出したもので欧米の存在感はゼロです。リチウムイオン電池の材料関連になると殆ど日本メーカーの独占状態です。こちらも量的問題が解決出来るとは思えません。さらに細かく見ていきます。

3)永久磁石

   1.    信越化学工業
   2.    日立金属
   3.    TDK

 4)モーターコア

 1.    三井ハイテック
  2.    黒田精工
  3.    ニッパツ

5)角度センサー

 1.    多摩川精機
  2.    日本航空電子工業

6)磁石合金

 1.    昭和電工
  2.    三徳

7)電磁鋼板

 1.    新日鉄住金
  2.    JFEスチール(日)

これで明らかなように、日本以外でちゃんとした自動車駆動用モーターが作れる国が存在するとは思えません。さらにハイブリッド車やEVの血管と言えるワイヤーハーネス(シェア90%以上)やインバーター(ほぼ100%)となると日本の独壇場です。欧米の存在感ゼロというのですから、本当にどうするつもりなのかと敵の事ながら心配になります。

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    (住友電工の自動車用ワイヤーハーネス)

もうお分かりでしょうが、オーンゴールとは言えディーゼルを諦める事で大変なハンデを背負い込んだのが欧州の自動車メーカーなのです。打開策はただひとつ日本から出来る限り多くの部品、材料を安定供給してもらう事です。一部中国製、韓国製もありますが信頼度の点では日本製と比較になりません。

欧州勢は自前の供給体制が整うまでの間は、何が何でも日本から売ってもらいたいのです。今回の独仏の決定は、それを織り込んだ計画としか考えられません。しかし例え自前の体制が整ったとしても1500万台分は常軌を逸しています。(笑)

そこで素直でない彼らは日欧EPAに便乗という形で、政府を巻き込み一計を案じたという訳です。締結すれば最恵国待遇になり無理も通し易くなります。要するにクリンチ作戦といえば分かり易いかもしれません。抱きついて離さないぞ、と言っているのです。おんぶにだっこと言った方が適切か?

そのため、あたかもウィンウィンの協定であるように見せかける必要がありますが、日本製完成車だけは時間を稼ぎたいのです。そこで自分たちが欲しい部品の関税だけは即ゼロにするが、欲しくもない完成車は8年かけてゼロにすると言い出しました。(笑)見え見えではないでしょうか。それでも8年後のゼロは脅威です。おそらく規格等で目立ち難い非関税障壁を色々考えているものと思われます。

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(トヨタのハイブリッドカー販売台数推移/地域別は左、累計は右側の数字、累計1000万台を今年突破したようだ)

しかしこの流れのまま進むとすれば、全世界で日本製部品が引っ張りだこになる恐れがあります。株をやっている人にとっては朗報かもしれません。縁の下の力持ち的なワイヤーハーネスの矢崎総業、住友電工あたりは狙い目ではないでしょうか。私は博打はしないので買いませんが。(笑)

ともあれ昨年の欧州向け部品輸出だけでも4658億円にも達しているのです。それが今回のEPAで桁が変わる事は明らかです。モーターだけけでも数兆円規模になるでしょうから、供給さえ追いつけば部品総額で10兆円超にだってなりかねません。その大半はどう考えても日本からになります。

結局日欧EPAで大きくメリットがあるのは重要部品の供給を安く受けられる欧州側で、日本の完成車メーカーは敵が強くなるまで指をくわえて見ているという図式になりそうです。さすがの敵塩元祖、上杉謙信も、そこまで人がよかったとは思えません。

最悪は液晶TVや半導体の二の舞もあり得ます。韓国に作れない重要部品などの生産財や製造装置などの資本財を輸出するのはいいのですが、完成品で後塵を拝する事になったのは周知の事実です。対韓国貿易黒字はその生産財などが貢献し年間3兆円もありますが、日の丸家電メーカーは凋落の一途を辿りました。

今回はその自動車編欧州バージョンで、中身が同じならコンセプトやデザインの優れた欧州車に分があります。日欧EPA、欧州側から見て、肉を切らせて骨を断つ作戦と言えるでしょう。

何度も同じ失敗を繰り返すのはただの間抜けです。日本人がそこまでの間抜けになったのなら何も言う事はありません。

(本文中で自動車生産台数の数字に誤りがありましたので7月26日に修正しました。VWグループ内でのダブリが多かったのと、クライスラーの数字が欧州分FCAにも含まれていた事が誤りの主な原因です。大変失礼を致しました。)

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2017年7月17日 (月)

敵に塩を送り続ける人のいい日本人

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 暑いのでボーッとしているうちに時間が経っていました。(笑)今年は関東地方、特に神奈川県は空梅雨のようです。熱い夏は嫌いではありませんが、やはり梅雨明けのすかっとした感じがないと気持ち的には今一納得出来ません。

【ブリュッセル=地曳航也、竹内康雄】日本と欧州連合(EU)は6日、ブリュッセルで首脳会談を開き、経済連携協定(EPA)の締結で大枠合意した。チーズや自動車などの関税の撤廃・削減で折り合い、通関手続きの円滑化や知的財産権の保護といった貿易ルールも統一。2019年中の発効をめざす欧州側に足並みをそろえ、日本は自由貿易の重要性を世界にアピールする。

自由貿易がその国にとって一概にメリットがあるとは言えない、という話は散々して来ましたので繰り返しませんが、日本ほど何不自由のない国がなぜ取り憑かれたように、やれTPPだ、FTAだ、EPAだと必死にならなければいけないのでしょうか。

日本のように全てがそろった先進国の場合は貿易をすればするほど、あるいは海外に投資をすればするほど、つまり経済分野で国際的関係を深めれば深めるほど相対的弱体化、貧困化を招くのですが、国のトップは分かっていないようです。

産業界からの突き上げに簡単に折れてしまうのは何か裏があるのかもしれないと勘ぐりたくなります。

続いて日欧EPAの肝の部分、自動車関連記事です。

 日本から欧州への輸出では、EU側が日本の乗用車にかける10%の関税を7年かけて引き下げ、8年目に撤廃。日本から欧州へ自動車が売りやすくなる。自動車部品の92.1%(貿易額ベース)は即時撤廃する。日本政府によると、発効済みの韓国とEUの自由貿易協定(FTA)より高い水準だ。(日経新聞電子版)

なぜ欧州が日本とのEPA早期締結に固執するのかがここで分かります。そこにはしたたかな計算があるようです。日本人は人がいいので、こういう国際的な条約、協定などはフィフティフィフティと勘違いしていますが、そんな筈はありません。

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(日本人が勝つと何度となくルールーが変更され、体格差が不利になるようにされた)

スポーツ競技ひとつみても、日本が勝ち始めるとルール変更を恥ずかしげもなくするのが白人国家です。これで随分泣かされて来ました。大東亜戦争なども白人国家の身勝手から黄禍論を唱え、日本に対して厳しいルール、条件を突きつけたのが、そもそもの発端です。

多勢に無勢の日本は自衛の為に戦わざるを得ない状況に追い込まれました。彼らの間違いは日本が想定外に強かった事です。戦争終結までに4年もかかったのは大誤算と言えるでしょう。そのためか完膚なきまでに叩きのめされ原爆実験までされました。正に神を恐れぬ行為と言えますが、日本人を人と思っていなかった証拠ではないでしょうか。

そのため死ぬ必要のない戦闘員230万人、非戦闘員80万人もの尊い命が犠牲になりました。今年も終戦記念日が近づいてきましたが、8月15日に慰霊のための参拝と、今日本が置かれている立場を再確認するために靖国神社に行くつもりです。何千人もの機動隊が、毎年そこに集結しなければならない理由を日本人は知るべきです。勿論参拝の後は暑気払い会がセットになっています。(笑)

話が横道にそれました。今回のEPAで欧州の白人国家群がどのようなずるい事を企んでいるかですが、自動車の劣勢を跳ね返す絶好のチャンスと思っている節があります。殆どの自動車用部品はEPA発効後即関税撤廃です。完成車は8年かけてゼロにする、ですから分かり易い構図ではないでしょうか。

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(完成車だけでみると3000億円の日本側黒字です。部品も3400億円くらいの差ですが、分母が全く違います。この部品の差をさらに拡大する目的が欧州側の狙いです。つまり部品が欲しいのです。)

これが意味する事は、その8年間で体制を立て直す事にあります。つまり日本製完成車(主にハイブリッド車)の侵入を出来り食い止め、その間に日本の優秀な自動車部品を安く調達し、価格的優位性のある商品造りを展開する、という事です。

ドイツは2030年まで、フランスは2040年までにガソリンエンジンだけ、あるいはディーゼルエンジンだけで走る車は全廃すると言っています。すなわちハイブリッド車とEVだけの生産に切り替えると言っているのです。

ところが、それらの優位性は依然として日本にあります。ハイブリッドを長年作って来た経験からモーターや二次電池、またその関連電子部品、ECU等の扱い、ノウハウの蓄積は量的にも質的にもはるかに先を行っているのです。

対する、ディーゼルでミソをつけたドイツ始めとするEU諸国は、その点度素人集団に過ぎません。ここでは圧倒的な差をつけられているのです。とてもゼロから始めるようでは勝ち目がありません。そこで目を付けたのが日本の部品メーカーです。

先日の記事にも書きましたが、これまでも随分日本から電子部品やトランスミッション等、重要部品を購入して来た実績があります。そのせいで欧州車の故障が劇的に減りました。親会社(完成車メーカー)の縛りがあまりなく、しかも間違いのない優秀な製品を期日にきちんと納品する日本の部品メーカーは有り難いです。

おまけに円安ですよ。(笑)実質実効為替レートで計算すれば1ドル70円台でもおかしくありません。対ユーロでも割安感は圧倒的ではないでしょうか。10%の関税どころでないのは明らかです。

もうお分かりでしょうが、日本政府が金融緩和や外需依存策を積極的に繰り広げる事によって海外メーカーに塩を送る構図が出来上がりつつあるのです。産業界(経団連)はEPAが自分たちのメリットになると思い込んでいるのかもしれませんが、逆です。敵を強くし、味方を不利な状況に追い込んでいるに過ぎません。

オーンゴールで篭城せざる得なくなった敵に、日本から弓矢や刀を大量に安く送り、日本勢の攻撃は8年かけてのんびりやると言っているようなものです。(笑)そんな協定なら今のままの方が日本にとって、はるかにましではないでしょうか。

これは交渉下手で済まされるような問題ではありません。無知蒙昧レベルです。極楽とんぼにも程があるというものです。

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2017年7月12日 (水)

質問にお答えします。(3)

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 今日はまた、読者の方からの前回記事に対する質問にお答えする形で記事を進めていきます。

1)プラザ合意は日本が為替介入をして円安に導いていたのをやめさせたのだと聞いています。

プラザ合意は米の凋落が最大の理由です。戦後は日欧とも戦争で疲弊した国だらけだったので本土が無傷だった米の一人勝ちでしたが、日欧が復興して来ると当然相対的地位が下がります。それで71年に変動相場制に変えたのですが、それでも吸収しきれなかったのです。

特に対日貿易赤字が酷く日米貿易摩擦を見ても明らかに日本が目の敵にされました。さらにインフレが原因で米の金利が10%以上に高止まりし、米国への投資が集中する事でドル高が避けられなかったのも大きな原因です。

日本の為替介入が原因というのは聞いた事がありません。もしそれが事実なら各国が協調介入する必要はなく、米の当局が一言「為替介入すればペナルティを与える」と言えばいいだけです。

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(実質実効為替レートの推移/オレンジが対ドル為替レート、今の円安は悪性だと言える)

2)また円高がデフレをもたらすのは輸入物価が安くなるからですか。すると国内で作るより買ってきたほうが手っ取り早いから国内が成長しないということでしょうか。また貿易も不利で今もそれが続いていると。

円高になると輸出産業がコスト削減に動きます。当時で言えば欧州勢との価格競争力を維持するためです。そのため仕入れ先や協力企業がコスト削減に協力させられます。メーカーも賃上げに抑制圧力が働かざるを得ません。仕入れも下請けも突き詰めれば全て人件費です。つまり人件費を下げる事で外需依存を続けたのがデフレの大きな要因です。

輸入(逆輸入含む)は国内空洞化を推進しただけで、デフレに対する影響はさほどないと思われます。それよりマネーストックが増やせない状況が人為的に作られた事は見逃せません。犯罪的行為とさえ言えるでしょう。それに関しては次の質問で説明していますのでご参照下さい。

今は極度の円安状態なので貿易に不利とは言えませんが、円安分のインフレになっていないのが大問題です。相対的国力低下を招いています。

3)ならば公共投資はしないほうがよかったのですか。また国債を大量に発行すればお金が増えるのだからインフレになるように思うのですが。しかも国債ではなく現金ならよかったと??

米が日本に巨額の公共投資を迫ったのは、行き過ぎた日本の外需依存を方向転換させ、国内に目を向けさせる(内需拡大)ため、という名目であった事は確かです。それもないとは言いませんが、そもそも米が進めるグローバル化や自由貿易と矛盾します。従って本当の狙いはそこではないと思われます。以下にその根拠を説明をします。

適度な公共投資は勿論やって悪い事はありませんが、その場合財源が問題になります。まず税金でやっても景気は刺激しません。元々国民の所得であったものをゼネコンに廻すだけですから全体で見れば同じです。むしろゼネコン優遇になりかねません。

次に国債を刷って、その資金を使えばお金が増えるからインフレになるとの事ですが、そうとは限りません。国債を銀行に買わせれば、まず当座預金残高が減ります。その資金を政府が使えば国民の側にお金が廻り、その分はマネーストックが増え、単純に考えれば景気を刺激する事は確かです。

ところが国債を刷って得た資金が全て国民の側に廻るとは限らないのです。長年それを続けていると償還費と利払い費がバカにならなくなります。2016年の歳出を見ても24兆円が償還費と利払いに消えます。これは主に銀行の取り分です。

つまり34兆円国債を刷っても国民の財布(マネーストック)には10兆円しか廻らないのです。今はそこから公共投資分を捻出していると考えて下さい。もう一方の銀行からの貸出しによるマネーストック拡大には足枷がついていて思うように増えません。

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        (マネーストックの伸び率)

その足枷のひとつは固定資産税などが原因での地価下落です。担保価値が下がったのでは貸出しは増えません。BIS規制や金融検査マニュアルの厳格化も貸出しの足を引っ張ります。

もう一つは銀行などによる国債を含む有価証券の保有です。有価証券を保有すればする程銀行の全資産に占める当座預金残高比率が減ります。つまり貸出しに廻す分が少なくなる訳です。これも足枷になります。

今現在は異次元緩和で当座預金残高は潤沢になりましたが、第二次安倍政権誕生まではそういう状態が続いていたのです。そこには狡猾な米の計算があったのでしょう。まず、バブルを醸成させ崩壊させる事によって企業や個人に大変な負債を抱えさせます。

例えば不動産をピークで買った人は半値に下落したとしても住宅ローンが全額ローンの1億円とした場合、5000万円も余分なローンを抱える事になるのです。返済に必死になって新たな借り入れどころでない事は自明です。これではマネーストックがどんどん減っていきます。(参考ーバランスシート不況

そのバブル崩壊後の非常事態とも言える状態なら国債は銀行に買わせるのではなく日銀引き受けにするべきでした。そうすれば金融機関の国債保有もなく、当座預金残高は増える一方なので貸出しに積極的にならざるを得ないし、刷った分の資金も全て国民の側に行き渡ります。

現金にすべきというのはそういう意味です。国民の側である銀行を通さず国側(政府と日銀)で資金を用意すれば現金が全て国民の側に行くので効率が一番いいのです。

米と日銀が考えたシナリオは、政府(財務省)に国債を大量に刷らせて現金量(マネーストック)を増やし難くする事です。例え増えても消費税などによって格差をつけ、企業や高所得層が吸収するところまで考え抜かれています。マネーストックが微増しても、それに見合っただけの経済成長がないのはそのためです。

このように10年単位で見れば米の魂胆が透けて見えて来ます。国債発行は最初こそメリットが大きいのですが、それを続けていくと徐々に首を絞めていく訳です。財政赤字の拡大です。そうなると逆に大胆な内需拡大策が採り難くなります。

それを裏でバックアップするため、国民一人の借金が〜や、グローバル化は既定の路線というプロパガンダをマスコミを使い盛んに流しています。また法律その他で規制したり邪魔したりして国民の手足を縛っていきました。

そのエクスキューズは米からの年次改革要望書などの内政干渉です。日本政府が米に対して、どれだけ譲歩を重ねた事か、日本の屈辱の歴史と言えます。

4)米も抱きついているのもそれはそれで苦しいというのはどうしてでしょうか。

上記のように日本の動向ばかり見ていて、やる事なす事に一々ケチを付けたり、難癖を付けるのは大変だろうと思った訳です。(笑)かと言って離せば日本が再生してしまいます。

5)もとに戻りますが、金利差が米に利益になったのは投資資金が日本から大量に米に流れたというこでしょうか。

拙過去ブログ「異次元金融緩和、真の目的は?」をご参照下さい。「円キャリー」でググっても分かると思います。

http://ust.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/----c11e.html

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2017年7月10日 (月)

自動車評論家による驚きの経済論

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 当時の米政府は、政府自身のプライマリーバランス不均衡による財政赤字と、貿易超過による国際収支の赤字を主因とする深刻なインフレに苦しんでおり、伝統的手法、つまり市場金利を引き上げて通貨の流通を抑制することで鎮静化を狙っていた。

 しかし、その政策の結果、固定された為替レートが他国の金利に比べて米ドルが突出して高金利という状況を生み出し、金の流出を招いてしまった。この場合最も有用な防衛策は、為替レートをフレキシブルに変動させて金利差を打ち消す手法だ。ところがブレトン・ウッズ体制で為替レートは固定されている。だから投機家は、政府を一方的になぶり者にできてしまう。これは経済システムのエラーだ。

 限定された状況で、政府の採れる金の兌換レート変更は小幅かつ一方向、投機家は政府の逆を突けば必ず勝てる。そして勝てばボロ儲けできる。この戦いの果てに、アメリカは膝を屈して金本位制を諦め、以後世界の通貨はドルに対して変動相場制へと変わっていく。

 ブレトン・ウッズ体制を引き継いだスミソニアン体制では変動相場制移行に際し、為替の安定、ひいては世界経済の安定のためのさまざまな試行錯誤が繰り返された。現在の世界経済は、決して成功したとは言えないこの時代の無数のトライアンドエラーから生み出されたものだ。

そして、85年がやって来る。言わずと知れたプラザ合意だ。米国政府はかつての金の代わりとして円を指名したのである。ドルと円、つまり日米の財務当局は互いに協力して世界経済のためにドル円のレートを決めて維持する。言ってみれば、日本が米国の連帯保証人になったような形だ。

 単純化して言えば、ドルの信頼性が円によって保証される体制が確立されたのがプラザ合意である。他国通貨はこの基軸通貨たるドル円レートの上に積み上げられる形でレートが推移する。戦後、国連憲章で敵国条項に規定されていた日本が、米国の無二のパートナーとして認められた瞬間でもあった。

 さて、ここまで読むと、まるで米国だけが得をしているように見えるかもしれないが、逆もまた真なりで、円がドルの補完通貨となったことで、日本経済は、マーケットから米国経済の重要な調整要素と位置付けられたのである。そして世界の信頼を取り付けた円を求めて、世界中の投機マネーが日本に押し寄せバブルが始まるのである。

 上の記事、誰が書いたと思われますか? なんと、最近私が注目している自動車評論家、池田直渡氏の最新記事「ガソリンエンジンの燃費改善が進んだ経済的事情」からの抜粋なのです。メディアに露出しているエコノミストより余程しっかりした内容です。実はこの記事を読んでいて大変驚いた記述(以下)があります。

「米国政府はかつての金の代わりとして円を指名したのである。」中略「ドルの信頼性が円によって保証される体制が確立されたのがプラザ合意である。他国通貨はこの基軸通貨たるドル円レートの上に積み上げられる形でレートが推移する。」

これは私が長年ここで言って来た事と見事に一致します。経済に関して、かなり近い考え方を持つ人に出会い正直驚きました。私はこの円による保証体制を金本位制になぞらえて円本位制と揶揄したのですが、正に円が自らを犠牲にしてドルの価値を支える体制になったのです。

奥ゆかしい日本人の大半の人は日本を過小評価していますから、何を言っているんだろうと思う人も多いのではないでしょうか。アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく」などというのは正にその典型です。ところが事実は全くの逆なのです。

実際は80年代に態勢は決まっていて、このままでは日本に覇権が移りかねないと危惧した米がなり振り構わず日本に抱きついて来ました。Japan as No.1.とまで言われていた時代です。つまりクリンチに持ち込んで自ら(ドル)の価値を下げる代わりに日本の成長を止める毒薬を飲ませたのがプラザ合意という訳です。

その後凄まじい円高でデフレ不況に喘ぐようになるのは周知の歴史的事実ですが、円高はデフレを誘発させます。それは円ベースでの成長が止まる事を意味するのです。すなわち日本が創る付加価値が円高によって凝縮されていく訳です。聞こえはいいのですが、筋萎縮症にかかったようなもので、成長が止まってしまうのです。

実はそれでもバブル崩壊後の95年までは惰性もあって成長はしていました。それを止めたのが消費税です。これによって決定的に中産階級の可処分所得が減っていきます。ご丁寧にもそれは財務省の思惑とも一致し5%、8%と上がっていくことになるのです。

一億総中流時代が終わりを告げ、格差社会の到来です。その後はご存知の通り金融自由化や、それに伴うBIS規制などで護送船団方式がなし崩しにされ、明らかな内政干渉である日米構造協議、年次改革要望書などによって細部に至るまでパラダイムチェンジを余儀なくされました。これで経済成長しろという方が無理です。

そこは私と池田氏の違いで、池田氏はプラザ合意によるメリットは日本にもあったとするスタンスです。「世界中の投機マネーが日本に押し寄せバブルが始まるのである。」これなどは正に好意的に見ていますが、実際は日銀が窓口指導で銀行からの貸し出しを拡大させたのがバブルの原因です。不動産価格の暴騰が何よりの証拠ですが、そうなるよう仕向けたのです。

勿論株価も4万円近くまで上がりましたが、こちらは池田氏の言われるように海外からの投機マネーが中心だったでしょう。ただ、株価の実体経済への影響力はそれ程でもありません。あくまでも土地を担保にした貸し出し増によってマネーストックを増大させたのがバブルの正体です。

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(90年にはマネーストックM2が13%も対前年比で増えている。85年くらいから急激に増やしているが、これがバブルの正体、91年以降との差が歴然)

91年にはその窓口指導も廃止し、総量規制をして金利を高止まりさせました。それを主導していたのは日銀で、バブル崩壊を導いたのは日銀本人と言って間違いありません。もちろん米の圧力に屈したからです。

前川、三重野、福井元日銀総裁が隠し砦の三悪人ならぬ、隠れ日銀の三悪人と言われています。米の主張、圧力をそのまま取り入れたのが前川レポートで、三重野、福井ラインが忠実に実行に移したという訳です。

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その事実は元日銀の客員研究員であるドイツ人経済学者、リチャード・ヴェルナー氏によって著書「円の支配者」で明らかにされています。日本人必読の書と言えるでしょう。それに続く「なぜ日本経済は殺されたか」もお薦めですが、こちらは日本人経済学者、吉川元忠氏との共著になります。

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(露骨に日銀批判をしているが、名指しされた当人からの反撃はない。ここまで言われても、だんまりを決め込むのはなぜか?)

従って日本が米国の無二のパートナーになったという事実は金輪際存在ありせん。米の貢ぐ君に堕したのがプラザ合意であり、日銀が必殺仕置き人を演じ、同胞を裏切って自殺者を量産したのがバブル崩壊です。反対に、その後の日米金利差は米国に莫大な富をもたらしました。

米が90年からの日米構造協議で日本に要求した10年で430兆円似も上る公共投資は日本の内需拡大のためなどではなく、それによる国債の大量発行でデフレと低金利を継続させるためのものだったと考えると辻褄が合って来ます。全ては日本封じ込めの為に画策されました。

発行されたのが国債などではなく、もし現金であれば少々のデフレなど跳ね返した事は言うまでもありません。狡猾な米は低金利と日本の政府債務拡大の一挙両得を狙ったと思われます。

しかし、クリンチの状態をいつまでも続ける事は、それはそれで楽ではないと思うのですが、なかなか離してくれません。(笑)アベノミクスでデフレ脱却と内需拡大を唱っていましたが、それが頓挫したのも抱きついて離さない米に遠慮したという理由以外見つからないのです。

国土強靭化計画にしても、いつの間にか死語になってしまいました。今回の雨による災害などを見る度に思い出します。さらに、このところの野党、マスコミだけでなく党内からも安倍叩きが加速し、安倍政権のレイムダック化は避けられない様相を呈して来ました。

こういう、小さなガラスコップの中で日本人同士?が罵りあい足を引っ張りあうような事をしているようでは当分日本の復活はないでしょう。まさに不倶戴天の敵である米や近隣反日諸国の思うつぼです。情けない限りです。

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2017年7月 7日 (金)

EV化の真の意味とは?( Ⅰ )

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 今日は久々自動車の話題です。

EVが遠い将来、例えば500年とか1000年後の世界で、メインのパッセンジャーカー(乗用車)になる事はあり得るのかも知れませんが、私は幸か不幸か、その時にはこの世にいないので関係ありません。(笑)

では我々が生きている間に何が起こるかですが、どうもEV化を推進するひとつの大きな要因であるエネルギー問題はなくなりそうです。シェールオイルが出現してからこの問題大きく動きました。従来化石燃料と言われ、埋蔵量に限りがあって枯渇が時間の問題だと思わされて来たのは真っ赤な嘘で、実は無尽蔵にあるかもしれないのです。

少なくとも我々の目が黒い内は大丈夫そうで、100年、200年単位でみても問題ないかもしれません。という事は増税以外で、ガソリン価格は今後大きく上がらないという事になります。むしろ徐々に下がって行くかもしれません。枯渇がデフォルトでインプットされている頭には少々酷です。フリーズしてしまいそうです。(笑)

他のEV化推進要因であるCO2地球温暖化説も非常に胡散臭いし、また切実な問題であった排ガスの低公害化もどんどん進んでいます。ディーゼルエンジンがネックにはなりますが、燃費が最大のメリットというのでは存在根拠は弱いと言わざるを得ません。この方面、日本メーカー(特にマツダ)の努力は称賛に値しますが、乗用としてはそう遠くない将来消える運命と思われます。

つまり、誤解を恐れずに言うならば、乗用車に関する限り従来言われて来た程、環境省エネに神経質になる必要はどこにもないのです。但し、それは今のところ日本だけの話です。他の国は未だ危機的なところが多いので余談は許しません。

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(スズキワゴンR マイルドハイブリッドでもリッター 33.4Km を達成)

日本の規制がこの調子で進んで行けば、数十年後にはかなりクリーンな環境が実現出来ます。(外的要因を除く)その個別評価はともかく、ニッサンノート e-Powerや、スズキの軽自動車のマイルドハイブリッド化等、ハイブリッドのバリエーションが続々出て来るのを見るにつけても、メーカーの意識、技術レベルは昔に比べ飛躍的に高くなっています。期待出来るのではないでしょうか。

次にアメリカですが、ここも排ガス規制は日本以上に厳しくなります。原油が安くなってからは大排気量のガスがぶ飲みSUVが売れまくっている事は確かだし、環境問題に対する政府の姿勢も凄く前向きとは言えませんが、日本の次ぎに期待出来るのはここしかありません。特に日本車が多く規制も厳しいカリフォルニアが有望です。

問題は欧州です。もちろん先進国の中でという意味です。途上国は論外で、そこは先進国がどう対応して行くかにかかっています。従来の株主優先、利益最大化の考え方では持続可能でないのは自明です。なんらかの対策が必要である事は論を俟ちません。

その一端を担わなければいけないはずの欧州が、実は頭痛の種なのです。(笑)VWの排ガス偽装で揺れたのは2年前ですが、当該メーカー達も、共犯であった国家も真摯に反省している様子はありません。どうも今でもその不正な排ガスを出す車を平気で売っているらしいのです。

巨船の舵は急には切れません。生産台数の50%以上にも達するディーゼル車をいきなり全て性能を変えずにクリーンエンジンにする事など不可能なのです。取りあえずガソリンエンジンに替えればいいのですが、供給が間に合う筈もないし、ディーゼルに投資した費用を回収するという経済的理由も足枷になります。

もちろん排ガスの制御ソフトを正常化した上で、浄化装置を奢ればクリーン化は可能ですが、そんな事をすれば走らない、燃費悪い、高い、で誰も買いません。欧州では大衆車程ディーゼル比率が高いので当然です。とにかく欧州だけでも膨大な生産台数なので、次のモデルチェンジの時に何とかするのが精一杯と思われます。

それまでは残念ながら欧州の汚染は酷くなる一方です。それが原因で命を落とす人もうなぎ上りに増える事は避けられません。米でさえその犠牲者は年間5万人を超すと言われています。しかし現実問題、その時が来ても低コストのマツダ方式にするには特許料を払わなければならずマツダが大儲けします。(笑)

そこで苦肉の策で言い出したのが総EV化です。ドイツは何と2030年までに、フランスは40年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止すると言い出しました。他のEU諸国も追随する構えを見せていますが、どう考えても変な話でしょう。

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(アウディの試作車 E-TRON 航続距離500キロというが、暖房を使わない事が条件では寒い国では困るのです)

日本の、数少ないまともな自動車評論家の池田直渡氏は、この米も含めたEV化への流れを20年代の米の禁酒法になぞらえて、バカバカしくも、あり得ない試みだと一蹴しています。マスキー法案などと同じで、どこかで覆されるのがオチでしょう。トヨタやホンダが一気にEV化に走らないのは、そういう理由があるからです。

それにしても、ディーゼルエンジンならともかく、あれ程優秀でアドバンテージのあるガソリンエンジンを廃止するなんて気が狂っているとしか思えません。お得意のダウンサイジング化は上手くいっているではありませんか。ファンの一人として禁酒法同様、EV化計画の早期頓挫を祈ります。

実はこの陰に日本車の気配を感じるのです。今、日欧EPAで日本からの自動車輸入関税10%を撤廃するとかしないとか騒いでいますが、EUが一番恐れているのは日本の優秀なハイブリッドカーが入り込む事です。当局が排ガス規制(ユーロ6)を厳密に履行するなら、日本のハイブリッドカーが欧州市場を席巻しかねないのです。それが日本にとって良いか悪いかは取りあえず置いといて。。

ドイツにとっては悪夢でしかありません。そもそもドイツ車は近年日本の影響をずっと受け続けて来ました。生産技術ではベンツがトヨタ方式を導入し、日本製製造用ロボットはVWの工場を埋め尽くしています。電子制御技術も日本の後塵を拝し、自動車用半導体は日本からの空輸頼みなのです。燃料噴射装置もパクったり買ったりで苦労しています。

ドイツが得意とするところのトランスミッション等の精密機械部品にしても日本製品なしでは成り立たないところにまで来ているのです。本当はとっくの昔に日本車に席巻されているところを、関税とインチキ・クリーンディーゼルで誤摩化して来たというのが実態です。

それらが崩れたなら欧州車の生き残る道は一部のプレミアム・ブランドしかありません。それをいやという程感じているドイツが、苦肉の策で出して来たのがインチキクリーンディーゼルと同じ、その場凌ぎに過ぎないEV化という訳です。

しかし、実はこの方面でも日本がアドバンテージを持っています。技術的には20年も経験のあるハイブリッドシステムの枠から一歩も出ず、その簡略化に過ぎませんから欧州に勝ち目がある筈はありません。BMWあたりが出しているハイブリッドにしてもトヨタが指南したものなのです。

つまり、もう勝負はついているのです。白旗を揚げる事を潔しとしないので総EV化などと出来もしない事を言い出しました。日本車と互角に戦えるのはEVしかないと踏んだのでしょうか。あるいは白人お得意のルールーチェンジで日本のハイブリッド車を閉め出すつもり? そこまで落ちぶれてもらいたくありません。

しかし、だからと言って悔し紛れに日本の自動車評論家を買収するのはいかがなものでしょうか。ドイツ車の優秀性を宣伝するだけならまだしも、日本車を嘘で貶めるのは人の道に反します。

未だに欧州車を絶賛して日本車にケチを付けている日本人自動車評論家は、そういう敵の捨て身とも言える作戦に与した、いわゆるBKDと言われるタイプの人達ですから、皆さんくれぐれも騙されないようにして下さい。

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2017年7月 5日 (水)

衆愚政治はまた繰り返されるのか?

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 小池都知事率いる度素人政治家集団(今回当選の49人中39人が始めて)都民ファーストの会が、大方の予想を上回る形で都議会選挙に大勝しました。政策上の争点がこれと言ってなかったにも関わらずです。今回の選挙、基本的には都民の心情に忖度した(笑)小池知事の作戦勝ちと言えるでしょう。

新しいもの好きがいて、マスコミが煽る、どう見ても地に足がついているとは言い難いのですが勝てば官軍です。ややすぼみかけていた緑色の紫陽花が票という名の水を得て復活、咲き誇ってしまいました。

しかし、これで大喜びしたのが都民ファーストの会というより、むしろマスコミや野党でした。一部自民党内にも反安倍勢力がいて鬼の首でも取ったかのように、現政権や安倍首相への無慈悲な批判、責任追究が始まっています。

しかしそれはどんなもんでしょうか。そもそも都議会と官邸の関係はベストとは言えませんでした。というより制御不能な暴れん坊的なところがあって、官邸側も苦慮していたというのが本音かもしれません。

つまり自民党とは名ばかりで、その内何とかしなければいけないと思っていた癌細胞が自滅したのですから、安倍さんにとっては、それはそれで悪くない結果だったのではないでしょうか。

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(大勝してドヤ顔を披露する小池知事、周りにいるのは秘書か、あるいはバイトのフリーターか?)

小池さんに替わるまでは、ご存知のように旧態依然とした体制で、既得権益にあぐらをかくドンが君臨し、やりたい放題だったのです。今回ゼネコンとつるんでいた在日系勢力が一掃された事で、やれやれと思っている人は多いと思われます。

それにしても今回の結果に悪乗りして国政にまで影響を及ぼそうというのは虫がよ過ぎます。例えば、ほんの一握りの在日系プロ市民左翼団体が反安倍のシュプレヒコールを繰り返して選挙妨害をしていましたが、マスコミはどう見ても彼らに好意的で、大きく取り上げていました。都政とどんな関係があると言うのでしょうか。

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(前横浜市長の中田氏は「見る人が見るとわかる」といい、「あれは(安倍首相を)詰ってる反対派っていうのは組織的活動家」だと発言した。報道2001より)

これでも偏向していないと言い張るなら何をか言わんやです。冷静な話し合いなど出来る訳がありません。私には最近のマスコミは言った者勝ちで、ある事ない事言い募り、野党と連携、総掛かりで政権及び自民党批判に明け暮れているように思えます。

嘘も百回言えば事実になると思っているあの国と同じやり方です。明らかな越権行為、また選挙妨害ですが、恐ろしい事に増々図に乗って来た感があります。安倍政権初期の頃はここまで露骨ではありませんでした。どこの国の利益を代弁しているのか実に分かりやすくなって来たのですが、見えない人には見えないようです。

それにしても安倍首相に攻める姿勢が見られないのが気がかりです。このままレイムダック化して終わってしまうのでしょうか。韓国の新大統領が慰安婦問題で言いたい放題でも放置だし、靖国神社にも行かない、大胆な政策も打ち出さない。野党の攻撃にはクリンチに持ち込む、これでは増々じり貧です。

どうせダメになるなら最後のひと勝負に賭けてもらいたいのですが、消費税を5%にでも戻せば人気と経済が沸騰して今までの事が消し飛ぶでしょう。(笑)ついでに民進党も消滅してもらえば、少しはさわやかになります。

さて、今後の都政ですが、小池氏は都民ファーストの会の代表を退くと明言しました。それは何を意味するのでしょうか。知事職に専念するためとは言っていますが、国政時代の、あっちふらふら、こっちふらふらの行動を見る限り額面通りには受け取れません。

どうも然るべき時に国政に戻るつもりではないでしょうか。その間際になって邪魔な存在になる都民ファーストの会から、今の段階で離れる事によって機動的に動くための布石を打ったのかもしれません。

首相のポストを狙うには、勢いがある内に与党自民党に戻り、然るべきポストに就いておく事が有利だという計算くらいは中学生にも出来ます。先手先手が有効な事は学んだようです。一種の権力オタクかもしれません。

ともあれ、これで都民ファーストの会の行く末が見えました。次の選挙で何人が残るのか見ものです。烏合の衆は所詮烏合の衆です。親鳥に見放されれば腹黒いカラス(黒い頭のネズミか?)の餌食になるのみです。

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(野田数氏は、極真空手の有段者という。その腕っ節の強さから学生時代は数々の武勇伝もあるらしい。アントニオ猪木の秘書だったというのは、どう解釈すればいいのか悩みます。笑)

さて、小池氏退任の後を受けた野田数新代表ですが、彼は一応激し目の保守と目されています。現行の日本国憲法無効と大日本帝国憲法の復活を訴えているようです。ややエキセントリックなきらいがない訳でもありません。

さらに「北朝鮮および在日朝鮮人組織への一切の支援を断ち、圧力を強めるべきなのである」とも主張していると言いますから心強い限りです。是非初心を貫いて頂きたいです。

いずれにしても小池知事共々、今後のお手並み拝見と言ったところです。

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2017年7月 3日 (月)

日本の財政問題を再考する(後編)

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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 前回からの続きです。

金融機関全体のバランスシートを見ていきます。まず資産の部、日銀当座預金残高が昨年末で330兆円、貸出し残高が754兆円です。国債や株式などの有価証券、その他が393兆円+日銀券107兆円となります。

当座預金残高には預金取り扱い機関でない金融機関の分も多少含むので厳密な意味での正確性は欠きますが、今回はややこしくなるので無視させて下さい。預金取り扱い機関の総資産を1584兆円とします。

一方の負債の部が預金残高1416兆円、証券98兆円で1514兆円です。差し引きで一応70兆円の黒字(純資産)という事になります。そこで目につく1416兆円の預金残高ですが、マネーストックより多いという事実は取りあえず置いといて。

そのお金はどうやって出来たのでしょうか。我々が稼いだから?それは当然ですが、誰かがお金を刷らないともらえません。誰が刷ったのかと言えば政府の機関である事は間違いないのです。なぜなら本当(消えない)の通貨発行権は政府にしかないからです。

ところで資産の部の貸出し残が754兆円という事は、これは明らかに信用創造の結果です。金融機関が日銀当座預金残高を根拠に新たに創造した消えるお金です。その反対側には借りている国民が必ずいます。

という事は負債の部の内、証券分に関してはベースが預金からなので除き、さらに借り入れ残高を除いたものが政府からの供給分という事になります。すなわち1416-754=662兆円です。多いですね。これを我々が政府に返済しなければいけないのでしょうか。財務省の言っている事はそういう意味になります。

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ここで資金の流れをみてみます。日銀が市場から国債を買うと、それを売った銀行へ支払うためにその銀行の当座預金残高が増えます。その代わりその銀行の資産の部の証券残高が減る訳です。これでイコールです。別に我々の預金残高には影響しません。

日銀の方も買い取った債券が資産に計上され、反対側の負債の部の当座預金残高がほぼ同じ(売買価による)だけ増えます。日銀もほぼイコールなので何か問題があるようには思えません。政府は時間が来れば国債を償還をするのでその時を待つだけのような気がします。

結果として銀行は当座預金残高(マネタリーベース)を増やし、日銀はバランスシートを膨らませるだけです。これは明らかにデフレ対策と言えます。債券を現金に変えて行くのですから当然です。

反対に日銀が保有している債券を売るとどうなるでしょうか。銀行が日銀に持つ当座預金残高が減って証券資産が増えます。金融資産総額の変化はありませんが、現金だけが減る訳です。これによって貸出しが制限されますから明らかなインフレ対策です。

つまり日銀による買いオペ、売りオペは物価を安定させるためのものと言えます。その為にもある程度の規模の政府債務は必要なのです。債務(国債発行残高)がなければその調整が出来ません。

それが意味する事は、政府債務が将来世代へのツケなどではなく、単なる物価スタビライザーだという事です。全てをクリアする必要などどこにもありません。

国民はまず「お金ありき」つまり、お金は無意識的に元々世の中にあったものとして考えがちですが、その考え方だとどうしても財務省の国民一人当たりの借金が~のプロパガンダに乗せられます。

よく考えてみて下さい。ない例えですが、国の財政がいきなり破綻する、あるいは革命か何かで円が使えない状況が生まれたとして、その場合、円に替わる通貨が必要になりますが、誰が発行するでしょうか。いわゆるガラガラポンの状態です。

勿論新しい政府です。新政府は例えばDENという通貨を発行するとします。その場合、この国の付加価値生産(GDP)のポテンシャルが500兆円だとすれば、取りあえず一月分の50兆円も発行すれば足りる訳です。つまり50兆DENです。中央銀行に50兆DEN分の国債を引き受けさせて現金を調達します。

これを国民に配るのですが、お札では印刷や配布に時間がかかるし、犯罪のリスクもあるので個人銀行口座に直接振り込む事にしました。という事はそれらを仲介した金融機関が中央銀行に持つ当座預金にも50兆円が残高(資産)として記録されるのです。

それが回転して(一部は貯蓄に廻る)12ヶ月で500兆DENとなりました。この場合のGDP500兆DEN、マネタリーベースが50兆DEN、マネーストックも50兆DEN、政府債務は50兆DENとなります。このマネーストックが元々は政府債務だからと言って将来世代のツケになるかと言えば、なる訳ありませんよね。(笑)

次の年に民間企業が設備投資をするために民間銀行の貸出しが10兆DENあったとします。この場合のGDP510兆DEN、マネタリーベースが50兆DEN、マネーストックは10兆DEN増えて60兆DEN、政府債務は変わらず50兆DENとなります。

その次3年目の年は大変でした。前年の設備投資のお陰で消費が増えGDPがインフレも手伝って600兆DENになったのです。それでもマネタリーベースは50兆DEN、マネーストックは前年に続きまた10兆DEN増えて70兆DEN、政府債務は変わらず50兆DENのままです。

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(実際には借り入れや国債には償還があるので、ストックや政府債務は一本調子には増えていかない)

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4年目の年は政府がインフレを抑えるために国債を30兆DEN発行しました。景気は下向き、GDPは据え置きで600兆DEN、マネタリーベースが国債を買った分がー30兆DENで残高が20兆DEN、マネーストックは変わらず70兆DEN、政府債務は30兆DEN増えて80兆DENとなります。

政府が国債を発行した事でマネタリーベースが一時的に不足し民間設備投資はゼロでした。その結果、インフレが少し治まりましたが、実質での成長があった事は付け加えなければなりません。

5年目の年ですが、今度は景気が冷え込む事を恐れた政府が昨年国債を発行して得た30兆DENを財政出動で公共投資をします。そうすると設備投資が復活し20兆円銀行の貸出しが増えました。

その年のGDPが650兆円、マネタリーベースが50兆円、マネーストックは飛躍的に増えて120兆円になります。政府債務は昨年と変わらずで80兆円でした。この国には付加価値創造力があるので、成長分の大半が実質成長であった事は言うまでもありません。

これで分かるように、政府は国民に資金を供給するために債務を膨らませますが、景気が過熱すれば国債を発行してマネタリーベースの残高を減らす(インフレ対策)、あるいは増税し、落ち込めば逆に金融緩和で国債を金融機関から買ってマネタリーベース残高を増やす(デフレ対策)、または減税をするという訳です。

ところが財務省は何を考えているのか、そのインフレ対策とデフレ対策を同時にやろうとしているのです。これは国民に対する一種のテロではないでしょうか。国民をデフレで苦しめるために、見え透いた嘘をついてまでテロを行おうとしているのです。

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