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2017年8月 3日 (木)

これからはEVの時代と言う大欺瞞

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---日米 FTA消費増税 /カジノ解禁に反対します ---

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 最近、と言っても随分昔からもそうですが、有識者の日本の産業に対する間違ったものの見方が目立ちます。「日本は○○技術で遅れを取っている」「世界から取り残されてガラパゴス化する」等々ですが、適当なことを言うにも程があると言いたいです。

そんな事は全くありません。取り残されているのはむしろ世界の方です。しかし、それでは欧米白人国家のメンツが立ちません。そこで色々画策するのですが、日本人を買収してまでやっているというのは残念な事実のようです。

まず自動車の例ですが、思い出して下さい。2000年代「これからはクリーンディーゼルの時代だ」と言っていた自動車評論家、有識者は多かったのです。私などは何を言っているのだろうと、よく理解出来なかったのですが、こういう事を言っていた人達は本当に分かっていないか買収されていたかのいずれかだったのです。

また、何年か前の日経新聞の社説には、これからは欧州がやっているエンジンのダウンサイジングがガソリン車の主流になると堂々と書かれていました。なぜか韓国の自動車産業を褒め讃え、ハイブリッド車に傾く日本の方が遅れているかの如くに書いている記事もよく目にしたものです。

それが今回のEU諸国のEV化決定騒動で、全ては大間違い、大嘘であった事がはっきりしました。VWの排ガス偽装問題で分かるように、ディーゼルエンジンには長期的展望はなく、ガソリンエンジン単独でも今後増々厳しくなる排ガス規制に対応不能である事がはっきりしたのです。つまり欧州にはEVしか選択の余地がなくなったという訳です。建前的にはですが。。

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(トヨタのプラグインハイブリッドカー、プリウス PHV EV走行68.2kmと言うが、そこまでの距離が必要かどうかは意見が分かれる。電池をもう少し減らして価格を安くして欲しいと思うユーザーも多いのでは? それにしてもデザインがぶっ飛び過ぎている。)

少し遡ります。今後排ガス規制が厳しくなるという予想の元に日米欧が次世代車を模索し始めたのが80〜90年代で、形になって現れたのが97~98年です。日本はハイブリッドのプリウス、欧州はクリーンディーゼルでしたが、米の存在感は薄く、EVを細々とやっていると言った感じしかありません。

その後はご存知のように日本はハイブリッド化が進み、欧州はクリーンディーゼル全盛を迎える事になります。フランスでは新車販売に占める率が60%と言いますから、その傾倒ぶりは半端ではありません。マスコミや評論家は一斉に日本ガラパゴス化を訴えました。日本の自動車メーカーにはクリーンディーゼル開発の技術力がないとまで言い出す始末です。

そもそも欧州がクリーンディーゼルを打ち出したのは高圧での燃料噴射を可能にしたコモンレールシステムという技術が乗用車用に開発出来たからですが、その技術、元々はデンソーが商業車用に開発したものです。

日本はディーゼル乗用車が極端に少ないという実績、現状があり、乗用車用の開発は見送られていたのでしょう。デンソー本社所在地はトヨタのお膝元でもあり乗用車はハイブリッド主体と考えていたとしても不思議はありません。

そんな背景の下、ボッシュはデンソーのコモンレールに目を付けました。一説によるとボッシュの日本研究所で元デンソー社員を雇いコモンレール技術をパクったとされていますが、半導体や液晶TVなどの家電製品と似たような構図がここにもあります。

日本は常に狙われているのです。愛国心も愛社精神もない日本人が増えた事も技術流出の原因なのかもしれません。まあ、技術をパクる事自体は日本も似たような事をして来た過去はあるので責めるつもりはありませんが、海外の方がやり方としてはフェアでないケースが目立ちます。

しかも日本人とは違い、技術を持つ相手を敬う精神もなさそうです。ひたすら下げたり貶める手法を用います。それに乗っかる日本のマスコミや有識者のレベルも勿論褒められたものではありませんが、日本国民はそういう情報環境にいる事だけは知るべきです。

実際には、事もの造りに関するあらゆる技術に於いて日本にアドバンテージがあります。例えば自動車部品輸出に関しては欧州との貿易で3000億円も日本の輸出超過になるのです。つまり弱電の世界での韓国との関係と同じように、日本の優秀な部品によって欧州自動車産業は支えられている訳です。

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(2012年の輸出品目の構成、自動車関連が多い)

日本の輸出品目を見ても分かりますが、生産財、資本財は輸出総額の80%を占めます。完成品の輸出は現地生産が進んだ事によって意外に多くありません。日本は世界の製造業のための一大サプライヤーなのです。3.11のサプライチェーン分断で分かったように日本なしでは世界の製造業は成り立たないと言って過言ではありません。

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(その他に含まれる村田製作所を加えると未だ3分の2のシェアを持っている日本二次電池メーカー、NECは投資の負担に耐えきれず撤退するらしい。中国のファンドに売却か。)

話を欧州のEV化(電動化)に戻します。日本のマスコミや有識者は電動化を単純にEV化と思い込んでいるようで、日本取り残される論が幅を利かせていますが、全EV化という事はあり得ません。理由はこれまでも散々書いて来ましたが再度おさらいします。

1)まず電力供給の目処が全く立っていない。原発容認ならあり得るが、そうでない場合は絵に描いた餅に過ぎない。化石燃料による電力を増やした結果、CO2や有毒ガス排出という点でハイブリッド並ならEV化する意味がないのは自明である。

2)EVは商品としては小型の低価格車にはあり得るが、高性能車や高級車には未だ商品としての完成の域に達していないので不向きである。その最大の理由はリチウムイオン電池の性能に限界があるからで、それに代わるものが出て来ない限り主流にはなり得ない。全固体電池も製品化の見通しが立っている訳ではない。

3)ガソリンエンジンの高効率化によってハイブリッドが更なる進化を遂げる可能性がある。つまりZEVとは言えないまでも、高い次元で地球との妥協点が得られる可能性がある。

4)価値感や常識、あるいは規制すらも時代の要請によって変化する。そうなればEVは無用の長物になりかねない。

5)超えるべき高い壁が多い。まず充電に時間がかかり過ぎる。急速充電器は高価だし、多用すれば電池の寿命に関わる。集合住宅では夜の充電すらままならない。

これで分かる事は、好むと好まざるに関わらず、当分ハイブリッド車の時代が続くという事です。そのバリエーションは多岐を極めPHVからストロング、マイルド、あるいはシリーズ方式まであり、その国の産業レベルや懐具合で決まっていきます。

欧州もハイブリッドをやらないとは言っていません。EV主体のようなものの言い方ですが、半世紀単位の遠い将来の事ならいざ知らず、現実的には当分の間はハイブリッド主体にしかなり様がないのです。

しかし、それを言ったら日本に対する全面降伏のようになってメンツ丸つぶれです。従って口が裂けてもそれだけは公言出来ません。だから苦肉の策でEV化とうそぶいていますが、その体制が10年や20年で構築出来るかと言えば、無理な事は百も承知ではないでしょうか。

「これからはディーゼルの時代」が嘘であったように、20年後には、やっぱりあれも嘘だったね、と言っている姿が目に浮かぶようです。

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コメント

田中様
先日お伝えした「某新聞記者」とは、まさにここの新聞社です。私は以前から胡散臭さを感じていたのですが、仕事で仕方なくセミナーに参加しました。「未来の車の話」とはじまり、内容は先日お伝えした通りです。彼はステラ社を評価してました。私はSF(サイエンス・フィクション)の話を聞いている様な感覚でした。笑。セミナーに来ている人たちは、「貴重な話が聞けた」とフィードバックしてました。私としては鵜呑みにせず、田中さんの意見が聞けて大満足しております。ありがとうございます。

投稿: 女性読者 | 2017年8月 5日 (土) 05時09分

ステラでなくテスラです。恐れ入ります。

投稿: 女性読者 | 2017年8月 5日 (土) 05時11分

 EV関連の連載ありがとうございます。本ブログの記事と日本のNHK他情報の乖離が大きいです。ドイツのシュピーゲル、フランクフルトの新聞などはEVには懐疑的で、ディーゼル・スキャンダル、ディーゼル・ゲートなどの言葉も出てきます。また、米国のカリフォルニア州では2017年より一定の割合でエコカーの販売を義務付け、HVはエコカーの対象より外されるような記事もありました。 田中さんがいつも書いておられる様にルールの変更によって政治的に自分たちを有利にしようとする欧米、パンダハガー“メルケル”おばさんの意図を感じます。また、欧州のEV転換もカリフォルニアの件も自動車を携帯電話の様にコモディティー化して自国生産を目指す中国の影も見え隠れする気がしています。

投稿: toro | 2017年8月 7日 (月) 00時37分

toroさん | 2017年8月 7日 (月) 00時37分,及び女性読者さん | 2017年8月 5日 (土) 05時09分のコメント・・・素晴らしく現場・現状・現実の状況を把握されていますね!

投稿: AZ生 | 2017年9月25日 (月) 00時54分

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