« 大東亜戦争は、なぜ起きたのか、そしてその意味は? | トップページ | 言語の植民地化に日本ほど無自覚な国はない »

2017年8月23日 (水)

大企業の経営者に必要な意識改革

Photo     

---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

ブログランキングに参加しています。

 トヨタ自動車は2017年度下期(10月―18年3月)の部品価格引き下げ幅について、17年度上期(4月―9月)と同等水準にする方針を固めた。取引先部品メーカーへの正式要請を前に、内々に示し始めた。大半が1%未満の要求になる見込みだが、赤字の会社などは値下げが免除される場合もある。トヨタは18年3月期連結決算で2期連続の減益を予想しており、原価低減を継続する。

Photo

(新型トヨタ・カムリ 内容は凄く良くなっているようだが、外観からはそれを窺い知る事は出来ない。中身に相応しいデザインをするのは難しいようだ。)

 トヨタ本体の決算が来期減益になるだろうから部品価格の引き下げ、つまり仕入れの値切りをサプライヤーに要求するとの事ですが、これはさすがにまずいのではないでしょうか。これこそがデフレの元因で、政府や日銀が掲げるインフレターゲット政策に反する事は明らかです。

そもそも値下げ要求の理由が見当たりません。為替変動リスクも1ドル80円台の円高時代に比較すれば問題になるとは思えないし、実際円安でここ数年は増収増益だった筈です。大企業の利益がちょっとでも減るのは許せないので、部品メーカーは犠牲になれとでも言うのでしょうか。

私は根拠もなく野放途に人件費を上げろとか、車の価格を高くすればいいと言っている訳ではありません。ものは安いに超した事はないのです。しかしながら、これまで散々協力させられ、乾いたタオルを絞り切った状態のサプライヤーが、何をどうすればさらにコストダウンが出来るというのでしょうか。

はっきりしています。人件費しかありません。つまり、この要求は部品メーカーに勤める人達の生活レベルを、今以下にしろと強制しているに等しいのです。どう考えてもこの一方的やり方は横暴過ぎます。天下の大トヨタなら他にやり方がある筈です。

前にも言いましたが、仕入れ価格を下げるという事は人件費を下げる事に直結します。そもそも部品価格はものの価格ではないのです。それらを作った労働者への報酬に他なりません。国全体として見て、本当の意味での仕入れは輸入分に限定されます。

因に昨年の日本の輸入額は66兆円で輸出が70兆円程でした。名目GDPが537兆円ですから、大まかに言って600兆円でものやサービスを生産して、604兆円で日本や世界に対して売った事になります。4兆円の利益が出ました。

という事は物の価格の約11%が仕入れという事になります。大雑把な計算ですが、大きく違うという事はありません。それが意味するのは日本で誰が何を作ろうが平均して89%は国内への人件費になるという事です。

国内にも資源があるではないかと言われるかも知れませんが、資源はあるだけでは無価値です。人間が掘り出し加工するからこそ価値が付加される訳で、例えば国内で採れたとして1トン1万円の鉄の値段の殆ど全てが最終的には関係会社全ての人件費に分割されます。

従って輸入も、海外からの仕入れという扱いにはなっていますが、突き詰めれば海外で働く人への人件費に他ならないのです。GDPの計算根拠となる付加価値とは人が働いて創造する物やサービスの事で、それらに対する報酬は最終的には全て人へ分配されます。

つまり、トヨタがサプライヤーに1%の値下げを要求すると、そのサプライヤーとさらにその外注先で働く日本人の給料がその分もろに減るのです。例えば100万円の部品なら国内分付加価値89万円が88万円になり、1万円分給料が減ります。こういうゾッとするような事を平然とやるのが値下げ要請という訳です。

その結果はどうでしょうか。トヨタは利益を予定通り確保出来るかもしれませんが、サプライヤーは給料を下げるか、あるいは下げたくなければ首切りをするしかなくなります。これがデフレの原因になる事くらいは誰にでも分かる理屈ではないでしょうか。

結局短期的視点でよかれと思ってした事が自分の首を絞める事になります。トヨタにしてみれば日本がデフレになって購買力を無くせば、またその分の値下げをする事になり、その繰り返しで自らデフレスパイラルに陥って行くしかありません。

ですから、ここは優良大企業としては踏ん張りどころなのです。折角豊田社長が国内での300万台生産体制は維持すると立派な事を述べられているのですから、それを支える裾野に働く従業員の給料を減らすなんてあこぎな真似をしてはいけません。角を矯めて牛を殺す事になります。

マネーサプライが増え難い状態下で日本中の大企業がこのやり方をするなら、結局弱者から薄く広く取り上げた所得が強者に集中する事になります。すなわち格差拡大です。

では、どう踏ん張るのかと言いますと、デザインでも燃費でもいいのですが、車の魅力をアップする事です。その分高く売って利益を確保するというのが王道で、しかもGDPを増やす近道です。創造物に対する正しい評価をする事で価格が上がるのは当然です。

それをしないで価格を維持すると海外製品との価格差で輸出販売が有利になり、結果的に円高になる悪循環に嵌ります。日本はこの繰り返しでデフレを助長して来ました。そろそろ気がついてもいい頃です。

薄利多売ではなく、高い価値のあるものをその価値通りの価格で販売する、つまりドイツのようなプレミアム路線にシフトするしか先進国の生きる道はないのですが、いつまでも途上国のままで止まっている、経営者のマインドをパラダイムシフトするのが一番厄介かもしれません。

日本企業として世界で頑張っているトヨタに対し偉そうなことが言える立場ではありませんが、政府に今一デフレからの脱却に対する真剣な姿勢がみえないなら、民間で出来る事はやるべきです。

8

(この内200兆円程が現金・預金と言われている。ちょっと溜め過ぎでないかと思われるが、経営者の国内投資への関心は薄い)

民間企業(大企業中心)の内部留保は昨年末で376兆円もあると言われています。その豊富な資金を海外に投資するのではなく国内に設備投資をし、新たな国内用の高付加価値需要を喚起する、そういうマインドを持った経営者、企業が増えれば日本が変わって行きます。

裾野にいる企業には逆立ちしても出来ない事がトヨタ他の優良企業には簡単に出来るのですから、是非やって欲しいのです。。これは私の個人的都合で言っているのではありませんので、念のため。(笑)

 共感いただければクリックをお願いします。 

|

« 大東亜戦争は、なぜ起きたのか、そしてその意味は? | トップページ | 言語の植民地化に日本ほど無自覚な国はない »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

優良会社は銀行にシコタマ数字を積み上げても銀行は湯田金融とかに巻き上げられるだけ。従業員のサラリーを上げれば車も家も消費するからそっちの方が経済はアップしますよね。一番やってはいけないのが、賃金の安い外国人に職を奪われて普通の日本人が喰えなくなるので、移民導入は絶対にやってはいけないと思います。

投稿: AZ生 | 2017年8月23日 (水) 17時33分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 大東亜戦争は、なぜ起きたのか、そしてその意味は? | トップページ | 言語の植民地化に日本ほど無自覚な国はない »