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2017年7月 3日 (月)

日本の財政問題を再考する(後編)

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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 前回からの続きです。

金融機関全体のバランスシートを見ていきます。まず資産の部、日銀当座預金残高が昨年末で330兆円、貸出し残高が754兆円です。国債や株式などの有価証券、その他が393兆円+日銀券107兆円となります。

当座預金残高には預金取り扱い機関でない金融機関の分も多少含むので厳密な意味での正確性は欠きますが、今回はややこしくなるので無視させて下さい。預金取り扱い機関の総資産を1584兆円とします。

一方の負債の部が預金残高1416兆円、証券98兆円で1514兆円です。差し引きで一応70兆円の黒字(純資産)という事になります。そこで目につく1416兆円の預金残高ですが、マネーストックより多いという事実は取りあえず置いといて。

そのお金はどうやって出来たのでしょうか。我々が稼いだから?それは当然ですが、誰かがお金を刷らないともらえません。誰が刷ったのかと言えば政府の機関である事は間違いないのです。なぜなら本当(消えない)の通貨発行権は政府にしかないからです。

ところで資産の部の貸出し残が754兆円という事は、これは明らかに信用創造の結果です。金融機関が日銀当座預金残高を根拠に新たに創造した消えるお金です。その反対側には借りている国民が必ずいます。

という事は負債の部の内、証券分に関してはベースが預金からなので除き、さらに借り入れ残高を除いたものが政府からの供給分という事になります。すなわち1416-754=662兆円です。多いですね。これを我々が政府に返済しなければいけないのでしょうか。財務省の言っている事はそういう意味になります。

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ここで資金の流れをみてみます。日銀が市場から国債を買うと、それを売った銀行へ支払うためにその銀行の当座預金残高が増えます。その代わりその銀行の資産の部の証券残高が減る訳です。これでイコールです。別に我々の預金残高には影響しません。

日銀の方も買い取った債券が資産に計上され、反対側の負債の部の当座預金残高がほぼ同じ(売買価による)だけ増えます。日銀もほぼイコールなので何か問題があるようには思えません。政府は時間が来れば国債を償還をするのでその時を待つだけのような気がします。

結果として銀行は当座預金残高(マネタリーベース)を増やし、日銀はバランスシートを膨らませるだけです。これは明らかにデフレ対策と言えます。債券を現金に変えて行くのですから当然です。

反対に日銀が保有している債券を売るとどうなるでしょうか。銀行が日銀に持つ当座預金残高が減って証券資産が増えます。金融資産総額の変化はありませんが、現金だけが減る訳です。これによって貸出しが制限されますから明らかなインフレ対策です。

つまり日銀による買いオペ、売りオペは物価を安定させるためのものと言えます。その為にもある程度の規模の政府債務は必要なのです。債務(国債発行残高)がなければその調整が出来ません。

それが意味する事は、政府債務が将来世代へのツケなどではなく、単なる物価スタビライザーだという事です。全てをクリアする必要などどこにもありません。

国民はまず「お金ありき」つまり、お金は無意識的に元々世の中にあったものとして考えがちですが、その考え方だとどうしても財務省の国民一人当たりの借金が~のプロパガンダに乗せられます。

よく考えてみて下さい。ない例えですが、国の財政がいきなり破綻する、あるいは革命か何かで円が使えない状況が生まれたとして、その場合、円に替わる通貨が必要になりますが、誰が発行するでしょうか。いわゆるガラガラポンの状態です。

勿論新しい政府です。新政府は例えばDENという通貨を発行するとします。その場合、この国の付加価値生産(GDP)のポテンシャルが500兆円だとすれば、取りあえず一月分の50兆円も発行すれば足りる訳です。つまり50兆DENです。中央銀行に50兆DEN分の国債を引き受けさせて現金を調達します。

これを国民に配るのですが、お札では印刷や配布に時間がかかるし、犯罪のリスクもあるので個人銀行口座に直接振り込む事にしました。という事はそれらを仲介した金融機関が中央銀行に持つ当座預金にも50兆円が残高(資産)として記録されるのです。

それが回転して(一部は貯蓄に廻る)12ヶ月で500兆DENとなりました。この場合のGDP500兆DEN、マネタリーベースが50兆DEN、マネーストックも50兆DEN、政府債務は50兆DENとなります。このマネーストックが元々は政府債務だからと言って将来世代のツケになるかと言えば、なる訳ありませんよね。(笑)

次の年に民間企業が設備投資をするために民間銀行の貸出しが10兆DENあったとします。この場合のGDP510兆DEN、マネタリーベースが50兆DEN、マネーストックは10兆DEN増えて60兆DEN、政府債務は変わらず50兆DENとなります。

その次3年目の年は大変でした。前年の設備投資のお陰で消費が増えGDPがインフレも手伝って600兆DENになったのです。それでもマネタリーベースは50兆DEN、マネーストックは前年に続きまた10兆DEN増えて70兆DEN、政府債務は変わらず50兆DENのままです。

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(実際には借り入れや国債には償還があるので、ストックや政府債務は一本調子には増えていかない)

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4年目の年は政府がインフレを抑えるために国債を30兆DEN発行しました。景気は下向き、GDPは据え置きで600兆DEN、マネタリーベースが国債を買った分がー30兆DENで残高が20兆DEN、マネーストックは変わらず70兆DEN、政府債務は30兆DEN増えて80兆DENとなります。

政府が国債を発行した事でマネタリーベースが一時的に不足し民間設備投資はゼロでした。その結果、インフレが少し治まりましたが、実質での成長があった事は付け加えなければなりません。

5年目の年ですが、今度は景気が冷え込む事を恐れた政府が昨年国債を発行して得た30兆DENを財政出動で公共投資をします。そうすると設備投資が復活し20兆円銀行の貸出しが増えました。

その年のGDPが650兆円、マネタリーベースが50兆円、マネーストックは飛躍的に増えて120兆円になります。政府債務は昨年と変わらずで80兆円でした。この国には付加価値創造力があるので、成長分の大半が実質成長であった事は言うまでもありません。

これで分かるように、政府は国民に資金を供給するために債務を膨らませますが、景気が過熱すれば国債を発行してマネタリーベースの残高を減らす(インフレ対策)、あるいは増税し、落ち込めば逆に金融緩和で国債を金融機関から買ってマネタリーベース残高を増やす(デフレ対策)、または減税をするという訳です。

ところが財務省は何を考えているのか、そのインフレ対策とデフレ対策を同時にやろうとしているのです。これは国民に対する一種のテロではないでしょうか。国民をデフレで苦しめるために、見え透いた嘘をついてまでテロを行おうとしているのです。

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